7月25日 別山頂上にて2班集合写真(前列左端:日本大学~柴田)
参加メンバー)柴田 亮(本学4年)・・・第2班配属
日本大学山岳部
令和4年度 登山リーダー夏山研修会報告書
主催 | 独立行政法人日本スポーツ振興センター |
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後援 | スポーツ庁 |
協力 | 公益社団法人日本山岳・スポーツクライミング協会 |
期間 | 令和4年8月21日(日)~8月26日(金) |
場所 | 独立行政法人日本スポーツ振興センター 国立登山研修所 及び 剣岳周辺 |
目的 | 夏山登山に必要な基礎的技術や基本的状況判断力を習得するための研修を行い、チームを率いて安全で確実な登山を実施できるリーダーを養成する。 |
行動報告
7月20日(土)移動日
23:25バスタ新宿~夜行バス
7月21日(日)座学・準備 曇り
6:10富山駅~10:50国立登山研修所~15:15開会式~16:00 講義「登山のPDCA」~16:30
班別研修~18:00夕食~19:00装備確認~21:00自由時間~22:30就寝
柴田は第2班に配属された。第2班は日本大学の他、金沢大学、東京農業大学、東北大学、専修大学、大阪公立大学、筑波大学、大阪大学、同志社大学、関西大学から編成された。講師は春日井山岳会の高津道男氏、関西学院大学山岳会の山本大貴氏。開会式終了後、三戸呂講師による「登山のPDCA」の講義を受けた。講義後は班別研修。自己紹介を行い、食糧計画を作成し、10分以内に剣岳周辺の概念図を書くテストが行われた。テストは全員が正確に書くことが出来るまで何度も実施された。夕食、装備チェックの後は自由時間だが、各自概念図の練習や講義のまとめなどをして過ごし、就寝する。
7月22日(月)座学・準備 曇り
6:00起床~研修所内にて終日研修~22:00就寝
この日は起床して立山駅周辺の清掃活動を行った後、笹倉講師による「確保理論」の講習・実習、続いて班別研修を行った。確保理論の講習では、墜落によって生じる人体への衝撃力の大きさとその影響について説明を受けた。また、講師による正しいビレイ、間違ったビレイの実演の後、実技講習として重りと計測機器を用いてビレイ時の衝撃荷重を全員計測して自らのビレイの問題点を可視化し、正しいビレイ方法を身に着けた。
いわゆる「ガッツンビレイ」ではクライマーと支点に大きな衝撃がかかるため、ロープを流して最初の衝撃を逃がすことが必要である。ただし、グランドフォールには注意が必要である。班別研修ではまずテントの設営訓練を行った。8人用テントをリーダー指示の下4人で組み立てる。記録は6分30秒。この訓練は素早いテント設営が目的ではなく、リーダーが班員を目的に向かって動かす訓練であった。その後ロープ実習、計画書作成、食糧の準備、パッキングを行い、明日からの入山に備える。
7月23日(火)入山日 雨時々曇り
5:30起床~5:45朝食~7:20国立登山研修所出発~8:30室堂着、高所順応~9:10室堂出~
9:35雷鳥沢キャンプ場~13:10夏山前進基地
この日は入山日。荷物をトラックへ積み込み、空荷で室堂へ。高所順応の後、出発。道中雷鳥沢でテント設営訓練を行う。記録は5分30秒。講師によると新記録だそうだ。皆嬉しそうだったが、これで満足するなと指導を受ける。雨で非常に蒸し暑い中、剣御前小屋経由で夏山前進基地へ向かった。到着後、休憩をとり、明日の剣岳アタックに向けてアイゼンの着脱訓練とfix通過の訓練を行う。アイゼン歩行が初めての者が複数おり、歩行訓練も行う。
7月24日(水) 剣岳アタック日 曇りのち晴れ
4:45剣沢BC~5:50平蔵谷出合~8:35平蔵のコル~9:45剣岳山頂~12:30一服剣~13:03剣山荘~13:31剣沢BC
この日は剣岳アタック日。そしてリーダー役の日であった。4:45分出発。剣沢雪渓上部でアイゼンを着用する。ガスが濃く、落石に細心の注意を払いながら進む。平蔵谷では慣れないアイゼン歩行と急登からバテる班員もおり、リーダーとして全員の気を引き締めるよう指導を受ける。いよいよガスが濃くなってきたので、谷の幅が狭い下部でコンパスを合わせ、それを頼りに前進する。9:45山頂着。到着と同時に周囲が晴れ渡り皆歓声をあげる。下山も平蔵谷経由の予定だったが、谷には未だガスが残っていたため、落石の危険性を考え別山尾根経由で下る。剣山荘からテントまでは走って競争した。
7月25日(木) 雨のち曇り
5:10剣沢BC~5:58剣御前小舎~7:02室堂乗越~8:25奥大日岳~9:38室堂乗越~11:04剣御前小舎~11:45別山~13:08剣沢BC~14:00 BC周辺で搬送訓練
2:30起床。風雨のため、出発を1時間遅らせる。5:00天候が穏やかになったため出発する。大日岳まで往復の予定だったが、手前の奥大日岳までの往復に変更する。ガスの中を歩き、奥大日岳に到着する。帰路は雷鳥の先導の下ゆっくり進む。別山往復時は風が強く、ザックカバーや帽子が飛ばされる班員が居た。13:08帰幕。時間に余裕があること、翌日悪天候が予想されてる事から、搬送訓練をこの日のうちに行う。講師の方の「荷物ではなく人を背負える奴が山では偉いんだ」との言葉が身に染みた。
7月26日(金) 下山日 曇りのち晴れ
6:00剣沢BC~7:03剣御前小舎~8:20雷鳥沢キャンプ場9:20~9:55室堂~11:40国立登山研修所
穏やかな朝を迎える。荒天の予報は外れたようだ。朝日に照らされた剣岳の姿に皆息をのまれる。撤収を完了させ、整列し、リーダーが喝を入れて出発する。雷鳥沢ではテント設営訓練を行った。最終的な記録は5分7秒だった。撤収訓練に時間をかけたため雷鳥沢出発が予定より遅れる。このままでは室堂集合時間に間に合わないため早歩きで移動する。自然と競争になり、先に室堂へ到着していた1班、3班に出迎えられて山行を終えた。
研修会を振り返って
今回の研修で、自らのリーダー学年としての自覚の不足、そして今の山岳部の緊張感の無さを強く実感した。今年度の研修から社会人の参加も可能となり、第3班として現役の消防隊や山岳警備隊の方々が参加していたことも大きい。第3班の方が近くにいるだけで緊張感が伝わり、皆がやるべきことを探し、お互いに指示を出しそれを実行していた。これこそ、リーダーシップ・メンバーシップではないのだろうかと思った。Covid-19による部活動停止の影響で部の中核となる2,3年生の役割を果たす部員が不在の中、コロナ前の山岳部を経験している4年が率先して部活動に参加し、トレーニングをし、声を出して、部を刺激しなければならない。