8月11日 内蔵助カールにて雪渓訓練(後列左から:2年山形、許、4年柴田、米山、
前列左から3年石田、1年田畑、2年三橋、2年籾井、1年玉野)
山行報告書
目的 | 雪上技術、生活技術の習得、歩行技術の向上 |
---|---|
山域 | 北アルプス 立山、雷鳥沢BC |
期間 | 令和4年8月4日(水)~令和4年8月13日(土) 移動1日、実働7日、停滞2日 |
メンバー | 4年 CL米山未羽、SL柴田 亮 3年 石田爽斗、角野将也 (8日下山) 2年 籾井大空、三橋譲二、許 方于、山形龍也 1年 玉野蒼士、田畑 天 OB 賀来ヘッドコーチ(4~10日朝)、山浦コーチ(10日~13日)宝迫コーチ (4~7日)、國谷コーチ(10~13日)、村上コーチ(4~12日) |
行動報告
8月4日(木)移動日 部室〜バスタ新宿〜富山駅 曇り31℃
部室〜バスタ新宿(高速バス)22:50,23:15~富山駅05:30, 05:40
夕方に部室に集合し、来ていただいたOB・OGの方々に見送られながら部室を出発した。バスタ新宿に移動後はバスを2便に分けて東京を出発した。2便とも予定どおりの時刻に富山駅に到着することができた。
8月5日(金)入山日 富山駅~立山駅〜美女平〜室堂〜雷鳥沢BC 晴れ26℃
富山駅6:00〜立山駅7:30〜7:40美女平〜8:40室堂9:10〜10:00雷鳥沢BC
富山駅到着から電車に乗るまでの時間にあまり余裕がなく、急いで移動をする。室堂は晴れていて気持ちの良い天気であった。水場で水を汲み、準備運動をして出発した。初日からオーダーを覚えていなかったり、パッキングが遅い部員がいたために出発の時間が遅れてしまった。皆初めての重荷であるが、ゆっくりとしたペースで歩いていたこともあり、バテる部員はいなかった。時折、すれ違う登山者の方々に応援していただきながら快調に進む。
雷鳥沢の野営場は夏のハイシーズンであるために、多少混みあっていた。歩きながら候補地を決め、広いスペースに設営することができた。設営後、玉野が肩が痛いと言うため見たところ、酷い日焼けをしていた。処置をして、翌日以降の行動は空荷にすることを決めた。その後は時間に余裕があったため、近くの空き地でロープワークの復習を行った。
8月6日(土) 奥大日岳往復 雷鳥沢BC〜奥大日岳〜雷鳥沢BC 晴れ時々雨
雷鳥沢BC5:45 〜奥大日岳8:00〜雷鳥沢BC 10:15
この日は午後から悪天の予報であったため、出発時間を少し早めることとした。奥大日までの道の大半はとても緩やかな坂で、楽しく話しながら歩くことが出来た。高度に体を慣らすにはちょうど良い強度の登山であったように思う。行動中に靴擦れや高度障害等の不調を訴える部員も出なかった。山頂では部旗を広げて集合写真を撮り、すぐにBCへ下山を開始した。ルート上、チングルマの群生が見事であった。BC帰着後には小雨がパラつく場面もあったがすぐに止んだ。
8月7日(日)雄山往復 雷鳥沢BC〜雄山〜雷鳥沢BC 晴れ20℃
雷鳥沢BC5:00〜一の越山荘6:50〜雄山7:55〜雷鳥沢BC10:20
この日も午後から悪天の予報であったため、行動時間の長い雪上訓練は諦めて雄山を往復することとした。一の越山荘からは龍王岳東尾根を望むことが出来た。登攀意欲がわく。山頂(奥の院)に行くには登拝料が必要であったため、手前の石碑のところで集合写真を撮影した。その後、本日が下山日であった宝迫コーチと分かれ、下山を開始した。下りでは注意が散漫になり落石を起こしてしまう部員が目立ったが、2年の許が「石を落とさないように注意」等の注意喚起をこまめにしていてよかった。
天場帰着が早かったため、全員で筋トレを行い、その後雷鳥沢野営場すぐ近くの小さな雪渓で直登直下降の歩行訓練、肩がらみ確保の練習を行った。斜度があまりないため歩行は難しかったが、かえって内蔵助カールでの雪上訓練へのモチベーションが上がったようだ。皆元気そうにしていた。
8月8日(月) 停滞 雷鳥沢BC 晴れ23℃
雷鳥沢BC
角野がインターンの都合により途中下山の予定であったため、この日は休養停滞とした。角野は村上コーチに付き添っていただいて室堂へと下山した。休養日ではあったものの、近くの小さな雪渓で3時間ほどスノーバーでの支点構築、肩がらみ確保、FIX工作・通過の復習を行った。一通り練習を行ってから帰幕、それぞれゆったりと思い思いの時間を過ごし、翌日の雪上訓練に向けて早めに就寝した。
8月9日(火) 雪上訓練日 雷鳥沢BC〜真砂岳〜内蔵助カール〜雷鳥沢BC 曇り時々雨 15℃
雷鳥沢BC4:58〜7:16内蔵助山荘〜内蔵助カール11:30〜12:内蔵助山荘12:35〜雷鳥沢
BC14:36
この日は天気があまり良くなかったため、一度内蔵助山荘まで行き、カールの様子や天候を観察してから雪上訓練を行うかどうか決めることとなった。大走りを登り切ったあたりからガスが湧き始め、小雨がパラついた。内蔵助カールには雪上訓練を行うには十分な量の雪が残っていた。 内蔵助山荘の方にご挨拶をしてから準備を整え、雪上訓練を始める。
ガスが濃くて雪渓上部が見えず、落石に気づくことができない可能性があったため、村上コーチに監視役をしていただき、比較的安全と思われるインゼルの間で訓練を始めた。まずは歩行の直登・直下降を行った。少し雪が固く、皆よく転倒していた。それに伴い初期制動をする回数も増えたからか、皆初期制動は上手くなっていた。
特に直下降の足取りに不安のある田畑、許は少し下の傾斜の緩いところで練習してもらった。3時間ほど訓練を行ったところで雨が本降りになったため、予定より少し早めに撤収して雷鳥沢BCへ下山した。
8月10日(水)停滞 雷鳥沢BC 雨のち曇り時々晴れ16℃
雷鳥沢BC
この日は深夜頃から強い雨風の音で目が覚めた。天気が悪いため停滞とした。しかし日が出てからは天気が小康状態を保っていたため、雷鳥沢野営場近くの小さい雪渓
でFIX工作・通過訓練とツェルト搬送訓練を行った。FIX通過は時折細かいミスをする者がいるが、概ね問題なくできていた。また、今回ビレイヤーを2,3年生に任せてみたが、四苦八苦しながらもなんとかこなしていた。
この調子で頑張って、時間をかけずにスムーズにできるようになってもらいたい。ツェルト搬送については覚えることが多かったため、下山してからも復習の機会を設けてみようと思う。帰幕後、本日が入山日であった山浦、國谷コーチと合流し、本日が下山日であった賀来ヘッドコーチと引き継ぎをして分かれた。
8月11日(木)雪上訓練日 雷鳥沢BC~真砂岳〜内蔵助カール〜雷鳥沢BC 晴れ19℃
雷鳥沢BC4:50〜真砂岳6:55〜8:00内蔵助カール12:30〜内蔵助山荘13:05〜真砂岳13:20
〜雷鳥沢BC14:20
いつも通り大走りから内蔵助カールへ向かい、雪上訓練を開始する。最初は直登・直下降を行った。体力不足で立ち止まって休む者が時折見受けられたが、最初に比べて歩行には少しずつ慣れてきている様子であった。田畑は転倒した際にピッケルと雪面の間に指を挟んでしまい、指を痛めてしまったようだ。許、田畑はまだ慣れない様子であったため、その後は安全のため緩い斜面で練習を行う。
その後はダイヤモンド歩行、ジッヘル(滑落停止)も行った。ジッヘルの際、許がピッケルから手を離してしまい、長距離の滑落をしてしまった。幸い大きな怪我などはなかったが、以後傾斜の緩いところで練習することにした。皆なかなかコツを掴めず苦戦していたが、回数をこなすごとに徐々に止められるようになっていた。帰りは天気が良く風が弱かったため、真砂岳に寄って集合写真を撮ってから下山した。
8月12日(金) 雪上訓練日 雷鳥沢BC〜真砂岳〜内蔵助カール〜雷鳥沢BC 18℃
雷鳥沢BC4:57〜7:16内蔵助山荘〜8:00内蔵助カール12:20〜内蔵助山荘12:45〜雷鳥沢
BC14:36
最後の雪上訓練日であった。直登・直下降1時間、FIX工作・通過1時間半、ジッヘル1時間半という構成で訓練を行った。歩行訓練の際、まだまだ転がっている部員は多いが、初日に比べると上手くなっていて良かった。FIXでは何度も繰り返し通過の練習をしたことで、最初よりも通過速度をあげることができた。昨日の滑落で少し腕を痛めたという許には念の為ジッヘルをさせず、國谷コーチに付いていただいて傾斜の緩いところで歩行訓練を行ってもらった。
その後、時間通りに訓練を切り上げて帰幕した。リーダー会では、明日以降の天気がしばらく悪いという予報であったため、龍王岳東尾根の登攀は諦めて明日下山するということを決めた。
8月13日(土)下山日 雷鳥沢BC〜室堂(解散) 晴れ 24℃
雷鳥沢BC6:30〜室堂(解散)7:23
撤収は時間通りに済ませることができた。雷鳥沢出発後は下山できることが嬉しかったのか、かなりのハイペースで歩いていた。ペースについて行くためにバテ気味になっていた部員がいたため、室堂が近くて良かった。みくりが池温泉は残念ながらメンテナンス中であったため、室堂で解散後は各自で富山駅周辺の温泉に浸かって帰京した。
ふりかえって
今回、3年ぶりに部員ほぼ全員での合宿を行うことができて良かった。コロナ禍の活動休止期間により1~3年生が実質1年生という中で、大怪我や体調不良者等を出すことなく合宿を終えられただけでも万々歳である。また、新型コロナ対策として初めての1人用テントでの長期入山となったが、下級生達のテント内での細かい点の行動や健康状態がすぐに分からないことや、火を使って濡れた装備の乾かし物をする際に近くで付いて見ることができ難いなどの課題点が多く、改善点を探っていきたい。感染対策を完璧にして、早く以前の形態(6人用テントや8人用テント)での山行や合宿を行いたいと強く感じた。
下級生の皆には今回の合宿で出た沢山の失敗や反省を今後の山行・合宿に活かし、より一層各種トレーニング等を頑張ってもらいたい。
コーチの皆様にはお忙しい中、全期間合宿に参加して頂き、数多くのアドバイスを頂きました。また、計画・準備の段階からもたくさん助けていただきました。本当にありがとうございました。
(報告者:米山未羽)