↑河原奥エリア 垂直の氷柱:5日のアイスクライミング実習より
山行報告書
日本大学山岳部
目的 | 雪山安全&アイス講習会への参加 雪山安全登山の知識向上・アイスクライミング技術の習得 (講習会に参加して知識・技術を高める) |
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主催 | 公益社団法人 日本山岳会 学生部 |
山域 | 南八ヶ岳(美濃戸口) |
日程 | 平成28年2月2日(火)~平成28年2月5日(金) 移動日1日、実働日3日 |
メンバー | 加藤純(3年)、 その他他大講習生9名 講師 松原尚之氏 (日本山岳ガイド協会認定 登攀ガイド) |
行動報告
2月2日(火)移動日
新宿19:50〜(高速バス移動)〜22:53茅野駅(ステーションビバーク)
専修大、法政大からの参加者と茅野駅で合流して、翌日の朝にタクシーに分乗して美濃戸口に向かうことを決めた。駅舎の中でもかなり冷え込んだ。
3日(水)雪山安全講習 快晴 –5℃
茅野駅08:00〜(タクシー移動)〜08:45八ヶ岳山荘BC10:30〜(雪山安全講習)〜16:00
今回の講習会参加者は、学習院大学、専修大学、東海大学、日本大学、法政大学、立正大学から成り、合計10人である。初日の講習内容には、昨年八ヶ岳で発生した事故事例からの学びを踏まえて、雪山を安全に過ごすための知識・技術を再確認する意向から、例年では無い基本技術を踏まえた実戦訓練の時間が設けられている。
午前中は、行き先選びと気象・雪崩に関する講義を受講した。特筆すべきは、計画段階における下降ルートの選択・精査が重要だとする論についてだ。講師の松原ガイドは監督を務めた法政大学山岳部で、登攀ルートは話し合っても下山ルートに関する議論は少なかったと話していた。計画を安全かつ完遂につなげるには、総合的にルートを検証することが必要である。また興味深いのは、基礎的な登攀力・懸垂下降技術・支点構築を必要とする阿弥陀北陵などのバリエーションルートにおける登下降から、総合的な力をつけられるだろうという見解だった。是非実践してみたい。
午後は、ビバークに関する講義と実習から始まった。ストックやロープを使用したツェルトの設営方法を学んだ後、2人組に分かれて実際に設営してみるが想像通りにいかず反復練習が必要だと感じた。
その後は、翌日のホワイトアウト・ナビゲーション実習に備えて、実施ルートのプロファイリングと必要な地形読図の作業を学んで準備を進める。ルートは参加者人数を考慮して当初の予定だった峰の松目からではなく、中山展望台から伸びる支尾根を美濃戸山荘に向けて下降するものに変更になった。背の高い木が多く風を避けられ至極簡単なルートなので、1、2年生部員のルーファイ訓練にも調度良い。ルート上から特徴的な箇所を導き出し、チェックポイントとして地形図に落とし込んでいった。
4日(木)ホワイトアウト・ナビゲーション実習 快晴 –12℃
八ヶ岳山荘BC6:00〜6:45美濃戸山荘〜赤岳鉱泉8:05〜8:40中山乗越〜08:45中山展望台〜11:00美濃戸中山〜14:05美濃戸山荘〜14:45八ヶ岳山荘BC
この日に限っては、学習院大学山岳部OBで国際山岳ガイドの棚橋靖氏に指導へ加わって頂くことになった。人数が多いので、中山展望台からは2班に分かれての行動となる。積雪は多いところでふくらはぎ程度であり、全体としての積雪は少ないが尾根上の末端まで積もっていた。前日に割り出したログと距離、そして高度を地形に照らし合わせながら下降を続けると、自分たちが地図上のどの箇所を進んでいるのかが手に取るように分かる。距離を正確に割り出したいポイントでは、適時ロープを伸ばしながら進んだ。EからF地点の移動では歩き易いルートを歩いたことにより沢状の地形に寄り過ぎてしまったため、議論をしながら進行方向を修正した。その後は問題なく下部まで到達する。
5日(金)アイスクライミング実習 晴れ —6℃
八ヶ岳山荘BC 7:00〜(アイスクライミング講習)〜14:30BC解散〜(タクシー移動)〜16:30茅野駅
実習場所は昨年の講習会と同様で、美濃戸口から10分もかからない河原奥エリアで行った。アイスクライミングをする際のアックスの使い方、スタンスの取り方などを教えて頂きトップロープで登り始める。
また、アイススクリューの使い方、Ⅴ字スレッドの作り方も基礎から教えて頂く。2人以上で参加する場合は、アイススクリューを数本、アックスを人数分持っていけば、時間を有効的に使って練習できるだろう。参加した学生の中には経験者が半分ほどいたのでペアを組み替えて積極的にトライを繰り返した。
最終的にトップロープで確保された状態ではあるが、リードの練習を松原ガイドに指導して頂くことができ、初めての経験としては大変充実した内容を得られた。早めの解散後は、松原ガイド、並びにご厚意により良くして頂いた八ヶ岳山荘の藤森社長を始め山荘従業員の皆様にご挨拶を済ませてから帰途に着いた。