8月5日 剱岳頂上にて
2015年度 夏合宿報告書
日本大学山岳部
目的 | リーダーシップ、メンバーシップの向上 雪上技術、生活技術の向上、体力強化 |
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山域 | 北アルプス 剱岳・立山連峰(剱沢定着)~槍ヶ岳縦走(剱沢~槍ヶ岳) |
日程 | 平成27年8月3日(月)~8月16日(日) 移動1日、実働13日 |
メンバー | 4年 CL賀来素直 3年 桧山泰平 2年 岡本碩士 1年 荒井暢之、國谷良介、鈴木隆世、高橋佑太、土井祐介、中泉雄人 OB 大谷直弘(監督 4日入山) 計10名 |
行動
8月3日(月)移動日 新宿(高速バス)~富山駅
新宿(高速バス)23:00~松本駅05:30
遠征隊に見送られ部室を出発する。荷物過多による乗車拒否を防ぐため2つのバス会社に分かれて乗り込む。道路が混みあい若干、バスの出発が遅れる。
8月4日(火)入山日 富山駅~室堂~雷鳥沢~剣御前小舎~剣沢BC1 晴
05:40富山駅~室堂10:40~雷鳥沢11:30~剣御前小舎14:45~15:40剣沢BC1
先に富山駅に着いた6人で後に着く3人を待つ。15分程で後発も到着する。 雷鳥沢からの登りは日差しが強く、水分補給を頻繁に行いながらゆっくりと進む。途中、土井がめまいを訴える。土井の装備を振り分け対応する。剣沢BC1へ向かうが、途中で髙橋が鼻血を出してしまう。安静にさせるとすぐに止まった。剣沢はテントだらけとなっている。それでも空いたスペースに設営し、行動を終了する。明日は好天のようなので、初めに剱岳へ登頂をすることを決め、就寝とする。
8月5日(水)剱岳アタック BC1~一服剱~前剱~剱岳~BC1 晴+10℃
剱沢BC1 04:30~一服剱05:40~前剱07:10~剱岳09:40~剣沢BC1 13:45
計画より30分遅らせ、日の出前の良く晴れた天場を出発する。若干、気温が高く感じる。問題なく剣山荘を通過し、一服剱手前でメットを装着する。前剱への登りでハーネスも装着する。前剱付近で今度は鈴木が鼻血を出したためしばらく休む。ただ出ただけで、体調には変化ないようである。前剱過ぎの鎖場から本格的な危険箇所である。やはり各鎖場でのセルフビレイをつけながらの行動は時間がかかるが、上級生による指導のもと、安全に通過する。大谷監督にも見て頂き、大変助かった。山頂に着くとガスってしまい少々残念である。帰りも同様に時間をかけながら通過する。前剱からの下りで荒井がビリヤードの球程の石を落とし、前にいた桧山の指に当たる。出血したので消毒する。髙橋も下りで左ひざをぶつけたという。BCに帰幕後は、剱岳を眺めながらゆっくり過ごす。
8月6日(木)雪訓1日目 BC1~別山~真砂岳~内蔵助カール~BC1 晴+10℃
剣沢BC1 05:00~別山06:00~真砂岳07:00~08:00内蔵助カール13:40~15:10剣沢BC1
別山に到着し、晴れているうちに大谷監督に視界に入る山の概念を教えて頂く。内蔵助山荘に挨拶をしてから雪訓に入る。まずは直登・直下降、八の字歩行を行う。雪は程よくしまっており、雪訓にちょうど良い。鈴木も初めての雪訓ながらよく頑張っている。滑落停止訓練を行うが、初夏と比べてよく止まるようになっていた。そのままグリセードも行う。中泉と、スキーが好きだという國谷が特にうまい。ビレイ訓練でも中泉、國谷が要領よくこなせていたようだ。一方でかけ替えを忘れていたり、理解の甘い1年生もいた。雪訓を終え、帰りは真砂、別山は巻き道にて帰幕した。
8月7日(金)雪訓2日目 BC1~別山~真砂岳~内蔵助カール~BC1 晴+6℃
剣沢BC1 05:00~07:00内蔵助カール14:00~15:20剣沢BC1
真砂、別山巻き道を使い、早めに雪訓場に到着する。歩行、滑落停止をおさらいし、ビレイ訓練をやり直す。さすがに大きな間違いは少なくなってくるが、足場の具合、ロープの手繰り方など、細かく修正していく。さらにFIX工作訓練に移る。2班に分かれ、岡本、桧山がそれぞれ並行して工作してもらう。1年生にはインクノットの付け外し、ビレイも行ってもらった。13:30、大谷監督が室堂へ下山する。
8月8日(土)BC移動日 BC1~剣御前小舎~雷鳥沢BC2 晴+12℃
剣沢BC1 05:00~剣御前小舎06:15~08:00雷鳥沢BC2
今日もまた晴れである。重荷ながら剣御前小舎に着き、雷鳥沢を下る。キャンプ場に着くと、かなりのテントが張ってある。テントを設営し、乾かし物と装備発送・入浴をする。
8月9日(日)BC2~室堂~龍王岳~獅子岳~五色ヶ原キャンプ場CS1 晴+11℃
BC2 05:00~室堂06:00~龍王岳07:50~獅子岳10:00~12:10五色ヶ原キャンプ場CS1
快晴、体調良好ということで、早速縦走を開始する。不要装備がないので荷物も随分と軽くなった。浄土山まで気持ちよく登り、稜線もよい景色である。槍が小さく見え、美しい五色ヶ原も良く見える。國谷が足に虫刺されがあり、歩くたび靴と擦れて痛むというので荷物を分ける。アップダウンが激しく、鬼岳過ぎには短いハシゴもあるため、気を抜かず慎重に通過する。五色ヶ原に着くと、午後は昼寝等して過ごす。
8月10日(月)CS1~鳶山~越中沢岳~スゴ乗越小屋CS2 晴+10℃
五色ヶ原キャンプ場CS105:00 ~05:55鳶山~08:00越中沢岳~11:55スゴ乗越小屋CS2
越中沢岳までは比較的緩やかである。ペース配分に気を付けて確実に進んでゆく。越中沢岳からの下りは急で長い。もし悪天であったなら少し厄介な道である。スゴ乗越からは樹林帯の急な登りである。少し不安定な箇所があり、ロープが垂らしてある。スゴ乗越小屋のキャンプ場は狭いが、空いていたので広い箇所にテント設営をした。お盆休みということで次々と登山者が天幕し、びっしりとテントで埋め尽くしてしまった。夜は蚊が多く出た。
8月11日(火)CS2~間山~北薬師岳~薬師岳~薬師峠キャンプ場CS3晴+10℃
CS2 05:00~06:10間山~07:50北薬師岳~09:00薬師岳~11:00薬師峠キャンプ場CS3
小さな羽虫にたかられながらスゴ乗越小屋を出発する。すぐに森林限界を越え、爽やかな稜線歩きである。北薬師岳からの稜線は狭く、薬師岳までそれなりに長いので集中を切らさないよう、慎重に歩く。薬師岳からは長くてなだらかな下りである。薬師峠手前の樹林帯だけは若干険しいので油断禁物である。薬師峠キャンプ場の水場、トイレともに非常に使いやすい。
8月12日(水)CS3~太郎山~北ノ俣岳~黒部五郎岳~黒部五郎キャンプ場CS4 曇+11℃
CS3 05:00~太郎山05:15~北ノ俣岳07:00~黒部五郎岳10:00~黒部五郎キャンプ場CS4
北ノ俣岳までは景色のよいなだらかな登りである。珍しく朝から曇り気味である。合宿開始からずっと好天続きであるが、いよいよ明日は天気が崩れそうである。黒部五郎岳への急登はトップの岡本がペースを速める。肩まで着くと、ザックをデポして山頂へ向かう。曇りではあるものの、景色も良く素晴らしい山であると感じる。黒部五郎キャンプ場へ到着すると、遡行を終えたであろう装備のパーティーが多かった。
8月13日(木)黒部五郎キャンプ場CS4 停滞 雨
ここまでノンストップで来ており、朝から雨ということで停滞とする。することが無いのでひたすらラジオを聴く。鈴木はさすがに疲労が溜まっているのか、眠り続けていた。
8月14日(金)CS4~三俣蓮華岳~双六小屋CS5 雨+15℃
CS4 05:00~三俣蓮華岳07:00~09:00双六小屋
雨の中撤収し出発する。ペースを守って慎重に歩く。三俣蓮華岳で写真を撮り、双六小屋へは巻き道を使う。双六小屋に設営するが、天場はすぐに他の登山者でいっぱいとなる。午後から雨が止み、濡れた装備を風に当てる。岡本から、V8テントの出入り口が破損したと報告を受ける。とりあえず安全ピンでとめておく。テントの状態、部員の状態、今後の天候を考慮し鷲羽岳往復は中止と決定した。周囲の混み具合をみて、槍ヶ岳山荘の天幕スペースが心配になる。
8月15日(土)CS5~樅沢岳~千丈乗越~槍ヶ岳~槍ヶ岳山荘CS6 晴+4℃
CS5 04:00~04:30樅沢岳~07:50千丈乗越~08:45 槍ヶ岳山荘~槍ヶ岳山荘10:30~11:10槍ヶ岳~12:10 槍ヶ岳山荘CS6
天場確保のため、1時間出発を早める。ライトを点けての行動なので慎重に進む。いよいよ槍が大きく見える。最初の鎖場手前でハーネス、メットをつける。千丈乗越まで鎖場が多い。全て時間をかけて丁寧に通過する。槍ヶ岳山荘にはまだテントは少ないので、一番広い箇所に張らせてもらう。槍ヶ岳へは渋滞であるが、鈴木を含め1年生はしっかりと登ってゆく。早々に写真をとり、下山する。
8月16日(日)下山日 CS6~横尾~上高地 晴+5℃
CS6 05:00~09:00横尾山荘~11:30上高地
下山日である。1年の中泉にトップをやらせ、岡本に指導をさせながら歩く。途中のババ平は工事中で、小屋を作っているようだ。横尾から上高地へは談笑しながら歩いた。
総括
海外遠征と並行した合宿となったため、上級生が少なく、登攀を組み込まない計画となった。そんな中で大きな怪我もなく、無事ほぼすべての行程をこなすことが出来たことは大きな収穫である。1年生はもちろん、2,3年生の二人が期待以上に頑張ってくれ、合宿を成功に導いてくれた。また、脱落者がなかったのは間違いなく2人が注意喚起を怠らずに、普通なら無視するような小さな危険でも全て知らせ続けたことが大きいと思う。この姿勢を今後も持ち続けてもらいたい。今合宿は1年生にとって大きな財産となったことだろう。特に登山が初めての鈴木はよく頑張っていた。上級生含め、反省点は対策し、確実な成長につなげていきたい。
(報告者:賀来素直)