2月14日~24日【2月合宿】八ヶ岳 全山縦走

2月22日 赤岳頂上に到着

2015年度 2月合宿報告書

日本大学山岳部

目的 八ヶ岳全山縦走(蓼科山~編笠山)
冬季の縦走経験を積む
山域 八ヶ岳
日程 平成28年2月14日(日)~2月24日(水)
移動1日、実働7日、停滞3日
メンバー 4年 CL賀来素直
3年 SL水越健輔、加藤純
2年 岡本碩士、高根澤亮太
1年 荒井暢之、國谷良介、高橋佑太、中泉雄人
計9名

行動

2月14日(日)移動日 新宿(高速バス)~茅野駅

新宿(高速バス)19:50~22:53茅野駅

宝迫副将に見送られ、新宿を出発。予定通り茅野駅到着後構内で仮眠をさせて頂く。

2月15日(月)入山日 茅野駅(タクシー)女神茶屋~蓼科山~双子池ヒュッテCS① 雪

茅野駅(タクシー)05:00~女神茶屋06:00~蓼科山09:20~14:20双子池ヒュッテCS①

タクシーで女神茶屋まで移動後、体操をして出発。小雪が舞っている。1週間前に登りに来たときより雪がかなり減っており、登山道は地面が見えている。登山道のほとんどがカチカチに凍っており、アイゼンをしっかりと効かせて進んでいく。森林限界を超えると、あっという間に蓼科山山頂に到着。弱い風雪にさらされ身体が一気に冷えてくるので、すぐに大河原峠に向かって下り始める。赤谷の分岐から大河原峠間は広い地形であるためルートファインディングに注意が必要であった。双子池ヒュッテまで所々ツボ足ラッセルをする箇所もあったが、ほとんどワカンの必要は無かった。行動中には、アイゼンやワカンが外れる者と装着が遅いものが目立ち、時間を無駄にしている場面が多かった。天幕地の積雪は約30cm。

2月16日(火)双子池ヒュッテCS①~北横岳~縞枯山~麦草峠付近CS② 曇時々雪 -13℃

双子池ヒュッテCS①05:00~北横岳09:30~縞枯山12:00~13:30麦草峠付近CS②

双子池ヒュッテから亀甲池を経由して北横岳へ向かう。北横岳までバテた者もいたようだが、特に問題なく到着する。先週とはうって変わって我々の他にほとんど登山者はいない。この先の三ツ岳の鎖場では一箇所注意の必要な箇所があった。鎖をしっかりと掴んでいれば問題ないが、鎖が雪に埋まっていれば下級生に対してはしっかりフォローする必要があるだろう。大きな岩がゴロゴロ転がっている三岳を越え、雨池峠への下りに入ると急な下り坂になる。雨池峠以降緩やかな道を進んでいく。途中でバテた岡本、荒井、高橋の荷物を分ける。その後は良いペースで歩いていき、麦草峠付近に天幕。ここの積雪は45cm。

2月17日(水)麦草峠付近CS②~中山~東天狗~夏沢峠CS③ 風雪 -10℃

麦草峠付近CS②05:00~丸山06:10~中山07:30~東天狗09:20~11:10夏沢峠CS③

時間通りキャンプサイト(CS)を出発する。丸山、中山と樹林帯を順調に進んでいく。中山峠過ぎでヘルメット、目出帽、ゴーグルを着ける。東天狗までの道では、ホワイトアウトになり、ルートファインディングに注意しながら進む。風雪にさらされながら根石岳まで到着する。かなり寒い中の行動だったが1、2年生は頑張っていた。箕冠山からは平坦な道になり、直に夏沢峠に到着し天幕を設営する。ここの積雪は約60cm。食事の時間に、加藤、高根澤、荒井の顔面に凍傷が発覚。加温して様子を見る。

2月18日(木)夏沢峠CS③~硫黄岳~赤岳鉱泉~行者小屋BC 晴 -16℃

夏沢峠CS③07:10~硫黄岳08:30~赤岳鉱泉09:40~10:30行者小屋BC

凍傷の3人の症状を見つつ、出発を遅らせる。加温しても痛みなどの異常はなく軽度のものと判断。凍傷の3人の荷物を軽くし、凍傷の患部を目出帽で覆いながら行動させる。硫黄岳の登りを終えると、ド~ンと横岳、赤岳、硫黄岳の展望が待っている。久々の晴れ間と景色に皆嬉しそうだ。あれが何という山なのか確認し合っている姿が良かった。晴れてはいるが、やはり寒いので記念撮影、景色を堪能したのち、すぐに赤岳鉱泉に向かい下り始める。行者小屋に到着後、時間があるので凍傷の部員以外で雪訓に出かける。阿弥陀岳北陵下部付近で、岡本-國谷、高橋-中泉でスタカットの練習を2時間ほど行い、帰幕する。天幕地の積雪は約55cm。

(報告者:水越健輔)

2月19日(金)行者小屋BC~硫黄岳~行者小屋BC 風 -12℃

行者小屋BC05:00~07:45硫黄岳08:30~10:30行者小屋BC

計画通り下山する3年の水越と別れて出発。トップの加藤が地蔵尾根を登り始めたので修正。上空は風が強そうだ。凍傷の再凍結は防ぎたい。赤岩の頭付近からホワイトアウト、更に風も強い。硫黄岳の祠の脇に移動しツエルトを被る。暖かい紅茶を飲みながら様子を見るが、しばらくは収まりそうにないので行者小屋BCに戻る。途中、良い機会なのでホワイトアウト・ナビゲーションを実践する。稜線は昼過ぎまで風が強そうだった。

2月20日(土)行者小屋BC  停滞 風-10℃

風が強そうなので停滞。日が出てくる頃に行者小屋でも強く吹いた。

2月21日(日)行者小屋BC  停滞  風雪-5℃

昨晩雨が降った後、風雪。とても行動できそうにはない。幸いにもガチャ類が凍った以外には雨の被害はなかった。11時頃から一気に快晴となる。停滞を有効に使うべく12時頃からBC周辺で1年生にFIX工作の練習を行う。積雪は約65cmに増えた。

2月22日(月)周遊日 行者小屋BC~硫黄岳~横岳~赤岳~行者小屋BC 晴 -15℃

行者小屋BC04:50~硫黄岳06:40~横岳08:45~赤岳11:30~(文三郎尾根)~12:45行者小屋BC

朝は低い雲があったが、比較的良い天気である。凍傷組も問題ないようである。順調に硫黄岳へ登り、台座の頭に到着。雪はしまっており、キックステップが良く決まる。奥の院手前から2ピッチFIX、横岳の頂上に立つ。風も強くなく気持ちがいい。鉾岳、日ノ岳の通過は不安定だが、雪が少なく鎖がほぼ露出していたため問題なかった。赤岳への急な登りも問題なく、ルートの状態が良かった。頂上で記念撮影。権現岳方面を目視で偵察し、文三郎尾根経由でBCへと戻る。

2月23日(火)行者小屋BC~竜頭峰~キレット小屋CS④ 風後曇 -10℃

行者小屋BC04:10~竜頭峰06:15~10:30キレット小屋CS④

風が弱いうちに標高を下げるために、出発を1時間早める。まずは赤岳まで一気に登るので、結構きつい坂である。権現岳方面へはトレースなし。竜頭峰付近では鎖が埋没していたため、1ピッチFIXして通過し、さらに先の急な下りでも1ピッチFIXする。しばらくは登山道や鎖が露出し、慎重に歩けば問題ないが、稀にある鎖の埋没箇所ではスリングを鎖の代わりとして確保しながらの行動となった。目印は豊富にあるが、キレットまでの中腹あたりから地形が複雑になり、もう少し雪が多ければ注意が必要になりそうだ。下部の下降は夏道の通りルンゼを通過したが、雪の状態によってはいかにも雪崩が発生しそうである。そこを過ぎれば樹林帯となり、ほっとした気持ちでキレット小屋に到着し、天幕を設営する。約70cmの積雪。

2月24日(水)キレット小屋CS④~権現岳~編笠山~観音平口ゲート 晴 -10℃

キレット小屋CS④05:00~権現岳10:00~編笠山13:00~15:45観音平口ゲート

定刻通り出発する。風は少しあるが、行動に問題はなさそうだ。ツルネまではなだらかだが、それを過ぎると段々険しく、地形も複雑になる。鎖も出てくるが、慎重に通過しながら権現岳頂上直下に到着。長いハシゴがあるため、FIXを張る。権現岳頂上は風もなく、快晴である。ギボシも1ピッチFIXを張り通過する。やたらと時間がかかった。また鎖が出てくるが、ほとんど夏道と変わらない。ただし岩がもろいため雪とともに落石には注意が必要である。青年小屋へは安定した道を下り、編笠岳への登りも非常に安定している。最後のピーク、編笠岳で記念撮影し、樹林帯を降りる。なかなか急で、途中にハシゴもあり、道も凍結して歩きにくい。屏風山を過ぎて林道へ降り、談笑しながら観音平口のゲートに到着。

総括

冬合宿に引き続き、比較的天候に恵まれた合宿であった。また、ラッセルは期待した程経験することが出来なかった。今合宿の様に長期的に冬期の山に入り、孤立し、ピークを踏んでいくことで、各部員がこれまでになかった成長を感じることが出来たのではないかと思う。今合宿が遂行できたのも、個人が一定以上の体力・生活技術を持っているからこそである。しかし、問題がないかというとそうではない。コミュニケーションをはじめとして、歩行、ルートファインディング、ロープワーク、状況判断・予測等、力量不足から発生した大小の問題が反省として上がり、放置してはならない課題である。本年度最後の合宿である春山合宿を無事遂行するため、部としての問題を把握し更に成長できるよう、改善すべき点をしっかりと見据えたい。

(報告者:賀来素直)

↑2月15日 蓼科山山頂

↑2月15日 双子山頂上

↑2月16日 北横岳北峰

↑2月16日 三ツ岳山頂付近

↑2月17日 東天狗岳頂上

↑2月18日 硫黄岳

↑2月21日 行者小屋BCより

↑2月22日 周遊日 横岳頂上

↑2月22日 周遊日 赤岳頂上

↑2月23日 キレットへの下降

↑2月23日 キレットへの下降

↑2月23日 キレットへの下降

↑2月23日 キレットへの下降

↑2月23日 キレットへの下降

↑2月24日 権現岳直下ハシゴ

↑2月23日 権現岳頂上

↑2月23日 編笠岳頂上

 

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