5月20日~5月27日 北アルプス 劔岳 国立登山研修所 山岳研修会(1班)

5月24日 他大の研修生の仲間たちと剱岳頂上に登る (前列中央:本学2年中泉)

山行報告書

日本大学山岳部

主催 独立行政法人 日本スポーツ振興センター
後援 スポーツ庁
協力 公益社団法人 日本山岳協会、富山県警察本部山岳警備隊
場所 独立行政法人日本スポーツ復興センター国立登山研修所及び夏山先進基地周辺
山域(北アルプス剣岳周辺)
期間 平成28年5月21日(土)~5月27日(金)
目的 大学において登山活動を行うクラブ等のリーダーとリーダー候補者を対象に、基礎的技術や基本的状況判断を修得するための研修を行い、チームを率いて安全で確実な登山を実践できるリーダーを養成する。

参加メンバー) 中泉 雄人(2年)・・・第1班配属

行動

5月20日(金)移動日

新宿(高速バス)23:15~5:40富山駅

5月21日(土)座学

国立登山研修所7:30到着

中泉は1班に配属された。1班のメンバーは他に京都大学、創価大学、専修大学から編成された。講師はジャンボさんこと横山勝丘氏と富山県警山岳警備隊の町田和彦氏。素晴らしい講師の方に教えて頂けるということで、身が引き締まる。この日は、「ナビゲーション技術」「登山の医学」の講義を受け、班で入山してからの行動について話し合った。

5月22日(日)座学・実習・準備

国立登山研修所にて終日研修(座学・入山準備)

「春山の気象と雪氷」の講義を受けた後、研修所外の人工岩場にてFIX工作、懸垂下降等のロープワーク、声掛けを班員間で確認、技術について講師の方に教えて頂いた。その後、入山準備を行い就寝。入山に向けて準備が整い、楽しみで仕方がなかった。

5月23日(月) 入山日 晴れ

室堂ターミナル9:00~一ノ越10:00~雄山山頂11:00~別山頂上13:00~雪上訓練14:00~剣沢BC15:00

入山日は朝から晴れており、1日中晴れだった。室堂に到着後、剣沢BCに向け出発。晴天の中、山の観察、班員間でコミュニケーションを取りながら進んでいく。剣御前小屋手前の真砂岳稜線から雪上訓練を行いながら剣沢BCまで向かった。全員到着後にテントを設営、班員間でコミュニケーションを取りながら水作り、夕飯の準備の役割を分担した。1日目から班員同士の仲が良く、リラックスして生活できた。

5月24日(火)晴れ

剱沢BC4:00~一服剣5:30~前剱8:30~エビルンゼ取付~剱岳山頂12:00~剣沢BC15:30

今日も晴れており、剱岳がよく見える。今日はFIX工作の練習を目的として、別山尾根を登る予定だ。快調に進んでいき、一服剱付近からFIX工作を行った。支点の構築方法、途中支点をどこでどのようにとるべきかなどを教えて頂きながら張っていく。雪が少なく、岩や木を使った支点構築が多かった。また、季節やその山の地形に合ったライン取り、安全かつ迅速にチームが通過するにはどうすべきか考えながら登るよう指摘を受けた。剱岳山頂からは眺めがよく、達成感があった。平蔵谷出会から剣沢BCまで講師の方、班員と競争をして帰幕した。

5月25日(水)雨

剣沢BC7:00~雪上訓練7:30~剣沢BC14:00

計画では、長次郎谷から剱岳山頂を目指す予定だったが、雨と風が強く、計画を変更した。4人を2班に分け、剣御前東斜面でFIX工作、懸垂下降の雪上訓練を行った。スタカットでトップとビレイの反復練習をし、懸垂下降では実際にスノーボラードを作成して下降した。スタカットを行うことや、スノーボラードを作成するにあたってのコツや考え方を細かく教えていただいた。BC出発から 帰幕まで休憩なしの訓練でお腹がとても空いていた。そのような状況でも集中力を切らさない重要さを学ぶことができ、貴重な経験ができた。

5月26日(木) 下山日 雨のち曇り

剣沢BC5:30~剣御前小屋10:30~室堂ターミナル12:30

今日はツェルト搬送訓練、背負い搬送訓練を行いながら、下山する。BCからツェルト搬送を行うことになり、要救助者のツェルトの包み方や運び方を教えて頂き出発した。出発して間もなくとてもきついと感じる。実際に横山講師をツェルト搬送し、人の重さ、運ぶことの大変さをとても感じた。「要救助者を運ぶためには、理屈ではなく気持ちが何より大切」と講師の方に喝を入れられ、要救助者を助けるために必死で搬送した。その際に、搬送を可能な限り楽にできるコツを学ぶことができた。

また、仲間の命は仲間同士で守らなければいけないことを再確認した。ツェルトが裂け始めていたが、剣御前小屋までなんとか搬送することができた。しかし、要救助役に成って頂いた横山講師には寒い思いをさせてしまい、搬送能力の甘さを痛感した。雷鳥沢まで下った後、雷鳥沢ヒュッテまでの登りを、町田講師を背負い搬送した。登りで要救助者を、雪面や地面に着けないように交代しながら運ぶのは想像を越える辛さがあった。4人で搬送訓練をしながら登り切った後は、最後まで搬送できた達成感があった。

しかし、室堂集合時間が迫っていたので、室堂ターミナルまでダッシュをした。肉体的・精神的に辛いことが多くあったが、最後はやり遂げることが出来て良かったという充実感でいっぱいであった。

5月27日(金)研修最終日

国立登山研修所にて座学研修~16:00解散

「登山の運動生理」と「効果的な体力トレーニング」の講義を受けた後、班で山行を振り返り、お互いに直したほうが良い点等を話し合った。また、部内の悩みなどを話し合い、解決策を考えた。その後、全体で「部内で徹底したいこと」というテーマで発表を行った。終わったという達成感とともに、もう終わってしまうと思うと感慨深いものがあった。研修所を後にし、本学山岳部の3人と研修であった出来事の情報交換とお疲れ様会を行って帰京した。

研修会を終えて

この研修会では、リーダーとしてチームを率いていくための技術を学ぶとともに、山に対する心構え、気持ちの持ち方、ロープワークなど技術面を含め多くのことを学ぶことができた。また、世界の山で活躍する講師の横山勝丘氏、同じく講師で富山県警山岳警備隊の町田和彦氏と一緒に、生活と行動をともにし、一流の講師の方の意識の高さや志を肌で感じることができた。これほど貴重な経験は中々できないと思う。これから楽しいことだけでなく、辛いことや苦しいことが多々あると思われるが、今回の研修で学んだことを糧にして前に進み続け、必ず強い人間、クライマーになる。

(報告者:中泉雄人)

↑例年より雪の少ない剱岳

↑5月24日エビルンゼのFIX工作

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