阿弥陀岳山頂
山行報告書
日本大学山岳部
目的 | 登攀技術の向上、生活技術の確立 |
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山域 | 八ヶ岳 (赤岳主稜・阿弥陀岳北陵) |
日程 | 平成29年3月5日(日)~平成29年3月8日(水) |
メンバー | 3年L.高根澤亮太 東海大学3年 西田由宇 東海大学2年 宮地 聡 東京医科歯科大学3年 江口岳志 |
3月5日(日)移動日
バスタ新宿20:15~23:30茅野駅
問題なく新宿を出発する。茅野駅は2月に来たときよりも暖かかった。明日の出発が早いため早めに就寝する。
3月6日(月)入山 阿弥陀岳北稜 曇り-3℃
茅野駅5:00~5:30美濃戸口〜9:30行者小屋10:15〜11:00阿弥陀岳北稜取り付き〜12:00①ピッチ目〜12:30②ピッチ目終了〜12:40山頂〜14:30BC
タクシーで茅野駅を出発する。今日の天気はもつらしいが、明日から悪くなる予報であったため、本日中に阿弥陀岳北陵へのアタックを決定する。行者小屋に到着し設営を済ませ阿弥陀岳へ向かう。この時点での天気は曇り。雲自体は薄かったため時より日が差していた。しばらく樹林帯を歩き、一時間ほどでジャンクションピークに到着する。トレースがしっかり付いていた。その後10分ほどで第一岩峰の取り付きに到着する。
・1ピッチ目 高根澤リード
ペツルのボルトが多数打ってある。終了点を見逃してしまったため10メートルほど後退する。30メートル程でピッチを切った。
・2ピッチ目 高根澤リード
第二岩峰を越えるとすぐにナイフリッジ。ナイフリッジ手前の岩にハーケンが打ってあった。雪に埋もれていたため見逃してしまいそうになった。ナイフリッジ終了後10メートルほどの斜面を登りピッチを切る。この時点で雪が降り始めており、霧もかかり始めた。そのため頂上に行った後は同ルートを下降することにする。2ピッチ目のザイルを残地し、山頂へ向かう。山頂までは50メートル程だった。山頂で記念撮影を済ませ、すぐに下山を開始する。第二岩峰をFIX通過し、第一岩峰はまき道を使って下降した。1時間ほどで帰幕できた。
3月7日(火) 停滞 曇り–4℃
朝から悪天が予想されるため停滞とする。午前中は晴れ間も見えたが午後からは霧が濃くなり風も強まってきた。午前中にFIX訓練を行い、お互いの相互点を改善することができた。明日は午後から天候が回復してくる予報だ。全員で赤岳主稜をアタックすることに決定する。この日のミーティングで、主稜アタックの際は悪天が予想されたため、スピードを重視した方がいいのではないかという意見が出る。出発前にジムで訓練は行っていたが、4人がつながったスタカットはかなり時間がかかっていた。3本のロープを使うためこれらが絡まってしまうことが何度もあった。これに対して2人1組では半分ほどの時間で通過する事が出来ていた。よって江口-高根澤、宮地-西田のペアで登ることにした。
3月8日(水)下山 赤岳主稜 曇り-3℃ 高根澤-江口、西田-宮地
行者小屋BC06:00~07:15赤岳主稜取り付き~12:00赤岳山頂~12:40行者小屋BC~15:20美濃戸口
朝6時、テントから出ると山は濃い霧におおわれていた。停滞も考えたが、午後から天候が回復してくことを期待し出発する。1時間ほどで取り付き前のトラバース地点に到着した。トラバースは雪がしまっており歩きやすかったが、60メートルロープをいっぱいに伸ばしても取り付きのチョックストーンまでは届かない。手前にバーで支点をつくってピッチを切る。
・1ピッチ目
高根澤、西田がリード。ここが核心である。2メートルほどの岩にかなり梃ずった。雪が多くついているためホールドが分かりづらく、ひたすら岩をプッシュして体を持ち上げた。1ピッチ張るのに30分ほどかかってしまった。右に大きく回り込んだところにペツルのボルトが2つ打たれており、20メートルほどでピッチを切る。
・2ピッチ目
江口、西田がリード。3メートルほどの垂直の壁を登る。左側にガバがたくさんあった。ここを越えると稜線上に出る。こちらも20メートル程でピッチを切る。
・3ピッチ目
高根澤、宮地がリード。比較的広い雪稜歩き。雪がしまっているので歩きやすい。45メートル程進んだところで、ピナクルに残地ロープがかかっていた。ここでピッチを切る。
・4ピッチ目
江口、西田がリード。再び広い雪稜歩き。特に難しいところはなかったが、強風や視界不良の際は注意が必要だと感じた。45メート程でピッチを切る。ここからフリーで50メートルほど歩き、上部の岩場に取り付く。
・5ピッチ目
高根澤、西田がリード。上部岩場の核心。ここもホールドが少なかったため、岩をプッシュして体を持ち上げる。20メートル程でピッチを切る。
・6ピッチ目
高根澤、西田がリード。文三郎尾根側に切れ落ちた岩場のトラバース。30メートル程でピッチを切る。
・7ピッチ目
江口、宮地がリード。チムニー状になった5メートル程の岩場。ホールドはしっかりしており登りやすい。
・8ピッチ目
高根澤、西田がリード。ここが最終ピッチ。45メートルほど進み、残置ハーケンでピッチを切る。20メートルほど歩くと一般道に合流する。
一般道に出てからは10分ほどで山頂に到着できた。展望荘で休憩をはさみ、山頂で記念撮影をしてすぐに下山を開始する。文三郎尾根の下降では全員の気が抜けないよう声を掛け合いながら下降した。行者小屋BCに到着後、撤収をすませ美濃戸口まで下山し行動を終了した。
(報告者:高根澤亮太)