12月26日~12月31日【冬山合宿】北アルプス 槍ヶ岳 中崎尾根

平成29年12月30日 槍ケ岳頂上にて(撮影者:高根澤主将)

2017年度 冬山合宿山行報告書

日本大学山岳部

目的 槍ヶ岳登頂リーダーシップ・メンバーシップの向上
山域 北アルプス 槍ヶ岳 中崎尾根
日程 平成29年12月26日(火)~平成29年12月31日(日)
移動1日、実働5日
メンバー 4年 CL高根澤亮太
3年 國谷良介、髙橋佑太
2年 川村洸斗、近藤歩、新保裕也、田邊カレン、福島端流
1年 氏神拓真、野上博史、前田雄飛、三丸隼、村上洋道
計13名

行動報告

12月26日(火)吹雪 -8℃

バスタ新宿16:25,16:55~22:00松本全員到着〜23:20新穂高温泉

いよいよ冬山合宿が始まる。年始の天気は荒れそうだ。 登頂のチャンスは一度しかないと思った。重いザックを背負い、OBの元監督である高緑さんに見送られ新宿駅に向かう。バスタ新宿にはちらほら登山者もいた。年末を山で過ごしたがる登山者も多いようだ。全員問題なくバスに乗り込み、定時に松本に到着。その後タクシーに乗り込み、新穂高温泉に向かった。新穂高温泉に近づくにつれて、強い吹雪になる。新穂高温泉に到着後、駐車場にテントを張りすぐに就寝する。

12月27日(水)吹雪 -11℃

新穂高温泉05:10〜05:35中崎尾根末端取り付き〜13:00中崎山〜14:40CS1(標高1670m付近)

朝から風が強い。中崎山の取り付きは分かりにくく、少し迷ってしまったが、すぐに標識を発見できた。トレースはないが、樹林帯のせいか思っていたほど積雪はなく、快適に進む。GPSと農大隊が着けていってくれたテープを頼りに中崎山の山頂を目指す。夏道から若干それたルートを登っていると、ルンゼ状の急な登りが出てきた。高根澤がフリーで登り、ショートロープを垂らす。ここで1年生の野上が8メートルほど滑落するも大事には至らなかった。標高を上げるに連れて雪が深くなる。中崎山の手前のピーク付近で、慶応大学山岳部3名と合流し、交代でラッセルを行う。ルートファインデングを慎重に行いながら、P1816手前の広尾根に到着し、本日の行動を終えた。慶応隊はさらに上に登っていった。夕食の豚丼は絶品で、皆満足そうであった。天幕場の積雪は約150cm。

12月28日(木)雪 -9℃

CS1 04:50〜07:00 ピーク1816m〜14:20 CS2(標高1910m付近)

出発を予定より30分早めたが、ザックが凍ってしまい1年生がパッキングにてこずり、15分ほど出発が遅れる。慶応隊が残してくれたトレースを頼りに進む。P1816付近に慶応隊がテントを張っていた。これより先はひたすら腰ラッセル。途中から慶応隊も合流し、ペースを上げる。P1816過ぎに農大隊がテントを張っていた。テントより先はトレースがしっかり付いていた。P1924の手前で荷揚げから帰ってきた農大隊とすれ違った。すでに奥丸山手前にロープを張ってきたらしい。明日はそれを使ってくれと快く言ってくれた。非常にありがたい。この日は標高1910mメートル付近にテントを張った。設営中にV6テントのテントポールが折れてしまったが、すぐに修復できた。この日の夕食はシチュー。これまた絶品であった。天幕場の積雪は約230cm。

12月29日(金)晴れのち吹雪 -9℃

CS2 04:40〜08:10奥丸山〜08:55 AC(標高2300m附近)〜11:10千丈乗越手前の岩場〜(ルート工作)〜15:20AC

朝方は疑似好天の影響で天気がよい予報であったため、好天の内にAC(アタックキャンプ)を設営することを目標に行動を開始した。奥丸山手前の急登に農大隊の残置ロープが張られていた。このロープを有り難く使用させて頂く。お陰で素早く危険箇所を通過することができ、予想以上に早い時間にAC予定地に到着することができた。すぐさま高根澤、高橋、福島、川村でルート工作に向かう。天候が徐々に悪くなってくる。P2388を超えた頃から風がかなり強くなった。

千丈乗越手前の岩場は雪が少なく、岩が大分出ていた。高根澤が1ピッチ目をハーケンが打ってある岩まで約40メートルロープを伸ばす。続いて高橋がナイフリッジの途中までザイルを伸ばした。ここでルート工作を終了し、ACに引き返す。ACに到着すると、1年生が暖かいココアを振る舞ってくれた。この日の夕食はカレー。肉がごろごろ入っており、皆旨い!と声をあげていた。天幕場の積雪は約180cm。

12月30日(土)晴れ -14℃

AC04:00〜06:20千丈乗越手前の岩場〜07:50千丈乗越〜09:00槍ヶ岳山荘〜10:20槍ヶ岳山頂〜12:15槍ヶ岳山荘〜13:20千丈乗越〜14:40懸垂下降終了〜15:40AC

いよいよアタック日である。風は強いが雲はない。出発を早めて4時にACを出る。昨日ルート工作で残したトレースは消えていた。高橋、福島、川村が交代でラッセルを行い、快調に進む。日の出前に岩場に取り付く。ワカンを残置し、アイゼンに履き替える。2年生が1年生をサポートしながら通過する。ナイフリッジの終了点まで高根澤がザイルを1ピッチ伸ばす。全員が素早く通過できた。千丈乗越過ぎの稜線は非常に風が強く、クラストした緩やかな登りであった。肩の小屋手前のトラバースは新雪で雪が柔らかく、キックステップをしっかり決めながら登る。

9時過ぎに肩の小屋に到着した。到着後すぐに高根澤と國谷で大槍にザイルを張りに向かう。途中2ヶ所、鎖のない梯子にスリングを垂らした。大槍には雪がほとんど付いておらず、鎖もすべて出ていた。2年生以上が1年生に声をかけながら、慎重に大槍を登る。10時20分、全員が槍ヶ岳への登頂に成功した。皆の顔から笑みがこぼれる。山頂は落下防止のため、はしごから伸ばしたスリングに全員がセルフビレイを掛けた。記念写真を撮影後、すぐに下山を開始した。下山は 穂先からもう1ピッチザイルを伸ばし、計2ピッチと鎖を頼りに下した。農大隊は私たちよりも先に登頂し下山していた。他に地山者はいなかったため、スムーズに下山することができた。

12月31日(日)曇り -8℃

AC06:30〜07:40支尾根分岐〜08:30槍平小屋〜09:50滝谷避難小屋〜11:30穂高平小屋〜13:15新穂高温泉

朝、氏神の熱がまだ下がらず辛そうなため、ゆっくりと朝食をとらせる。撤収を済ませ、しっかりトレースがついた中崎尾根を下る。支尾根にもしっかりとトレースがついていたため、ロープを出さずに済んだ。1時間ほどで槍平小屋に到着した。その後問題なく穂高平まで下る。穂高平で九州大学に会った。西穂高岳の西尾根を登攀している際に1年生が低体温症で動けなくなっていた。すでに穂高平付近まで下山してきており、救助隊の到着を待っているとのことだ。高根澤が要救の搬送を手伝った。

その間、他の部員は先に新穂高温泉へ下山させた。要救を穂高平小屋まで運んだあと、高根澤のダウンとシュラフを着させてテルモスを飲ませる。しばらくすると岐阜県警の救助隊が到着した。ここで高根澤も本隊と15分ほど遅れて新穂高温泉へ下山を開始した。新穂高温泉に到着すると、氏神が疲れはてた表情であった。よくここまで頑張ってくれた。高根澤と野上が付き添い、先にバスに乗り込む。他の部員は温泉に入ってから帰京した。

千丈乗越の通過は残置したロープを1ピッチと、懸垂下降を60メールで下降できた。懸垂下降にかなり時間がかかってしまったことが反省だ。ACまでの下山中は多くの登山者にあったが、すべて社会人パーティーであった。AC到着し、やっと一息つけた。本日の夕食は鯖丼と、予備のカップ飯を食いつくした。夕食後、1年生の氏神が体調不良を訴える。熱を測ると39度以上もある。下山中に体を冷やしてしまったことが原因のようだ。明日は氏神を空荷で下山させることにする。

総括

私が主将になった春、冬の目標は部員全員参加での、厳冬季槍ヶ岳への全員登頂であった。しかし、部員の育成が間に合わず、結果参加できないメンバーが出てしまった。これは、自分の未熟さが招いた結果である。非常に申し訳ないと思っている。しかし、今回、槍ヶ岳の山頂にたてたメンバーはとても良い経験が出来たと思う。肩にのしかかる重い荷物を担ぎ、深い雪のラッセルを行い、強風と寒さに耐えた。決して楽な山行ではなかった。だからこそ、この山行は私に素晴らしい達成感を与えてくれた。後輩たちにとって、今回の合宿はまだ通過点である。山岳部に所属していられる時間には限りがある。この短い時間を、如何に充実したものにできるか、今後の合宿に期待したい。

(報告者:高根澤亮太)

中崎尾根に取り付く

中崎尾根~積雪は腰程度、上級生が交代でラッセルして行く

西鎌尾根に入る

肩を目指して登る

立山方面を望む 右奥は薬師

肩から穂先を望む

穂先へと取り付く

槍ヶ岳直下の梯子を登る

槍の頂上から北鎌尾根望む、写真中央右よりのピークが独標

南部方面 穂高と右奥は乗鞍

登頂後肩から西鎌尾根を下る

西鎌尾根から中崎尾根へ入る

槍登頂後、中崎尾根を経てACへ下る

登頂を終えて次の日に新穂高温泉へ下山する


槍ヶ岳頂上で撮影

番外編①~ 冬山合宿 : 2年生 田邊カレン の場合

2年生 田邊カレン部員(法学部 新聞学科)槍ケ岳頂上にて

昨年の冬山合宿は女子部員のみでOBに同行してもらい蝶ヶ岳へ登った。同時期、他の男子部員は、剱岳早月尾根へと向かった。早月へは秋の偵察から参加していたので、冬山合宿本番でも参加したかった。止むを得ない状況ではあったが、それはそれで正直悔しかった。また、今年の5月合宿は、今回の冬山合宿とほぼ同ルートの計画であった。冬山合宿を想定して実質偵察合宿であった。自身、直前の体調不良で合宿に参加することが出来なかった。忸怩たる思いのみが残った。

今年度の冬山合宿の目標は年度はじめから西鎌尾根~槍ヶ岳に挙げられていた。今夏、夏山合宿の後半縦走で西鎌尾根をトレースできたのでルートの状況は頭に入っている。個人的には長期縦走に耐えられる体力と技術を身に付け、今回の冬山合宿に備えてきた。 結果として12月30日に皆と一緒に厳冬の槍の頂上に立つことが出来た。昨年の剱岳の雪辱をひとつ返せたのかな。来年の春山、冬山に繋がるいい経験をすることができた。

自分の中で遠いどこかに海外の山への憧れもある。まだ少しぼんやりしているけど。実現して行くには一つ一つ積雪期の経験値を積み重ねていくことだろうと思う。好きな事だから頑張って行く、頑張って続けられる。今は只々それだけ。

そぅ、ワタシは タナベ・カレン

番外編②~ 冬山合宿 : 1年生 野上博史 の場合

1年生 野上博史部員(文理学部 史学科)~中崎尾根で格闘する

1年前、今の自分を想像できただろうか。昨年の今頃、センター試験を目前に控え、カリカリと鉛筆の音を無機質極まりない予備校の自習室に響かせていた。今は雪と格闘しながら中崎尾根であえいでいる。これまた静まり返った静寂の中で、音もなく雪だけが降り積もっている。目指す目標は全然違う。このギャップは何だろう。目標は厳冬の槍の頂きに立つことだ。更にここには12人の仲間がいる。昨年の今頃とは違いひとりではない。4月に山岳部に入部してから常に行動を共にしてきた仲間たちだ。

本格的なラッセルを初めて経験する。トップを切る先輩の力強いラッセルにひたすらついて行く。キツイのはオレだけかな? そうではなさそうだ。オレの前後で、同期の仲間もラッセルに離されまいと、ひたすらもがいている。雪にあえぐ仲間の息遣いが聞こえてくる。皆、頑張っているんだ。負けてはならない、オレも頑張ろう。

行動が終わり、天幕に入れば雰囲気で体調が分かるくらい仲間との距離が近い。食当もアイコンタクトで次の手順へと進む。半年チョイの付き合いだがもぅ手慣れたものだ。お互い何を考えているのか分かんない…ではなく、ほとんど見透かされるくらいお見通しなんだ、お互いに。そぅ、それだけ距離が近いということ。

厳冬の槍の向こうには何が見えるのかな。それは新しい自分かもしれない……楽しみだ。

そぅ、オレは ノガミ・ヒロフミ

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