10月3日 二子山 クライミング

山行報告書

日本大学山岳部

目的 ナチュラルプロテクションの設置方法を学ぶ
マルチピッチクライミング、ロープワーク技術の向上
山域 二子山 西岳 中央稜と東岳 スーパーたこやん
期間 令和4年10月3日(金)
メンバー OB L.國谷良介コーチ
4年 米山未羽 計2名

行動報告

10月3日(金) 晴れ 23℃

倉尾登山口駐車場6:45~股峠6:50~7:10中央稜取りつき7:30~西岳山頂11:14~股峠12:00~12:15スーパーたこやん取りつき12:30~東岳山頂14:30~股峠15:25~15:30倉尾登山口駐車場

中央稜アプローチ
倉尾登山口駐車場から股峠へは徒歩で5分ほどであった。ここは一般の登山道であるため、看板の通りに進めばよい。股峠からは、ローソク岩への看板の方面に歩いていくと祠エリアが見えてくる。そのまままっすぐに進み、途中で足元に出てくる赤い杭を右に曲がると、やがて赤いドラム缶が見えてくる。そのドラム缶のすぐ隣が取りつきであった。

-中央稜(7p)Ⅴ+

-オールナチュラルプロテクション
1ピッチ目(Ⅳ+)40m リード:國谷コーチ
前半は階段状の登りで、垂壁を登り終えたら右にトラバースをする。このトラバースの部分はフットホールドが見つけづらく、少し難しく感じた。また、石灰岩は滑りやすい。今回の登攀の目的はナチュラルプロテクションの勉強のため、ボルトは使わずにカムで終了点を作成した。

2ピッチ目(Ⅴ-)30m  リード:米山
2ピッチ目はあまり長くなく、顕著なクラックが豊富にあった。途中支点を設置できる場所が豊富であったが、カムの選定に迷い、少し時間がかかってしまった。登り始めは正面が登りやすそうに見えるが、左側のルートが正解。ピッチ終了点はボルトの横にカムで作成した。

3ピッチ目(Ⅴ+)40m リード:國谷コーチ
3ピッチ目は中央稜の核心ピッチである。逆Y字のクラックは手がとても深く持ちやすいため、気持ちよくレイバックで登ることができたが、途中ホールドが遠い箇所があった。ピッチ終了点は立木。とても安定した広いテラスがあり、休憩にはもってこいの場所であった。

4ピッチ目(Ⅳ+)25m  リード:國谷コーチ
階段状の岩場を直登する。その後左にトラバースすると出てくる垂壁を登り終了。ピッチ終了点はカム2つとナッツ1つであった。クイックドローを使用して上手くスリングの長さ調節がされており、勉強になった。

5ピッチ目(Ⅴ-)20m  リード:米山
このピッチはトポによるとボルトの途中支点が少ないとのことであったが、ナチュラルプロテクションは多数設置することが出来た。また、設置にも少し慣れて、最初よりスムーズに登れた。終了点のボルト付近には巨大な浮き石が多数あった。これを誤って踏むと危険なため、落とさないように注意が必要である。終了点はカム1つとナッツ1つ、岩穴を使って作成した。

6ピッチ目(Ⅳ+)30m リード:國谷コーチ
傾斜の緩い壁に弱点をつくように左右に蛇行しながら10m程登るとテラスに出る。そこから正面の少し立った凹角を登ると終了点のテラスに出る。終了点は岩穴にスリングを通して作成。

7ピッチ目(Ⅱ)15m 13:30 リード:米山
11:15終了点到着。終了点直前に少し階段状の岩場が出てくるが、それ以外は易しかった。山頂からは一般登山道を利用して徒歩で下降した。下降路には時折切れ落ちたところがあるため、注意したい。

股峠付近の標識〜ここを右に曲がる。(ローソク岩方面へ)

中央稜取り付きの目印となる赤いドラム缶

中央稜取り付き〜階段状の岩場

2ピッチ目をリードする米山

ピッチ目〜核心部のクラックを超えて登る。

3ピッチ目終了点〜とても広いテラス

5ピッチ目終了点の大きな浮き石

5ピッチ目終了点

11:15 西岳山頂にトップアウトした。

スーパーたこやんアプローチ
股峠から東岳方面に歩いていくと、ショートルートで有名な弓状エリアが見えてくる。そこを左手に見ながら進んでいくと、やがて岩沿いにFIXロープが張られた急斜面のザレ場が出てくる。そのFIXロープの終了点が取り付き。取り付き周辺の地面はあまり安定していないため、ハーネス等は事前に着用してから取り付きに向かうことをおすすめする。

-スーパーたこやん(5p)5.10a

リードは全ピッチ國谷コーチ
1ピッチ目(5.8)26m
ボルト2本が打ってあるフェイスを登り、中間テラスに出る。上部フェイスにもボルトがある。新しいルートであるため、ボルトは綺麗で信頼できそうだと感じた。しかし岩が脆いので、落石を起こさないように手足の置き方にも注意する必要がある。

ボルトだけではランナウトしてしまうため、ナチュラルプロテクションでこまめに途中支点を確保した。2ピッチ目以降も同様であった。

2ピッチ目(5.8)20m
正面の凹状をクラックを使いつつ登る。1つ目のボルトは遠いが、必要ならいくらでもカムを決められるので怖くはない。登りきったところの立木でビレイをとる。

3ピッチ目(歩き)25m
目の前に見える岸壁を目指して歩く。ここは足元がかなり安定していたため、時間短縮としてビレイを解除して進んだ。

4ピッチ目(5.7)32m
このピッチは他のピッチよりもさらに脆い岩が多かったため、一手一手しっかりと強度を確認しながら登った。途中支点としてボルトも使用したが、ピッチ終了点はナチュラルプロテクションで作成した。
途中に錆びた古いピトンがあったが、これは使わなかった。

5ピッチ目(5.10a)25m
岩峰を正面から登る。途中に出てくるテラスからは、少し被り気味のフェイスを越えて登った。トポ上の核心ピッチであり、中央稜よりグレードは上であったが、とくに難しいムーブなどはなく、比較的登りやすく感じた。
下降は一般登山道を利用した。こちらも西岳同様、時折道が切れ落ちた箇所があるために注意が必要である。

15:30に倉尾登山口駐車場帰着
装備をパッキングして車に積み、帰路に着いた。

振り返って
今回、中央稜で初めてナチュラルプロテクションを使用してのリードをすることが出来て、途中支点の間隔や、いかにして強固な終了点を作成するか等様々なことを学ぶことが出来た。
また、スーパーたこやんでは多数の浮き石や古い残置物等、開拓されたてのルートならではの注意事項についても知ることが出来た。
途中支点のカムの適正サイズの選定やピッチ終了点の作成等に関しては、今後練習を重ねてもっとスムーズに行えるようになりたい。

國谷コーチには、車の運転やプロテクション設置におけるアドバイス等、大変お世話になりました。ありがとうございました。 (報告者:米山未羽)

股峠からは有名な弓状エリアを左手に見ながら進む

急斜面のザレ場に赤いFIXロープが張られていた。

スーパーたこやん取り付き〜顕著な斜めクラックが走っているため、分かりやすい。 左下に赤FIXロープの終点が見える。

2ピッチ目をフォローする米山
草木が多く生えており、綺麗であった。

14:30 東岳山頂にトップアウトした。

國谷コーチ〜西岳をバックに。

東岳山頂からは両神山が見えた。

 

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