平成29年6月12日 雪訓1日目 涸沢カールにて。(撮影:大谷直弘)
2017年度 初夏合宿報告書
日本大学山岳部
目的 | 雪上技術・生活技術の習得及び向上 メンバーシップ・リーダーシップの向上 蝶ヶ岳の登頂 |
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山域 | 北アルプス 横尾定着(蝶ヶ岳、涸沢) |
日程 | 平成29年6月9日(金)~平成29年6月15日(木) 移動日1日、実働日6日 |
メンバー | 4年 CL高根澤亮太、SL岡本碩士(13日下山) 3年 國谷良介、髙橋佑太 2年 近藤歩、白土朝香、新保裕也(13日下山)、田邉カレン、福島端流 1年 氏神拓真、金澤仁秀(12日下山)、金澤遼、高橋涼介(12日下山)、 野上博史、原島千尋、前澤優太、前田雄飛、増井耀一、三丸隼、 村上洋道、山田哲平 大谷直弘(OB/監督) 計23名 |
行動報告
6月9日(金)移動日
新宿19:25~24:30松本
バスの中で氏神が前日まで熱があったことを知らされる。現在は回復しているが咳が出るようだ。皆に感染しないようにマスクの着用を徹底させる。
6月10日(土)入山日 曇りのち雨 8℃
松本06:00~07:20上高地~11:00横尾
上高地に到着。1年生にしっかりログをとらせる。いよいよ、初夏合宿が始まる。空は黒い雲に覆われていた。晴れた日に入山したかったが、気を取り直し横尾に向けて出発する。横尾に到着し、設営が終わるとすぐに土砂降りの雨になる。明日以降は天候が回復するらしいので、明日蝶ヶ岳にアタックすることに決める。
6月11日(日)晴れ 3℃
横尾BC05:00~05:40槍見台~09:00蝶ヶ岳山頂~12:15横尾BC
テントから出ると、空には大きな月が輝いていた。雲もなく、絶好の登山日和である。しばらく樹林滞の坂道を歩く。槍見台からは鋭く尖った槍ヶ岳がよく見えた。1年生たちも歓声をあげていた。標高2500メートル付近から雪が残っていた。雪は固く凍っており、全員にキックステップを意識させながら登る。森林限界から山頂までは15分ほどだった。山頂からは穂高連峰から槍ヶ岳まですべてを見渡すことができた。素晴らしい景色である。下山は國谷、福島、高根澤が先行し、凍った斜面にステップを切る。雪は溶け始めており、1年生にはよい直下降の練習になった。監督とは下山中に合流した。全員で天場に着き、少し休憩を挟んでからFIX訓練を行う。2年生が主体となり、明日から行われる厳しい訓練に備え、掛け変えの方法や声のかけ方を復習した。本日の夕食は青椒肉絲と監督が差し入れしてくださったシュウマイである。皆一瞬でたいらげていた。
6月12日(月)雪訓 晴れ 3℃
横尾BC04:30~06:10本谷橋~08:30涸沢ヒュッテ~09:00雪訓開始~12:45雪訓終了~14:20本谷橋~15:30横尾BC
10:30涸沢ヒュッテ~11:15本谷橋~11:50横尾BC~14:20上高地
大谷(OB/監督)、高橋(1年)、金澤仁秀(1年)~1年生2名上高地より帰京
15:00上高地~17:20横尾BC 大谷(OB/監督):差し入れを再度仕込んでBCへ。
いよいよ今合宿のメインである雪訓が始まる。今年は昨年より雪が多く、本谷橋は掛かっているが通行止めであった。上部の雪渓を渡る。涸沢ヒュッテまで皆で声を掛け合いながら必死に登る。1年生達は2年生からキックステップがあまいと度々きつい指導を受けていた。小屋で少し長めの休憩をとり、雪訓場まで移動する。この日は歩行訓練とFIX訓練をメインに行った。1年生と4年生で歩行訓練を行っている間、2年生と3年生はFIX訓練を行った。直登に関しては一年生同士の体力の差がはっきり現れた。全体的にあまり体力がない印象であった。下降は案の定皆てこずり、金澤遼は監督とマンツーマンで指導を受けていた。直登、直下降の訓練を終え、方向転換の訓練へ移行する。1年生は皆すぐにコツをつかんでいた。授業の関係で先に下りる高橋涼介と金澤仁秀にはFIXの掛け変え訓練を先に行わせた。監督が2人に付き添い下山した後、残りの1年生もFIX訓練を行った。声かけ忘れ、掛け変えの順番を間違える一年生が多かった。帰幕後、1年生の氏神がひどく咳き込んでおり、明日はテントキーパーとする。また、前田も疲労のためか頭痛がするようだった。
6月13日(火)雪訓 晴れ 7℃
横尾BC04:30~06:10本谷橋~08:30涸沢ヒュッテ~09:00雪訓開始~12:45雪訓終了~14:20本谷橋~15:30横尾BC
朝、前田から37,5度の熱があると報告を受けたため、氏神と共にテントキーパーとする。監督にも付き添っていただいた。空は雲に覆われていたが、涸沢につく頃には晴れていた。小屋に着く手前で前澤が腹痛を訴えた。かなり酷いようなので、田邊に付き添わせ小屋で待機させる。この日は始めに滑落停止訓練を行った。皆2〜3回でしっかり止まれるようになった。滑落停止訓練に引き続き、歩行訓練を行う。歩行訓練の途中、岡本と新保が授業の関係で下山した。2人と共に前澤も横尾まで下らせる。最後にFIX訓練を行う。4人になった2年生を2組に分け、田邊-白土、近藤-福島でトラバースのFIX工作を行ってもらった。皆手順は理解していたが、一つ一つの動作に迷いがあり遅かった。大きなミスはなかったものの、もっとテキパキ動いてもらいたい。訓練を終え帰幕する。前澤はまだ体調が優れないようだ。夕方、少しの間だが土砂降りの雨が降った。
6月14日(水)雪訓 晴れ 8℃
横尾BC04:30~06:10本谷橋~08:30涸沢ヒュッテ~09:00雪訓開始~12:45雪訓終了~14:20本谷橋~15:30横尾BC
訓練最終日、前澤は腹痛に引き続き頭痛にも見舞われていたため、近藤を付き添わせてテントキーパーとする。この日は雪訓場まで最速タイムで到着した。1年生の歩行技術は確実に上達している。滑落停止、歩行の復習を2時間ほど行い、全員でFIX訓練を行う。2ピッチ分を一時間以内に15名全員通過を課題とし、3年生が主体となり訓練を行った。掛け変えにてこずる1年生もいたものの、時間内にすべての行程をこなすことができた。最後に、3、4年チーム対二年チームに別れ、FIX訓練で競争を行った。ハンデとして、3,4年チームに1年生を6名、2年チームに1年生の3名を割り振る。結果は3、4年生チームの圧勝であった。2年チームの敗因はインクノットにてこずったことだと思われる。どんな状況でも冷静且つ正確にロープワークをこなせるようになってもらいたい。BCへ下山中、村上が熱中症に近い症状に見舞われたため、すぐに水分を取らせる。天幕場に到着後、山田も熱中症のような症状に見舞われていた。また、前澤は38度以上の熱があった。さらに、反省会中に村上も38度以上熱があると報告を受ける。村上は体がほてっているだけで辛くはなさそうだった。山田は水分をとらせ首もとを冷やすと1時間ほどで回復した。前澤も徐々に回復傾向にあったため、そのまま就寝させた。
6月15日(木)下山日 晴れ 7℃
横尾BC06:00~上高地8:50
朝起きると前澤の症状は昨晩より悪化していた。また、村上も38度の熱があった。そのため急遽、沢渡に在住されている村木OB の協力を得て、高根澤、大谷で村上、前澤の2人を波多の病院へ連れていくことになった。診断結果は2人とも軽い風邪だそうだ。2人を松本まで送り、本隊の下山組と合流させる。田邊、白土も風邪を引いたらしく辛そうであった。風邪の恐ろしさ、また体調管理に関しての後輩たちに対する注意換気の甘さを痛感した。
総括
総勢21名で入山し、天気にも恵まれすべての行程をこなすことができた。しかし、最終的には私自身を含め合計7名もの体調不良者を出してしまった。合宿は下界にいる時点で始まっている。この事を私自身もっと自覚するべきであった。まだ右も左もわからない1年生を山に連れていき、無事に家族のもとへ帰すことの難しさを実感する合宿であった。訓練内容に関しては、中堅部員が1.5人分の仕事をしてくれたお陰で充実した内容をこなせた。彼らの今後の成長に期待出来そうだ。
(報告者:高根澤亮太)