8月21日 親不知到着
2018年度 夏山合宿報告書(後半縦走合宿)
日本大学山岳部
目的 | 縦走計画の遂行、生活技術、体力の向上 メンバーシップ・リーダーシップの向上 |
---|---|
山域 | 北アルプス 後立山連峰(雷鳥沢~爺ヶ岳~鹿島槍~白馬岳~親不知) |
日程 | 平成30年8月13日(月)~平成30年8月21日(火) 移動1日、実働6日、予備5日 |
メンバー | 4年 CL國谷良介、SL髙橋佑太 3年 川村洸斗、新保裕也、田邊カレン、福島端流 2年 野上博史、原島千尋、藤本武流、前田雄飛、村上洋道、山田哲平 1年 川下景正、川田真人、山崎颯太 計15名 |
行動報告
8月12日(日)移動日 晴れ
雷鳥沢~室堂~扇沢CS1
室堂からトロリーバスとケーブルカーを乗り継ぎ扇沢へ移動する。日曜日ということもあり黒部ダムは多くの観光客であふれていた。JAC学生部の中国遠征隊に参加していた部員3名(川村、福島、村上)と合流し、扇沢駅から少し歩いた登山口脇にテントを設営した。
8月13日(月)入山日 曇のち雨 19℃
扇沢CS1 04:55~種池山荘09:25~爺ヶ岳10:30~11:40冷池山荘CS2
昨日までより標高が下がり気温が高い。登山道は歩きやすいが、朝から登り続き汗が止まらない。樹林帯を抜け種池山荘に到着すると小雨が降り出した。爺ヶ岳山頂に着いた頃には雷が鳴り始め、雨が強くなる。近くでなっているようなので足早に冷池山荘へ向かいテントを設営する。就寝するころには雨は止んだ。山荘の水は1ℓ150円。大人数だと水代も馬鹿にならない。翌日は天気があまりよくなさそう。八峰キレットは万全の状態で通過したいため明日は停滞とする。
8月14日(火)停滞 晴れのち霧
午前中は晴れたので乾かし物をして過ごす。鹿島槍の方は終日ガスっているようであった。
8月15日(水) 晴れのち雨 11℃
冷池山荘CS2 04:05~06:10鹿島槍ヶ岳南峰~10:50キレット小屋~17:35五竜岳~19:30五竜山荘CS3
快晴の中出発する。鹿島槍ヶ岳南峰までは緩い登山道が続き問題なく進む。山頂からは剱岳やこれから進む五竜岳がよく見えた。
鹿島槍ヶ岳南峰からは危険箇所が続く。南峰からの下り始めは鎖などが無く緊張を強いられた。その後もしばらく鎖は設置されていないので、クライムダウンで慎重に通過する。初縦走の1年生は重荷を背負っての歩行に慣れておらず時間が掛かる。キレット核心部はしっかりとした鎖と梯子が設置されており安心して通過するとキレット小屋が見えてくる。この時点で計画より1時間以上の遅れ。この先の行程を見るとキレット小屋での宿泊も考えるべきであった。
キレット小屋からは危ない箇所にはほとんど鎖が設置されており、鎖にセルフビレイを取りながら進む。口ノ沢のコル手前からガスがかかり始め、G5前には雨が降ったり止んだりの天気になる。G5は一昨年には無かった箇所にも新たに鎖が設置されていたようだ。濡れた岩で滑らないよう慎重に歩を進め五竜岳を目指す。五竜岳山頂に着くと同時に土砂降りになった。五竜岳の下りで野上が転倒し手を痛めた。握り込むと痛むので三点支持で負担が掛からないよう荷物を減らす。
日も落ち、最後はヘッドランプを付けての行動となりやっとの思いで五竜山荘に到着した。天場が埋まっていたので、登山道脇に設営させていただいた。鎖場の通過、歩行技術、気象の読み、行動計画、すべてが未熟であった。明日は悪天予報の為、停滞とする。
8月16日(木)停滞 雨
朝、雨の弱いうちに空いた天場にテント移動させる。テントを押し潰してくる強風とテント内まで染みてくる大雨でストレスが溜まる。昨日の疲れがなかなか取れない。明日は午前中まで天気が悪いので停滞。
8月17日(金) 停滞 雨のち晴れ
午前中までは昨日に引き続き雨と風。昨夜はあまり眠れなかった。昼過ぎから晴れたので濡れた装備を乾かす。天場には続々と登山者が到着し、夕食の頃には登山道までテントがあふれていた。
8月18日(土) 晴れ 3℃
五竜山荘CS3 04:00~07:10唐松岳~13:50天狗山荘CS4
危険箇所の通過に時間が掛かるため、出発を1時間早める。朝はかなり冷え込み、夏山とは思えないほど寒かった。五竜山荘からしばらくは単調な登山道が続く。唐松岳頂上山荘手前に鎖場が出てくるが鎖も頑丈で易しいので問題ない。
唐松岳頂上山荘で不帰通過に備えて装備を整え、唐松岳に向かう。不帰キレットは鎖もホールドもしっかりしている。所々鎖が途切れる箇所はスリングをのばしてフリーにならないよう対処した。2峰・1峰のコルで前田から足が痛むと報告を受ける。なんとか歩けるようなので荷物を減らして進む。ここからは大きな危険箇所も無く、順調に天狗山荘に到着した。
8月19日(日) 晴れ 7℃
天狗山荘CS4 04:00~07:00白馬岳~10:20雪倉岳~14:20朝日小屋CS5
連日の晴れで気持ちが良い。週末ということもあり白馬岳までは多くの登山者であふれていたが、白馬岳を越えると登山者はぐっと減り歩きやすい。暑い中長い行程なので脱水や熱中症に注意してこまめに水分補給をしながら進む。雪倉岳からの下りで川下が太腿の痛みを訴える。荷物を減らし、ストックを突いて歩かせる。
朝日小屋手前の水平道は、一昨年歩いたメンバーからアップダウンがきついと聞いていたが、登山道が整備され新しい木道が敷かれていたので楽に歩くことが出来た。朝日小屋は広くて静かで良い天場であった。
8月20日(月) 晴れ 11℃
朝日小屋CS5 04:55~06:00朝日岳~09:30黒岩山~12:55栂海山荘CS6
朝日岳に登ってしまえば、しばらくは緩い下りのみ。吹上のコルで気の早い「日本海へ→」の標識を見て、終わりに近づいていることを実感した。黒岩山まではお花畑の中、木道が敷かれており快適に歩くことができる。川下の足の調子も回復しているようだ。この日も長い行程になるので、途中黒岩平の水場で水を汲み、十分に水分補給をする。
黒岩山から栂海山荘までは所々切れており、トラロープが設置されている箇所もあり気を抜けない。北俣ノ水場は冷たい水が流れていた。 皆、連日の長時間行動に疲れが溜まっているようだった。
8月21日(火)下山日 晴れ 17℃
栂海山荘CS6 04:50~08:40白鳥山~10:35坂田峠~13:00親不知
朝歩き始めると同時に汗が噴き出る。樹林帯の虫も鬱陶しい。出発してすぐと坂田峠手前の急坂の下りは注意が必要だが、他は傾斜も緩く快調に進む。標高は下がり、日は上りどんどん気温が高くなる。脱水症状と熱中症には要注意だが、途中水場があまりないので、水分補給の量とタイミングには気を遣う。30℃近い中、皆汗だくで親不知まで歩き切った。せっかくなので海抜0mまで足をのばす。海岸が見えると皆一斉に海へ飛び込んだ。
ふりかえって
反省は多々あるものの、15名という大所帯で日本海まで歩き通せたことは、ひとつ大きな収穫だろう。特に前半定着から通して大きな体調不良者無く終えられたのは2,3年生による働きが大きいだろう。疲れが溜まっていく中でしっかり下級生に声をかけ面倒を見ることが出来ていた。
また、1年3名は初夏合宿に不参加で初めての長期山行だったが、最後までよく頑張ってついてきていた。定着から徐々に生活技術も身につき、朝の撤収遅れなどもほとんどなかったことは評価できる。これから積雪期に向けて、強靭な体力が求められる。この程度で満足せず、さらなるトレ―ニングに励んでもらいたい。
(報告者:國谷良介)