2月10日 赤岳頂上にて
山行報告書
日本大学山岳部
目的 | 積雪期縦走経験を積む、リーダーシップ・メンバーシップの向上 |
---|---|
山域 | 八ヶ岳(蓼科山~縞枯山~天狗岳~赤岳~編笠山) |
日程 | 平成31年2月3日(日)~平成31年2月14日(木) 移動1日、実働8日、停滞4日 |
メンバー | 4年 CL國谷良介、SL高橋佑太 3年 川村洸斗、近藤歩(~6日)、新保裕也、田邊カレン、福島端流(~9日) 2年 氏神拓真、野上博史、原島千尋(~9日)、村上洋道 1年 川田真人、喜多嶋拓海、安田光助(~6日)、山崎颯太 計15名 |
行動報告
2月3日(日)入山日 晴れのち雪
女神茶屋07:00~11:00蓼科山11:25~15:10大河原峠CS1
天幕懇親会参加のOBと学生の総勢24名で蓼科山に登る。晴れた週末で女神茶屋の駐車場はいっぱいで、多くの登山者がスローペースな自分たちの行列を追い抜いていく。合宿参加者はザックが重く急登は辛そうだがよく頑張り、晴れているうちに山頂に到着。白土が山頂手前で腰を痛めた為、この先の縦走には参加させずここで下山を決めた。
OBと合宿不参加の部員たちと別れ、大河原峠へ下る。下りからは踏み跡が無く、深い所で膝上のラッセルとなった。蓼科山荘からワカンを着けるもなかなかペースが上がらず、大河原峠で天幕場とした。テントに入る頃には雪が降り、風が強くなり始めた。大河原峠の積雪は約60cm。
2月4日(月) 雨のちくもり 1℃
CS1 09:45~11:15双子山~12:30双子池ヒュッテCS2
小雨が降っており、様子を見て雨が止んでから行動開始。出発が大幅に遅れた為、北横岳を越えるのは厳しいので双子池を天幕場とする。樹林帯で風は無いが初冬と冬山合宿でできなかった風防ブロックを1年に指導した後、1年のワカン着脱練習を行った。双子池の積雪は80cm。
2月5日(火) 晴れ −4℃
CS2 05:25~10:30北横岳~14:00雨池峠CS3
撤収、パッキングに手間取り出発が30分近くも遅れた。亀甲池から北横岳の登りは赤布がたくさん付いており迷うことなく登れる。山頂からは八ヶ岳主脈と日本アルプスが綺麗に見渡せた。北横岳ヒュッテでワカンからアイゼンに履き替え、快適に進む。
三ツ岳の鎖場手前でヘルメットを着用。鎖場の通過中に安田がバランスを崩し転倒。足をぶつけたが歩けるようなので荷物を減らして進む。雨池峠を通過するところで、安田から足の痛みが激しくなってきたとの報告を受け雨池峠を天幕場とする。登山道から外れた樹林帯の中を整地して天幕を設営する。積雪は約80cm。
2月6日(水) 晴れ一時雪 −4℃
CS3 06:35~07:30縞枯山~08:20麦草峠~10:20高見石小屋~12:40黒百合ヒュッテCS4
安田が昨日の左脛打撲でザックを背負っての歩行が厳しいとのことなのでロープウェイで下山させる。國谷、近藤が付き添い北八ヶ岳ロープウェイ山頂駅へ行き営業開始を待つ。下山は近藤に任せ、國谷は再び雨池峠へ戻り本隊と合流して縞枯山を登る。川田が靴擦れの為山頂過ぎで治療。その先は中山の登りでバテる者も何人かいたが、悪くないペースで進むことができ黒百合ヒュッテで天幕を設営する。黒百合平の積雪は約90cm。
2月7日(木)停滞日 くもりのち雪 −6℃
強い風雪予報の為、停滞。小屋近くは風が弱いので雪が降らないうちに訓練を行う。小屋前の斜面を利用して、初冬合宿不参加の喜多嶋中心にビーコン捜索の流れとFIX通過を指導した。
2月8日(金) 晴れ時々くもり −8℃
CS4 07:05~09:00根石岳~09:45夏沢峠~11:00硫黄岳~13:15行者小屋BC
日の出を待ってから出発する。東天狗の登りで原島が遅れ始めた為、荷物を減らしペースを落とさないよう進む。根石岳山荘から樹林帯に入り一旦風が落ち着いたが、夏沢峠を過ぎて硫黄岳の登りに入るとさらに風が強くなる。暴風の中硫黄岳を登りきり、写真を撮って直に赤岩の頭を下り樹林帯に逃げ込む。昨年、顔面凍傷になったルートだが、無事通過できて一先ず安心した。行者小屋に到着すると、本隊の行程遅れで合流できなかった水越OBからの差し入れがデポされていた。行者小屋まで届けて頂いて感謝である。行者小屋の積雪は約80cm。
2月9日(土)停滞日 雪 −9℃
天気が悪いので周遊(硫黄岳~横岳~赤岳~文三郎尾根)はせず停滞。福島と原島は予定通り美濃戸に下山。三連休に入り続々と登山者が訪れ行者小屋はテントで溢れかえっていた。日中は雪が降り5cmほど積もった。
2月10日(日)周遊 晴れ −13℃
BC 04:55~07:10硫黄岳~08:50横岳09:15~11:40赤岳~(文三郎尾根)~12:50 BC
まだ暗いうちに出発。ハイペースで硫黄岳を登る。横岳手前の鎖は出だしが一部埋まっており15m程ロープを出したが、それ以降はほぼ出ていた。鎖場の通過は、他登山者とのすれ違いなどもあり強風の中時間を要し体が冷える。横岳山頂で野上が手の指先が冷え痛みを訴えたのでツェルトを被り温める。
野上の回復を待ち歩き始める。雪はかなり少なく鎖場もスムーズに通過できた。問題無く赤岳に到着し写真を撮る。赤岳山頂は写真撮影の順番待ちになるほど混雑していた。慎重に下降し文三郎尾根経由で行者小屋BCへ帰幕する。
2月11日(月)停滞日 雪 −11℃
風雪予報の為停滞。連休最終日で皆下山し、午後には天幕場は静まり返っていた。
2月12日(火)停滞日 晴れ −12℃
本日も強風の予報。キレットの通過は天気の安定した日に当てたいので停滞。稜線では雪煙が待っているが、設営場は風が弱いので雪訓。小屋近くの樹林帯で1,2年中心のFIX訓練を2時間程行った。
2月13日(水) 晴れ −10℃
BC 05:15~(文三郎尾根)~07:50竜頭峰~10:45キレット小屋CS5
停滞で予備食を使い荷物が軽くなり、文三郎尾根を快調に登る。竜頭峰はトラバースせず、鎖のある上部を通過した。鎖は一部埋まっていたが、簡単に掘り出して使うことができた。
鎖場通過後のルンゼ状の急な下降は、3年前の合宿の記録から雪崩を警戒していたが、ほとんど雪が無く落石に注意しながら慎重に下った。危険箇所を過ぎるとすぐにキレット小屋に到着。小屋から少し下った天幕場に設営。積雪は30cm。
2月14日(木)下山日 晴れ −12℃
CS5 05:04~08:25権現岳1~12:20編笠山~14:20富士見平~15:15観音平ゲート
ポールが凍結し撤収に時間が掛かる。結局最終日まで出発が間に合うことは無かった。序盤は暗い中なだらかな稜線を進む。日の出とともに険しくなり鎖も出てくる。権現岳手前のハシゴはロープを張り通過する。ギボシは2年にロープを張らせトラバースする。2年生にはロープワークを実践する良い機会になったようだ。
その先はもろい岩に注意しながら鎖場を通過し、青年小屋に到着。編笠山はあっという間に登り最終ピークで記念撮影。下り始めは急で注意が必要だが、徐々になだらかになり順調に進む。富士見平で林道に出てから1時間弱で観音平ゲートに到着し12日間の合宿を終えた。
ふりかえって
初冬合宿、冬山合宿と積雪期に入ってから思うような成果が得られていなかったが、久々に合宿を完遂することができた。ほとんどの部員が積雪期最長となる日数となり、長期山に入るメンタルも鍛えられただろう。また、昨年顔面凍傷を出し敗退した合宿なだけに心配していたが、強風下でも2,3年が下級生のフォローをしながら行動できていた。しかし、朝の撤収、出発が一度も所定時間に間に合わないうえ、怪我による途中下山者を出すなど問題もあった。この課題をクリアしなければ、さらに長期となる春山合宿は成功できない。
(報告者:國谷良介)
2月合宿に寄せて
ここ数年2月合宿は八ヶ岳に入山することが多くなっている。合宿の目的は長期の縦走形式の中で、生活技術、歩荷力、アイゼンとワカンワーク、耐寒訓練、ロープワーク(FIX通過)、1・2年生のメンタル強化、3・4年はリーダーシップ等々、春山合宿前の確認とチェックをすることにある。
2月合宿は訓練性の強い合宿になりつつある。訓練と言う視点で捉えると、冬山合宿を終え、春山合宿を前に年度の最終仕上げであり、練度の到達点を確認すること。合宿と言う視点で捉えると、全体性としてのまとまりや総和の力量を来たるべく春山合宿に向けて見定めると言うことになる。
合宿とは言えやりきることが出来れば、それはそれで充実感や達成感を各自が得られ、個人レベルで自信に繋げられる筈である。毎年のことではあるが、この2月合宿をスッテプに決算合宿である春山合宿に繋げていきたい。
(監督:大谷直弘)