2024/3/11 富士山をバックに、赤岳山頂にて 左から:三橋(3年)、田畑(2年)、黒木(1年)
目的 | 縦走経験を積む 冬季生活技術の向上 リーダーシップ・フォロワーシップの向上 |
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山域 | 八ヶ岳 蓼科山~赤岳 |
期間 | 令和6年3月4日(月)~令和6年3月11日(月)移動1日、実働5日、停滞2日 |
メンバー | 3年 CL三橋壌二 2年 田畑 天 1年 黒木佳太 OB 國谷良介コーチ(3/11) 計4名 |
行動報告
3月4日(月) 移動日 晴れ
千石駅12:31~13:00バスタ新宿(高速バス移動)14:25~中央道茅野17:00~茅野駅18:00~女神茶屋登山口18:45
部室へ09:30に集合し、部室の清掃、装備の最終確認を行う。思いの外、早く終わったため、計画より30分ほど早く部室を出る。バスタ新宿から高速バスで中央道茅野バス停へ。茅野駅までの道中のコンビニで夕食を済ませ、茅野駅からタクシーで女神茶屋登山口へ向かい18:45到着。女神茶屋横にテントを設営させていただこうと思ったが、積雪が多いので登山口駐車場の隅っこに設営。就寝しようとしたところ、黒木が水を入れ忘れてきてしまったとのことで水づくりを行う。結局、20:30に就寝する。
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3月5日(火) 入山日 曇りのち雪 -10℃ 積雪100cm
女神茶屋登山口06:20~蓼科山山頂10:25~蓼科山荘11:10~赤谷の分岐12:00 ~大河原峠CS1 14:10
計画通り06:00の出発としたが、前日の準備不足から06:20出発となる。2月に蓼科山に登っていること、トレースがあることから、迷うことなく歩く。全員、ザック重量が35kgほどだが、アイゼンがしっかりと決まるため、それほど苦労することなく進む。蓼科山森林限界手前で田畑が靴擦れを訴えたので、ジェルパッドを貼って処置をする。靴下に皺ができていたようだ。処置して出発し始めたタイミングで降雪となる。
10:25に蓼科山頂に到着、写真撮影を手早く済ませて蓼科山荘へ進む。蓼科山荘までの下りでは、目印にしていたポールが見当たらず降り口を間違えてしまった。少し下ったところでポールを見つけ、北側へトラバースしてから山荘へ下っていく。山荘からは、ひざ下程度のラッセルとなる。途中、赤谷の分岐標や赤布を目印に、こまめに現在地を確認しながら進んでいく。14:10大河原峠CS1到着。
明日は凍雨や雨氷の可能性、そして霧がかかる予報であったため停滞とした。19:00頃に雪かきを行う。
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3月6日(水) 停滞 曇りときどき雨 -8℃ 積雪120cm
06:00朝食、06:30から雪かきを開始する。昨晩の雪かき後しばらくして雨に変わったためか、殆んど積もっていなかった。午前中は雨が降ったりやんだりを繰り返す。各自、昨日の疲れを取るべく睡眠をとったり、トランプをしたりした。11:00頃にスノーモービル登山者が通った以外、誰も来ず静かだった。 明日は夕方までは天気が持ちそうなので、計画通り雨池峠まで進むことにした。
3月7日(木) 晴れのち雪 -15℃ 積雪65cm
大河原峠ヒュッテCS1 06:30~08:10双子山~09:20双子池ヒュッテ~10:40亀甲池~13:40北横岳~14:45雨池峠CS2
食当の寝坊・装備の一時紛失、テントポール・竹ペグの凍結から06:30出発となる。気を引き締めなおして、双子山へ出発。最初の100mほどはスノーモービルのトレースを使用させていただいて快調に進むが、トレースを過ぎると膝ラッセル、時には腿ラッセルとなる。加えて、最中雪ということで体力を奪われ、遅々として進まずに亀のような行軍となる。ルートもわかりづらく、かろうじて出ている夏道用の杭、ロープや赤布を参考に歩いていく。08:15に双子山着、計画から1時間以上遅れてしまった。双子山から亀甲池までは、赤布に沿って進んでいく。積雪もあまりないため、軽快に進む。
10:40亀甲池到着、ここから北横岳の登りが始まる。山頂までは膝下ラッセル、所によっては膝・腿ラッセルをすることになり、思うように進むことができない。延々と続く登りに全員、苦悶の表情で進む。黒木含めた3人でラッセルを回していき、13:40にようやく山頂へ到着。計画から2時間以上遅れての到着となり、朝の出発遅れが非常に悔やまれる。北横岳からはトレースがあり、ありがたく使用させていただいて14:45に雨池峠CS2へ到着。 明日も日中は天候が持ちそうなので、黒百合ヒュッテまで進みたい。
3月8日(金) 晴れ -11℃ 積雪60cm
雨池峠CS2 06:20~07:00縞枯山~07:45茶臼山~08:30麦草峠~11:40中山~12:35黒百合ヒュッテCS3
06:00発としたが、パッキングの遅さ、テントポールの凍結から06:20発となる。朝日がさす中、縞枯山を登る。気温は低いが、歩き始めると寒さも感じず、快調に進む。07:00縞枯山頂到着、北・中央・南アルプスを一望することができた。10月に登った北岳が見え、黒木は嬉しそうだった。その後、茶臼山を越え、麦草峠まで快調に進む。麦草峠から丸山までが長く感じる。丸山を超え、10:30に高見石小屋へ到着。秋山合宿で宿泊したことを思い出す。高見石小屋出発後、空が曇りはじめ、気温も-10℃ほどだ。
本日最後のピークである中山までは高速道路ができており、アイゼン装着で進む。中山の登りはとても長く感じるが、皆で鼓舞しあいながら進む。11:40中山到着。あとは黒百合ヒュッテまで進むだけだ。中山展望台から中山峠間は、東側が切れ落ちているためトレースから外れないように慎重に進む。12:35黒百合ヒュッテ到着。黒百合ヒュッテでは学割(天幕料)が利いて、安く泊まることができた。 明日は冬型の気圧配置が決まり、強風や霧の可能性があるため、停滞とした。
3月9日(土) 停滞 雪 -16℃ 積雪60㎝
06:30に起床、とても寒い。小屋の温度計を見ると-16℃を指していた。朝食後、雪かきをするが、あまり積もっていなかったため10分ほどで終了。風雪弱いため訓練でもしようかと考えるが、凍傷が怖いので様子を見ることにした。
10:30頃になると晴れ間ができ、気温も上がってきた。周遊日に備えて少しだけでもと思い、訓練を開始する。まず、スノーバーの横埋めを各自2本ずつ行い、それら支点を使ってFIX訓練を行った。そんなこんなをしていると、空が曇りがかり雪も降り始めたので早々にテントに逃げ込む。結局、1ピッチ分しか張ることができず残念だが、1ピッチだけでも張ることができて良かった。今夜から翌朝にかけて風が強くなる予報であったので、14:00頃に、風防ブロックを作成した。なかなか風防ブロックで切り出すことができず苦戦する。
明日は、冬型の気圧配置が緩んでいくとのことだ。明日は東天狗岳の様子を見つつ、先に進んで行くこととする。
3月10日(日) 晴れ -21℃ 積雪65cm
黒百合ヒュッテCS3 06:25~07:30東天狗岳~08:15根石岳~10:05硫黄岳~10:20赤岩の頭~11:30赤岳鉱泉~11:45行者小屋CS4
06:00出発予定とするが、テントポールの凍結、パッキングやアイゼン装着に時間がかかり、06:30出発となる。本日は出発時からバラクラバ、ゴーグル着用とした。日曜日ということもあり、東天狗岳への登山者が多い。地形図等確認してトレースが間違っていないか、凍傷の初期症状が出ていないかをこまめに確認しつつ進む。
07:30に東天狗岳山頂に到着、写真撮影を手早く済ませて下降を開始する。山頂からの下降では、鎖が埋もれている箇所が多い。クライムダウンで慎重に進んでいく。山頂直下のはしごを過ぎたあたりでトレースが消えている。三橋がトレースをつけ、田畑、黒木にはトレース通りに歩行させる。その後、何とか東天狗岳、根石岳間鞍部で一本を取る。田畑は手足指先が少し冷たいとのことだったので、テルモスを飲ませる。黒木は手足、顔面ともに冷たくなく感覚もあるようだ。
問題なく根石岳を越え、樹林帯に入ると無風となりぽかぽかとした陽気に包まれる。夏沢小屋まで他の登山者に道を譲り、譲られながら進んでいく。夏沢小屋でレイヤリングを整えて、硫黄岳へと向かう。硫黄岳までにもトレースがしっかりとあり、アイゼンがよく決まる。時折吹く風に煽られないように、アックスワークを細かく指示を出す。硫黄岳山頂手前にて、田畑から右腕に力が入らないとの報告を受ける。ザック麻痺が考えられたので、装備を振り分ける。登っていくうちに段々と感覚が戻ってきたようだ。10:05、快晴の硫黄岳に登頂し、行者小屋へ。11:45に行者小屋へ到着。
テント設営後、時間が有り余っていたので翌日の周遊に備えてFIX訓練を行う。合計4Pほど工作、通過を繰り返し、15:00頃に訓練終了とした。明日は合宿一の好天となりそうなので、周遊を行うこととした。大谷監督から差し入れていただいたフリーズドライのチキンカツカレーを食べて、気合を入れる。
3月11日(月) 晴れ -20℃ 積雪60cm
行者小屋CS4 06:00~06:45赤岳鉱泉~08:00赤岩の頭~08:30硫黄岳~10:00横岳~12:05赤岳~13:15行者小屋CS4 14:05~16:30美濃戸口
06:00に國谷コーチと行者小屋で合流し、出発する。行者小屋出発後、誤って地蔵尾根へと登って行ってしまい、20分ほど時間を無駄にする。06:45に赤岳鉱泉を通過し、赤岩の頭へと登っていく。その間、大同心・小同心周辺から掛け声が聞こえてくる。08:00に赤岩の頭へ到着、ここからゴーグル、バラクラバを着用する。硫黄岳山荘までは問題なく進む。
奥ノ院手前の鎖場では、鎖にFIXをして通過する。同箇所の梯子では、150cmスリングをたらし、そこにセルフをかけて通過する。10:00に横岳へ到着、一本を取り八ヶ岳の概念の把握を行う。その後、石尊峰からのトラバースでは、トレースの幅が狭いため、國谷コーチと三橋でトレースを拡張しながら進む。何とか赤岳天望荘まで進み、赤岳へと歩を進める。天望荘から赤岳間もトレースができているが、所々脆い箇所があるため、しっかりとステップを切って進んでいく。
12:05、赤岳山頂へ到着。山頂からは、今合宿で歩いてきた道のりを一望することができた。写真撮影、一本を済ませて、今合宿最後のピークを後にする。文三郎尾根の下降では、クライムダウンを駆使して着実に下っていく。13:15行者小屋CS4へ到着。全員、体力に余裕があること、これまでの行動速度、明日の悪天候を考慮して、本日中に下山することにした。美濃戸口までの橋渡や凍結箇所に注意しながら進んでいき、16:3に美濃戸口へ到着。これにて今年度最後の合宿を終了とした。
(ふりかえって)
今合宿は、学生のみで冬山の縦走を行うことを第一の目的として実施した。結果的には計画完遂であるが、ルートファインディングでのミスや朝の撤収遅れ等々に加えて、これまでに経験したことのない低温での行動を鑑みれば、今回は運良く遭難につながらなかっただけなのだと思う。計画作成段階から言われていた通り、私自身のリーダーとしての能力、隊の実力を考えれば、今合宿はかなり背伸びした計画であったが、承認していただいたコーチ会に感謝申し上げます。田畑、黒木が今回の縦走で自分たちの実力をしっかりと見定め、各自に不足している能力を補い、後輩の育成に取り組んでもらえれば嬉しい。
末筆にはなりますが、1年間支えていただいた嶌田先生、大谷監督・コーチ会ならびにOBの皆様に厚く御礼申し上げます。また、今回、お忙しい中で参加していただいた國谷コーチに重ねて御礼申し上げます。ありがとうございました。
(報告者:三橋壌二)