2024/2/17 剣岳をバックに、爺ヶ岳山頂にて 左から:三橋(3年)、黒木(1年)、田畑(2年)
山行報告書
目的 | 雪上技術・ロープワーク技術の向上 冬季生活技術の向上 リーダーシップ・フォロワーシップの向上 爺ヶ岳の登頂 |
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山域 | 北アルプス 爺ヶ岳 東尾根 |
期間 | 令和6年2月13日(火)~令和6年2月18日(日) 移動1日、実働3日、停滞2日 |
メンバー | 3年 CL三橋壌二 2年 田畑 天 1年 黒木佳太 OB 國谷良介コーチ(2/13~2/18)計4名 |
行動報告
2月13日(火) 移動日 晴れ
千石駅12:01~新宿駅(電車移動)13:00~17:03信濃大町駅18:00~鹿島山荘跡18:30
部室へ集合し、部室の清掃を行ってから出発する。新宿駅からは特急あずさに乗り松本へ、松本からは鈍行で信濃大町駅へ。信濃大町駅で夕食を済ませて、タクシーで鹿島山荘跡へ移動する。18:30に鹿島山荘跡に到着、オババの碑の近くにテントを設営する。
就寝準備をしていると黒木のビーコン忘れが発覚する。明日入山予定の入笠山隊のスペアビーコンを國谷コーチ経由で持ってきていただけることになった。
2月14日(水) 入山日 快晴 -7℃
鹿島山荘跡05:00~07:45 1476m地点~10:45ジャンクションピーク(1,767m)~12:15 P3(1,978m)
BC(ベースキャンプ)設営
國谷コーチと合流し、05:15に出発する。私たちのほかにも10人ほどの登山者が先行しており、トレースを使用させて頂く。15分ほどで取り付き点である堰堤に到着し、東尾根の支尾根に向かって登り始める。雪は締まっておりアイゼンを効かせながら、ゆっくりと慎重に登っていく。一時間ちょっとで支尾根へと乗り上げ、同地点に下山時にルートミスしないようにと赤布を設置する。その後もトレースのおかげで快調に進んでいき、09:00頃にジャンクションピーク手前の急登へ到着する。ロープなしでも通過できそうであったが、計画にかなり余裕があったため、練習を兼ねてFIX工作を2P分行う。
リーダーとして的確な指示をうまく出せなかったり、途中支点の選択に時間がかかってしまったため、結果的には70分ほどかかってしまった。10:45にジャンクションピークへ到着、後立山連峰はもちろんのこと、表銀座や妙高・火打、八ヶ岳、南アルプス、富士山を望むことができた。一本がてら概念の同定を行う。12:15にBC予定地のP3へ到着、テント設営や風防ブロック作成を行う。
黒木から体調が悪いとの報告を受ける。熱はないが、鼻水やのどの痛みがあるとのことで、パブロンとトローチを服用する。明日は、P1までBCを上げたいと考えていたが、黒木の体調が回復しなければ停滞することにした。
2月15日(木) 停滞 晴れのち風雨 -2℃ 積雪98cm
起床後、黒木の体調確認を行う。体温は下がっていたが、のどの痛みが強くなったとのことで停滞とした。ただ、本日の午後から天候が悪化するとのことで、三橋と田畑で風防ブロック強化、堀の作成を行った。09:00ごろになると霰が降り出したため、テント内に逃げ込む。黒木は一日寝ていたため、夕方頃になると体調は回復してきたようである。
明日は晴れそうなので黒木の体調次第ではアタックをしたいが、風がとても強そうだ。明日の朝の様子を見て、判断することにした。
2月16日(金) 晴れ -13℃ 積雪105cm
P3 BC 07:50~08:50 P2(2,198m)~09:00 P2ナイフリッジ~09:50 P2~11:40 P3 BC(帰幕)
昨晩は雨や強風、未明には降雪もあり、あまり眠れなかった。起床後もテントが揺れるほどの風が吹いている。風が弱まることを期待して出発の準備をするが弱まりそうにないため、雪かきや風防ブロックを直したりとテント周りの整備を行いながら小一時間ほど待機する。07:30頃になると風が弱まってきたため、10:00までにP1通過のリミットを設定してアタックを行うことにした。
P2までは上級生がステップを切りながら慎重に進んでいき、一時間で到着する。P2からのナイフリッジでは計画通りにロープを張って通過するが、リミットと風が強まってきたことを考慮してBCへ引き返すことにする。下りでは、P2手前の急坂にもFIXを張って通過する。リードが登るかトラバースするという状況を想定しての訓練しか行えていなかったため、とても良い経験ができた。
夕方頃になると、三橋、田畑、黒木に風邪の症状が出始めたため、バファリンを服用する。明日の朝に体調が回復していた場合にアタック、体調が変わらずか悪化していた場合には下山することとした。
2月17日(土) アタック日 晴れ -8℃
05:35 P3BC~06:20 P2~07:50 P1(2411m)~09:00爺ヶ岳中央峰~10:20 P1~12:00 P2~12:50
P3 BC
04:00に起床後、体調確認を行う。全員、平熱であり、鼻水やのどの痛みも引いているようであったが、田畑のおなかの調子が悪いようである。正露丸を服用したうえで、様子を見つつアタックをすることとした。
P2までは順調に進み、昨日に残置したFIXロープを使ってナイフリッジを通過。その先にあるギャップ部でもロープを張って通過する。P1手前の急登でもロープを張る可能性があったが、雪が柔らかく滑落する可能性は低いと判断してノーロープで進む。07:50にP1へ到着、一本を取って最後の急登へと歩を進める。意外と長い登りでありふくらはぎに疲労が溜まっていくが、声掛けを行いつつしっかりとキックステップを決めていき、09:00に爺ヶ岳中央峰へ到着。山頂からは、夏合宿で登った剣岳や立山三山を望むことができた。
写真撮影を済ませてしばし休憩した後、風が強くなってきたので下山を開始する。山頂直下の急坂では三橋がリードでロープを張ったが、自然物があるのにスノーバーを埋めてしまったりともたついてしまう。國谷コーチ指導の下、何とか全員が通過し、風にあおられないように慎重に下っていく。下りでもナイフリッジやギャップ部等にロープを張るが、登山者が多いことも相まって時間がかかってしまうものの何とか通過し終え、12:50にP3 BCへ到着。体調が悪化している隊員はいないとのことで安心する。
2月18日(日) 下山日 晴れ -6℃
05:45 P3 BC~06:10ジャンクションピーク~07:00 1476m地点~09:20鹿島山荘跡
04:30朝食、05:30発とするが、気の緩みからか05:45に出発する。リーダーとしてあってはならないことだ。出発後は、トップの田畑が注意喚起を積極的に行いながら進む。日曜日かつ好天ということもあり、多くの登山者とすれ違う。順調に進んでいき、初日に赤布を設置した箇所まで到達し、急坂を慎重に下っていく。15日の雨やその後の気温上昇も相まったのか、雪がほとんど解けており、石や木の根がむき出しになっている。所々でクライムダウンを行いつつ、慎重に下っていく。最後に、懸垂下降を1P行った。訓練では気づけなかった点が多くあり、学ぶことができた。
09:20に鹿島山荘跡に到着し、合宿終了とした。
(ふりかえって)
今合宿では、今年度初めて冬山の頂上を踏み、また、ロープワークや歩行技術を実践的に行うことができ、成長の多い合宿となった。しかし、入山前の体調管理や装備管理の甘さから、入山中止、遭難につながりかねない事象を引き起こしてしまった。それ以外にも、生活技術や意識の低さなど多くの問題が未解決のままである。コーチがいるから何とかなるという意識の甘さを自覚し続け、春山合宿ではこのような問題を起こさないように徹底したい。
末筆にはなりますが、お忙しい中、参加してくださった國谷コーチに厚く御礼申し上げたいと思います。ありがとうございました。
(報告者:三橋壌二)