↑ 宮城ゲートから中房温泉まで13kmの道のり
2012年冬山合宿
日本大学山岳部
場所 | 北アルプス |
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期間 | 平成24年度12月26日(水)~1月3日(木) |
メンバー | 4年 CL飯田祐一郎 3年 SL関洸哉、横山裕 2年 山浦祥吾 1年 池田祥子、賀来素直、金原守人 |
行動
12月26日(水)新宿(高速バス)~松本駅 晴れ
穂高行きの終電に間に合わなかった為、松本駅にてステビバを行う。
12月27日(木)松本駅~穂高駅(タクシー)~宮城ゲート 晴れ
朝出発準備を行っていると、一年生の賀来が個人装備であるジャケットの忘れに気付く。予定を変更し、松本駅周辺の登山道具店にてジャケットを購入したのち、穂高駅に向かう事にする。ジャケット購入に時間がかかった為、宮城ゲート過ぎの沢沿いにて天幕する。
12月28日(金)宮城ゲート~中房温泉 曇り後雪
宮城ゲート06:05~11:30中房温泉
食当の寝坊により、主発が1時間遅れる。有明温泉手前から一年生の池田が体調不良を訴える。体調不良が収まらないので、中房温泉にて天幕を行う。一昨年に比べ、中房温泉周辺の雪は少ない様に感じられたものの、夜からまとまった降雪が始まる。
12月29日(土)停滞 晴れ
昨夜の降雪により、テント周辺は20センチ程雪が積もっている。前日の池田の体調不良が収まらない為、本日も停滞を決める。日が昇るとだんだん雪が融けてきて、お昼頃には昨夜の雪がほとんど融けていた。また、お昼を過ぎるとだんだんと登山者が増え、テントは8張りほどに増えていった。
12月30日(日)中房温泉~燕山荘 風雪 -5℃
中房温泉04:55~05:48第1ベンチ05:58~08:18富士見ベンチ08:28~09:25合戦小屋09:55~12:00燕山荘
燕山荘のテント場が混雑する事が予想されたので、計画よりも1時間早くに中房温泉を出発する。合戦小屋にて、アイゼン・ヘルメット・ハーネス、目出し帽・ゴーグル・グローブを装着し、池田と飯田はタイトロープにて行動を行う。森林限界を超えるといっきに風雪が強まる。合戦沢ノ頭を過ぎ、しばらく歩いていると、池田の唇にチアノーゼの症状が見え始める。燕山荘手前150~200m程になると、足取りも重く唇の色ははっきりと変化が見られる様になってきた。この時点で飯田・池田ペア以外のメンバーはだいぶ先を行く。しっかりと確保をしながら持てる力を最大限に出し、燕山荘を目指す。燕山荘までは終始トレースがあり、ラッセルはほとんどナシ。燕山荘に到着すると、しばらく休憩したのち池田を山荘に残し、残りのメンバーにてテント設営を行う。テント設営を終了する事には池田の調子も安定する。天気図を見る限りしばらくは不安定である事が分かる。
12月31日(月)停滞 暴風雪 -20℃
朝から暴風雪となり、停滞を決める。私達の他に2張りあったテントは午後には撤収していた。夜まで風・雪が収まらない。
1月1日(火)停滞 暴風雪 -19℃
引き続き暴風雪。明日の朝に燕山荘を出発出来ない限り、計画の完遂は不可能となる。
1月2日(水)停滞 暴風雪 -20℃
引き続き暴風雪。計画の完遂が不可能となり、今後の行動を考える。今後の天候や予備日を考えると、前進しても大天荘までが限界となる。また、明日の朝に燕山荘を出発出来ない場合、大天荘まで前進する事も不可能であり、また、その場合は予備日が1日余るものの、テントの耐久性や天候を考え、余程の強風でない限り下山をする事にする。
1月3日(木)燕山荘~中房温泉~宮城ゲート 風雪
前日よりは安定してるものの、引き続き風雪の為、下山を決める。テント撤収に時間がかかる。富士見ベンチに着く頃には一瞬晴れ間も見えたものの、依然天候は不安定なままだった。中房温泉までは順調に下り、林道を通り14時頃宮城ゲートに到着する。
総括
今回の冬合宿の敗因はどこにあったのだろうか。合宿が終了した今、この問いが頭から離れない。
賀来のジャケット忘れに始まり、池田の体調不良。そして、近年まれに見る悪天候。この他にも様々な要因が重なり、燕山荘からの敗退という残念な結果となった。その中でも、賀来のジャケット忘れや池田の体調不良といった問題は、直接的な山の技術といった事ではなく、事前準備の段階で防ぎきれる問題であった。また、この2つのアクシデントにより、晴れ間の2日間を停滞してしまった事が非常に悔やまれる。そして何よりも、これらのアクシデントを引き起こしてしまった原因の大部分は、やはり上級生にあり、事前に防ぎきれなかった自分達に苛立ちを感じ、そして悔しく、なんとも情けない。
燕山荘での3日間の停滞では、生活技術の向上に努め、また、1年生は初めて本格的な停滞を体験した。停滞2日目になる頃には集中力が切れ始め、1年生は計画の完遂こそは出来なかったものの、今までの山行とは一味も二味も違う山の厳しさを体感した事だろう。
このように、結果から見ると完敗に終わった今回の合宿だが、けっして何も得られなかった訳ではない。1年生それぞれに反省と対策、そして得られたものがあり、これは今後も登山を続けるにあたって、非常に大切な事の塊であり、1年生は今回の合宿で体験した事をゆっくりと整理し、そして今合宿を深く考えてみて欲しい。
冬合宿こそはこのような結果に終わったものの、2月には八ヶ岳。そして、3月にはネパールのメラピークが待っている。合宿が終わる度に思う事だが、次の山行に向けて再度気を引き締め2月3月に挑み、この数か月、いつも以上に集中していきたい。
(報告 飯田祐一郎)