↑ 美濃戸口。雪は少なめ?気温は低く、昨晩は麓でも‐10℃を下回ったそうです。
2012年度 二月合宿報告書
日本大学山岳部
場所 | 八ヶ岳 |
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期間 | 平成25年2月11日(月)~2月16日(土) |
メンバー | 4年 CL飯田祐一郎 3年 SL関洸哉、横山裕 2年 山浦祥吾 1年 池田祥子、賀来素直、金原守人、須郷直也、宝迫哲史 |
行動
2月11日(月)移動日
新宿~茅野駅
順調に新宿を出発し、茅野駅に到着する。茅野は冷え込んでおり、早くにシュラフへとモグリ込む。
2月12日(火)茅野駅~行者小屋 晴れのち雪
美濃戸口06:50~10:30南沢小滝14:00~15:40行者小屋BC
明け方、茅野駅にてマイナス12℃と非常に冷え込む。時間があるので南沢小滝にてアイスクライミングの基礎を勉強する。最終的には全員がトップロープで1回づつ登攀を行う。行者小屋には東京農大・東海大が天幕していた。終始トレースがあり、快適に行者小屋まで歩けた。夜からは吹雪き始め、雪が積もる。
2月13日(水)分散登攀1日目 飯田・宝迫 風雪
行者小屋BC06:55~赤岳の稜線分岐手前~08:30行者小屋BC10:50~11:45阿弥陀岳北陵取り付き14:40~14:55行者小屋BC
昨夜の降雪により、BC周囲は30センチほど雪が積もった。歩行に不安があるので、赤岩の頭往復を止め、ルートの把握がしっかり出来ている赤岳にて歩行訓練を行う事とする。宝迫と赤岳の稜線分岐手前まで行動を行ったのち、風雪が強くなったので帰幕する。赤岳往復を終えた残りのメンバーとBCにて合流したのち、阿弥陀岳北陵取り付きまで移動する。阿弥陀岳北陵取り付きからはFIX訓練を行う為に、登下降を合わせて4ピッチロープを伸ばす。
2月13日(水)赤岳(関・横山・山浦・池田・賀来・金原・須郷)
行者小屋BC(-9℃)06:50~09:00赤岳(-15℃)09:35~10:50行者小屋BC
空はどんよりとした雲に覆われている。昨夜からの降雪により30cmほど積もり、トレースは消えてしまっている。森林限界を超え、斜面が急になりはじめてから池田のペースが遅くなる。キックステップが決まらず苦労している。稜線分岐に到着するも相変わらず視界が悪く、風も強い。降り積もったさらさらの雪が風で飛び散り、ゴーグルを着用しなければ目が痛い。鎖場を慎重に通過し、赤岳山頂に到着する。風も視界も良くないため、周遊は断念し、同ルートを下降する。下降中、10時過ぎから一気に青空が広がり始め、晴天になる。もうちょっと早く晴れてくれればと思うが、仕方がない。それにしても八ヶ岳の全貌は美しく周遊はとても面白そうだ。途中、阿弥陀北陵を眺め、ルートを偵察した。
2月14日(木)分散登攀2日目 飯田・池田・宝迫 晴れ
行者小屋BC06:15~06:43赤岳鉱泉07:15~10:33硫黄岳11:10~12:07赤岳鉱泉13:25~14:05行者小屋BC
赤岩の頭まで様子を見ながら行動をする。池田・宝迫共に良く歩けているので、結果的に硫黄岳まで足を伸ばした。ルートはエアリア通りではなく、赤岩の頭手前から40分程トラバースし、さらに硫黄の稜線を目掛けて30分程直登した。この間は終始ラッセルで、アベレージ膝上、最大で胸近くまで雪が積もっていた。オーレン小屋分岐に突き上げたのち、硫黄岳目掛けて稜線を進む。硫黄岳に到着する頃には風が強くなり、そうそうに下山を開始する。下山は池田・宝迫をタイトロープし下山する。赤岳鉱泉にてお湯を沸かし、温かい紅茶を飲みゆっくりと休憩する。
2月14日(木)阿弥陀北稜(関・横山・山浦・賀来・金原・須郷)
行者小屋BC(-9℃)06:10~07:55ジャンクションピーク~登攀開始08:20~09:30第1岩稜10:00~11:30第2岩稜~12:20阿弥陀岳12:45~13:30行者小屋BC
昨日からの晴天が続き、快晴である。文三郎尾根との分岐で中岳沢へと向かう。中岳沢を10分ほど進み、尾根へと取り付く。胸以上のラッセルもあり、思うように進まない。JP手前の急斜面を登り、灌木帯となっている所からロープを出し、FIXで登攀した。
1P目(45m)山浦(リード)
灌木帯の斜面を直上する。下部は灌木帯のため、支点は十分にある。灌木帯を抜けると、やや斜面が急になる。ピッケルとアイゼンを利かせて登る。後ろから花谷泰広さんが2人組で登ってきていた。
2P目(25m)横山
第1岩稜まで、のっぺらとした雪稜を進む。
3P目(15m)関
6人のFIX通過は時間が掛かるため、花谷さんに先を譲る。第一岩稜はやや左側から取り付く。支点が頼りないため、ハーケンを打ち込む。岩壁はガバが多く足を慎重に置いていけば問題ない。雪とミックスになっている箇所は、ピッケルを使わないと少々いやらしい。
4P目(20m)横山
岩と雪のミックスのフェイスを直上する。ランナーを取る箇所がなく、怖さを感じる。1年生は慎重によく登れている。
5P目(40m)山浦
このピッチが一番画になるところだろう。2mほどの岩壁を越えたあと、ナイフリッジとなる。赤岳、横岳をバックにリッジを登る。西側は雪庇となっており、やや東側を進みスノーバーで支点を構築した。登攀を終了し、100mほど進み阿弥陀岳の頂上を踏む。赤岳をバックに頂上で写真を撮るが、どこだかよく分からない。中岳のコルに下降し、中岳手前の尾根を進んでBCに到着した。
2月15日(金)分散登攀3日目 飯田・金原・宝迫 風雪
行者小屋BC06:15~07:45美濃戸山荘08:30~11:10行者小屋BC
金原を美濃戸山荘まで連れて行く。帰りには吹雪となり、BC手前500mからはアベレージ腰上ラッセルとなった。宝迫の凍傷に注意しながら行動をし、11時にBC到着。周遊に向かっていた別働隊はすでに帰幕しており、停滞となった。
2月15日(金)
行者小屋BC(-8℃)06:15~07:35赤岳手前稜線分岐~08:05行者小屋BC
一昨日のような天気だ。八ヶ岳を周遊する予定であったが、天気は一向に良くなる気配も無く、須郷もふくらはぎの痛みを訴えていたため、稜線分岐で引き返した。
2月16日(土)下山日 曇り
行者小屋BC07:35~10:30美濃戸口
順調に美濃戸口まで向かう。土曜日という事もあり、登山道では何人もすれ違い美濃戸口は混雑していた。
総括
今回の合宿では3月に行われる遠征に向けてのFIX訓練と歩行技術向上を目標としていた。結果からみると当初の計画とは違い変則的な行動となったものの、目標を達成出来たように感じる。また、別働隊の宝迫は初めての合宿にして冬山という厳しい内容であったものの、非常に良く動けていた。硫黄岳に登頂出来た事は自信になったと思う。GW合宿に向けて頑張ってもらいたい。遠征組は直接指導する事はなかったが、テントや食料を本番と同じように準備し、本番でのテント内と状況を似せ、一定の成果を得ているように見えた。遠征まで残り2週間を切った今、再度気持ちを入れ替え、全員登頂にむけて頑張ってもらいたい。