6月5日~6月15日【初夏合宿】北アルプス 涸沢定着

↑6月14日 北穂頂上

2014年度初夏合宿報告

日本大学山岳部

目的 生活技術の習得
雪上・歩行技術の習得
山域 北アルプス穂高連峰・槍ヶ岳
期間 平成26年6月5日(木)~平成26年6月15日(日)
移動1日、実働9日、予備2日
メンバー 4年 CL山浦祥吾
3年 宝迫哲史、M賀来素直
2年 荒木優一郎、井上 理、加藤 純、篠崎さやか、桧山泰平、水越健輔
1年 岡本碩士、杉山亮太、高根沢亮太、中田航平、中尾一仁、波多野龍達、洪 元基、森 正樹
計17名
OB 監督 大谷直弘 ( 8日夕方入山~11日下山)
コーチ 飯田祐一郎(11日夕方入山~14日下山)

↑6月7日 槍ヶ岳頂上

6月5日(木)初夏合宿出発当日部室にて最終打ち合わせ

6月5日(木)移動日 千石部室〜上高地

千石部室23:00〜05:00上高地

23:00に部室近くの白山通りに、小型の貸切バスが迎えに来る。17名の大所帯が、貸切バスに乗り出発。翌朝5:00に上高地に到着した。

6月6日(金)上高地〜明神館〜徳沢〜横尾BC1 雨後曇り

上高地06:10〜07:00明神館07:15〜08:00徳沢〜09:20横尾BC①

上高地では朝から雨が降っていた。傘をさし、濡れに注意しながらの行動となる。横尾までの道のりは、降ったり止んだりの天気であったが、横尾到着後一時的に雨が止み、河原でロープワークの確認を行った。夕飯時に、高根澤と中尾が体調不良を訴える。咳が出るようだ。

6月7日(土)蝶ヶ岳隊 賀来−波多野−杉山−洪−中田−岡本−森−宝迫 横尾BC1〜蝶ヶ岳〜横尾BC1 雨時々曇り

横尾BC①05:00〜09:00蝶ヶ岳09:40〜12:20横尾BC①

槍ヶ岳隊を見送り、5:00に出発。1年高根澤と中尾は前日からの体調不良を訴えていたため、大事をとり2年荒木をつけテントキーパーとする。途中レイヤリングと読図を教える。登山道上に雪が現れ始め、1年生には良いキックステップの練習となった。樹林帯を抜けてからの稜線上では、雨による濡れで、身体が冷えたため、蝶ヶ岳のピークを踏んだ後、蝶ヶ岳ヒュッテで暖をとる。下山中には晴れ間が覗き、涸沢と槍ヶ岳とを臨むことが出来た。

6月7日(土)槍ヶ岳隊 井上-篠崎-加藤-桧山-水越 横尾BC1~槍ヶ岳~横尾BC1 霧雨時々曇り 不明

横尾BC①04:00~05:10槍沢ロッジ05:10~06:30大曲06:30~11:40槍ヶ岳山荘11:50~12:10槍ヶ岳12:30~15:50横尾BC①

前日から心配されていた天気は霧雨だった。その後の天気が心配される中出発した。隊員の体調は良好で、ババ平過ぎの槍沢雪渓まで快調に進んでいく。この雪渓からヘルメット、ピッケル、アイゼンを装着。ガスっているため、この辺りから視界は特に悪く、30m先はよく見えない状況である。コンパスを頼りに登っていく途中、殺生ヒュッテから100mほど下の付近で桧山が体調不良を訴えた。その場で水分補給と少しの休憩をした後、殺生ヒュッテまでゆっくり登る。殺生ヒュッテ到着後も桧山は依然体調が悪いということで、この後の行動を考えるが、ここで多くの時間を浪費してしまった。結果桧山を殺生ヒュッテで休ませておき、他のメンバーで山頂を目指すこととした。槍ヶ岳山荘到着後、ハーネスを装着する。山頂まで気が抜けない岩場が続くため、慎重に進んでいく。最後の梯子でロープを出し、無事登頂することができた。嬉しいことに山頂に着くころにちょうど天気が晴れてきた。頂上を満喫した後、最後の梯子でまたロープを出し、ゆっくりと下っていく。殺生ヒュッテで桧山と合流し横尾BCへと向かった。桧山の状態は多少良くなったようで、しっかりと歩けていた。全員の頑張りもあって予定より1時間ほど早く帰幕した。

6月8日(日)横尾BC1〜涸沢BC2〜雪上訓練場〜涸沢BC1 雨時々曇り 4.0℃

横尾BC①05:00〜9:40涸沢BC②11:00雪上訓練〜15:30涸沢BC②

涸沢BCへの移動。撤収が遅れ、出発が数分遅れる。涸沢までの道のりは、雪の通過や落石の危険があるため、長い列によく気を配り行動する。涸沢の雪渓では、恒例の涸沢ヒュッテまでの競争を行った。一年では杉山が一番速かった。途中、大谷監督と合流する。テント設営後は雪上訓練場へ向かい、1年生の歩行訓練(直登・直下降、8の字歩行)を行った後、2年生のロープワークの確認を行う。夕飯時に桧山が吐き気を訴える。食事が喉を通らないようなので、様子を見る。

6月9日(月)雪上訓練 涸沢BC2~雪上訓練場~涸沢BC2 曇り後雨 6.0℃

涸沢BC②05:00~05:30雪上訓練場14:00~15:00涸沢BC②

再び涸沢カールにて雪訓を行った。篠崎と桧山は体調不良のため、テントキーパーである。直登・直下降と8の字歩行のあと、滑落停止訓練を行う。傾斜のゆるい箇所で一列になり、動作を確認する。出来るまで繰り返し、そのあとで2グループに分かれて滑走をしての滑落停止を行った。グリセードの訓練も行い、09:30頃1年生の中尾の下山に、大谷監督に付き添って頂く。ロープワーク訓練を行っていると天候が崩れたので、一度BCに戻る。天候が良くなってから、再びロープワーク訓練を行った。BCに戻って休んでいると涸沢ヒュッテの方から大量に差し入れを頂いた。天候に伴って明日、奥穂高岳にアタックする事にする。

6月10日(火)奥穂高岳 賀来-中田-水越-岡本-宝迫-高根沢-井上-森-加藤-山浦涸沢BC2~白出のコル~奥穂~白出のコル~涸沢BC2 曇り 4.0℃

涸沢BC②04:00~06:20白出のコル06:40〜08:40奥穂山頂09:00~11:00白出のコル11:10~12:30涸沢BC②

奥穂アタックは、上級生に対して下級生の数が多いので、メンバーを限定する。賀来-中田-水越-岡本-宝迫-高根澤-井上-森-加藤-山浦にプラスして、監督にも付いていただく。白出のコルまで、雪上を直登した。1年生はステップをしっかりと刻めている。白出のコルからは、賀来・井上・水越で先にFIXを張りに行く。稜線上に雪が多く、梯子過ぎに1ピッチ、迷い尾根分岐の手前に1ピッチ張った。3000m級の頂に立ち、1年生も満足げである。

白出のコルから直下降、グリセードで下る。1年生は、出だしで恐怖と戦いながら大谷監督指導の元、懸命に直下降で降りた。BC到着後、中田は疲労のためか、体調不良を訴えたため、安静にさせる。翌日には回復した。

6月11日(水)雪上訓練 涸沢BC2〜雪上訓練場〜涸沢BC2 曇り後雨

涸沢BC②05:00〜05:30雪上訓練場13:00〜14:00涸沢BC②

朝、水越が38℃近くの熱を出したので、テントで休ませる。また、天候は回復せず、終日雪上訓練をする事にする。まず、ロープワーク訓練を5時間しっかりと行う。皆しっかりと自身の課題を見つけることが出来たようだ。加藤、井上、森、岡本は大谷監督と共に下山、天候が崩れる前に、FIX訓練を残った全員で行う。3ピッチ張り、2時間かかった。FIX訓練中に飯田コーチが入山された。BCに戻り、水越は辛そうなので涸沢ヒュッテで泊まらせる事にする。天気を見て、明日は涸沢岳に行く事にする。

6月12日(木)下山隊+居残り 涸沢BC2〜横尾〜徳沢〜上高地 雨

涸沢BC②10:00~12:10横尾12:25~13:10徳沢14:30上高地

天候は良くならず、下山予定の隊員全員の下山を決める。水越は残る予定だったが、山浦主将が上高地まで付き添って下ろす事にする。1年生は入山時よりも重くなった荷物にもかかわらず、上高地まで不平も言わずよく歩いていた。

下山隊を見送った残された登攀隊はテント周りの雪が解け始めていたため、テントを移動させた。下山隊に付き添っていた山浦主将がBCに戻る頃には、激しい雷雨となった。

6月13日(金)停滞 雨

山浦、宝迫、賀来、飯田コーチが涸沢に残り、北尾根へのアタックを予定していたが、雨が降り続いているため停滞。明日の午後から晴れるようである。

6月14日(土)北穂高岳東稜 山浦−宝迫 涸沢BC2〜東稜取り付き〜ゴジラの背〜北穂高岳〜涸沢BC2〜横尾 曇り後晴れ 10.0℃

涸沢BC② 8:00〜10:30取り付き〜12:50ゴジラの背終了点〜13:40北穂高岳〜14:30涸沢BC①06:00〜18:15横尾

02:00発で北尾根へアタックする予定であったが、風と雨が止まない。1時間ごとに様子を見ることにする。天気が落ち着いてきた08:00に山浦-宝迫で東稜へのアタックを決める。賀来は体調不良のためテントキーパーとした。ガスっており、東稜取り付きのコルが判断しにくい。事前に撮影した写真と見比べ、東稜の尾根上へ上がる。北穂池側の斜面に雪が多くついているため、岩稜を左に見ながら雪の斜面をトラバースしていく。アイゼンを付けたまま取り付き、ゴジラの背のリッジで1ピッチロープを出す。懸垂下降地点は残置が2カ所あるが、北側に雪が多く付いておりロープは出さず5m程降りる。終了点からは北穂高小屋が見え、1時間ほどで到着。BC到着後、体調不良者がいるので、本日中に横尾まで下りることを決め撤収する。

6月15日(日)下山日 横尾〜徳沢〜明神館〜上高地〜新宿

横尾8:00〜8:50徳沢9:00〜10:00明神館〜11:00上高地

横尾から上高地へと下山。上高地~新宿の直行バスは満席であったため、タクシーで松本まで向かい、帰京した。

総括

17名の大所帯の中、雪上訓練の充実→奥穂といったプライオリティを持って臨んだ初夏合宿であった。天候が悪い中、皆の協力があって目的は達成出来たのではないかと思う。初めての一年生には今回の雪上訓練と奥穂高岳登頂をファーストステップとして今後の山岳部人生を謳歌してもらいたい。

(報告:山浦、宝迫、賀来、水越、篠崎)

↑6月10日奥穂高岳山頂にて

↑6月7日槍ヶ岳頂上にて

↑6月8日涸沢BC移動(全員無事到着)

↑6月9日雪上訓練・1年生滑落停止

↑6月9日雪上訓練・滑落停止

↑6月10日奥穂へ後方常念から朝日が昇る

↑6月10日奥穂へ早速ザイルを固定する

↑6月10日奥穂へ白出しのコル到着

↑6月10日奥穂頂上直下・右後方の山塊は薬師

↑6月11日ザイルを使った確保訓練

↑6月11日確保訓練・滑落担当は2年生の桧山

↑6月11日確保訓練…・肩がらみはでは止まったか

↑北穂東稜 ゴジラの背にて

↑北穂頂上にて

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