1月1日 蝶ヶ岳山頂にて
山行報告書
目的 | 大型テント特有の生活技術の向上、雪上生活・歩行技術の向上 リーダーシップ・フォロワーシップの向上、蝶ヶ岳の登頂 |
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山域 | 北アルプス 蝶ヶ岳・長塀尾根 |
期間 | 令和4年12月30日(金)~令和5年1月4日(水) 移動1日、実働4日、停滞1日 |
メンバー | 4年 CL米山未羽、SL柴田亮 2年 籾井大空、三橋譲二 1年 玉野蒼士、田畑天 OB 賀来素直ヘッドコーチ、國谷良介コーチ 学生6名、OB2名 計8名 |
行動報告
12月30日(金)移動日 新宿~松本バスターミナル〜中の湯〜上高地トンネル出口 雪時々雨 -4.5℃
部室(電車)〜バスタ新宿(高速バス)~松本バスターミナル〜中の湯16:30〜上高地トンネル出口17:40
荷物過多による乗車拒否を避けるため、バスタ新宿から隊を2つに分けて松本まで移動する。渋滞により2便目のバスが定刻より遅れて到着したが、中の湯までのチケット購入をギリギリで済ませて路線バスに乗車することができた。中の湯からは徒歩で上高地トンネルの出口付近まで進み、トンネル内の道路の両脇のスペースで縦一列に並んでビバークをさせていただいた。
12月31日(土)入山日 上高地トンネル出口~河童橋~徳沢園BC 雪 -8.1℃
上高地トンネル出口07:00〜河童橋08:30〜13:00徳沢園BC
準備体操を済ませてから上高地トンネル出口より行動を開始する。直後、玉野が携帯の電源を切り忘れてアラームが鳴ってしまい、対応に5,6分ほど取られてしまった。年末年始の休暇を利用して登山に訪れる人が多いためか、この日は多くの登山者とすれ違った。また、トレースも徳沢園まで途切れることなく残っていた。
雪が降っていたが視界は開けていて、日の出後梓川沿いの道からは焼岳や明神岳がよく見えた。トップのペースは少し早かったが、皆頑張って歩いていた。徳沢園に着くと、テントが10張前後設営されていた。徳沢園の平地にテントを設営した後は夕食を食べ、翌日のアタックに備えて就寝した。
1月1日(日) アタック日 徳沢園BC〜長塀山〜蝶ヶ岳〜長塀山〜徳沢園BC 雪時々晴れ -10℃ 積雪量:80cm
徳沢園BC04:35〜長塀山08:50〜蝶ヶ岳10:00〜長塀山10:55〜徳沢園BC13:00
朝はアイゼンとヘルメットをあらかじめ着用してから出発する。歩き始めの急登は周囲が暗い中、ルートを間違えないようゆっくりと登った。しばらく歩いていくと、樹林帯の中で2023年の初日の出を迎えた。
長塀山を越え、樹林帯を抜ける手前でサングラスを着用し、レイヤリングも整えた。稜線上は風が強かったため、山頂では写真を撮ってからすぐに下山を開始した。この日は残念ながら槍穂高連峰方面にガスがかかっており展望は望めなかったが、下級生達は登頂することができて嬉しそうな様子であった。
下山はトップが何度かルート選択を誤り、後続の小さな転倒が続出した。この日も登山者が多かったためか、登り始めから山頂に至るまでしっかりとトレースが残っており、ラッセルは無かった。13:00に無事帰幕。帰幕後は賀来ヘッドコーチよりお雑煮の差し入れをいただいて皆で食べた。
1月2日(月)停滞 徳沢園BC 晴れ -4.5℃ 積雪量:85cm
徳澤園BC(訓練)
この日はテント内整理や食当の水作り等の生活技術を高めるために山での滞在日数を増やしたく、停滞とした。停滞日ではあるものの、朝7時には全員で起きて雪かきをし、その後雪崩埋没時のための埋没訓練を行った。埋没訓練では雪に深さ1mほどの人が入る大きさの穴を掘り、あらかじめゴーグルを着用の上エアーポケットを作った状態の部員を一人ずつ埋めた。埋めた時間は1回40秒~1分間であったが、徐々に呼吸が苦しくなることや、雪の中で身動きが取れない恐怖を体感できた。一同、雪崩埋没者を素早く掘り出すことの大切さや、エアーポケットの重要性を実感した様子であった。年明けということで、訓練後はお餅入りのお汁粉を食べた。
1月3日(火) 訓練日 徳沢園BC 曇り時々雪-5.2℃ 積雪量:85cm
徳沢園BC06:00~BC周辺の平地~徳澤園BC15:40
これまでの山行での撤収遅れ問題を解消すべく、この日は撤収・設営訓練を3度行った。
1回目撤収58分 設営50分(食事あり)
2回目撤収35分 設営64分(以降食事なし)
3回目撤収34分 設営40分
皆最初は動きが鈍かったが、回数を重ねるごとに少しずつ無駄な動きが削がれていった。テントの組み立て・解体の時などは周りに声かけをする余裕も多少出てきたようだ。設営・撤収ともに1時間以内に終えられるようになったため、雪上訓練に移る。
一本を取った後、まずはテン場近くの平地で歩行訓練を行った。アイゼン・ワカンの着脱練習も兼ねて100mを一往復するごとに着脱を行った。その後はツェルト搬送訓練を行った。夏山の時とは違い、ロープや周囲にあった雪を固めたものも利用して要救助者役の人をラッピングした。その際にクローブヒッチをスムーズに作れない部員が散見され、隊のレベルの低さが露呈してしまった。ツェルト搬送訓練を2回ほど行ったところで食当・天気図の時間になったため、訓練終了とした。
1月4日(水) 下山日 徳沢園BC〜明神館〜小梨平〜河童橋〜釜トンネル〜中の湯 雪 -3℃ 積雪量 85cm
徳沢園BC05:05〜明神館06:35〜小梨平07:45〜河童橋09:00〜中の湯10:05
計画よりは25分早く出発することができたが、昨日の訓練も空しく目標としていた5時より5分遅れてしまった。ザックのベルトの閉め忘れやワカンのバンドのゆるみ等、細かいところがまだ甘い。ワカンを装着して行動を開始した。歩行時にワカンを踏んでしまいバランスを崩す部員が多く見られたが、軽くなった荷物を背負って良いペースで歩いて行き、10:05に中の湯に到着した。長い林道歩きであったが、今回靴擦れをする部員は発生しなかった。周囲に利用可能な空車タクシーが無かったため13:05のバスを待ち、無事に乗車・帰京した。
ふりかえって
今回、目的としていた蝶ヶ岳に全員で無事に登頂することができて良かった。また、訓練日には幾度となく行われた設営・撤収訓練を最後までよく頑張ってくれたと思う。しかし、初冬合宿の際に出た生活技術に関する反省を今合宿でも繰り返す部員が多く、目的であった大型テント特有の生活技術の向上は、ほとんど達成できていなかった。
今のレベルでこれ以上の山に行くことは危険である。今後もっとレベルの高い山により安全に登るためにも、同じ反省を二度と繰り返さないように頑張ってもらいたい。また、卒業まで3ヶ月を切った中で後輩に全てを伝えられるよう、より指導を徹底していきたい。
賀来ヘッドコーチ、國谷コーチには合宿にご帯同いただき、お忙しい中停滞にもお付き合いいただきました。また、山中ではもちろん、計画・準備の段階からも大変お世話になりました。ありがとうございました。
(報告者:米山未羽)