8月11日 蓼科山山頂にて(左から:2年三橋、籾井、1年田畑、4年柴田、米山、村上コーチ、1年玉野、賀来ヘッドコーチ)
山行報告書
目的 | 冬季縦走を経験する 冬期生活技術の向上・大型テント特有の生活技術の確立 リーダーシップ・フォロワーシップの向上 |
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山域 | 八ヶ岳 蓼科山~美濃戸口 |
期間 | 令和5年3月9日(木)~令和5年3月17日(金) 移動1日、実働4日、予備3日 |
メンバー | 4年 CL米山未羽、SL柴田 亮(3/9〜14) 2年 三橋譲二、籾井大空 1年 田畑 天、玉野蒼士 OB 賀来ヘッドコーチ、村上コーチ 計8名 |
行動報告
3月9日(木)移動日 部室〜バスタ新宿〜茅野駅 くもりのち雨 8℃
部室〜バスタ新宿17:15〜20:20茅野駅(構内で就寝)
夕方に部室に集合し、部室を掃除してから出発した。バスタ新宿に移動後は予定通りの時刻に東京を出発した。茅野駅に到着後、構内で就寝をさせていただいた。この際に2年の籾井がシュラフカバーを忘れたことが発覚。駅まで差し入れを持ってきてくださった髙橋OBのご厚意によりお借りすることができたため、合宿不参加は免れた。
3月10日(金)停滞 茅野駅(タクシー)〜女神茶屋 雨のち晴れ5℃ 積雪30cm
茅野駅17:00〜女神茶屋17:42
朝、目を覚ますと大雨が降っていた。雨雲レーダーを見たところ、暫く止みそうにない。低気温かつ雨天での行動を避けるため、この日は停滞とする。駅で待機、午後に雨が止み、17時に茅野駅からタクシーで女神茶屋へと移動した。建物の前のスペースに雪が積もっていたため軽く整地をしてテントを設営、その後夕食をとり就寝した。
3月11日(土) 女神茶屋~蓼科山~大河原峠CS1 晴れ 3℃
女神茶屋06:05~幸徳平08:20〜10:30蓼科山10:35~蓼科荘11:20~大河原峠CS1 13:15
皆のパッキングが遅く出発が5分遅れた。出発前に駐車場を見ると、ほぼ満車であった。この日は歩き始めから多くの登山者とすれ違った。ほとんど全員が初めての冬山縦走装備での行動であったが、頑張って急登を登っていた。昨日の悪天候が嘘のように晴れて暖かい日であった。蓼科山山頂では写真撮影をしてから行動を再開した。
蓼科山は裾野が広いため、視界が悪くトレースもない場合には樹林帯に入るまでのルートファインディングがかなり難しそうに感じた。晴れていて視界が良くてよかった。大河原峠に早く到着したため、テント設営後は雪上訓練を行った。内容はスノーバーの横埋めであった。皆、 横埋めの大まかな手順は覚えていたが、作った支点の強度確認の方法を忘れていたことが残念であった。
3月12日(日)大河原峠CS1〜双子山〜双子池ヒュッテ〜亀甲池〜北横岳〜北横岳ヒュッ
テ〜三ツ岳〜雨池山〜雨池峠周辺CS2 晴れ-6℃ 積雪100cm
大河原峠CS1 05:00〜双子山05:55〜双子池ヒュッテ07:35〜亀甲池08:40〜北横岳11:55
〜北横岳ヒュッテ12:20〜三ツ岳13:15〜雨池山14:15〜雨池峠周辺CS2 14:30
この日は行動開始後 双子山過ぎで朝日を迎えた。双子山の下りではワカンを装着していたが踏み抜きが多く、あまりペースが上がらなかった。双子池ヒュッテを過ぎると、双子池が目に入った。秋山合宿の時には綺麗な水面が見えていた池は雪に覆われていた。夏道は木が多い上に積雪もあり歩きづらかったため、凍っている可能性の高い池の端を歩いて通過した。
北横岳の山頂では田畑が部旗をザックの奥にパッキングしていたため、取り出すのに時間がかかってしまった。写真撮影後すぐに先に進んだ。三ツ岳三峰の鎖場は冬道を利用して右側から巻いたが、雪は溶けており、鎖場はほとんど夏道のようであった。
一峰からの下りは単調な急坂が続き、滑る部員が多発した。14:30に雨池峠に到着、あまり人目につかないよう、雨池峠の標識から少し離れた樹林帯の中にV8を設営した。
3月13日(月) 停滞日 雨池峠周辺CS2 雪-7℃ 積雪105cm
雨池峠CS2
この日は悪天候の予報であったため停滞とした。朝の撤収や、一本時にアイゼンやワカンの着脱・パッキングの遅い部員が目立つため、午前中はこれらの訓練を行った。テントを設営した場所は樹林帯の中であったため雪はそれほど強くならなかったが、木の生えていないところを見ると吹雪いており、視界も悪くなっていた。
4年の柴田と話していたところ、昨日朝の撤収時に目をぶつけてしまい、以降眼球の痙攣や痛み、視界のぼやけ等の症状が出ていた事が分かった。リーダー会で話し合った結果、明日、村上コーチにロープウェイ山頂駅まで送っていただいて下山をし、その後すぐに帰京し病院を受診してもらうこととなった。
3月14日(火) 雨池峠周辺CS2〜縞枯山〜茶臼山〜麦草峠~丸山〜高見石小屋〜中山~黒百
合ヒュッテCS3 積雪70cm 晴れ-5℃
雨池峠周辺CS2 06:05〜縞枯山07:15〜鞍部07:47〜茶臼山08:18〜麦草峠09:20~丸山
11:07〜高見石小屋11:30〜中山13:20~黒百合ヒュッテCS3 14:05
朝の撤収後、村上コーチ・柴田と分かれて行動を開始する。朝の撤収後、昨日の降雪のため全員ワカンを着用し、村上コーチ・柴田と分かれて行動を開始する。この日は昨日とは打って変わってとても良い天気だった。麦草峠付近の平地などは太陽の照り返しも強烈で暑いくらいであったため、時折レイヤリング調整の一本を挟みながら進んだ。
負傷した柴田を北八ヶ岳ロープウェイ山頂駅まで送って下さった村上コーチとは、10:45に丸山の登りの途中で合流することができた。 高見石小屋~中山へは単調な登り坂がダラダラと続いたが、ゆっくりとしたペースで進んだ為かバテた部員は出なかった。
黒百合ヒュッテは予約不要であったため宿泊可能地が残っているか心配であったが、テント場には十分なスペースがあり問題なかった。テントは小屋付近に張られた緑のロープの中であればどこにでも設営して良いとのことであった。小屋に冬季使用可能な水場はなかったが、綺麗なトイレを利用させて頂くことが出来た。
3月15日(水) 黒百合ヒュッテCS3〜東天狗岳〜根石岳〜夏沢峠~硫黄岳~赤岩の頭〜
赤岳鉱泉〜行者小屋CS4 晴れ -3℃
黒百合ヒュッテCS3〜東天狗岳08:00〜根石岳09:30〜夏沢峠10:45~硫黄岳12:10~赤岩
の頭12:40〜赤岳鉱泉13:50〜行者小屋CS4 14:40
この日は東天狗岳・硫黄岳の通過に伴う凍傷の予防として、朝から目出帽を着用した。東天狗岳からの下りは雪が中途半端に溶けてところどころ岩が露出していたため危険と判断し、賀来ヘッドコーチにアンザイレンで安全確保をしていただいた。
硫黄岳では風が軽く吹いていたが気温が高く、風も比較的暖かかったためあまり顔面凍傷の心配はなかった。硫黄岳の登りでは体力不足のためか疲れている部員が多く見受けられた。行者小屋に着くと、多数設営されており、中には東大スキー山岳部の方々もいた。テント場付近の水場は凍結しておらず自由に使うことが出来た。
テント内で手足チェックをした際に籾井の手が赤かった。聞くと曲げると痛いとのことであった。転んだ際に打ったかもしれないと言うため 湿布を貼り、雪を入れたポリ袋を患部に当てて冷やしてもらった。
3月16日(木) アタック・雪上訓練日 行者小屋CS4〜竜頭峰分岐〜赤岳(文三郎尾根)〜
行者小屋CS4 晴れ-6℃
行者小屋CS4 04:55〜竜頭峰分岐06:55〜赤岳07:05(文三郎尾根)07:20〜行者小屋CS4
09:30 10:10から雪上訓練
皆アタック日でテント撤収がないにもかかわらず行動が遅い。予定していた出発時刻には遅れなかったものの、04:55にテント場を出発することとなった。籾井は昨日よりは手を動かせるようになり、力も入れられるとのことであったためアタックに参加させた。
登りの際は急に風が強くなることがあり、岩や鉄のハシゴにアイゼンを引っ掛けないように慎重に進んだ。山頂に着いて写真を撮影した後は、ロープを出して賀来ヘッドコーチに3年生以下をアンザイレンしていただいて下山を開始した。
3箇所ほど足元が凍っている場所があった他、掴む可能性のある壁に人の胴体ほどの大きさの浮き石があったため、注意して通過した。岩陰を出ると風が強く、1年生の玉野が手が冷たいと訴えたため時折止まって温めさせた。
行者小屋のテント場に戻ってからすぐに撤収・下山の予定であったが、明日の天気も良い予報のため 撤収せずに雪上訓練を行うことにした。 40分ほど休憩を挟んだ。雪が柔らかかったため、皆でスノーバーを横埋めして支点構築をした後、その支点を利用してFIX通過の訓練を行った。
スノーバーの横埋めの方法については大河原峠で練習をしたため覚えていたようだが、雪が柔らかかったためか 皆苦戦していた。2年三橋はコツを掴んだのか、上手く作れるようになったようだ。FIXロープの設置・通過に関しては、掛け声の順序を覚えていなかったり、カラビナの安全環を閉めずに通過するなどの致命的なミスをする部員がおり、特に反復練習が必須であると感じた。4時間ほど訓練を行って行動終了とした。
3月17日(金) 下山日 行者小屋〜美濃戸山荘〜赤岳山荘〜美濃戸口 晴れ2℃
行者小屋07:02〜美濃戸山荘09:25〜赤岳山荘09:40〜美濃戸口10:20
出発直前に籾井のザックの雨蓋のチャックが外れてしまい、出発が2分遅れた。林道が凍っているとの情報があったため、朝は全員ヘルメットとアイゼンを着用して出発した。沢沿いの道には広範囲に渡ってアイスバーンができており、やはりアイゼンの装着が必須な状態であった。
特に問題なく歩いていき、10:20に無事美濃戸口へと下山。整理運動後は八ヶ岳山荘にて入浴をした。路線バスは運行していなかったため、タクシーで中央道茅野まで向かい高速バスにて帰京した。
ふりかえって
今回、途中下山の部員は出てしまったが、秋山合宿と同じ行程に赤岳アタックを追加した計画を遂行することが出来てよかった。しかし、今年度、最後の合宿を終えてなお 改善すべき点は多く見つかった。皆にはもうすぐ自分たちが先輩となって部を引っ張っていくんだという自覚をもって反省点を徹底的に潰し、来年度の新体制で頑張って欲しいと願う。
今回ご参加いただいたコーチの皆様にはお忙しい中で日程調整をして合宿に帯同していただき、安全管理や多くのアドバイス等をしてくださいました。ありがとうございました。また、大谷監督をはじめとするコーチ会の皆さまには、今年1年間 非常にお世話になりました。本当にありがとうございました。
(報告者:米山未羽)