6月8日~6月15日【初夏合宿】北アルプス 涸沢定着

6月13日 奥穂高頂上にて (撮影:大谷直弘)

初夏合宿報告書

日本大学山岳部

目的 雪上技術・生活技術の習得
メンバーシップ・リーダーシップの向上
奥穂高岳の登頂
山域 北アルプス 穂高連峰
日程 平成30年6月8日(金)~平成30年6月15日(金)
移動1日、実働7日
メンバー 4年 CL.國谷良介、SL.髙橋佑太
3年 近藤歩、新保裕也、田邊カレン、福島端流
2年 氏神拓真、野上博史、原島千尋、前田雄飛、村上洋道、山田哲平
1年 喜多嶋拓海、袴田敏光、安田光助
OB 大谷直弘監督(12日~15日)
計15名

行動報告

6月8日(金)移動日

新宿駅(高速バス)~松本駅(ステーションビバーク)

6月9日(土)入山日 晴れ

松本駅(マイクロバス)05:45~上高地07:30~明神08:30~徳沢09:30~10:30横尾CS

15人でマイクロバスに乗り込み、上高地へ向かう。上高地で水を汲み、体操をした後、1年生のザックの背負い方などを確認して出発。1年生は初めての重荷に疲れを見せる者もいたが、順調に横尾に到着しテントを設営する。設営後は、キャンプ場の木を利用してFIX通過訓練、ロープワーク訓練を行った。

6月10日(日) 晴れ/曇り 8℃

横尾CS 05:13~06:30本谷橋~09:15涸沢BC

安田がコンタクトの着用に手間取り出発が遅れる。本谷橋まではほぼ雪無し。その先も残雪は数か所のみで、かなり上部まで夏道を歩くことができた。テント設営後、雪上 歩行訓練を行うも、小雨が降ってきたため2時間弱で終了し帰幕した。

6月11日(月) 曇り/雨 9℃

涸沢BC 09:00~雪上訓練~11:30涸沢BC

朝のうちは雨と強風のためテント内で待機。9時から雪上訓練を開始する。この日も歩行訓練から行うが、11時頃から再び雨が降り始めたため2時間程しかできなかった。訓練後、涸沢ヒュッテ様からカップ麺の差し入れを頂く。夕方からさらに雨が強くなり始めた。

6月12日(火) 曇り/雨 8℃

涸沢BC 06:15~雪上訓練~11:30涸沢BC

朝まで雨の予報だったため、計画より1時間遅らせて行動を開始する。この日は滑落停止訓練から行った。安田がなかなか止められず苦戦していた。その後、歩行訓練、FIX訓練を行っているところで雨が降り始めたので訓練を終了。終了と同時に大谷監督が涸沢に到着された。

6月13日(水)奥穂高岳アタック 晴れ 4℃

涸沢BC 04:30~06:40穂高岳山荘~08:35奥穂高岳~10:30穂高岳山荘~12:40涸沢BC

久々の快晴で絶好のアタック日よりである。斜面はそれほどクラストしておらず、しっかり蹴り込めば歩きやすかった。ザイテングラート上は雪が融け、夏道が出ているので、落石を避けるため夏道を進む。白出のコル直下は再び雪の急斜面となり、しっかりキックステップをきめて登りきる。穂高岳山荘到着後、國谷、近藤、村上でFIXロープを設置しに行く。出だしのハシゴと頂上直下の残雪に各1ピッチ張り通過した。

山頂で記念撮影をして下山を開始する。白出のコルからザイテングラートの夏道までは4ピッチ程ロープをのばして下降した。ザイテングラートを半分ほど下りた後、直下降の練習に夏道を外れて雪渓を下る。1年生も皆それなりに上手く歩行できているようだった。帰幕後は、雨で荒れた天場を移動し、快適なベースキャンプを作り直した。

6月14日(木) 晴れ 1℃

北穂高岳東稜隊(國谷-近藤-福島-氏神-前田+大谷監督)

涸沢BC 03:55~06:15ゴジラの背~12:00北穂高小屋~15:30涸沢BC

大谷監督も加わり、6名で東稜へ向かう。上部の雪渓までは所々夏道が露出していたので、夏道を利用して雪渓まで登る。ここから尾根上へは昨年と同じルートを取るが、最後の急斜面でロープを1ピッチ出した。

稜線に出てからゴジラの背までは北側の雪上をトラバースする。ゴジラの背は國谷がトップでロープを張り、FIXで通過した。残置ハーケンとピナクルから支点を取ることができる。終了点から少し進んだところで、残置の捨て縄を利用して10m程下の雪稜まで懸垂下降。昨年よりもかなり雪が少なく、この雪稜以降はほぼ雪が無かった。

北穂高小屋手前までの岩稜も、ハイマツやピナクルから支点を取りながらほぼロープを出して通過する。かなり時間がかかったが、バリエーションルートの経験の無い2年生には良い経験になっただろう。北穂高小屋で一息ついて下降を開始する。下り始めの急斜面も数ピッチFIXした後、落石に注意しながらBCまで一気に下降した。

雪上訓練隊

涸沢BC 06:00~雪上訓練~14:45:涸沢BC

4時に東稜隊を見送った後、再びテントでゆっくりし6時に雪訓場へ向かう。気温が低いためか、雪面が前日よりも硬い。雪訓場に着き、3つのグループに分かれてロープワークを行う。袴田、喜多嶋が要領良くこなせていたようだ。安田は繰り返し行うことによって、最終的には様になっていた。安田より早く全てのビレイを終えた二人は、もう一度支点から作り直し、いくつかビレイの確認を行った。

確保訓練で喜多嶋が肩がらみの際に右手を痛めた。このまま続けても悪化するため、大事をとって先に田邊とテントに帰らせ休ませた。13時頃からFIX通過訓練に移る。1年生がビレイとインクノットの付け外しを行い、2年生にロープを張ってもらう。2ピッチ分工作から回収まで行い、14時半過ぎにBCに帰幕した。テントに着き、喜多嶋の様子を確認した。大きな問題も無く翌日の訓練も出来そうであった。

6月15日(金)下山日 曇り 5℃

先発下山(髙橋、野上、大谷監督)

涸沢BC 05:58~07:37横尾~09:55上高地

本来5時発であったが、出発遅れのため1時間程遅れて涸沢を下山する。入山してきた頃よりも雪が溶けており、沢の流れが見えている部分もあった。スムーズに本谷橋まで下り、ここで一旦レイアリングを整える。横尾から時折休憩を挟み、2時間強で上高地に到着し行動を終えた。

本隊下山

涸沢BC 05:30~雪上訓練~涸沢BC 10:30~13:00横尾~15:30上高地

午後から翌日にかけて雨予報の為、午前中に雪上訓練を行ってから下山することとする。滑落停止訓練とFIX訓練を行い今合宿の訓練を終了。下山は幸いにも雨に降られることなく、順調に上高地に到着。小梨平の風呂に浸かり、帰京した。

総 括

台風の接近で天候が安定せず訓練時間が削られたが、幸か不幸か新入部員が少ないため、参加した1年3名は現段階で最低限の技術は習得することが出来たと思う。また、昨年は計画すらできなかった奥穂高岳に登頂できたことは、2年生にとっても良かっただろう。今合宿の新入部員の参加は3名に留まったが、合宿後から活動開始予定の1年生もいる。皆、これからも意欲的に活動していってもらいたい。

(報告者:國谷良介)

6月9日入山日~ターミナルから河童橋へ移動し本格的に行動を開始する

 

① 雪訓 6月10日~12日、15日(歩行訓練、滑落停止、FIX通過、確保訓練他)

涸沢BCから雪訓場に向う

雪訓場は前穂Ⅵ峰の基部にて行う~写真正面は前穂吊り尾根

雪訓~滑落停止訓練を行う1年生

雪訓~ロープワーク行う1年生袴田部員

 

② 奥穂高岳往復(6月13日)

奥穂登頂へ~ザイテングラードを目指す

ザイテングラードの基部を目指す

白出しのコル直下

奥穂頂上直下

奥穂高頂上

涸沢BCへ帰幕する

奥穂からの帰りザイテン基部でチョコッと雪訓

 

③ 穂東稜(6月14日)

北穂東稜へ~北穂沢を詰めて東稜へ取り付く2年生福島部員

北穂東稜に出ると大キレット、槍ケ岳を望むことができる

北穂頂上には北穂の小屋が見えるが、これから核心部の通過となる

ゴジラの背を通過する2年生前田部員~写真左後方は横尾谷と横尾尾根

アップザイレンで下降し上部雪稜にでる

北穂頂上到着~これから北穂沢を下降し涸沢BCまで戻る

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