8月5日 全員集合剱沢BCにて。(撮影:宝迫コーチ)
2016年度 夏山合宿(前半定着)報告書
日本大学山岳部
目的 | リーダーシップ・メンバーシップの向上 登攀技術の向上、雪上技術・生活技術の習得 |
---|---|
山域 | 北アルプス剱岳(剱沢定着) |
日程 | 平成28年8月2日(火)~8月8日(月) 移動日1日、実働6日 |
メンバー | 4年 CL水越健輔、SL加藤純 3年 岡本碩士、高根澤亮太 2年 荒井暢之、國谷良介、高橋佑太、中泉雄人 1年 川村洸斗、近藤歩、佐藤颯人、白土朝香、新保裕也、田邊カレン、福島端流、福吉晃樹、守屋勇希 OB 大谷直弘監督、賀来素直コーチ、宝迫哲史コーチ 計20名 |
行動報告
8月3日(水)入山日 くもり 12℃
水越、國谷、中泉、賀来コーチ、宝迫コーチ
05:30富山駅~08:50室堂09:30~10:10雷鳥沢~11:50別山乗越~12:30剱沢BC
2日に夜行バスにて新宿を出発し富山駅に到着、問題なく室堂に到着する。剱沢BC到着後、警備隊の方に剱沢雪渓の状態を聞き、平蔵谷出合から長次郎谷出合までが特に融雪が進んでおり、明日予定しているCフェースには取り付くことが出来ないことを確認する。代わりに明日は源次郎尾根へ向かうことにする。
8月4日(木)源次郎尾根 晴れ時々くもり 11℃
水越、國谷、中泉、賀来コーチ
剱沢BC04:30~05:25源次郎尾根取り付き~09:45Ⅰ峰~11:40剱岳~14:20剱沢BC
源次郎尾根取り付き200mほど近くまで夏道を進む。アイゼンを装着して、クレバスに十分注意して取り付きに到着する。Cフェースに取り付けないためか、我々の他に4パーティほどはいる。最初のⅢ級ほどの5m壁でザイルを出すが、この時点で渋滞してしまう。続く2段の5m壁でもザイルを出す。同じくⅢ級くらい。しばらく木登りが続き、Ⅰ峰手前で50mほどザイルを出す。最初が5mほどの岩壁で、トラバースの1手が少し緊張する。そこから急な斜面の藪漕ぎを40mほど強いられるルートであった。岩壁地点に残置スリングがあったが、もっと平蔵谷側に正規のルートがあったと思われる。渋滞で待たされた場面もあったが、順調にⅡ峰の懸垂下降地点に到着。30mの懸垂下降は2年生2人には良いスパイスになったようだ。非常に暑い1日で1人2Ⅼの水でも足りないほどであった。剱沢BC到着後、本日入山してきた他の部員、大谷監督と合流する。融雪のため今日から剱沢雪渓は全面通行禁止となってしまった。
8月5日(金)雪上訓練 晴れ 9℃
剱沢BC04:50~05:30剣御前小屋~06:05別山~07:30内蔵助カール14:20~16:10剱沢BC
内蔵助カールの雪の量が心配だが、計画通り雪上訓練へ向かう。途中別山頂上にて大谷監督から周辺の山域の概念を教えて頂く。内蔵助カールの雪はかなり少ないが訓練は問題なく出来る。歩行、滑落停止、FIX、1年生のロープワークを行った。途中大走りから入山してきた岡本、荒井と合流。雪上訓練を終えてBCへ帰幕する途中で白土の体調が悪くなる。剱沢診療所の方に診て頂き、脱水症状と高山病と思われるとのことである。2年以上は1年生がどのくらい水を飲んでいるのか目視で確認する必要があった。白土は診療所に宿泊させて頂く。
8月6日(土)雪上訓練 晴れ 11℃
剱沢BC05:20~05:55剣御前小屋~06:40別山~07:40内蔵助カール12:50~14:20剱沢BC
白土の体調は良くなったようだが、賀来コーチに付き添って頂きBCにステイさせる。他は雪上訓練へ向かう。昨日の内容を中心に行い、早めに帰幕する。1年生のロープワークもそれなりに形になってきたようだ。明日は剱岳本峰アタックとする。
8月7日(日)剱岳アタック 晴れ 8℃
剱沢BC03:50~04;25剣山荘~04:55一服剱~05:55前剱~09:00剱岳~12:00前剱~13:10一服剱~13:45剣山荘~14:20剱沢BC14:20
白土と体調の優れない守屋を大谷監督に付き添って頂き、BCにステイしてもらう。無数に光るヘッドランプに渋滞を覚悟して出発。剣山荘にてヘルメット、ハーネスを装着する。予想通りカニのタテバイなど鎖場では渋滞してしまうが、良いペースで進み剱岳頂上に到着する。30分ほど頂上からの景色を満喫した後、下山に入る。人数が多いこともあってかかなりの時間がかかったが、問題なく剱沢BCに到着する。
8月8日(月)奥大日岳、下山日 晴れ時々くもり10℃
剱沢BC06:00~07:00剣御前小屋~08:00新室堂乗越~09:50奥大日岳~11:30雷鳥沢
本日は源次郎尾根の予定であったが、剱沢雪渓が通行禁止となったため全員で奥大日岳へ行き、そのまま下山ということにする。新室堂乗越手前で新保が転倒し、膝を打撲してしまったため、新室堂乗越で大谷監督と待っていてもらうことにする。他は新室堂乗越に不要な装備をデポして奥大日岳へ向かう。剱岳本峰と違い登山客も少ないため、静かな登山が楽しめた。新保は空荷で歩かせて、室堂に下山した。
総括
剱沢雪渓の異常な融雪により、予定していた登攀は出来なかったが、天候に恵まれ雪上訓練、剱岳本峰登頂の目的は果たすことが出来た。しかし、今合宿を一言で表すならば張りの無い合宿であったように感じる。忘れ物をしたり、返事の声が小さかったり、体調不良者や怪我人(足の打撲)を出してしまったりと、短い合宿のなかで大きな反省を多々出してしまっている。全員で同じピークを踏む難しさを改めて感じた。もう一度、各学年の役割を認識してもらいたい。
(報告者:水越健輔)