↑ 6峰のフェース
2011年夏合宿報告書
日本大学山岳部
場所 | 北アルプス 剱岳周辺 |
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期間 | 平成23年度8月3日(木)~15日(月) |
メンバー | 3年L飯田祐一郎 2年関洸哉・横山裕 |
行動
8月4日(木)入山日 晴れ後曇り
室堂9:30発~剱御前小舎12:00着12:40発~真砂沢ロッジBC14:50着
予定よりも一本遅い電車にて電鉄富山を出発。剱沢はまだテントがすくない。真砂沢には、学習院・関西学院・日大理工学部がいた。
8月5日(金)雪訓 晴れ後雨
BC4:06発~長次郎谷出合4:36着4:51発~熊の岩5:55着6:38発長次郎左俣周辺7:15雪訓開始~下降開始10:42~BC12:20着
下級生がいない為、お互いを下級生とする設定の元、交互に訓練を行う。ロープワーク終了後fixを行い下山。
8月6日(土)4峰 曇り後雨
BC4:00発~長次郎谷出合4:32着4:45発~4峰取り付き5:44着6:30発4峰頭11:20着~3・4のコル13:09着13:29発~BC17:45着
6峰と間違え、4峰を登攀してしまった。雨の中のプラス草付登攀で、なかなか渋いものとなった。4峰の頭から本格的に雨が降り始めた。それに加えて下降は厳しいヤブこぎで、ルートファインディングも難しかった。最後はなんとか下降点を見つけ懸垂下降し無事下山をする。
8月7日(日)停滞 晴れ
前日の雨の中の登攀により装備が濡れていたため、停滞を決める。
8月8日(月)Cフェイス(剣稜会ルート) 晴れ後雨
BC3:30発~長次郎谷出合4:00着4:15発~5:33取り付き着~6:30登攀ん開始~6峰の頭9:50着~八ツ峰の頭13:30着13:55発~BC15:50着
取り付きに向かうと先行パーティーが1組いたため、出発が遅れる。毎ピッチ毎ピッチ渋滞でなかなか進まない。リミットぎりぎりで頭を出発し上半縦走を行う。八ッ峰の頭では写真撮影を楽しみ、下山。池ノ谷乗越しからの下りは雪渓が途切れ途切れになっており慎重に下る。
8月9日(火)停滞 晴れ
横山の体調が優れないので、停滞を決める。
8月10日(水)Dフェイス(富山大ルート) 晴れ後曇り
BC4:02発~長次郎谷出合4:32着4:45発~取り付き6:40着7:20発Dフェイスの頭10:30着12:40発~BC14:30着
出だしの3ピッチを1ピッチで登る。ガイドでは3ピッチと表記されているが、1ピッチで可能なようだ。(9ミリ60m使用)終始Cフェイスと似たり寄ったりな登攀で快適に進める。出だしの小ハングも大したことはない。天気がよかったのでDフェイスの頭にて乾かしものをしながらのんびりする。5・6のコルへの下降は一本でいくより、二本つなげて60mで降りたほうが確実である。(50メートルでも可)天場に着くと新たに立教と専修大学のテントが増えていた。
8月11日(木)三ノ窓BC 小雨後霧
BC5:37発~長次郎出合6:14着6:24発~熊の岩7:40着8:18発~池ノ谷乗越し10:25着10:46発~三ノ窓BC11:28着
この日は終始こい霧の中での行動となった。なので池ノ谷乗越しからの下降は落石に気をつけながら慎重に下る。三ノ窓BCは私達だけのテントがあるのみで、濃い霧のせいもありなんだか不気味だった。
8月12日(金)中央チムニーaバンドbクラック 霧後晴れ~曇り
BC6:50発~取り付き7:17着7:50発~チンネの頭11:58着12;40発BC13:40着
霧がはれて青空が見えてきたので行動を開始する。左方ルンゼの取り付きあたりから登攀を開始する。なので予定よりも1ピッチ多くなった。高度感はあまりないが、登攀自体はなかなか面白い。なるべく難しいルートを選び、チンネの頭までいった。お昼ごろからはすっかり晴れ、頭では気持ち良い時間を過ごす。テント場に着いてみると新しく3張りテントが増えていた。
8月13日(土)チンネ左稜線 曇り
BC4:30発~取りつき4:40着5:25発~チンネの頭11:10着11:50発BC12:35着
明るくなるのを待ち、行動を開始する。取り付きには先行パーティーが2組いた。1ピッチ1ピッチ支点で込み合う登攀となったが、前パーティーのクライマーと雑談しながらビレーを行う場面もあった。T5の支点では私達の後ろに3パーティーほど溜まっており、大勢の人に見られながらのハング越えは技術的な面とは別に、非常にやりにくかった。登攀自体は高度感があり、また心配していたハングもそれほど難しくなく、準備していたアブミも使用する事なく終わる。明後日の天候が確実でないので、予備日を使わずに明日下山する事を決める。
8月14日(日)下山日 晴れ後霧
BC5:55発~池ノ谷乗越し6:24着~剱岳8:25着~剱御前小舎13:20着13:34発~室堂15:01着
剱までの稜線は大したことなく、コンテで進む。しかし、剣の下りで大渋滞がおき大分時間のロスがおきた。カニのたてばい・よこばいだ。そのあとは順調にすすむ。計画書では稜線のまま剣御前に上がる予定であったが、クロユリの頭からの道がハイマツに覆われておりとても通れない。(エアリアでは一般者通行困難とあったが、もはや一般者でなくとも渋い道になると思う。)なので予定を変更しトラバースコースより剱御前小舎にあがる。そのあとは順調に下り無事下山する。
総括
今回はCフェイス・Dフェイス・中央チムニー・チンネ左稜線を登攀した。自分で計画しておきながらこれほどまでに自分たちのクライミングが剱に通用するとは思っていなかった。非常にうれしい誤算だ。そんな反面、6峰と間違え4峰を登攀したり、定時連絡を怠ったりと大きなミスも目立った。4峰の件に至っては、通常では考えられないようなミスであり、「何故?」や、「~たら・~れば」を挙げていったらキリがない。「高度計を使っていれば」・「支点はあったのか?」・「リッジは?」「6峰の地形のそれとの明らかな相違」。しかし、これらの疑問をもってしてもミスを起こしてしまった。全ては私の持っていた根拠のない「自信」がそれらの疑問を上回った事が元になり起こったと言える。(その他にもコミュニケーション不足等の要因はあるが・・・)今回は事なきを得たが、「これが冬山であったら?」・「北海道であったら??」そう考えるとゾッとする。このミスから得られるものは大きい。各々が考えた対策を元に、以後このようなミスは絶対に起こらないように山に登りたい。
冒頭にも書いたように、うれしい誤算もあった。それは3年生1人・2年生2人。合計3人というメンバー構成の中、源次郎尾根・八ツ峰縦走は行えなかったものの各々の力を最大限に引き出し登攀を行えた事だ。結果、Cフェイス・Dフェイス・中央チムニー・チンネ左稜線を登攀する事が出来た。今回出来た反省点を真摯に受け止めつつより高度な登山が行えるようにこれからも精進していきたい。