↑甲斐駒ヶ岳頂上
2013年度春山合宿報告書
日本大学山岳部
目的 | 縦走計画の遂行 |
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山域 | 南アルプス 鳳凰三山~仙丈ヶ岳~甲斐駒ケ岳 |
期間 | 平成26年3月11日(火)~平成26年3月19日(水) |
メンバー | 3年 CL山浦祥吾 2年 M賀来素直、宝迫哲史 1年 井上理、櫻井鈴音、水越健輔、山縣巧 |
行動
3月11日(火)移動日 新宿〜甲府
新宿BT 18:00〜20:00甲府
桧山、篠崎が見送りにきてくれる。甲府でステビバする。
3月12日(水)入山日 甲府~芦安〜夜叉神峠小屋CS1 晴 不明
甲府05:00~05:45芦安06:00~09:30夜叉神峠登山口10:00~12:15夜叉神峠小屋CS1
芦安以降は工事のため通行止めとなっており、タクシーは入れないので芦安から歩く事に。出鼻をくじかれた。ごちゃごちゃ言っても仕方ないので夜叉神峠まで歩く。スーパー林道に雪はない。登山口からアイゼンを装着し歩き出すが、櫻井のペースが上がらない。さらに1時間ほどで賀来の膝が痛み始めたようだ。荷物を抜き、痛み止めを飲ませ、夜叉神峠小屋まで歩かせるが、空荷でも痛いようだ。夜叉神峠小屋天場にテント設営し、賀来を宝迫、山縣に任せ下山させる。櫻井も調子が良くないので、下ろすか議論したが様子を見ながら慣れさせるしかないので連れて行くことにする。
3月13日(木)夜叉神峠小屋CS1〜苺平CS2 風雪 −6.0℃
夜叉神峠小屋CS1 05:00〜14:30苺平CS2
賀来がフェードアウトしたのでトップを水越に任せる。樹林帯を歩くだけなので櫻井の体力や雪の量から出発時間を全日程5時に早める。稜線は吹雪、樹林帯も大きく揺らされる。春の嵐か。トレースはほとんどなくズボ足、杖立峠を越えるとホワイトアウトなのでルーファイを徹底、全員で議論している。いいことだ。競争や議論の上に成り立つ安全やメンバーシップであって欲しい。とにかく体力勝負だが、今度は宝迫が少し疲れてしまったようだ。時間を見て苺平で幕営することにする。
3月14日(金)苺平CS2~南御室小屋〜鳳凰三山〜赤抜沢ノ頭すぎコルCS3 風雪 -8.3℃
苺平CS2 05:00〜13:00観音岳13:10〜17:30赤抜沢ノ頭すぎコルCS3
南御室小屋の積雪は175cm。稜線の雪は大した事はないが、宝迫、櫻井のペースがいっこうに上がらないので荷物を抜く。計画通りのペースにはならず、少し遅くなるが、風が強いので樹林帯まで下げたい。夜、櫻井が発熱する。明日は晴れなので進みたいが櫻井の様子も気になるため少し休養をかねて早川尾根小屋を目指す事にする。
3月15日(土)赤抜沢ノ頭すぎコルCS3〜高嶺〜早川尾根小屋CS4 晴れ -10.0℃
赤抜沢ノ頭すぎコル09:30〜16:45早川尾根小屋CS4
朝から晴れ渡っているが少し遅めに出発する。高嶺から白鳳峠への下りでザイルを1ピッチ出す。延々と樹林帯をラッセルし早川尾根小屋に到着する。
3月16日(日)早川尾根小屋CS4〜アサヨ峰〜仙水峠CS5 晴れ後風雪 -5.7℃
早川尾根小屋CS4 05:00〜11:30アサヨ峰11:40〜13:50栗沢山14:00〜16:10仙水峠CS5
晴れているが風が強く、早川尾根は雪庇が発達しているのでルート取りも慎重になる。途中、ミヨシノ頭手前で井上が雪庇を踏み抜き、5mほど樹林帯に落ちる。栗沢山から途端に立っていられないほどの暴風、ホワイトアウトになったので150m程山浦トップでゆっくりと下降する。樹林帯を下降するも仙水峠を抜ける風が凄まじかったので、駒津峰側の樹林帯を少し登りテントを隠す。皆疲れきった顔をしている。明日は晴れそうだ。甲斐駒ケ岳、仙丈ヶ岳は全員見きれないので、櫻井にはテントキーパーをしてもらうことにする。
3月17日(月)仙水峠CS5~甲斐駒ケ岳〜仙水峠CS5〜北沢峠CS6 晴れ 不明
仙水峠CS5 07:00~11:00 甲斐駒ケ岳11:10〜12:30仙水峠CS5 13:30〜14:30北沢峠CS6
登りだすも駒津峰付近で井上の膝に痛みが出る。前日に足を打ち付け腫れている。宝迫に井上を任せ、テントまで下ろしてもらう。頂上へは山浦、水越、山縣で向かう事に。直登ルートで登頂、頂上でテントキーパーに撤収を指示する。下山後撤収、北沢峠に移動する。積雪は150cm程。ラジオを聞いていると明日が春一番のようだ。日本海低気圧の前線がかすめ午後仙丈ヶ岳は荒れるだろう。井上の足は冷やしていたが痛みが引くまで2、3日かかりそうだったので、明日の仙丈アタックのメンバーは宝迫、水越、山縣、山浦に決まった。
3月18日(火)北沢峠CS6〜仙丈ヶ岳〜北沢峠CS6 晴れのち雪 −6.0℃
北沢峠CS6 05:00~09:50仙丈ヶ岳10:00~12:30北沢峠CS6
朝からガンガン進む。森林限界から赤旗を頂上までつなげる。9時頃まで晴れわたる。小仙丈ヶ岳すぎのやせ尾根に一本FIXしておく。この付近から空がめまぐるしくスピードを上げ前線が近づく。頂上付近はカリカリになっていた。宝迫がフラフラと不安定なのでスリングで確保しながら歩く。頂上で写真を撮りすぐに下山する。登りの時とは違う世界にいるようだ。休憩をとらず樹林帯まで駆け下りた。雪は夜、雨に変わった。
3月18日(火)北沢峠CS6〜戸台大橋 晴れ 不明
北沢峠CS6 05:00~13:00戸台大橋
ズボ足と河原歩きを経て問題なく戸台大橋に下山した。戸台大橋からタクシーで仙流荘に向かいお風呂に入る。さらに伊那市駅に送って貰い、駅前に1680円寿司食べ放題のお店があったので皆で100皿を頂き、帰京した。
総括
歩けば歩くほど味が出るような一本になったと思う。少しは生活力を高められたかと思う反面、細かい個々の反省は絶えず経験不足を感じさせる。計画は遂行に至ったが、より価値のあるアルピニズムを目指す為に課題の克服と更なる鍛錬を身につけ、油断せずに歩き続けよう。
報告:山浦祥吾