6月14日~6月21日【初夏合宿】北アルプス 横尾・涸沢定着

↑奥穂高岳山頂にて

2013年度 初夏合宿報告書

日本大学山岳部

目的 槍・穂高概念の把握、歩行・生活技術の習得、奥穂高岳登頂
山域 北アルプス 穂高連峰・槍ヶ岳
期間 平成25年度6月14日(金)~6月21日(金)
メンバー 3年 CL山浦 祥吾
2年 M賀来 素直、池田 祥子、金原 守人、須郷 直也、宝迫 哲史
1年 荒木 優一郎、櫻井 鈴音、林 和誉、桧山 泰平、水越 健輔、山縣 巧
OB 飯田祐一郎(コーチ)、関 洸哉(コーチ)、大谷 直弘(監督)
(CL:チーフリーダー、M:総務)

行動

6月14日(金)移動日

新宿23:50〜上高地05:30

6月15日(土)上高地〜明神〜徳沢〜横尾BC1 曇り後雨

上高地 06:20〜07:00明神07:10〜08:00徳沢08:15〜09:05横尾BC1

上高地に到着後、すぐに1年生の桧山のポリタンから水漏れがある事に気づく。山浦のものと交換し出発する。1年生の登山靴の履き心地を確かめながら、明神、徳沢、横尾BC1に到着。テント設営を行い、横尾BC1周辺でロープワーク実習に移る。FIX訓練中に大雨が降り出してきた。

6月16日(日)槍ヶ岳隊(2年パーティー) 横尾BC1~槍ヶ岳~横尾BC1 晴後曇り

横尾BC1 03:55~05:10槍沢ロッジ05:10~06:20大曲06:20~10:20槍ヶ岳山荘10:40~11:06槍ヶ岳11:15~16:30横尾BC1

周りはまだ暗いので、ヘッドランプを装着して出発する。隊員の体調は良好で、ペースは快調であった。ババ平を過ぎて間もなくすると雪渓となり、落石やスノーブリッジに注意しながら登って行く。天狗原分岐の辺りでメットを着用し、コンパスを頼りに直登していくと槍の穂先が見えた。よく晴れており、絶好の登山日和であった。しかし、殺生分岐を過ぎ槍ヶ岳山荘へ向かう途中で宝迫が体調不良を訴え、その症状を聞いた自分達は高山病であることを疑い、その場で水分補給と長めの休憩をとり、ペースを落として山荘まで向かった。山荘でも先程と同様の処置をとり、ハーネスを履き不要な荷物はデポする。宝迫の体調は必ずしもベストとは言えないが、先程よりも大幅に回復しており、本人にも絶対に行きたいという強い意志があったので、皆で相談した結果、槍へ登頂することに決めた。山頂まではほぼ全てが危険箇所であるため不安要素はあったが、宝迫本人は我々の心配をよそにしっかりとした足取りで登っており、無事登頂することが出来た。山荘へ下ったあたりから急に雲が出てきたので、早めに身支度を済ませ横尾BC1へ下山し、計画より30分早く帰幕した。

6月16日(日)蝶ヶ岳隊 横尾BC1~蝶ヶ岳~横尾BC1 晴後曇り

横尾BC1 05:00〜08:55蝶ヶ岳10:00〜11:30横尾BC1

槍ヶ岳隊を送り出し蝶ヶ岳に向け準備する。途中残雪が多く残っており登山道がわかりづらい。ルーファイ、キックステップを教えながら順調に登る。ガスの発生が予想されたのでペースを上げ、稜線に出ると槍から穂高が一望出来た。蝶ヶ岳ヒュッテで槍ヶ岳隊、徳本峠経由で入山のOB隊(飯田・関両コーチ)とシーバー交信をしながら下山する。横尾BC1到着後もう一度ザイルワークを練習していると飯田コーチ、関コーチが横尾に到着、槍ヶ岳隊も間もなく帰幕した。

6月17日(月)雪上訓練 横尾BC1〜本谷橋〜涸沢カール〜本谷橋〜横尾BC1 晴

横尾BC1 05:00〜08:55涸沢カール雪上訓練場14:15〜16:30横尾BC1

時間通りに体操し、出発する。本谷橋には橋がかかっており、皆いいペースで歩いていた。雪渓では一年が初めてという事もあり慎重に歩く。ヒュッテ手前から毎年恒例のダッシュをさせるが山縣、水越に二年が負けるという残念な結果と同時に一年のポテンシャルの高さにわくわくする。他の一年も大きく離されないよう頑張っていた。ヒュッテ周辺での積雪は例年通りかそれ以下、雪質も去年同様歩きやすい。前穂5・6のコルより下の雪渓で直登・直下降、斜登高・斜下降、滑落停止を行う。雪上歩行に一年が慣れ始めた頃、大谷監督と櫻井が上高地から入山して合流する。さすがに疲れたであろう櫻井は、それでも顔には出さなかった。監督指導のもと八の字歩行を行い、桧山が頭痛を訴えた為、桧山以外のメンバーで滑落停止訓練に入る。終了後、桧山を大谷監督と関コーチに預け、一足先に横尾BC1に下山する。

6月18日(火)雪上訓練 横尾BC1〜本谷橋〜涸沢BC2〜涸沢カール〜涸沢BC2 曇り後雨

横尾BC1 05:00〜10:30涸沢BC211:45〜12:00雪上訓練場14:50〜15:00涸沢BC2

涸沢への道のりでは昨日に比べ、既にシュルンドが広がり雪渓が崩壊し始めている。慎重にトラバースを繰り返しヒュッテに到着。到着するや否や雨が強くなる。テント設営後様子を見る事にする。そんな中、水越がテント内でロープワーク講義録の資料を黙々と読んでいた。午後になると雨が収まり始めたのでFIX訓練を行う事にする。二隊にわけ1ピッチずつ、合流して2ピッチ練習、この人数で行動、回収するまでで13:30。須郷、金原は安定しているように思えた。夜になると風が吹き荒れ、雨あしが強くなってきた。

6月19日(水)停滞 暴風雨

気温は高いが雨風が強い。一晩でかなりの雪渓が解け出している。叩き付けるような風が何度もV8を変形させた。一年生にはいい経験だと思い停滞を決める。本を読んでいた私にとっては有意義な時間だったがその他大勢は精神的に辛いようだった。天気図を練習させ、食事をしているとだんだんと天候は落ち着いてきた。

6月20日(木)雪上訓練 涸沢BC2〜雪上訓練〜涸沢BC2 雨後曇り

涸沢BC2 07:00~07:30雪上訓練場14:30〜15:00涸沢BC2

朝一上空は雲がかかっておりアタックには踏み切れず、雪上訓練を行う事にする。しかし、天候は今後、回復に向かうようだった。歩行訓練、滑落停止を行うが一年はかなり慣れたものとなっている。その後ロープワークを重点的に行ったあと、FIXを張りユマール通過させる。横尾で練習していたこともあり皆よく出来ていた。夜、寝ているところに二年から食料の一部を失くしたという報告をうける。

6月21日(金)涸沢BC2〜奥穂高岳〜涸沢BC2〜横尾〜徳沢〜明神〜上高地 曇り後雨

涸沢BC2 05:00~07:15穂高岳山荘07:25〜08:15奥穂高岳08:45〜10:10涸沢BC210:40〜12:40横尾13:00〜15:15上高地

桧山が体調不良を訴えたため、飯田OBと涸沢BC2に残る。予定通り出発し、一年は雪渓をいいペースでよく歩けている。穂高岳山荘で賀来、池田に偵察に行かせるが、雪は全くないようだ。南部の稜線にも残雪は少なかった。ザイルは出さず順調に登頂、槍が見えていた。写真を撮り下山、小豆沢は直下降、グリセードで降りる。山縣、水越はもうこれくらいでは何ともないようだった。下山時、先に下山した大谷監督の報告通り沢沿いは増水の被害が残っている。ヒュッテ関係者だろうか、登山道の修復に励んでいた。下山中に雨が強くなり、上高地に着いても本降りは続いていた。

総括

メンバーそれぞれのコンディションを把握でき、目的は達したようにも思えるが、淡白な山行になりがちだったように思う。これからはこの人数でダイナミックさとコンパクトさを両立出来るような山行を意識したい。

(報告:山浦 祥吾)

↑横尾BCにて

↑槍ヶ岳隊の登頂

↑涸沢へ

↑励ましあいながら登ります

↑涸沢カールでの雪上訓練

↑雪上の方向転換

↑滑落停止訓練

↑訓練を終えて

↑涸沢BC

↑奥穂を目指します

↑山頂に到着しました

 

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