8月21日~8月24日 【夏山縦走合宿】南アルプス 白峰三山

北岳山頂

山行報告書

目的
リーダーシップ・フォロワーシップの向上
生活技術の向上、歩行技術の向上
山域
南アルプス 白峰三山
日程

令和6年8月21日(水)~令和6年8月24日(土)

メンバー 3年 CL田畑
2年 黒木、曹、星野
1年 石川、侯、緒方、久保、本川、飯塚
OB+OGコーチ 國谷(8/24)、米山(8/21-23)
学生10名+コーチ2名 計12名

行動報告

8月21日(水) 入山日 晴れのち雨 24℃

巣鴨駅05:21〜08:09甲府駅09:05~11:00広河原11:25~14:30白根御池小屋CS1

 全員で部室前泊をして甲府駅まで電車移動を行なった。途中、新宿駅で携帯を忘れるなどのハプニングがあり、黒木部員、本川部員と分かれることになったが、無事全員が09:40までに甲府駅に到着することができた。甲府駅の広河原行きのバスチケットは当日乗車時の購入になるので、早い段階で列に並んだ。他の登山者は数名ほどで少ない。

広河原行きのバスは2時間近く揺られる。到着時にはかなりの部員がバス酔いで気持ち悪くなっており、あまり元気がない。パッキング、トイレ、体操等を済ませて広河原を出発した。また広河原インフォメーションセンターではゴミ箱がないので、ペットボトル等は事前に処分しておくといい。樹林帯の登りはかなり蒸し暑つく、汗が皆止まらない様子だ。単調な登りも疲れさせる要因だろう。暫くすると侯部員が気持ち悪さを訴えた。昨日睡眠不足であることと、バス酔いが尾を引いているようである。装備を減らし、長めの1本を取り体調が戻ってきた後、ストックを出してゆっくりと出発した。白根御池小屋に到着後は急いでテント設営を行ない、何とか降雨に間に合う事ができた。その後、18:30頃に米山コーチと合流して入山初日を終えた。

8月22日(木) 曇り 11℃

白根御池小屋CS1 05:00~北岳肩ノ小屋07:50~08:40北岳08:55〜10:05北岳山荘10:25〜12:30間ノ岳12:40~14:00農鳥小屋CS2

 食当は03:15に起床し準備に当たった。朝露でテントも大分濡れており、とても肌寒い。テント撤収、パッキングをスムーズに終わらせて時間通りに出発する事が出来た。引き続き樹林の登りが続く、沢沿いの登りは滑りやすくなかなか歩き難い。途中、飯塚部員が、胸が苦しいとの訴えがあった為、1本を取って休憩しSPO2を計測した。ゆっくりと休みを入れ、飯塚部員の装備を減らした。血中酸素濃度にも問題がなかった為、オーダーをトップの田畑の前に置いて様子を見ながらゆっくり進んだ。その後は苦しさもなく、大丈夫だということで安心した。

森林限界迎え稜線に乗ると一層、霧が濃くなり視界はとても悪い。北岳肩ノ小屋に到着し、トイレ休憩を挟んで出発。濃霧で視界が悪いせいか高度を感じる事もなく、あっという間に北岳のピークに到達してしまった。やはり視界が悪い時はより注意が必要だろう。頂上の展望は相変わらず無く、一時うっすら鳳凰三山の山影を覗かせただけだった。SPO2を計測し、写真撮影後ピークを後にした。日本で2番目に高い標高であったが、数値は全員90前後で問題はなかった。

北岳山荘までに道のりでは急な階段や滑り易い砂利道などが点在しており、慎重に下降を行なった。しかし山荘には10:05と計画よりも早く到着する事が出来きた。到着時には部員の体調、体力も問題無くなっていた為、明後日以降の天気を考慮して、計画を早めて農鳥小屋まで進むこととした。またそれに当たって農鳥小屋の水場の状況が不透明であった為、山荘で20Lの水を補充して出発した。

途中、補充したポリタンの水漏れが発覚したが順調に進み、間ノ岳に到着。以前、ガスっており展望はない。陽が出ていないので、過ごし易いが何とも惜しい気持ちだ。淡々とした道のりで口数も減っているのも明らかであった。間ノ岳の下り道は岩礫帯で緩やかな起伏が多く、現在地特定が難しい印象である。ここも滑らないように注意しながら、無事に農鳥小屋CS2に到着した。

徐々に空模様も悪くなっており、急いでテント設営を終わらせると、強い雷雨が始まった。間一髪といった所だ。暫く雷も鳴り続けており、テントから出ないよう待機を続けた。かなり天幕場の水捌けは良い印象だ。その後は止み、食事の準備を始めた。

反省会が終わった頃、明日の食当の水が足りない事に気づき、急いで山と高原地図で20分ほど降ったところにある水場まで汲みに行くこととなった。ヘッドランプを装着して、黒木部員、星野部員で向かった。実際は往復30分で行く事が出来き、道も良く舗装されていて歩き易いとのことである。事前に水の量を把握して、日が出ている内に向かうべきであった。また明日は明後日の天候が芳しくない為、雨雲レーダーや部員の体調を確認しつつ大門沢の水量が増さないうちに下山することを決め1日を終えた。

8月23日(金) 雨のち晴れ 8℃

農鳥小屋CS2 05:20~西農鳥岳06:21~農鳥岳07:40~12:25大門沢小屋CS3

 出発時、小雨が降っており、西農鳥岳の霧が晴れるまでテントを1張残し20分ほど待機した。撤収後は速やかに行動を開始。しかし西農鳥岳付近で本格的な降雨が始まり、急いで雨具にレイヤリングを整えた。隊としては雨の中での本格的な行動は初めてであり、体温低下や転倒に細心の注意を払いながらの行動となった。西農鳥岳のピークも濃霧で包まれており、すぐに頂上を後にした。

西農鳥岳後の稜線では大きなガレ場が続き、三点支持やクライムダウンを必要とする場面が数ヶ所か続く。農鳥岳が近くなると段々と霧が晴れ始め、展望が開いた。一気に太陽の光が差し込み、暖かくなってきた。本山行では初めて荒川岳などの西南側の山脈を望む事が出来、皆感動している。農鳥岳の頂上に到達すると、東側の斜面の下にある広く平坦な場所で1本を取った。富士山が美しく聳えている。頂上では一帯の地形概念を入念に確認し写真を撮影した後、すぐに出発した。

農鳥岳を下り始めると稜線を外れ、低い場所を歩いていく。円凹状の地形が多くあり、とても面白い。特に歩きづらい場所でもないので、すぐに黄色い鐘がある大門沢下降点へと到着した。下降を始めると、切れた沢のトラバースが現れ、1人ずつ残置ロープを掴みながら進んだ。斜面も急で湿った木の根や岩が続き、とても歩きにくい。何人かの1年生が転倒してしまい、慎重に進む。読図もかなり難しく、地形図以上に長く感じる道のりである。

大門沢小屋までおよそ標高差1,200mの下降を要する為、小屋に到着すると皆、疲労感が漂っている。小屋のスタッフに明日の天気と沢の水量をについて問い合わせてみると、明日の午前中は増水しないだろうという助言を頂き、侯部員の足首の状態も芳しくなく、奈良田発の最終便に間に合わない恐れがある為、大門沢小屋で一泊することとした。小屋周辺では携帯電話の電波も問題なく通じた。ここで米山コーチとは別れ1日を終えた。

8月24日(土) 下山日 14℃ 晴れ

大門沢小屋CS3 04:55~奈良田発電所09:00~09:35奈良田

 朝、03:30頃、奈良田から登って来て頂いた國谷コーチと合流し、出発の準備を始める。沢の増水は問題ない程度であった。天候は良かったが、滑らないよう慎重に通過した。林道に出るまで渡渉が数回続く。木の橋は大分朽ちており、斜めで通過し難い。細心の注意が必要である。斜面のトラバースも切れている箇所が多く、天候が悪ければかなり危ない印象だった。一泊休んで、下山をしたのは良い判断であったかもしれない。その後は順調に奈良田発電所を通過、バス停に到着して、行程を終えた。

 ふりかえって、睡眠不足の部員が多く体調管理の面で課題が残った。山での早寝早起に対応できず、眠れない部員が多い印象である。また1年生も1人、体調不良者が出てしまい山行に参加できなかった。今後は合宿前の下界での生活を見直し、生活リズムを山よりに寄せるなど、体調管理を徹底させなければならない。また、本合宿では平均ザック重量が17kgであり、とても重装備とは言えず、皆の疲労感を見ても体力があるとは言えない。冬山に向け更に体力作りを行っていきたいと思う。最後にお忙しいところ、参加ご指導を頂きました國谷、米山コーチにはお礼を申し上げます。

(報告者:田畑 天)

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