4月28日 唐松岳頂上にて
山行報告書
目的 |
ルート工作力の向上、雪上生活技術の向上、雪上歩行技術の向上
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山域 |
北アルプス 唐松岳・五竜岳
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日程 |
令和6年4月27日(土)~令和6年5月4日(土) |
メンバー | 3年 L.田畑 2年 黒木 OBコーチ 1名 学生2名+OBコーチ1名 計3名 |
行動報告
4月27日(土) 移動日 曇り 17℃
文京区千石(部室)〜13:00新宿駅14:00~16:39松本駅17:01〜18:40白馬駅19:30〜19:35白馬八方バスターミナル
令和6年度初めての合宿、緊張感と高揚感が漂う中、部室で装備の最終チェックを行った。予定より早く部室を出発し、新宿駅から松本駅まで特急列車「あずさ」に乗車、松本駅から白馬駅まではJR大糸線を利用し、白馬駅からバスターミナルまでは路線バスで向かった。乗り継ぎが多く大変な道のりであったが、そこまで混んでいなかったので良かった。バスターミナルの人気が引くのを待ち、21:30隅の方で仮眠を取らせて頂いた。
4月28日(日) 入山日 快晴 7℃
白馬八方バスターミナル07:00〜07:10白馬八方尾根スキー場(ゴンドラ利用)07:50〜08:30八方池山荘08:45〜八方池09:45〜丸山ケルン11:40〜12:40唐松岳頂上山荘CS1 14:10〜14:30唐松岳頂上14:50〜15:05唐松岳頂上山荘CS1
快晴の下、強い朝日に起こされる形で05:30に起床した。既に登山者もちらほら見えているおり、急いで寝袋をパッキングし、朝ご飯を食べる。その後、OBコーチと合流し、体操、ビーコンチェックを済ませ07:00にバスターミナルを出発。スキー場受付は既に多くのスキーヤー、登山者で長蛇の列が出来ており、もっと早く出るべきであったと後悔した。
八方池山荘に到着後レイヤリングを調整し、08:45に出発。日差しが強く気温も徐々に上がり、足を踏み出す毎に汗が吹き出てくる。公衆トイレ付近から雪が登山道に出始め、下ノ樺手前の斜面に差し掛かる所でアイゼンを装着した。尾根上はとても広く、トレースもしっかりあるので歩き易かった。唐松岳頂上山荘手前の雪渓のトラバースでは張ってあったロープを頼りに慎重に通過し、11:40に唐松岳頂上山荘に到着した。
天幕地は雪が少なく、土の上に張っている人が多かったが、雪上での天泊経験増やしたかった為、山荘の方に少し外れた場所にある雪の斜面を貸して頂いた。整地では雪面を削り出しテント分の広さの平地を作り、設営を完了させた。計画ではここで行程は終わりだが、時間があるので唐松岳アタックを行うことに決め、14:10に山荘をアタックザックで出発した。
一部雪の付いた場所があるくらいで、雪庇もなく、夏道もアイゼンを着用せず登る。14:30に頂上に到達すると、そこには素晴らしいパノラマが広がっており、西には立山、剱岳が観え、その雄大さに圧倒された。しばらく地図を開き、周辺の山々を確認した後、14:50頂上を後にした。15:05に山荘に到着し20:30に消灯した。
4月29日(月) 晴れのち曇り 0℃ 積雪240cm(五竜山荘CS2)
唐松岳頂上山荘CS1 05:35〜大黒岳08:40〜10:15五竜山荘CS2
昨日に唐松岳アタックを行うことが出来たので、五竜山荘へ向け05:35に出発をした。天気は昨日に引き続き晴れており、行動のし易い気温であった。大黒岳までの行程では鎖場が連続し、鎖にセルフを掛けながら慎重に進む。装備の重量や歩行技術の未熟さから通過にかなりの時間を要してしまった為、大黒岳を08:40に通過した。
大黒岳以降では雪庇に細心の注意を払い、時に藪を漕ぎながらの迂回となった。ルートファインディングを慎重に行いながら、基本はトレースに従って通過を行った。白岳への登りが本格的に始まると、夏道がしっかり出てきたのでスピードが上がり、10:15に五竜山荘に到着する事が出来た。
五竜山荘の天幕場は本来稜線の西側にあるが、積雪が無く、西側から風が吹くという明日の予報から、雪のある東側に設営を行った。風防ブロックの作成をしっかりと行い、テントに入る頃には徐々に曇り、風も吹き始めていた。明日は荒天の予報の為、停滞とし21:00に就寝した。
4月30日(火) 停滞 雨 7℃
予報通り、4:30起床すると雨が降っていた。小屋が遮っているお陰か、風は感じない。昨夜から続く雨により風防ブロックも大分溶けており、朝食後、修復を簡単に行うなどしたが、基本はテント内でゆっくりと過ごした。
5月1日(水) CS移動・訓練日 曇り 7℃積雪300cm
五竜山荘CS2 07:40〜白岳07:55〜09:10西遠見山CS3 10:50〜11:00 CS3付近雪訓場15:00〜15:15西遠見山CS3
起床し外を確認すると霧が濃く、小雨がまだ続いていたので、しばらくの間出発を見合わせ、様子を見る事とした。06:30頃に小雨が止んだが、霧が濃いので五竜岳アタックを断念し、西遠見山までCSを下げ、付近で雪上訓練を行う事とした。
撤収を終え、07:40に五竜山荘を出発した。白岳を巻いてトラバースするトレースがあったが、霧の濃さと雪崩のリスクを考慮し、頂上から稜線を辿って下った。雪庇に近づかないよう注意しながら進み、しばらくすると霧も晴れ出した。
09:00頃に西遠見山に到着すると広く、天幕跡がちらほらと見受けられた。頂上から少し下った場所に池塘があり、ツリーホールも少なそうであったので、その付近でテントを張った。 付近の斜面に向かい、雪上訓練を11:00から行った。初夏合宿に向け歩行訓練、ダイナミックビレイを再度復習し、1年生に指導を行う為にロールプレイングを行った。教える事の難しさを体感しつつ、自分たちの理解を更に深める事が出来た。明日のアタックに向け20:15頃、就寝をした。
5月2日(木)五竜岳アタック 晴れ 8℃
西遠見山CS3 05:45〜白岳09:10〜09:15五竜山荘09:25〜12:10五竜岳12:25〜14:00五竜山荘14:10〜15:50西遠見山CS3
4:00に起床し緊張感の中、出発の準備を始めた。外は昨日と打って変わって、気持ちの良いくらいに晴れている。05:45に天場を出発し昨日来た道を辿って行く。朝で雪面は引き締まっており、アイゼンをしっかり蹴り込みながら進んだ。白岳に向かう大きな雪渓でのトラバースに2ピッチFIXを張り、稜線に向かって登りで2ピッチFIXを張った。締まった雪に力を入れてスノーバーを打ち込んで行く。稜線に乗った後はクラックと雪庇に注意しながら09:10に白岳を通過し、09:15に五竜山荘へ到着した。
五竜山荘からしばらくは雪が付いていないので、アイゼンを外し進む。途中雪渓のトラバースが現れ再度アイゼンを着用し通過した。日が当たらず雪面の固い斜面でのトラバースからは、支点作成の困難さからOBコーチのリードでFIXを張っていただいた。冷たい風が吹き、待機時間はとても肌寒い。トラバースを過ぎると、雪の急斜面がそびえており、雪面に付いたトレースは辿らず左脇の夏道を進み、斜面途中からFIXを張った。斜面を上がり少し進んだ後、12:10五竜岳頂上に到達した。唐松岳同様、素晴らしい展望でとても感動した。
12:25五竜岳を後にし、下降を開始。頂上手前の雪の急斜面ではピナクルを支点に懸垂下降を2ピッチ行い通過した。その後のトラバースにおいても同様にロープを張り慎重に降りて行った。途中アイゼンを外し、五竜山荘に14:00に到着。その後は雪も柔らかく、時間も押していたので、白岳頂上からではなく山荘からトラバースしながら下った。雪崩のリスクがあったので間隔を広めにとり、素早く通過を行っていく。15:50に西遠見山CS3に無事到着し急いで天気図の準備を行った。帰幕すると、かなりの天幕が新たに張られており驚いた。明日は絶好の登山日和の予報、私たちは雪上訓練を行う事とし、21:00に就寝した。
5月3日(金) 訓練日 快晴 9℃
西遠見山CS3 05:50〜06:00 CS3付近雪訓場15:20〜15:30西遠見山CS3
朝から快晴で日差しも強く、気温もどんどん高くなっていく。06:00から雪上訓練を開始し、一昨日の復習でダイヤモンド歩行やジッヘルを1時間半、肩がらみ、腰がらみ等のダイナミックビレイを1時間半、そこから6時間近くをFIX工作、懸垂下降の訓練に当てた。
明日の午前にもう一度訓練を行う事を決め、21:00に就寝した。
5月4日(土) 下山日 快晴 9℃
西遠見山CS3 05:40〜05:45 CS付近雪訓場11:20〜大遠見山11:45〜中遠見山12:20〜小遠見山12:50〜地蔵の頭13:30〜13:40アルプス平駅
朝4:00に起床後、テントを撤収し雪上訓連場へと向かった。始めに肩がらみとジッヘルを行い、そこからFIXを登りに2ピッチ、トラバースに1ピッチ張り、懸垂下降を3ピッチ行った。昨日の訓練よりも練度が上がり素早く行う事が出来き、訓練の成果が見える。
11:20に雪訓場を後にし、下山を開始。雪庇に注意し、多くの登山者とすれ違いながら進んだ。途中ピークが3つ程あり、登り下りする行程が続き、体力を使う。大遠見山では沢山のテントが張られており、絶好の天幕ポイントであった。地蔵の頭を下るとスキー場に出、沢山のスキーヤーが滑降する中、道の傍を歩いた。13:40に無事アルプス平駅に到着し行程を終えた。
本合宿を振り返って、ルート工作力やルートファインディング力を、実践を通して伸ばせたと感じている。ピナクルや笹の束から支点を作ったり、雪庇や危険箇所を察知して迂回したり、地形の弱点を突いてルート見つけていく事を実際に行えたのは、何より成長に繋がったと思う。しかし、テント本体に穴が空いていたり、ペグをつけるループが無かったりとテントチェックの甘さも露呈した。また、どこでロープを出すのか、どれを支点として使用するかなどの判断力がまだ足りない。鎖場の通過にもかなり時間をかけてしまった。今回雪上訓練で学んだ事を活かし、今後も実践で伸ばしていけるようにしていきたいと思う。今回はGWという貴重な時間を私たちのために指導、引率して下さったOBコーチに厚くお礼を申し上げます。ありがとうございました。
(報告者:田畑 天)