山行報告書
目的 |
リーダーシップ・フォロワーシップの向上、冬季生活技術の向上
雪上技術・ロープワーク技術の向上 |
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山域 |
谷川岳 天神平
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日程 |
令和6年12月2日(月)~令和6年12月6日(金) 実働5日 |
メンバー | 3年 田畑 2年 CL黒木、SL星野(4日入山)、曹 1年 石川、緒方、久保 、加藤、本川、飯塚 OB・OG 賀来ヘッドコーチ、髙橋コーチ(12/3~12/5)学生10名+コーチ2名 計12名 |
行動報告
12/2(月) 移動・入山日 晴れ
部室04:00~巣鴨駅04:30~土合駅08:50~09:30土合口駅10:00~10:15天神平駅11:20~13:00天神尾根上BC
部室に前泊し、03:30に起床、04:00に出発した。巣鴨駅から土合駅まで問題なく到着。土合口駅で賀来ヘッドコーチと合流し、10:00にロープウェイに乗車した。15分後に天神平駅へ到着し、駅周辺でアイゼンを装着する。装着に慣れていない一年生は手間取っており、時間を要した。ロープウェイ前の準備の遅れも含め、計画より一時間以上遅れてしまう。
軽くアイゼン歩行時の注意点を説明し、BC予定地へ向かう。ラッセルを回避するため、昨年と打って変わって登山道よりアプローチを行った。
道中、曹が腹痛を訴える。どうやら食事直後のための腹痛のようで、ペースを落とし進んで行く。また、天神尾根へ乗る際に久保がアイゼンをパンツに引っ掛け破いてしまう。応急処置を施した後に出発、13:00にBC予定地へ到着した。
雪山におけるテント設営時の注意点を説明し、昨年と同じ場所にテントを建てる。V8の設営に少し手間取ってしまい、慣れが必要だと感じる。また、積雪が浅く、竹ペグを埋めるのに細引きを短くする工夫が必要だった。
設営後、一年生は初めてのことが多いのに関わらず水作りなど卒なくこなしていた。
12/3(火) 訓練日 晴れ -7℃ 積雪35cm
BC06:45~06:50雪上訓練場14:10~14:15BC
計画より訓練開始の時間が10分遅れてしまう。テントから出る時間、アイゼン装着の速さなど、短縮できる部分が多数見つかった。
合宿最初の訓練は歩行訓練から行う。直登からトラバース、ダイヤモンド歩行まで一通り教えていく。途中、石川が斜下降時にアイゼンでパンツを破いてしまうが、一年生は概ねしっかりと歩行ができていた。ダイヤモンド歩行後のジッヘル訓練では、新雪のため碌に滑らなかったが、夏定着ぶりに滑落停止の方法が確認でき良かった。三時間ほど歩行訓練を行った後、ビーコン捜索訓練に移る。
初の訓練のため、ビーコンに慣れるという目的でコース~ファインサーチの部分だけ行う。開始直後こそ手間取っていたものの、回数を重ねるうちにこなれていき、慣れるという目的はしっかり達成できたと感じる。
最後にfix工作・通過訓練を斜面脇の灌木沿いに行った。リード、ビレイヤー共に一年生のため、60mロープで七人が通過し終わるまでに70分ほど要してしまった。しかしその分、途中支点の吟味など、分かりやすい課題が見つかり訓練の甲斐があったように感じる。
途中、13時ころに髙橋コーチと合流した
12/4(水) 訓練日 曇り/雪 -5℃ 積雪35cm
BC06:35~06:40雪上訓練場14:00~14:15BC
今日は訓練開始時間に間に合うことができた。日中は雪が降ったり止んだりで、風も少し強かった。
始めに昨日の復習として軽く歩行訓練を行う。一年生は順調に歩行ができており、スパッツやパンツを破くということも起こらなかった。ただし、ダイヤモンド歩行の際、ピッケルの持ち替えをしている人としていない人がおり、どちらかに統一する必要があった。一時間ほどの訓練後、おおまかな流れを通してアバランチレスキューを行う。
自分のレスキューに関する知識が曖昧だったため、賀来ヘッドコーチより流れを指導していただく。実際に訓練を行ってみると、全員のビーコンがサーチモードになっていなかったり、急ぐあまり転倒するなど、問題点だらけであった。私自身もしっかりと内容を把握しているわけではなく、一年生とともに知識を身に着けていく形となった。繰り返し行ううちに速度は速くなったものの、まだ改善点が多く見受けられた。二時間ほど訓練を行った後にfix訓練に移った。
今回のfix工作は、2ピッチを連続して張る形であった。自分では初の試みであったためうまくいくかどうか心配であったが、基本することは同じ、ギヤ類の配分、リードとビレイヤーを誰にするかを考えておけば大丈夫であった。とはいえ工作・通過の時間は相変わらずのため、タイムを縮めることに努めていきたい。途中、四日入山の星野と迎えに行っていた田畑が到着した。
fix工作訓練後は肩絡みの訓練を行った。一年生は山での訓練は久々のため、最初は体勢を崩したりしていたが、繰り返すうちに感覚を取り戻したのか、掛け替えや制動のかけかたが上手になっていた。
12/5(木) アタック日 晴れ -10℃ 積雪35cm
BC05:50~熊穴沢避難小屋06:40~天狗の留まり場07:30~谷川岳肩ノ小屋08:20~08:30トマノ耳08:40~谷川岳肩ノ小屋08:45~天狗の留まり場09:10~熊穴沢避難小屋09:50~10:30BC
本日は谷川岳アタックを決行することにした。メンバーは一、二年生男子とコーチ二名。両コーチに一年生のケアをしていただく。
06:30発の計画であったが20分ほど遅れてしまう。アイゼン装着の遅さなども理由だが、自分の指示出し部分で遅れをとっていた。加えて、ひとつトランシーバーの調子が悪く、確認に時間を要した。次回からは下界でのチェックを抜かりなく行う。
BC出発後から、アイゼンを引っ掛けさせないよう注意喚起しながら進んで行く。熊穴沢避難小屋まで順調に到着。道中、久保は装備の赤旗が木にたびたび引っかかっており、歩き方に苦労していた。小屋で一本を取った後出発する。小屋の先は岩の露出している所が何ヶ所かあったため、転倒などに注意しながら歩行する。少し進むと森林限界に突入するが、予想より風は穏やかであった。森林限界から先は風か積雪の影響でトレースがかき消されており、なるべく足の沈まない道を探すのに苦労した。
ルートは連続的な登りであった。一年生がバテたりしないか不安があったものの、誰もバテることなく進むことができた。ただし、肩ノ小屋にて汗をかいた報告があったため、レイヤリング調整を促しておくべきであった。肩ノ小屋から山頂まではすぐに到着。我々が山頂に着いたタイミングで空が曇ってしまい、展望はあまり望めなかった。それでも、一年生は登頂に満足している様子であった。
山頂で記念撮影を済ませた後、下山を開始。柔らかい雪のため、軽快に下ることができた。道中、緒方がアイゼンをギヤのパワーロープに引っ掛け転倒したり、赤旗持ちの久保が遅れたりしたものの、怪我などはなく10:30に帰幕。整理体操を行った後、一旦休憩とした。
その後は撤収・設営訓練の予定だったが、ズルズルと休憩時間を延ばしてしまい、訓練開始が遅くなってしまった。貴重な訓練時間を無駄にしてしまい、反省している。訓練は、テント内で靴を履いていない状態からスタートした。開始の合図から急いで支度を行う。一年生のスポルティバのブーツは装着が簡単に行えるようで、自分より履くのが早い。
テントの外に出てまずは竹ペグを回収するが、雪がとても硬くなっており取り出すのに苦労した。撤収時間の大半をこれに要してしまった。全員のパッキング完了時点でタイムは70分ほどであった。各々反省点を共有する。遅くとも60分以内に終わらせられるよう、今後からは一層テキパキと動いていきたい。撤収の反省会の際に髙橋コーチが下山するということで、お別れした後設営に移る。
設営は、硬い雪に竹ペグを埋めるのと、V8はスペースを広げるため整地を行ったことで、少し遅くなってしまった。本来なら行う風防ブロックと堀の作成を考えると、もっと早く設営をしなくてはならなかった。
12/6(金) 訓練・下山日 曇り/雪 -11℃ 積雪35cm
BC07:20~07:30雪上訓練場11:00~11:40天神平駅
計画では本日は訓練の予定だが、12/7.8の悪天を考慮し下山することにした。
前日にテント撤収訓練を実施していたため、フライやポールの凍結は軽く、撤収そのものは円滑に進んだ。しかし、パッキングやその他の準備に時間を要し、予定より50分遅れの07:20に出発となった。準備の効率化が今後の課題として挙げられる。
出発後、賀来ヘッドコーチの指導のもと、ファインサーチの復習訓練を実施した。2班に分かれ、プローブの使用方法も併せて確認。08:30に賀来ヘッドコーチが先行して下山した後、FIX工作・通過訓練を行った。一昨日とは異なり、谷側に向かって左側の灌木沿いでの訓練となったが、スピードは依然改善の余地ありのタイムであった。
10:30頃より粉雪が降り始め、更に天候が悪化する恐れがあったため、FIX1ピッチ分で訓練を終了。装備を撤収し、ロープウェイに向けて下山を開始した。下山ルートは入山時とは異なり、田尻尾根の南東に位置する谷沿いをダイレクトに進む選択をした。
このルートは雪の深さが場所によって極端に異なり、さらに芝が滑りやすい状態であったため、滑る部員が散見された。ルート選定自体には問題はなかったものの、部員間での歩行技術や声掛けの重要性を再認識する結果となった。
11:00に天神平駅へ到着。大きなトラブルもなく全員が無事に下山を終えたことは良かった。
振り返って
昨年に続き今年も暖冬であり、雪が積もっているかも分からない状態で合宿を開始した。なんとか基本的な訓練は行えたものの、浅い積雪のためできなかった訓練が多くあり、その部分を今後いかにして補うが課題になってくると感じる。また、自分の指導力や、メンバーの体力など、挙げていくとキリがない反省点を改善していかなければならない。
今回の合宿で見えてきた反省を活かし、冬山合宿、ひいてはその先に向けて一歩一歩レベルアップしていきたい。末筆になりますが、お忙しい中参加してくださった賀来ヘッドコーチ、髙橋コーチに厚く御礼申し上げたいと思います。ありがとうございました。
(報告者:黒木佳太)