2009年度春山合宿報告書
日本大学山岳部
場所 | 北アルプス 笠ヶ岳 |
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期間 | 平成22年3月18日(木)~29日(月) 移動1日、実動6日、予備5日 |
メンバー | 4年 船田良 2年 CL高木大地 1年 SL飯田祐一郎、勝又健太 |
3月19日(金)雪のち晴れ
中尾高原口CS1 5:30~穴滝9:30~1690m先のコル手前CS212:10
撤収をすませて定時に出発を開始する。登り始めのトラバースの斜面には雪がないが濡れているため滑りやすい。少し歩くと雪がついている斜面がでてくる。その頃から飯田の足が止まるようになってきた。1時間ほど歩いたあたりから進んでいる方向がおかしいと船田が判断し、1年生を休ませて船田、高木で偵察を行う。偵察の結果、今いるポイントは大木場ノ辻西尾根1512m付近であり、登りすぎてしまっていたことがわかった。高木は穴滝の方に向かっていると判断していたので、今後の課題は読図である。ここで1時間のタイムロスをしてしまった。少し先にある川を靴を履いたまま徒渉する。しかしここで船田、高木が偵察中に穴滝を見つける。穴滝は2段になっており40mぐらいの高さがある。本来の徒渉地点は穴滝を過ぎたところなので、現地点は本来のルートではなかったことがわかり引き返した。本来のルートの徒渉をすませ、クリヤ谷沿いを行く途中に雪崩た跡があるので、ここを通過するときには注意が必要である。また錫杖沢も雪崩れていたのでここを天場にすることはできない。天場である岩小屋を見過ごしてしまったため、今日は広サコ尾根の1690m先のコルの手前で行動を終了する。テントを設営し終わった後に高木、飯田で広サコ尾根の1814m付近まで偵察に行った。飯田はこまめに地図とコンパスを使って読図をしている。クリヤ谷先の雪渓はのっぺりとした歩きやすい斜面ではあるが、視界が悪い時にはコンパスでの確認が必要である。この日は天気がよかったので乾かし物をした。
3月20日(土)晴れ
CS2 9:40~穴滝11:00~中尾高原口12:00
船田、飯田は食当のため高木・勝又・船田・飯田の順でテントを出た。テントを全員でたたんだ後、各自が自分の装備をザックにパッキングしている時に勝又が急いで斜面を下って行った。時刻は5時過ぎなのであたりはまだ暗い。下の方から下りて行った勝又のコールのような声が聞こえたため船田が聞き返すが勝又からは返事がない。戻ってきた勝又にどうしたのか説明を求めるとシュラフをなくしたと言う。この時、高木・飯田は斜面に背を向け自分のパッキングをしていたので勝又が走って下りていくのは確認していたが、事態の状況がわかっていなかった。転がったシュラフはコンプレッションバックに入れ濡れないようにビニール袋を2重にしてあるものである。転がった原因としては強風など突発的なものではなく、不安定な場所に置いてしまった初歩的なミスである。シュラフが転がった地形は20度くらいの緩い傾斜で、木が所々に生えている。朝は雪面が凍っており硬いのでアイゼンを装着し全員で捜索をはじめる。天場から60mほど下った所にシュルンドがある。勝又がシュラフを見失った地点から推測するにこのシュルンドに落ちた可能性が高い。シュルンドに下りてシュラフを捜索するが見つからない。下流へと続く横穴には木が引っかかっているので、このまま流れにのって下流へと流れていったとは考えにくい。その為、シュルンドよりも上流を捜索する。木の幹の周りの窪みや、勝又がシュラフを見失った地点よりも上流を捜索するが見つからない。なので、シュルンドよりも下流を捜索する。100mほど下り捜索したが見つからない。最初のシュルンドから40mほど下流に2個目のシュルンドがあった。1個目のシュルンドにあった木を押しのけ、2個目のシュルンドまで流される間に、途中で引っかかっている可能性があるので間40mの区間を掘る。スノーソーとスコップを使い掘った穴から顔を出し捜索するが見つからない。全部で5つの穴を掘ったが見つからなかった。この時点で捜索開始から4時間が経過。捜索終了を決定し、下山を開始する。
下山中CS2から500mほど下りた所に昨日見過ごしてしまった岩小屋を確認する。穴滝までシュラフを目で探しながら下りたが結局見つからなかった。