↑ 唐松岳、頂上
初冬合宿報告書
日本大学山岳部
山域 | 北アルプス北部 八方尾根~唐松岳 |
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期間 | 平成24年11月28日(水)~12月5日(水) |
メンバー | 4年 CL飯田祐一郎 3年 SL関洸哉 横山裕 2年 山浦祥吾 1年 池田祥子 賀来素直 金原守人 須郷直也 |
行動
11月28日(水)移動日 曇り
新宿~白馬町バスターミナル
予定通りに新宿を出発し、特に問題なく白馬町バスターミナルへと到着する。夜中の1時、2時頃になると次第に天気が悪くなり、山の方はひどく荒れていた。また、私達がステビバしたバスターミナルでも風が強く吹いた。
11月29日(木)入山日 曇り
八方尾根スキー場08:30~09:40ウサギ平09:10~14:20八方池BC
明け方になると天候は落ち着き、パッキングを済ませてゴンドラ乗り場を目指す。
ゴンドラ乗り場に着くと、山頂付近の風が強くゴンドラが動いていなかった。30分ほど係りの方の指示通りに待っていると、ゴンドラの運営が決まったようで入場が開始された。去年はゴンドラが動いておらず、ウサギ平まで徒歩での移動だったので非常に助かった。
ウサギ平からはリフトを使わず八方池を目指し行動を開始する。やはり例年よりも雪は多く、スキー場の斜面にはしっかりと雪がついていた。その一方で、八方池山荘からの登山道は思っていたよりも雪は少なく、脛ラッセル程度であった。テント場に着きしっかりとした風防を作る。
11月30日(金)扇沢雪渓にて雪訓 曇り時々晴れ
八方池BC06:30~08:00扇沢雪渓14:30~15:00八方池BC
出発時間が大幅に遅れての行動開始となった。扇沢雪渓には予定通りの行動時間で到着する。雪訓場までの道のりは終始膝下ラッセル程度であった。訓練は直登・直下降、ダイヤモンドをアイゼン、ワカンの交互で行い、その次にロープワークを行った。ロープワークではフカフカの雪での支点作りに戸惑うものの、動作や流れはスムーズに出来ており、一年生の成長を感じた。夜の反省会では出発時間の遅れが議題にあがる。
12月1日(土)BC周辺にて雪訓 吹雪後曇り
八方池BC06:15~丸山ケルン手前~09:30八方池BC11:00~11:10BC周辺15:20~15:30八方池BC
朝から猛烈な風が吹いている。予定では唐松岳往復であるが、厳しい気象条件となった。
様子を見ながらの行動を開始する。丸山ケルン手前の森林限界付近で引き返す事を決める。理由としては、ケルンより上は風をしのげる場所が唐松岳頂上山荘までないからである。
BC周辺に戻り天候の様子を見る。10時30分頃から天候が安定してきたので、テント内でビーコンの操作説明を再度行いBCにて雪訓を行う。初めにFIXを9ピッチ伸ばしFIXの再確認を行った。FIX訓練を終えると次はビーコン捜索訓練に取り掛かった。
下界では練習を行っていたものの、実地となるとやはり勝手が違うようで、悪戦苦闘していた。一番遅い者で、埋没者も掘り出すのに35分近くかかっていた。その流れで埋没訓練を行った。いかに捜索の迅速化が重要であるかを十分に理解出来たと思う。
12月2日(日)唐松岳アタック 晴れ
八方池BC06:10~08:55唐松岳09:10~10:50八方池BC11:30~11:40BC周辺14:20~14:35八方池BC
前日の悪天候とは打って変わって、綺麗な星空を眺めながらの行動開始となる。唐松岳までは特に問題点もなく行動を行う。頂上山荘では立教山岳部と会った。坦々と山頂を踏み、BCに戻る。ラッセルは終始膝下程度。BCに戻った所で時間が余っていたので雪訓を行う。FIX訓練を重点的に行い、12ピッチ程行った。BCに戻るとテントの整地を再度行い、風防も強化しなおした。夜の反省会では、なかなか改善されない出発時間の遅れについて、一年生は上級生からきつい言葉を受けていた。
12月3日(月)往復訓練 曇り
八方池BC06:05~八方池山荘~八方池~八方池山荘~八方池~BC周辺~14:00八方池BC
撤収をしてからの行動となった。八方池山荘にて関・賀来と別れる。往復組は引き続き行動を続ける。最初の一往復は全員で行い、二本目は飯田と山浦で須郷・金原を挟み、横山は池田と共に行動を行った。飯田・山浦組で往復40分、横山・池田ペアで55分ほどかかった。しばらく休憩をし、行動を続行する。予定では三往復であったが、予定を変更して三往復目を止め、八方ケルンまで一度降り、そこからツェルト搬送訓練を行った。
まずは八方ケルンから50mツェルトに包んだ要救を降ろし、さらに降ろした場所から八方ケルンまで一年生3人にて搬送を行わせた。八方ケルンでしばらく休んだのち、今度はBCまでツェルト搬送を行う。一年生はチームワークと体力強化を意識出来たと思う。
BC周辺にてゾンデ捜索を行い、本日の訓練を終了した。
12月4日(火)往復訓練 曇り後吹雪
八方池BC06:10~八方池山荘~08:30八方池BC
前日と同様に撤収を行ってからの出発となる。朝からガスが濃く、風も強い。様子を見ながら一往復目を行う。八方池山荘にて山浦と別れた。往復組はBCへと向かう。一回目の往復が終了する頃だんだんと天候が悪化し始め、時間はまだ9時前であったが天幕を決める。10時頃からは本格的な吹雪となり、テント周りの除雪を行う。風向きが変わったのか、除雪は一回ですみ、夜も風は強いものの雪は強くなかった。
12月5日(水)下山 風強い雪
八方池BC07:20~09:30ウサギ平
朝から風が強く、雪も多い。人数が少なさや、天候が悪い事もあり、出発時間が20分遅れる。ラッセルは腰程度まであり、多い所で胸近くあった。飯田と横山で交代しながら下山する。八方池山荘にて須郷のパッキングをやり直す。ここで隊を横山・池田・金原と飯田・須郷に分ける。横山組に先にいかせ、飯田組ペアはパッキングを直した後追いかける。
八方池山荘からはトップでのラッセルを一年生にも行わせた。黒菱平に着く頃には一年生はヘトヘトになっていた。黒菱平からはスキーヤーが多くいるので、一列になり慎重にゴンドラ乗り場を目指す。
総括
今回の合宿では、冬山に向けての訓練並びに冬山における体力、技術の最終確認を目的としており、一年の中でも非常に重要な合宿である。今回の合宿を振り返ってみると、後者の確認という面では非常によく行えた合宿であったと思う。しかし、前者の訓練という面では、しこりの残る部分がいくつかある。最大の問題点は、出発時間の遅れである。この問題は夏合宿から反省にあがっているが、一年生にはいっこうに変化が見られない。ここまでくると、今ある現状が彼らの限界なのかと、上級生も妥協しそうになってしまうくらいだ。正直、私自身は朝の5分程度なら行動自体にさほど大きな影響はないと考えている。しかし、それでいても、決められた時間に間に合わせる事の重要性には大きな意味があり、朝、出発時間に間に合わないという事は、その後の行動に対しての影響というよりも、決められた事を守れない。全力で物事に取り組めない。といった事と繋がってくると思う。ましてや一年生は、20分30分遅れるのではなく、5分や10分といった、努力次第でどうにでもなる遅刻をしている。これはまさしく、決められた事を守れない。全力で物事に取り組めない。といった事と同じであると思う。今の一年生は、技術による遅刻をしているのでははく、ハートつまり、やる気や精神的、そして物事に取り込む姿勢といった部分に問題があるように思える。これは、上級生の力にも限界があり、最終的には本人次第の問題となってくる。冬合宿に向けて、一年生は自分自身と深く向き合ってみてもらいたい。その反面、ロープワークは良くできていたり、FIXも実戦で行えるようなくらいにスムーズに行えていたりと、成長を垣間見る事も出来た。この成長が出発時間の遅れ等のミスによって隠れてしまっている事が残念でならない。一年生には、冬合宿に向けて何が足りず、何を補えばよいのかを、先ずは自分自身で考えてみてもらいたい。
冬合宿まで残り数週間、上級生と一年生、真剣に向き合っていきたいと思う。
(報告:飯田祐一郎)