2000年 ネパール 山岳部現役学生によるメラピーク峰(6,476m)登頂

ネパール メラ・ピーク 春山合宿2000

場所 ネパール・クーンブ山群 メラ・ピーク(6476m)
期間 平成12年2月15日(火)~3月14日(火)
メンバー 深沢(4年)、石川(2年)、加納(1年)、原澤(1年)、鳥居(1年)、OB 松本、監督 神埼

2月15日(火)

成田→バンコク

平山部長をはじめとする方々に見送られて、出発。成田からタイ航空でバンコクへ。 空港近くのラマガーデンホテルにて泊。バンコクは日本の夏のように蒸し暑かった。

2月16日(水)

バンコク→カトマンズ(1300m)

同じタイ航空でカトマンズへ。空港に着くと、荷物を運んでお金をもらおうとする子供たちに囲まれる。その子供たちを追い払い、THTの車に乗り込み、カトマンズ・ゲストハウスに向かう。到着後、タメルにて装備、食料、医薬品の買出しを行う。夜はTHTの井本OB、今回同行するシェルパたちと会い、話を聞く。今年は雪が多く、ザトルワラ峠にも雪があるのでは、とのこと。

2月17日(木) 晴

カトマンズ(1300m)→ルクラ(2800m)

朝、カトマンズからプロペラ機でルクラへ向かう。ルクラに着くと、周りの山が迫り、いよいよ来たなという気持ちになる。ルクラでは町を見て歩いたりとゆっくりと過ごす。

2月18日(金) 晴→雪

ルクラ(2800m)8:25発→11:1 5着トウッデインマ(3200m)13:15発→13:45着チュタンガ(3400m)

ザトルワラ峠の雪の状態を見るための偵察1日目である。ルクラからゆっくり進むが、登りが急でしんどい。途中、トウッデインマとチュタンガには人家がない。細かい雪が昼頃から降り始める。チュタンガ到着後、1時間ほど順化活動を行う。

2月19日(土) 晴→雪

チュタンガ(3400m)8:05発→10:10着イヤ・カルカ(4000m)10:30発→13:20着ザトルワラ峠手前(4260m)13:30発→14:30着チュタンガ(3400m)

偵察2日目。標高4000mに全員到着したが、目立った異常はない。イヤ・カルカからプラ靴、アイゼンを装着し、4260mまで行き雪の状態をシェルパとともに見る。現時点での雪の状態ではポーターの通行は無理との判断。昼からまた雪。ルクラに着いてから毎日同じ天候だ。

2月20日(日) 晴→雪

チュタンガ(3400m)8:20発→10:10着ルクラ(2800m)

今日で偵察は終了。所々雪がついており、滑りやすい。ルクラに到着後、井本OBと電話で偵察結果と今後の予定について話す。3時頃からまた雪。早く春になってほしいものだ。

2月21日(月) 晴

ルクラ(2800m) 滞在 神埼監督合流

神崎監督が朝、ルクラ到着。朝食後、メンバー全員で今後の予定を話し合う。その結果、ザトルワラ峠の通過はFIXすることで対応し、メラ・ピークへ行くことが決定する。

2月22日(火) 晴→曇

ルクラ(2800m)12:30発→15:35着チュタンガ(3400m)

今日からメラ・ピークへのキャラバンが始まった。シェルパ、コック、キッチンボーイ、ポーターを合わせて、30人以上の大部隊である。今回はゾッキョは使わずすべて人力である。我々は軽い荷でゆっくり行く。チュタンガは寒い。

2月23日(水) 晴

チュタンガ(3400m)8:30発→11:15着イヤ・カルカ(4000m)

今日もゆっくりなぺースで歩く。イヤ・カルカは朝の寒さとは程遠い暖かさだ。一度4200m地点まで皆行っているので、監督を含め高度障害を訴えるものはいない。2時30分から順化活動で4300m地点まで行って戻る。シェルパたちは峠へのルートをFIXして帰ってくる。

2月24日(木) 晴

イヤ・カルカ(4000m)9:15発→12:00着ザトルワラ峠手前稜線コル12:30発→13:30着イヤ・カルカ

今日は、順化と荷上げをかねて、ザトルワラ峠の手前まで往復する。ザトルワラ峠への急斜面には雪がついており、ポーターには危険なため、FIXしたうえで、今日と明日とで荷を分けて、軽い荷で行ってもらう。我々も一人10Kg程の個装を持つ。荷はザトルワラ峠手前の稜線のコルにデポする。皆、ゆっくりとしたペースで歩き、石川が苦しそうにしていた以外は大丈夫そうであった。

2月25日(金) 晴

イヤ・カルカ(4000m)8:30発→12:00着ザトワラ峠(4550m)12:30発→16:15着タシン・ディ

ついに我々にとって最大の懸念であったザトルワラ峠を越えた。昨日の順化活動のおかげでより早いペースで進むことが出来た。峠から先は南に面した開け場所で雪はない。チェトラブで休憩。そこからあと3時間も歩くと聞き、皆とっと疲れが出る。そこからトラバースの道を進み、標高が低くなるにつれて、かなりの積雪になっている。なんだか日本の冬山にいるような気になる景色だ。今日のキャンプ地は、タシン・ディンマまで40分程手前の沢筋の所で、雪を整地してテントを張る。

2月26日(土) 晴→曇→雪

タシン・ディンマ手前(3800m)9:00発→10:50着バガール(3460m)→12:30着コーティ(3650m)

今日の行程は、川に向かって下る道である。アップダウンが多く、雪もある。プラ靴を履いている我々にとっては難なく行けるが普通の靴しか履いていないポーターは下りに苦戦している。 川を下った所がバガールで、そこからすこし登り、沢の合流点であるコーティで行動終了。コーティはとても広く、テントが優に10張も張れる。
サーダーのリンジさんの話によると、ターナの氷河湖が2年前に崩壊し、川が氾濫したことでタシン・オンマの村は流されてしまったという。彼が5年前にこの辺りに来たときは、もっといい道があったのだそうだ。

2月27日(日) 晴→曇→雪

コーティ(3650m)9:20発→13:00着ゴンディサン(4150m)13:50発→ターナ(4360m)15:45発

コーティからしばらく歩くと、ついにメラ・ピークが我々に初めてその姿を現した。さらに3時間、河原を歩く、川から離れ広々とした所を行きゴンディサンで昼食。ここはクスム・カングルのベースキャンプになるところだそうだ。ターナへの道の途中には、テントが張れそうな場所が所々に見られる。ターナは10以上のロッジが立ち並ぶとても広い所だが、シーズンにはまだ早いため小屋の管理人の他は人がいない。
今日は、約半分の15人程のポーターが帰った。彼らは3日でルクラに帰るのだそうだ。

2月28日(月) 晴→雪

ターナ(4360m)滞在

今日は休養停滞日とする。朝、晴れ間が見えたのもつかの間、雪が降り出す。
一日中雪が降り続き、寒い。昼食にゆでたジャガイモも食べた。たいへん美味しかったが、皆、食後気分を悪くする。休養になったが心配だ、順化に関しては問題はなさそうだ。

2月29日(火) 曇→雪

ターナ(4360m)滞在

夜と明け方にターナ周辺で雪崩が起きた。サーダー、シェルパの意見もあり、行動はせず、停滞とする。午後になるとガスが出て来て、視界がまったくきかなくなる。

3月1日(水) 雪

ターナ(3460m)滞在

昨日の夜から雪が降り続き、終日雪で停滞。昼はサーダー、シェルパとで登山活動についてミーティングを行う。ターナ滞在も3日となり、順化も万全だが、さすがに飽きてきた。

3月2日(木) 雪→ガス→晴→雪

ターナ(4360m)9:50発→12:30着ディグ・カルカ(4500m)→14:30着カーレBC(5000m)

ターナから1時間程で今までの我々にとっての最高到達点であった4500m地点に着く。さすがに息苦しさを感じ、ゆっくりと歩く。途中、反対側斜面で雪崩が起きる。ディグ・カルカに着くと晴れ間が見え出す。この辺りは広大な平地が広がっている。さすがに息苦しさが増し、数歩歩くたびに深呼吸を繰り返す。
カーレは、多くの隊がベースキャンプにしているだけあって、とても広いところである。ただ一歩岩陰に行くと多くのゴミが捨てられており、心が痛む。
これでキャラバンは終わり、明日からいよいよ登山期間だ。あとは我々の力でやる番だ。

3月3日(金) 晴→ガス

カーレ(5000m)9:00発→14:40着メラ・ピークCⅠ(5400m)

今までで一番ではないかと思われるような快晴。神崎監督、シェルパ、コック、キッチンボーイ、に見送られ出発。ザックには個装、食料、装備がつまりズッシリと重く、高度も高いため、今まで以上にゆっくり歩く。それほど雪はなくガレた急斜面を登り、やや開けた所でアイゼンを装着する。ここでヒドンクレパス対策としてタイトロープで全員をつなぐ。トップはクライミングシェルパとして同行するツェリンさんがなる。雪の急斜面を登るとメラ・ラに到着する。
とても風が強いため、そこから下った地点にテントを張りCⅠとする。

3月4日(土) 晴

メラ・ラCⅠ9:00発→13:00着C2(5830m)

今日も雲ひとつない快晴だが、風は強い。CⅠにテント1張残し、使わない食料をデポする。
タイトロープで緩やかな、だだっ広い斜面をゆっくり登る。所々に小さなクレパスが見えるが特に問題はない。途中、エベレスト、ローツェ、マカルー、などの姿が見渡せる。
C2は、大きな岩の東側で、風がよけられ日当たりがよいとても暖かい所だ。

3月5日(日) 晴

C2(5830m)5:00発→10:40着メラ・ピーク山頂(6476m)11:05発→12:30着C2(5830m)

朝、5時星空の下、出発する。夜が明けると、雲ひとつない快晴。緩やかな登りが過ぎ、スノードームの南側の斜面を登り、山頂を目指す。時折強い風が吹き、耐風姿勢を交えて進む。
スノードーム脇の斜面を登りきると山頂が近くに見える。此処まで来ると息苦しさは最高値に達し、咳が止まらない。山頂への最後の登りは急で、1ピッチFIXする。それを登りきるとメラ・ピーク山頂。ついに我々はやり遂げた。メンバー、ツェリンさんと固い握手を交わす。
神埼監督とシーバー交信をし、メンバー一人一人の喜びの声を伝える。風が強い中、部旗、日の丸、ネパール国旗を掲げる。その後で「桜門山岳会・日大山岳部 万歳」と万歳をし山頂を後にする。C2についた時は、皆疲れきっていたので、C1へ下るのをやめC2泊とする。

3月6日(月) 晴

C2(5830m)8:45発→9:30着メラ・ラC1(5400m)9:40発→12:00着カーレBC(5000m)13:15発→15:00着ターナ(4300m)

C2を撤収し、下る。9:40分メラ・ラC1を撤収、ベースキャンプへ向かう。途中のガレ場を下ると神埼監督に迎えられ、一同握手を交わす。ベースキャンプではシェルパ達が歓待してくれた。今日はターナまで下る。明日からまたルクラへの長いキャラバンが始まる。

3月7日(火) 晴

ターナ(4300m)8:45発→9:30着コーティ(3650m)

メラ・ピークを登頂した事で順化が出来ており、ターナでも苦しくない。ここが富士山山頂より高いということを忘れてしまいそうだ。暖かい日差しの中、のんびりと下る。9:30分コーティに着く。ここには行きにはなかった茶屋が出来ており、ポーターが夜遅くまで酒を飲んで騒いでいた。また明日の行程が2日分の距離なので、ポーターが2日分の給料を要求してサーダーに詰め寄っていた。
ここコーティからはメラ・ピークが眺められる。我々がこの山行でメラ・ピークの姿を見るのもこれで最後だろう。「さようならメラ・ピーク」

3月8日(水) 晴→雪

コーティ(3650m)8:15発→15:25着チェトラブ(4300m)

雪は行きの時よりも減っている。一度川を下ってから、長い登りが続く。途中我々と同じくメラ・ピークを目指してキャラバン中の東京経済大学の人達と出会う。チェトラブ近くになると粉雪が舞ってくる。ポーターが全員着いたのが19時、雪の中、長い距離を本当にお疲れさまでした。今日はテントを張らずに、ロッジに泊まる。

3月9日(木) 晴→雪

チェトラブ(4300m)8:20発→10:00着ザトルワラ(4300m)→15:30着ルクラ(4300m)

今日は最終日。ルクラへ下る日である。朝は快晴だったものの、出発するころガスが出始め、ザトルワラ峠に着くころには雪が降り出す。ザトルワラ峠からの下りは雪がかなりついていて、ポーターをサポートしながらの下山であった。イヤ・カルカで昼食、これから先ははやる気持ちを押さえてルクラに下山する。17日ぶりのルクラは懐かしい。夜はお世話になったシェルパ、キッチンボーイ、ポーター達と慰労会を行い、一緒に酒を飲み、歌を歌い、踊ったりと楽しく過ごす。

3月10日(金)

ルクラ(4300m)→カトマンズ(1300m)

朝、プロペラ機でルクラからカトマンズに飛ぶ。久しぶりのカトマンズは、大都会の印象を受ける。カトマンズでの宿泊先はホテルヒマラヤ。ホテルで山行の汗を流す。夜、ネパール山岳会会長、井本OB,フリさん、ツェリンさん、と日本料理レストランで食事をする。日本料理は久しぶりに美味しかった。

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