西南カンテルートを終えて一息つく 右:米山 左:國谷コーチ
山行報告書
日本大学山岳部
目的 | ロープワーク技術の向上・実践 |
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山域 | 伊豆 城山 |
期間 | 令和4年5月20日(金) |
メンバー | OB L國谷良介コーチ 4年 米山未羽、柴田 亮 計3名 |
行動報告
5月20日(金) 晴れ時々曇り 25℃
8:40大仁駅~9:10城山登山口~9:26ショートルート基部9:51~10:23西南カンテルート取り付き(クライミング開始)~12:00 3ピッチ目終了点(懸垂下降開始)~13:50中央壁左ルート取り付き(懸垂下降終了)~13:53ショートルート基部~14:10ショートルートクライミング開始~16:00クライミング終了~16:35城山登山口 下山
① 西南カンテルート
各自大仁駅に集合し、出発する。駅から登山口までは徒歩25分。途中、城山の全貌が見え、「あれがこれから登る西南カンテルートかな」「つまり、あれが斜上バンドかな」「結構高いな」と、初めてのマルチピッチクライミングに胸を膨らませる。
9時10分、城山登山口着。入山。沢沿いの登山道を5分ほど進むと「ロッククライミングルート」と書かれた看板があるので、それに従って右へ進む。すぐに岩場に到着する。
ここは後で登るショートルートの基部だ。ヘルメットを装着し、装備を整え、マルチピッチに不要な物は残置して出発する。壁沿いの細い道を進むと、木々の隙間にボルトが複数打たれた箇所を発見する。懸垂下降時に通過する中央壁左ルート(5.10a)と推測される。実際その通りであった。取り付きまでの道中は浮石、腐った木が多いため足元に注意が必要である。途中にあったfixロープを伝って登り左へ進むと、開けた場所に出た。米山と共に西南カンテルートの取り付きを探す。しかし中々見つからない。事前調査不足を痛感する。少し奥に進み岩を見上げると、右奥にカンテ状の岸壁が見える。また、國谷コーチがfixロープを右へ進んだ所に取り付きらしき地点を発見する。少し行き過ぎたようだ。
10時23分、取り付きに到着する。付近の木にはオレンジテープが巻きつけてあった。ダブルロープのシステムを再確認した後、全て國谷コーチのリードでクライミングを開始する。
1ピッチ目(5.5)20m リード:國谷コーチ
逆層のカンテが取り付き。カンテの左側がスタート。5mほど登った所で右へ移動する。
手足のホールドは沢山あり、難なく通過した。終了点はボルトが4個、リングボルト2個。
2ピッチ目(5.5)20m リード:國谷コーチ
ハングを進むと木が生えたスラブとなる。1ピン目以降は立木で支点を作っていた。1ピッチ目終了点直上の、木と木の隙間にルートがあり、抜けて右に進むと終了。スラブ部分はほぼ階段で自分が落ちる心配はないが、土や枯葉の上に浮石が大量にあるため、落石を起こさないように注意が必要である。終了点はボルトが2個。広いテラスだったので水分補給をする。右下に懸垂下降1ピッチ目の終了点が見えた。
3ピッチ目(5.6)20m リード:國谷コーチ
小ハングを抜けてトラバースする。このハング部分が個人的な一番の核心であった。トラバースは、見た目ほど難しくない。足の置き場所は沢山あるので、ゆっくり確実に前進する。12時、クライミング終了。終了点はボルトが2個。ロープを結び変えた後、懸垂下降を開始する。
中央壁左ルートを懸垂下降。計4ピッチ。全て國谷コーチが先行。
1ピッチ目20m 支点:ボルト2個(西南カンテルート3ピッチ目終了点と同じ)
久々の懸垂下降で緊張しつつ下降する。
2ピッチ目50m 支点:ボルト2個
ロープダウンの時にしっかり遠くまで投げなかったため、途中で立木に引っかかってしまった。
3ピッチ目45m 支点:ボルト2個、リングボルト1個
ロープ回収の際、何かに引っ掛かっていたのか、ロープがとても重く時間が掛かってしまった。
4ピッチ目25m 支点:ボルト1個、名称不明のボルト1個
ダブルロープを2つ折りにして下降した。13時50分、懸垂下降終了。
小休止を挟み、國谷コーチにトップロープを設置していただき、ショートルートを2本登る。
② ショートルートの登攀
〇アミーゴス(5.8)
簡単だったが、暑い。城山は冬に登るべきである。
〇ジプシーマリー(5.10a)
ハング部分のホールドが少なく、難しい。リードの國谷コーチと柴田は巻いて登ったが、米山は果敢に挑戦していた。
ショートルートの登攀途中、落石に2回遭遇した。基部での残置時にヘルメットを着用したが、そこも落石の危険があるので登山口、もしくは「ロッククライミングルート」と書かれた看板の所で着用するべきであった。16時クライミング終了、撤収。16時35分下山。駅へ向かう。振り返ると先ほどまで登っていた城山が見えたが、何か知っている岩の形状とは違う。行く途中で、西南カンテルートだとか斜上バンドだとか推測していた箇所はさらに上方の二間バンド付近のことで、本当の西南カンテルートは手前の山に隠された下部の部分だった。壁は高い。今回の城山山行は、私にとって初めてのマルチピッチクライミングだった。
日和田山と鷹取山でのトップロープしか外岩経験が無かったため、支点の構築とその強度確認や落石対策の重要性を痛感した。また、今までは目標とするルートの挑戦のためには登攀技術の向上が肝心だと思っていたが、そのようなルートは危険かつ通過に時間が掛かる為、万一の時に、確実に素早く下降する技術の修得が最重要だと思った。ただジムに通い、単純に強くなることだけを目指していたが、これからは勉強や各種訓練にも時間を割こうと思う。お忙しい中、國谷コーチには計画作成段階からご指導頂きました。ありがとうございました。
(報告者:柴田亮)