8月25日 入山日 夜叉人峠にて~これから縦走が始まる
2019年度初冬合宿報告書
日本大学山岳部
目的 | 縦走計画の完遂、春山合宿に向けた偵察、歩行技術・生活技術の向上 |
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山域 | 南アルプス 鳳凰三山~赤石岳 |
日程 | 令和元年8月24日(土)~令和元年9月4日(水) 移動1日、実働10日、停滞1日 |
メンバー | 4年 L新保裕也、白土朝香(30日下山)、田邊カレン 3年 氏神拓真、野上博史、原島千尋、山田哲平(30日下山) 2年 川下景正、川田真人、喜多嶋拓海、山崎颯太 1年 相澤佳霖、小口巧、柴田亮、柳元希、米山未羽 計16名 |
行動報告
8月24日(土)移動日
新宿駅(高速バス)20:35, 21:25, 22:05~甲府駅22:45, 23:35, 00:15
部室に集合し新宿駅に移動後、高速バスで甲府駅に向かう。予定通り到着し駅で就寝。
8月25日(日)入山日 晴れ
甲府駅(路線バス)06:55~08:00夜叉神峠登山口08:20~09:40夜叉神峠小屋CS1
起床しバスに乗り込む。バスは2台来ており、1台にまとまって乗るように言われる。バスは予定通り甲府駅を出発し、一度休憩をはさみ夜叉神峠登山口に到着する。靴を履きトイレなど済ませ出発する。ペースはゆっくりで勾配も緩いが気温が高く暑い。のんびり歩いているとすぐにCS1に到着する。天幕地は虫が多い。水場は往復30分程の場所にある。明日からの行動に備え一同のんびりと過ごす。
8月26日(月)曇り時々晴れ 13℃
夜叉神峠小屋CS1 05:00~09:50南御室小屋~11:50薬師岳~12:25観音岳~14:00鳳凰小屋CS2
テントを撤収し計画通りの時刻に出発する。小口が疲れ気味ではあるが、良いペースで進む。苺平付近で相澤に高度障害と思われる症状が出る。頭痛薬を飲んだり荷物を減らしたりと言った対処を行い、気分が少し良くなったところで出発する。その後は問題なく進むことができた。計画よりも少し早くCS2に到着、テントでしばしのんびり過ごす。鳳凰小屋のテントサイトには石がまったく落ちておらず、テントの固定にはペグが必須である。尚、ペグハンマーは小屋から借りることができた。
8月27日(火)晴れのち曇り 6℃
鳳凰小屋CS2 04:55~05:50地蔵岳~07:20高嶺~08:20白鳳峠~09:50広河原峠~11:00早川尾根小屋CS3
計画通りの時刻に出発し、森林の中を進みしばらくすると砂地の登りが現れる。米山はかなり疲れている様子だが頑張って登りきり、快晴の地蔵岳に立つ。その後は順調に進み、広河原峠の手前まで来たところで相澤が不調を訴える。相澤、氏神、新保は本隊を離れ昨日と同じように対処し、しばらく休憩してからゆっくりと進む。無事CS2に到着し、午後はのんびりと過ごす。
明日は停滞前線の通過のため、落雷の可能性があるようなので停滞とする。
8月28日(水)停滞 風雨 8℃
停滞。尾根から少し下り、更に木々と小屋に囲まれた天幕地なので風雨の中でも快適である。
明日は朝から天気が回復していく予報のため、出発を計画より1時間遅らせることにする。
8月29日(木)霧のち晴れ 10℃
早川尾根小屋CS3 06:00~09:05アサヨ峰~11:25栗沢山~13:10長衛小屋CS4
打ち合わせ通り6時に出発する。しばらく樹林帯を進む。アサヨ峰手前で森林限界となり、稜線に出ると霧も濃く風もある。1年生は初の悪天候の中の行動だ。しかし皆元気な様子で何よりである。栗沢山手前の7m程のクライムダウンが霧で岩が濡れて滑りそうだったためロープを出してFIXする。待機中に冷えそうだったためレインウェアを着させるが、山田がレインウェアを忘れたことがここで判明する。雨が降っているわけではないので、4年が持ち込んでいたウィンドシェルで凌ぐ。栗沢山を過ぎた頃、急に雲が切れ青空が覗く。CS4に到着後はのんびりと過ごす。長衛小屋周辺では携帯の電波は入らないが、太平山荘へ向かう途中の道路で、天候に依っては入ることを小屋番の方に教えていただく。天幕地から20分程歩いた所では確かに電波が入った。
8月30日(金)一部メンバー下山 雨のち風雨 13℃
長衛小屋CS4 05:00~07:40小仙丈ヶ岳~08:50仙丈ヶ岳~09:20大仙丈ヶ岳~11:45伊那荒倉岳~11:55高望池CS5
1年生達はここで下山である。上級生だけで出発し、かなり良いペースで標高を上げていく。森林限界を越えるくらいで雨脚が強まってくる。止まると冷えるため程々に休憩を入れながら黙々と進む。仙丈ヶ岳を越えると更に風も強まってくる。荒天にも関わらず5組程の登山者とすれ違い驚く。かなり濡れ、体も冷えてきたので両俣小屋まで行くことは諦め高望池で天幕し、装備を乾かし体を温める。
明日は午前中に徐々に天気が回復していく予報だ。一先ず出発を1時間遅らせ、天候を見て出発することとする。
8月31日(土)曇り時々霧 10℃
高望池CS5 08:00~09:20野呂川越~12:20三峰岳~13:30熊ノ平小屋CS6
起床し天気予報を確認すると8時頃から良くなってきそうだったため、前日決めていた通り8時に出発し間ノ岳には寄らず熊ノ平小屋に直行とする。テントを撤収し曇り空の下出発する。快調に進み三峰岳の下りに入る。しかし、下り始めてしばらくすると、先頭の川田がバツ印の書いてある道に進みそうになり油断は禁物である。その後は問題なくCS6に到着した。連日の悪天で登山者はおらず、天幕地は貸し切り状態である。
9月1日(日)曇り時々晴れ 8℃
熊ノ平小屋CS6 05:00~09:00塩見岳~11:30本谷山~12:00三伏峠小屋CS7
計画通りCS6を出発する。天気も良く、かなり良いペースで進んでいく。塩見岳の登りに入り、先頭の喜多嶋はガレた登りをより歩きやすいルートを探しつつ進んでいく。塩見岳頂上までは山と高原地図記載のコースタイムの7割のペースで来られている。塩見岳の下りは落石に注意しながら進む。少々疲れが見えるが、最後まで良いペースで歩き終え、三伏峠に到着する。午後はのんびりと過ごす。
メンバーの歩行能力を鑑み、明日は計画よりも先に行くことを目指すことにする。
9月2日(月)曇り時々晴れのち霧 10℃
三伏峠小屋CS7 04:50~05:40烏帽子岳~06:55小河内岳~08:35板屋岳~09:30高山裏避難小屋~12:05荒川前岳~13:05荒川小屋CS8
計画通り出発する。今日もコースタイムより早いペースで歩けている。先頭の川下のペース調節も適切で疲れず歩ける。小河内岳避難小屋は冬季の避難小屋として開放されている。入り口は2階。順調に本来の天幕地である高山裏避難小屋に到着し、昨日決めていた通り次の天幕地を目指すことにする。高山裏避難小屋は無人の避難小屋として開放されている。入り口は2階。小屋からすぐの所に昨年付けたと思われる日大山岳部の赤布が4枚ある。ペースを乱さず荒川前岳まで登りきり、荒川小屋を目指して下降する。テントサイトに到着してすぐ通り雨に遭い、ずぶ濡れになる。テント内で装備を乾かしながら過ごす。
9月3日(火)晴れのち曇り 9℃
荒川小屋CS8 05:00~05:55荒川中岳~07:00悪沢岳~09:00荒川小屋CS8~11:30赤石岳~14:10赤石小屋CS9
まずは悪沢岳を目指し出発する。不要な荷物をテントに置いてきた為足取りは軽い。天気も良くあっという間に悪沢岳に到着する。山頂は千枚岳方面から上がって来た登山者も居り混雑している。笠雲をかぶった富士山を見物し下降する。テントを撤収し、今度は赤石小屋を目指し出発する。荷物が増えてもさほどペースは落ちない。良いペースで小赤石岳・赤石岳を登り、下降を始める。川下がひどい靴擦れをしているようで辛そうだ。頑張って歩ききり赤石小屋に到着する。
9月4日(水)下山日 晴れ 8℃
赤石小屋CS9 05:00~08:30椹島~12:00赤石温泉白樺荘
計画通り出発しひたすら標高を下げる。荷物も軽くなり軽快に歩いていく。2回休憩を入れ、椹島に到着する。準備を整え、赤石温泉白樺荘を目指して歩き始める。しかし2km程行った所で、バスに乗らないかと声を掛けられた。ご厚意に甘え乗せて頂き赤石温泉白樺荘に到着した。
振り返って
1年生は、重荷を背負っての縦走・悪天での行動を経験でき、力が付いたのではないだろうか。挨拶・返事も剣沢の合宿よりできるようになっており安心した。1年生下山後、2年生は全員が先頭を経験したり、今後の行動計画を考えたりする良い機会に恵まれただろう。また、合宿の目的でもある積雪期の偵察という視点で行動ができていたと思う。3年生は装備・食料の管理、休憩する場所の選定、ペース調整などリーダー的な振る舞いができていたと思う。下級生が途中で下山する変則的な合宿ではあったが、それぞれが目標を設定、行動し良い経験ができたのではないだろうか。
(報告者: 新保裕也)