2019年度 GW合宿報告書
日本大学山岳部
目的 | メンバーシップ、リーダーシップの向上 春山合宿に向けての偵察、生活技術の確立 |
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山域 | 白毛門~巻機山 |
日程 | 平成31年4月27日(土)~令和元年5月1日(水) 移動1日、実働3日、停滞1日 |
メンバー | 4年 CL福島端流、SL川村洸斗、近藤歩、新保裕也、田邊カレン 3年 氏神拓真、野上博史、原島千尋、前田雄飛、山田哲平 2年 喜多嶋拓海、山崎颯太 計12名 |
行動報告
4月27日(土)移動日
部室(巣鴨駅)14:14〜18:00土合駅
初めての土合駅。暗いトンネル内のホームから、果てしない長さの階段を登るとようやく改札にたどり着く。外は大荒れの天気で、駅構内には他に3パーティーほどいた。改札前の広いスペースで寝ることにする。風の音が妙に不気味で、あまり寝付けなかった。
4月28日(日)入山日 曇りのち晴れ 3℃ 積雪200㎝
土合駅05:00~9:45白毛門~10:50笠ヶ岳~11:00笠ヶ岳避難小屋CS1
出発時の朝はすでに明るい。登山道に入るとすぐに雪が出てきた。私たちの他に2、3パーティー程先行しており、その中には巻機山まで行く登山者もいた。森林限界までの樹林帯は、急登が続く。昨日の雪の影響か、積雪は多く、標高約1,000m付近からアイゼンを装着する。森林限界を越えて稜線に出ると、東面側に雪庇が大きく張り出している。
白毛門手前の急登から、新保が足の攣りを訴え始める。時々止まっては足を伸ばすの繰り返しで隊のペースは遅くなる。白毛門頂上手前の岩場は、鎖が出ていて危険だが、右の雪道から迂回できたので、そこから慎重に通過する。
笠ヶ岳の登りでも新保の足の攣りは治らず、隊のペースが上がらない。他の隊員にも疲労の様子が見られたので、予定していた朝日岳よりも手前の笠ヶ岳避難小屋CS1で行動を終了することにした。天気が良いだけに残念だ。避難小屋は、大人3、4人くらいが入れるくらいの大きさで、中は熱気がすごかった。
4月29日(月)晴れ -3℃ 積雪55㎝
CS1 05:00~06:54朝日岳~08:00大烏帽子山~09:15檜倉山~10:00檜倉乗越~11:45柄沢山~12:00柄沢山過ぎCS2
この日は、今合宿一番の晴天。朝日岳から先はバリエーションルートだが、先行している登山者のトレースがくっきりと残っている。積雪量がある程度あったので、藪漕ぎや踏み抜きは少なく、順調なペースで進んでいく。途中、先行していた登山者に檜倉山で追いつき、挨拶を交わす。檜倉乗越から柄沢山までの稜線では東面側に雪庇が発達しており、気温も高かったので細心の注意を払う。川村が雪庇の様子を見て先行しながら,慎重に通過する。柄沢山を過ぎてコル付近のハイマツ沿いにテントを張り、風防ブロックを作った。明日は、1日中荒天が予想されるため、停滞とする。
4月30日(火)停滞日 暴風雨 2℃ 積雪30cm
昨晩から続く雨と強風で風防ブロックが壊れるが、湿った雪質的にブロックが作れない。まもなく、暴風雨によってV8テントのフライシートのバックル部分などが破損し、使用できなくなった。ツェルトなどを活用し、何とかやり過ごす。フライシートなしの本体だけでは、今後の行動が困難と考え、明日エスケープルートより下山することを決断する。
5月1日(水)下山日 曇りのち雨 0℃
CS2 04:54~07:30米子頭山~09:20巻機山~10:00ニセ巻機山~11:45清水口駐車場
昨日の荒天がうそのように穏やかな朝だ。テント場付近の雪は、雨でだいぶ融けていた。出発してすぐに向かうはずだった越後三山が見える。米子頭山手前のピークは、雪の状態が悪く、急なハイマツ帯のルートから登ることにした。念のためここでFIXロープを1ピッチ張る。通過に少々時間はかかったが、登山リーダー研修会前の2年喜多嶋には良い確認の場となった。
巻機山の山頂付近は広く平らで、悪天時などは道迷いになりそうだ。井戸尾根の下りでは、東農大山岳部のパーティーに出会い、挨拶を交わす。これから上級生だけで白毛門まで縦走するらしく、ルート状況などを伝える。清水までの下りは急登が多く、最後まで気が抜けない。雨が降り始める中、清水口駐車場に無事到着する。
ふりかえって
今回のような結果になってしまったことは、非常に残念であり悔しい。対策はしていたが、他にできることはあったはずだ。行動予定やテント設営地の判断など、私のリーダーとしての未熟さを感じた合宿であった。今回の教訓を全員で共有し、考察することが重要である。 他にも体力不足や意識面での課題はあり、まだまだこれからである。
(報告者:福島端流)
合宿に寄せて
本合宿の計画は実働6日、予備日3日の予定で白毛門から巻機山を経て下津川山、丹後山、中の岳、越後駒までの縦走計画であった。5月のGW合宿は冬山合宿や翌年の春山合宿の偵察などに組み込むこともあるが、今回はアルプスを離れて静かな山域を思いきり縦走するのも魅力的と考え、当該山域選定とコース設定となった。
また、このルートは無雪期には水の補給や登山道の関係で採用しにくいが、残雪期にこそ可能にならしめるルートだ。普段は入り込めない山域、他の登山者とも行き交うことも少なく大学山岳部ならではのルートと色々な面で期待も大きかった。上越から越後に続く白い稜線にかけた思いは、残念ながら一晩で吹き飛んだ。それでも巻機からその先に伸びる稜線を目の当たりにした部員からは“確かに良い稜線だ”と感じてくれたようだった。そぅ思って貰えれば何よりの救いだ。
良い稜線だから…そぅ、また別の機会にチャレンジしてもらえればと思う。
(監督:大谷直弘)