2002年 夏山合宿後半分散  吾妻連峰 中津川本流

期間: 平成14年8月9日(金)〜8月13日(火)

メンバー: 鳥居4、SL 伊藤3、 岩崎1

場所: 福島県吾妻連峰 中津川本流遡行〜西吾妻山〜安達太良山〜奥岳の湯下山

計画概要

地図 

89() 晴れ

出発7:00〜白滑八丁最後の釜9:30〜魚止滝11:00〜観音滝手前BP15:30

 中津川レストハウスを出発し、5分程遊歩道を歩くと入渓点に達する。美しい。白く輝く岩の間を、透明な水が泳いでいる。入渓して間もなく、谷がU字型に侵食された白滑八丁が現れ、しばらく続く。ここは両岸をフリクションを利かせて快適に歩く。最後に釜を持った小滝が現れて、左岸のナメを歩くが滑ってドボン。次に空荷で縁を泳いでの突破を試みるが、流れに戻される。そうこうしていると、後から社会人らしき3人組が追いつき、手馴れた感じでフリクションを利かせて突破した。結局僕等は空荷で岸を歩き、後からロープでザックを引っ張り上げて突破した。

 それからは1時間以上の河原歩きの後、魚止滝が現れ左岸から巻く。巻き道は多少悪く、バイルを泥に刺しながら歩き、最後ロープを1P出す。沢に戻る際懸垂1P。その後はゴーロ帯が永遠続き、時折腰や胸まで浸かりながら歩く。途中大きな釜を持った滝が何箇所か現れ、へつりを交えて突破する。遡行図ではあまり距離が無いように見えるが、地形図やエアリアマップでは結構な距離があって、意外と時間を食う。結局この日は、観音滝の左岸にある巻き道取り付きの高台にテントを張る。観音滝の落ちる爆音の中焚き火をする。

 

810() 晴れ

出発6:30〜神楽滝9:30〜朱滝手前BP16:30

 朝から観音滝の高巻き。1時間程で沢に戻る。その後は平凡な沢となり、途中昨日の3人組に追いつく。2時間以上単調に歩くと、左岸から権現沢が滝となって合流しており、そのすぐ先に神楽滝が豪快に落ちている。本流と権現沢との間の尾根を登って高巻きを開始する。資料によるとこの巻き道は長いとのことで、それらしき道を探しながら歩くが、なかなか降り口が見つからない。そうこうしているうちに深みにはまってしまったらしい。藪の中、地形図とコンパスを睨みながら歩く。地形図とエアリアマップによれば、この巻き道の上、沢の左岸は平らな高台となっており、廃道も走っている。大高巻きとなりそうだったが、ずっと北に行けば熊落滝か朱滝にぶつかり、東に行けば廃道に達するということ、また神楽滝以降の本流は、そこにある滝全てを巻くということで、巻き道を戻らず北を目指す。かなり長い時間道無き道を北へと歩き、左に本流に注ぐ支流を発見したところで下降を開始する。最後懸垂1Pで降りると、北方向に巨大な滝があって、本流はそこから東方向に曲がっていた。地形的には、筋滝か朱滝手前かと思われたが、すぐ下流に暗いゴルジュの出口があったので、そこが筋滝を囲むゴルジュの出口と思われた。懸垂を降りた所から上流に200mほどの場所に、例の3人組が蒔きを拾っている姿を確認。僕等はそこから10分程進んだ沢の右岸を寝床と決めた。テントを張らず、巨大なキャンプファイヤーを囲み、星空の下就寝。これこそ夏休み。出来る限り文明から離れて、自然との距離が近くなったような気がした。月は見えない。新月だ。

 

811() 晴れ

出発6:30〜朱滝上10:00〜ヤケノママ12:00〜稜線15:10〜西吾妻小屋17:20

 前日の焚き火の残り火を復活させて朝食を食べ、出発。するとすぐ例の3人組が歩いてきて一緒に歩くと、すぐに朱滝が現れる。お互いに写真を取り合う。朱滝は50m、とにかくでかく、下部はハングしており溶岩によって赤い。朱滝から少し戻った左岸の藪の中に巻き道らしきものを見つけ登り始める。しばらく登りと岩壁に行く手を阻まれ、そこで後ろから3人組も登ってきて合流。左が登れそうなので、ロープを出して登ってみるが、足元がとても悪く、一度岩壁基部まで戻る。結局岩壁より少し降りた所から右にトラバース(分りずらい)して、ルンゼの右側を登り、明瞭な踏み後を辿る。しばらく平らな所を歩き、左に降りれそうな所を見つけて降りると、ちょうど朱滝の落ち口だった。

 それからは静かな沢歩きで、途中ヤケノママらしきところを通過するが、話に聞いたような温泉の煙などは無く、少しだけ硫黄の匂いがするだけだった。その後も平凡な沢歩きを続け、沢をつめる。西に曲がる沢を詰めて行き、梵天岩と中大巓の間の鞍部に出た。その辺りは、すこし離れたところに木道が走っているが、池糖が所々に見られる草原になっており、とても気持ちの良い所だ。そのまま登山道を歩き、西吾妻小屋に泊まった。

 

812() 霧〜雨

出発6:00〜西吾妻山6:20〜五色沼13:10〜浄土平14:30〜兎平キャンプ場15:00

 西吾妻小屋を出ると、周り一面がガスで展望はゼロ。西吾妻山の頂上は木に囲まれていて、晴れていても何も見えないようなピークだ。東大巓を通り五色沼へ。五色沼は上から見るととても美しい。水面は青く静かに漂い、岸近くは緑色にコントラストを変えている。休みながらしばらく眺めようとしたとたんに大粒の雨が降り出し、雨具を着る。雨はすぐ止んだが、一切経山を過ぎた辺りからまた降り出し、浄土平に着いても降り続けた。後で知った話だが、この辺りは北陸からの風の通り道で、一年中天気が悪いらしい。こんな曖昧なアップダウンで分りずらい地形と、ガス、悪天、冬に来たらひどい目に合うんじゃないだろうか。浄土平から車道を歩き、20分程で兎平キャンプ場に着く。家族連れの客ばかりで、登山者らしき人は見当たらない。

 

813() 霧〜晴れ

出発6:00〜新野地温泉9:30〜箕輪山11:20〜安達太良山13:20〜奥岳の湯下山15:00

 朝から車道歩き3時間。こんなコースで登山する人なんていないんだろうなと思いつつ、ひたすら歩く。土湯峠を通り、温泉街を通過し、新野地温泉の脇の登山道より登り始める。鬼面山、箕輪山、鉄山避難小屋と、ずっとガスの中を歩く。単純作業のお出ましだ。安達太良山に着く頃には風も強くなり、油断していると飛ばされそうだ。安達太良山まではほとんど人間に合わなかったが、山頂近くには人が結構いる。ゴンドラに乗れば下界から1時間程で安達太良山の頂上だ。山頂付近はだだっ広いが、乳首という小ピークがあり、そこを登った所が真の頂だ。一年の岩崎は、目をキラッキラさせて喜んでいた。下山をし始めて5分程すると、急にカンカン照りとなる。しかし山頂付近は未だガスと強風の中と思われる。そこからは福島市内と二本松の町並みが見渡せ、福島出身の伊藤は目をキラッキラさせてはしゃいでいた。一時間ほど歩きゴンドラに乗って奥岳の湯へ降りる。

(文責 鳥居創太)        

 中津川白滑八丁