2002年 夏山合宿  北アルプス 大日尾根〜剣沢定着

前半合宿
期間: 平成14年7月27日(土)〜7月29日(月)

本合宿
期間: 平成14年7月29日(月)〜8月5日(月)

メンバー: 原澤4、SL鳥居4、 伊藤3、 丸山2、 青柳1、岩崎1、鈴木1、須田1

OB 斎藤 村田 松本 石川

場所: 北アルプス 大日尾根〜剱沢定着

計画概要

地図 

平成14727日(土) 晴れ

称名滝(900)〜大日平山荘(1410

 とうとう夏山合宿1日目だ。昨晩、上野から急行能登に乗り、富山駅に着いたのが543。富山電鉄652に乗車。立山駅にてバスに乗り継ぎ、称名滝に到着したのが900前。時間がおしていたので体操をしてすぐに出発。ワンピッチ目から早くも一年生の一人がバテ気味である。全く、前に進まない。3ピッチ目に行ったあたりでペースが異常に遅くなったので公共装備を全部抜くことにする。それでもなかなか進まない。足もふらついているのを見かねて大日山荘に向かおうと思うが今日は大日平山荘に泊まることにする。それにしても夏山は暑い!熱射病にならないか心配になるぐらいである。

 

728日(日) 晴れ

大日平山荘(500)〜大日小屋(900)〜奥大日岳(1330)〜雷鳥沢キャンプ場(1610

 昨日は大日平山荘のご主人のご厚意で格安の値段で泊めさせていただいた。まず今日の核心、大日小屋までの登りである。急行能登とは違い、みんな良く眠れたのか調子も良いようだ。今日はなんとしてでも雷鳥沢まで進めたい。焦る気持ちとは裏腹にペースは思った以上には進まない。それでも、大日小屋に着いたのが900。少々高かった(2L1200円)が水を購入し奥大日岳を目指す。この稜線から目指す剱岳が大変美しく見える。奥大日岳についても一年生にとっては景色を見る余裕はないようだ。下のほうには室堂が見えてきた。地獄谷の特有の臭いもしてきた。雷鳥沢までもう少しだ。雷鳥沢に下ると多くの登山客がテントを張っていた。一年生は一様に草臥れた面持ちである。特に鈴木のザック麻痺が心配である。右手に力が入らなくなってしまっている。明日は剱沢BC入りだ。

 

729日(月)晴れ

雷鳥沢500〜剱沢BC830 900偵察出発〜長次郎谷熊ノ岩1130〜偵察終了1220

ザイルワーク終了1400BC帰幕1600

 雷鳥沢を出発。別山乗越への登りで青柳が遅れる。別山乗越から下ってとうとう剱沢に到着。時間が早かったので、鳥居、伊藤、丸山は長次郎谷へ偵察に出発する。その間、原澤と一年生4人でBC整理を行う。その後はBC付近の雪渓に行き一年生のザイルワークの確認を行う。 

(偵察隊)900BCを出発し、長次郎谷出合に1000に到着。出合はマイナーピークと一峰との間の岩壁上部が剥離するように崩れており、長次郎谷の三分の一弱の範囲が雪と土砂に埋まっていた。落石に注意しながら熊ノ岩より下の岩で一本。AフェースとCフェースの取り付きを偵察後、丸山のザイルワークを行い下降開始する。(鳥居)

 

730日(火)晴れ

BC出発500〜長次郎谷熊ノ岩下雪上訓練場到着730810BC下降開始1200BC帰幕1500

 朝から良い天気だ。長次郎谷までの下りは雪渓の雪も堅く一年生は少々苦労を強いられる。

長次郎の下部はマイナーピークと一峰との間の岩が崩壊し雪渓が土砂、雪で埋められ酷い状況だ。偵察結果や文登研に参加した丸山の話は聞いていたが実際自分の目で見てみるとその規模の大きさに驚かされる。モレーン上を慎重に通過すると、いつもの長次郎谷である。

 そこからは恒例のダッシュ。先頭と最後では40分以上もの差が開いた結果になった。熊ノ岩下にて歩行訓練(直登、直下降、ダイヤモンド、八の字)を行う。始めは斜面に対して恐怖心を持っていたものも多かったが段々と技術も身に付き慣れていったようだ。一年生が疲れた表情を見せ始めた後、ジッヘル、グリセードの練習を行う。その後、BCへ下降開始。再び長次郎谷出合の下降で緊張を強いられる。少人数で通る時は問題ないだろうがこういった大人数で通過する時は落石の誘発が怖い。剱沢を登り返して剱沢BCに帰幕。

 

731日(水)晴れ

休養停滞

青柳・疲労、岩崎・咳、熱、鈴木・ザック麻痺、須田・咳、熱。ということで一年生は壊滅状態。暑い中を連日過度の運動をしているからであろうか、ともかくこれでは雪上訓練もままならないので今日は休養停滞とする。上級生は外に出てシュラフを干したり、外で日焼けをしたりしているが、一年生は外に出てこない。中を覗くと皆ぐっすり眠っている。6人用テントがまるで病棟の様に思えてきた・・・・。今日は早く寝よう・・。

 

8月1日(木) ガス・小雨〜晴れ時々曇り

BC出発530〜長次郎谷出合620〜雪上訓練6301300BC帰幕1440

 朝起きると一面ガスっている。少々小雨もパラついていて、一年生の体調も気にかかったので明るくなるまで待機。明るくなってもなおガスに包まれているままだったが、雨は止んだので長次郎谷出合目指して出発した。出合に着いたがあの崩落地帯をこの天気の中を進むのは危険、また、寒冷前線が近づいていたこともあり、雪上訓練(ザイルワーク)は長次郎谷出合から少し登り返した剱沢で行うことにした。広い斜面で傾斜のある雪渓上にて雪上訓練を開始。まだ、ザイルワークの仕組みを理解していないものはやはり時間がかかった。最後に搬出訓練も行った。BCまでの剱沢の登りではタイトロープを使いながら登った。他の登山者は一体何だと言う表情をして見ている。

 あの長次郎谷の崩落は雪上訓練を行いにわざわざ危険を冒して通る場所であり、雪上訓練の適地としては今の状態のままではかなりの疑いがある。今後、雪上訓練をおこなう場所を考え直す必要があるだろう。

 

82日(金) ガス〜雨

○雄山隊(L原澤、伊藤、青柳、鈴木) 

BC出発500〜雄山着800900BC帰幕1100

 須田は風邪のためテントキーパーにさせる。鈴木は未だザック麻痺だが荷物は背負わせないで参加。

 雄山まではガスっていて何も見えない。しかし、ペースは快調。久しぶりに青柳の楽しそうな顔を見た気がする。雄山山頂でも景色を見ることはできなかったがストーブの近くで小一時間を過ごす。その後、BC下降開始。帰りには雨が降り出す。本降りになる頃BC着。

 BCに到着すると石川さんが既に到着されていた。午後は雨も本格的になり風も出てきた。

 

Aフェース隊(L鳥居、丸山、岩崎)

BC出発500〜熊ノ岩下710〜待機〜BC下降開始830BC帰幕1100

 5時にBCを出発し熊ノ岩下に到着。六峰は全体がガスに隠れていた為、ツェルトに包まり8時半まで待機する。天気快復の兆しが見られないので下降し11時にBC着。(鳥居)

 

83日(土) 晴れ

○別山尾根〜剱岳往復隊(L原澤、鳥居、青柳、岩崎、鈴木、OB石川)

BC出発500〜剱岳山頂着830−発930BC帰幕1230

 朝から良く晴れている。本来の予定なら奥大日岳往復だが明日は雨になるという予報から今日は剱岳往復にした。土曜日と言うこともあり人が多い。鈴木の右手の握力がなくなっていたので心配だったが全員で剱岳の山頂に着く。Cフェース組にコールをしたら帰ってきた。肉眼でも確認できる。

その後、BCに戻りシュラフなどを干していると、斎藤OB、村田OB、松本OBが到着される。

Cフェース、剣稜会ルート隊(L伊藤、丸山、須田)

BC500〜六峰下のガレ場800Cフェースの取り付き850〜登攀開始900Cフェース終了点1230〜雪渓上到着1500BC帰幕1800

 六峰下のガレ場についたのが一年の須田の調子が悪かったこともあり遅れて8時。そこで、登攀準備をする。Cフェースは丸山トップで、須田、伊藤と続く。登攀事態は特に問題はなく終了する。そこから、雪渓上に戻るまでに時間がかかった。また、長次郎谷の下り、剱沢の登りで時間がかかった。16時の最終帰幕を過ぎて、原澤、石川OBでサポート出発。長次郎谷出合付近にて合流。須田がかなりバテ気味である。18時に帰幕。行動時間に時間がかかりすぎ今後の課題となった登攀であった。

 

84()  ガス・小雨〜ガス時々晴れ

BC500〜内蔵助上部700710〜内蔵助BC820840〜丸山尾根取り付き1030〜稜線1230BC帰幕1430

 須田は今日も体調が悪いので今後の後半縦走に備えてテントキーパーをさせる。斎藤OB、村田OB、石川OBを含む計10人で出発する。7時に内蔵助上部に到着。ガスにより視界は10m前後。一年に内蔵助カールを下らせるのは危険と考え、原澤と1年生3名はこれよりBCに帰る。残りのメンバーでカールを下ることにするが、降り始め、鳥居、伊藤、丸山がスリップ。丸山の眼鏡が壊れたと言うことで丸山はBCに帰ることにする。鳥居、伊藤、斎藤OB、村田OB、石川OBで内蔵助BC目指して下降開始する。BCへの登り口は分かりづらい。縦走路のペンキ印がついたがBCはそこよりも下であった。内蔵助BCはとても快適で素晴らしい。しばらく休んで三本歯のコルへ登り始める。三本歯のコルへはBCにある2つの雪渓の左をつめると丁度良い。三本歯のコルからは藪をこぎ、丸山尾根の取り付きにつく。丸山尾根は傾斜の強い花畑のような感じで最後「門」と呼ばれる、2,3級程度の登りでロープを使い2ピッチで抜ける。村田OBに別れを告げ残りのメンバーで剱沢BCを目指して下降開始する。(鳥居)

 

85日(月)  ガス〜晴れ

BC撤収後出発530〜別山乗越手前6:30〜室堂8:30

 BC撤収した後、縦走隊と中津川に向かう沢隊に分かれて出発。ガスの中、お互いのこれからの安全を祈りながら別れた後、別山乗越手前で一本し、そこから、室堂まで一直線に下山する。室堂に荷物をおいた後に温泉にはいる。(鳥居)

 

全体を通して・・・

 前半縦走でいきなりワンピッチ目から一年生がやられた時は正直これからどうなるのか心配だった。しかし、このようにして事故なく本合宿を終えることができてホッとしている。

 それでも、本合宿から一年生の体調が優れず万全の状態と言うことはなかった。また、天候もパッとせず、登攀に関しては少し内容の薄いものになってしまった印象がある。その中でも、OBの方に入っていただいて、内蔵助旧BCに偵察にいけたのは大きな収穫だ。長次郎谷の崩落現場を見て私は瞬間的に「これは来年からは雪上訓練は内蔵助で行うしかないな。」と思ったからだ。来年は鳥居がどう判断するか分からないが内蔵助BCにするのが有力だろう。だとしたら、それだけの実力をこれからつけていかねばならない。

 最後に斎藤さん、村田さん、松本さん、石川さん忙しい時間を縫ってくださって参加してもらい大変感謝しております。ありがとう御座いました。

          文責・原澤修 


別山尾根


クラノスケ谷を下る


剣沢からBCへ向かう


剱沢BCでボルダーに興じる丸山


剱沢BCでのスイカ


剱沢BCでの休息