桜門山岳会短信 bP33

   平成13年7月25日発行

 

[報 告]

「日本大学山岳部・桜門山岳会13年度総会開催」

日 時:平成13年5月18日(金)

場 所:千駄ヶ谷「東京体育館・大会議場」    (敬称略)

出席者:田中(昇)、村田(顕)、新田、岡本(如)、北村、松田、芝田、山本(晃)

    真田、津田、平山、熊谷、土合、深瀬、中嶋、福島、大城、山崎(隆)赤井

    谷口、片柳、今村、高橋(正)、高緑、神崎、大澤、柄澤、尾上、中村(進)

    原田、岡田、高澤、羽賀、大谷、古野、山本(茂)、家口、千葉、計38名

  学生:原澤、加納、伊藤、永井、岡村 計5名  合計43名

開会に先立ち物故会員、鈴木克巳氏(機13)、森下吉雄氏(経23)のご冥福を祈り出席者全員で黙祷。

 芝田会長より挨拶があり、12年2月学生のメラピーク登山が実現し、13年10月にはサンルン峯登山隊が出発する運びになった事は大変喜ばしいことであるのでOB諸兄に対しなお一層のご支援、ご協力をお願いしたいと述べられた。

「議 事」(総会の議事・案件に関しては郵送致しました「総会」をご参照下さい) 

「日大山岳部」

12年度活動報告及び会計報告が13年度SL加納よりあり、新入生4名を迎え所定の合宿を無事終了することができた。今年度は他大学の遭難事故が多発し廃部に追い込まれる大学もあり、今後安全対策を万全にし安全登山を心がけたいとの報告があった。

コーチ会報告が千葉敦雄コーチから行われ、基礎技術の習得に主眼を置き指導してきた。

今年度はすべての合宿にコーチの誰かが参加することになった。山登りに対する学生の考え方の多様化が目立ち「これからの山岳部をどうするか」を学生、コーチ会、OBが再度考える時期が来ているとの問題提起がされた。

「桜門山岳会」

 桜門山岳会事業報告が尾上理事長からあり、大谷理事より会計報告、岡本(如)監事より監査報告があった。

 冒頭、尾上理事長より「総会」レジメの事業報告が手違いで前年度のものを掲載した。

あらためて次回短信で報告したいとのコメントがあった。 

 質疑の中で12年度の年会費収入190000円は極めて少なく年会費の徴収努力がたりないのではないか、との指摘があり13年度は会計を中心に具体的方針を立案し鋭意努力する事を確認した。

 次に13年度新役員案(理事、監事、評議員)が提示され異議なく承認された。

その後、平山山岳部部長が挨拶に立ち、最近多発する大学山岳部の遭難事故について話され

安全登山、安全対策を万全にするようコーチ会、並びに学生に対し要請があった。

 神崎新理事長からはOB間のコミュニケーションを頻繁に持ち、他大学山岳部との交流を持ち情報交換をして行きたいとの抱負が述べられた。

 最後にサンルン峰登山隊募金について高橋募金委員長より、募金目標、募金期間、

現在なでの募金金額(実績)が発表され募金協力の依頼があり、総会を終了した。

「懇親会」

会場を東京体育館に近い「レストラン・ユーハイム」に移し、懇親会が行われた。

山本茂久氏の司会ではじまり、芝田会長の挨拶があり、新田氏の乾杯の音頭で新旧会員の交流や久しぶりに再会する仲間との旧交を温める姿があちこちに見られ、仲間と会うことで元気と勇気を貰うことができた。

 恒例の桜門山岳会新入会員歓迎は当事者の石川重樹君が欠席のため残念ながら中止された。

最後に赤井氏の中締めで盛会のうちに散会した。

 

「平成12年度を振り返って」

理事長 尾上 昇

 一昨年の総会で、少しでも桜門山岳会と日大山岳部のお役に立てるならとお引き受けした理事長職も早や2年、お約束させていただいた任期を何とか終えさせていただくことができそうです。

 短い期間ではありましたが、この2年間を総括させていただきまして本年度の会務報告と退任のご挨拶を兼ねさせていただきます。

 先ず、私の理事長就任につきましては、皆様方に少なからず疑問を生じさせたようです。直接、間接に私の耳に達していました。当然こうした声が上がる事は承知していましたので、その辺りの事情は、理事会や評議員会、短信あるいは、私信でお伝え申し上げてきました。

 かいつまんで申し上げれば、桜門山岳会内部の確執による活動の停滞と部員不足による山岳部の低迷で、理事長職の引き受け手がなかったことです。確かに名古屋在住の私が、理事長職を務めることは、異常です。桜門山岳会の苦衷の選択だったと申せましょう。そこで私は、私に与えられた任務を、先ず第1に内部の融和を計り、桜門山岳会を活性化させること、次いで山岳部の部員を確保し正常の部活動のできる山岳部に復活させることと定めました。

 具体的には、若い人達と古い会員とのコミュニケーションを計り、集会に楽しく人の集まりやすい雰囲気を作ること、そして山岳会と名の付く以上山登りを実践する事です。すなわち海外登山の派遣です。

 山岳部については、部員確保のための手段の強化と、コーチ会を中心とする若いOBの山岳部への積極的な関与です。更には、JACの諸行事への積極的な参加、大学当局との緊密な連携も掲げました。

 さて、その成果であります。決して満足いただけるものではなかったと認識していますが、自己採点させていただけるとするなら、何とか及第点ぎりぎりの60点だと思っています。

 天懇や新年会、総会などへの参加者も増えましたし、久しぶりに中村君率いる海外登山隊が今秋サンルン峰へ出発します。

 山岳部のほうも3年生3名、2年生3名が残り、今年の1年生の部員獲得に期待が持てそうです。これには、和田君にお世話になった勧誘パンフレットや、古野君を中心として作成してくれたホームページが威力を発揮してくれそうです。

 また活動の拠点となるルームが確保できたことは、何事にも勝る喜びと申せましょう。これは、神崎さんのお力添えによるところ大ですが、学生はもとより、OBの集会場所としても利用できるのが魅力です。

 以上のように大きな飛躍とか、際立った変化はありませんでしたが、今後の桜門山岳会と日大山岳部の活性化の基になるような小さな核は、できたものと自負しています。

 いわば復活の緒についたばかりと申せましょう。今後の課題は、先ずは、ここしばらく会報が出ていませんので早急な発刊が望まれます。また、間もなくやってきます80周年への取り組み方も問題です。中途半端に終わった70周年の二の舞だけは、さけなくてはなりません。

 幸い次年度に向けた新執行部も決まり、一段と若返った諸氏に期待したいと思ってます。先にも記しましたように、名古屋在住ということで皆様方には、ずいぶん私の勝手をお許しいただきました。そしてこの2年間を支えてくれました岡田、大谷、中村、古野、神崎、高橋の各OB諸氏に心から感謝申し上げます。

 また、芝田会長という素晴らしいバランス感覚をお持ちの会長の元で務めさせていただけたことを幸いに思っています。幸い芝田会長には、ご留任いただけることになり、一安心です。

 私といたしましては、やり残したことがあります。それは、いうまでもなくサンルン登山隊です。無事日本に帰国させるのが私の責務と思っています。登山隊のこと改めましてどうぞ宜しくお願い申し上げます。種々ご厚情賜りましたことに対しまして御礼申し上げ筆を置かせていただきます。

 

「新理事長挨拶」

[21世紀に向けてのクラブライフ]

                                理事長 神崎忠男

ネパールの皇室でとんでもない惨事が起こった。日本でも、学校で勉強していても、家の中にいても、バスに乗っていても生命の安全が脅かされる、 異常社会・・・…。

  山の中が最も安全なところと思われる今日この頃を見るに、自然保護、環境保全に加え人間保護、生命の尊さを強く訴えたくなる。

生命の尊さといえば、文部省登山研修所の雪庇雪崩事故以来、中央、青学、成渓、慶応、農大と大学山岳部の遭難が多いことが気になる。登山の安全に関しては今も昔も変わらない全てに優先する重点要項。日大山岳部も他人ごとと思わず安全対策には気を締めていかなければならない。

大学山岳部全般的に部員数の少ないなかでの活動は、昔の山岳部と異なり、組織的登山活動、運営は困難、安全を確保し、自分たちの行動に責任を持てば、自由奔放な登山活動で学生登山を謳歌せざるを得ない。例えばスポーツクライミング、沢登り、探検的要素の登山志向でクラブライフを意義づけていくようになるのであろう。また、OB会、桜門会山岳会でのクラブライフは少し異なるかと思うが、若かった学生時代、登山に同じ興味をもったOBの集団・・・・…、年代層の幅も広がり、生活環境、健康管理等でもそれぞれに多様性をもった大家族化した集団となってきてその運営活動にも難しい面が表面化しだした。

とはいっても古い言い方をすれば日大山岳部で「同じ釜の飯を喰って来た山仲間」なのだ、山を愛し仲間を敬い、日大山岳部に誇りを感じながら、山と人との関わり合いのなかで生きてきた仲間の集まりです。上手に言えないが、何か相通じるものがあり、無意識ななかにも伝統的なものに共鳴感が存在する。伝統を意識したり、表面に出すと自由性を失い、枠にはめられたような感覚となり、時代錯誤と一蹴されがちですが、長い年月に築かれるクラブライフには「伝統」は宿命的、重要な意味を持つものと信じる。話しが右寄りになってきましたが、「日大山岳部の伝統」を今、見つめ直してみたい気がしている。

  桜門山岳会の運営の具体的な現実問題は財政と人材、そして意欲的思考につながる。社会情勢から、従来の終身会費制度での運営が困難となり、ここ数年前から年会費制度が特別に導入されたが、まだ理解と実行の安定した制度に入ったとは言えない。

しかし、運営、活動の充実はどうしても健全財政、安定財務を避けられません。会員各位の知恵と工夫、そして会員及び組織としての意識、認識のなかで新たな財務体制を確立したい。

そして、出来る努力のなかで出来る限りの行事を開催したい。そのためにも日大山岳部OB会を山の集団として、クラブライフがエンジョイ出来る方向性を志向していきたい。

年代、職業、生活環境、また考え方の異なるなかで、それぞれの立場を理解しながら他人を認め、自分を認めてもらうべき交流のなかで、一人ひとりの自覚に基づくクラブライフづくりを心がけたい。二人以上の集団では相手を許せる、また自分を許してもらえる心持ちに和が支えられ、クラブのよりよい雰囲気づくり、環境づくりが出来るものと信じます。        

そして、クラブ内(OB会)の会員サービス、運営、活動の標準性、活発性のなかで会を充実させ、時には外部団体との交流、登山界への奉仕などを通して外からもクラブとしての社会的信頼を得ることも会の大きな存続要素と考えている。自分たちのよい事だけやっていればよいというだけでは、社会性、公共性に乏しく、会が孤立してしまいがちとなる。一口に言って、人に敬られる、認められる会を志向したい。

  財務が整い、会の環境、雰囲気が落ち着いて、行事が出来るようになり活発性が出て、人材に恵まれ、会の内外に期待され、信頼されるクラブライフづくりを心がけたい。これも全くの理想論と一蹴されるが、こんな信念で努力だけでもしてみたい。会員一人ひとりの理解と協力あっての理事長役、任期中は何卆よろしくお願いいたします。

 

「桜門山岳会理事会開催」

日 時:平成13年6月21日(月)19001900

場 所:郵船航空2階会議室

出席者:高橋、神崎、柄澤、中村(進)原田、岡田、古野、山本(茂)、斉藤(大)

議題:    @年間計画(運営)考え方、具体案

               Aサンルン登山隊に関する件

               B財務関係

               C学生に関する件

               D今後の理事会運営

               Eその他

1.年間計画について

目的とねらい    @クラブライフとしての健全運営

                                 A理事、会員、相互理解に立って活動、運営への参画

                                 B会費納入の理解と実行

2.活動予定

7月25日(水)               サンルン登山隊講演会 中村 進隊長
                                        オリンピック青少年センター 18:30  開演

7月23日(月)      理事、評議員会                     

9月14日(金)      サンルン登山隊壮行会

9月17日(月)      理事会    

9月24日(月、祝日)  サンルン登山隊出発

10月15日(月)      理事会    

11月19日(月)      理事、評議員会                                         

11月中旬頃                      サンルン登山隊帰国

12月1日(土)〜2日(日)天幕懇親会/サンルン登山隊 歓迎会/忘年会

12月17日(月)      理事会    

14年1月21日(月)      理事会      

2月2日(土)       新春懇談会

2月18日(月)      理事会      

3月18日(月)      理事会      

4月15日(月)      理事、評議員会                         

5月13日(月)      理事会      

5月18日(金)                 総会

日程の定まっていない集会、会合、桜門山岳会のクラブライフに有効な集会、研究会/国内外交流会/懇親会/その他

3.サンルン登山隊について

       @登山隊準備      中村進隊長を中心に準備予定に沿って準備進行

       A登山隊募金      桜門山岳会サンルン登山隊募金額/6月25日現在

                                     募金額                              ¥3,669,747

                                     目標額                              ¥5,000,000

                                     期限                                 平成13年12月31日

                                     口数                                 一口 5,000円

                                     郵便振込・口座番号         0570−7−29468

                                                                   「桜門山岳会サンルン登山隊2001」

       B登山隊講演会 支援チャリティ講演会      

           平成13年7月25日(水):国立オリンピック記念青少年総合センター

           定員300名 支援チャリティ入場券配布(¥1,000)

           「地球の三冠王」スライド上映  トーク 中村 進  北極点・南極点、

そしてエベレストの頂上を一人の人間が極めた登山と探検の実話

財務関係に関して

@        健全な運営、活動には正しい財政問題が欠かせない。

A        1996年より年会費制を導入。年5,000円の会費徴収を実施しているが納入率が良くない。活動、財務に圧迫を感じる。

B        会員ひとり一人の理解に基づき、会費納入依頼を徹底したい。

[注]   年会費制に伴い終身会費制が廃止されたわけではありません。現在基金(終身会費)として、¥11,320,000ほどありますが、一時代のように利息運用で活動ができなくなり、終身会費制+年会費制で運営を実施しています。若いOB及び終身会費未払いのOB会員は、従来の終身会費(50,000円)の納入と年会費(年5,000円)の納入について、ご理解、ご協力賜りますようお願い致します。

C        複数年、年会費滞納OBもいるかと思いますが、とりあえず今年度の会費(5,000円)だけでも納入していただくことのお願いとキャンペーンをここ暫くの重要事項としていきたい。

D        会費納入に関しては、会計担当を含め強化対策を考える。

学生に関すること

@     在籍部員 新入部員3名 上級生4名 計7名

              入部してすでに退部した新人が一名、そのあとに入部した新人が一名。山岳部は新人だが、高学年が多く、また、学部も生物資源(農獣医)の学生が多い。

A     コーチ会、コーチと学生とで合宿前に開催。斉藤大輔(平成7年卒)ヘッドコーチを中心に、芹沢浩正(平成8年卒)、千葉敦雄(平成10年卒)などが指導にあたっている。

           変更ある場合は事前に関係各位に連絡。

           原田洋OB(昭和45年卒)のご厚意で郵船航空の会議室が借りられた。

           都体育館はJR千駄ヶ谷駅前。公共施設につき会議室借入の関係で変更あり。

@     理事に担当を決めて能率的、かつ仕事の分担、負担を考えたい。(次回)

その他

 

@     サンルン登山隊の新隊員参加について

田中淳一(たなかじゅんいち)君、参加の要望あり。

東京大学運動部スキー山岳部OB(30歳)ということで、中村進隊長より登山隊としての参加確認があった。中村進隊長および隊員の意向を重視。

また、当会内外を問わず、サンルン登山の価値がわかっているかが重要ポイント。今回の登山の価値をわかっての参加については一緒にやるべき。

理事会としては、登山隊の意向にそって承認する。

A     会報(短信)次回発行は7月中。

B     ホームページについて(www.everest.co.jp/nac/

古野淳OB(文理・昭和59年卒)の好意と努力で日大山岳部/桜門山岳会の立派なホームページがある。古野淳氏のボランティアによるホームページの立ち上げ、管理に深く感謝する。

会員が自由に書き込みができたりして、会員相互のコミュニケーションに大きな刺激を与えてくれている。

[注]NAC(NUAC)

本来、日本大学山岳部の英文表記は「NUAC」を使用。当然、正式にはあくまで「NUAC」でありますが、今回、新入生募集関係のパンフレットやホームページでは時代性、デザイン性、そして若い人たちにアピールすることなどを配慮して「NAC」(ナック)を使用。デザイン的ニュアンスとして

使用する場合があることの容認を理解したい。

 

「サンルン峰の位置及び登攀ルートについて」

[サンルン峰の位置]               

 東西2700kmにおよぶグレート・ヒマラヤの北側には、ヤルツァンポ川が東に向かって流れているが、チベット自治区の東部に至ると大河は突然直角に折れ進路を南に変える。

ヒマラヤ山脈の南側、ヒンドスタン平原に出るとブラマプトラ川と名を変え、西へ流れ、最後にはベンガル湾に注ぐことになる。ヤルツァンポ川がブラマプトラ川に名を変えるこの「大屈曲部」、地質学的に重要な意味を持つこの地域に僕らが目指すサンルン峰がある。

 この周辺の山域(アッサムヒマラヤ)の主峰・ナムチャバルワ(7782m)が1992年に日本山岳会隊によって初登頂されたのは記憶に新しい。その頂から大屈曲部へ向かって東に伸びる稜線が大峡谷へと落ち込むわずかに手前、ナムチャバルワから水平距離約8kmにある、屏風のように屹立する頂がサンルン峰だ。

 登山隊は、ラサからナムチャバルワBCの麓のキイカルまで車で入り、そこからヤルツァンポ川に沿ってキャラバンを始める。道無き道を約8日間歩き、サンルン峰北側の谷から北面の氷河跡地のBCに達する。

[登攀ルート]

 現状で考えられるルートは2つ。「北東リッジ」と「北壁」の2ルートだ。

 オーソドックスなのは「北東リッジ」ルート。頂上から北東へ伸びる主稜線が4900mまで落ち込む、コル状の部分まで氷河を詰め、そこから頂上目指して稜線上を進む。ただし、冬に向かう気候の中で、絶えず強風にさらされる可能性が否定できない。また、この稜線上はアップダウンが多く、途中懸垂氷河が存在するなど、かなり変化に富んでいることなど、決して容易なルートではない。

 一方「北壁」ルートは、頂上の北面に切れ落ちている雪壁の中で、頂上やや西よりの小ピークへ突き上げる僅かなリッジ(?)を登ろうというルートだ。傾斜の強い雪壁であることから、ルートが出来るまで手間が掛かるが、出来てしまえば比較的安全かつ速く登下降ができる利点がある。しかし、反面、常に雪崩の危険が拭えない。手元にある地図のみでは、取り付きの位置を特定することができないことも不安要素ではある。

 結局のところ、BCに着いてしばらく全体を観察してから、少し偵察をして決めればいいと思っている。どちらのルートを辿るにしても、今のメンバーの実力であれば決して技術的に無理なルートではないと思う。今は早く実物の山を見たいという気持ちがはやってしょうがない。

                                  山本 茂久記

 

「再度サンルン峰登山隊への募金のお願い」

                              募金委員長 高橋正彦

サンルン峰登山隊には、すでに多くのOBからご寄付を戴き、厚く御礼申し上げます。

 7月19日現在、募金を戴いたOB87名、金額4,219,747円で、目標の500万円にもう一歩のところです。

 一方登山隊の方も、9月24日の出発に向け、トレーニング、準備に怠りなく、順調に進んでおります。 

 今回は予算の関係上、偵察なし、シェルパレス、そして長いアプローチの後、頂上直下の岩壁をどう克服するかが成功の鍵であります。

 古きよきアルピニズムの原点に帰ったような今回の登山隊に是非ご協力賜りますよう重ねてお願い申し上げます。

 

お振込方法

 

 郵便振込  口座番号 00570−7−29468

  加入者名  中 村  進

 

 1口5,000円から受け賜っております。

 募金期間は13年12月末までですが、出来る限り出発前に達成したいと考えております。

 

サンルン登山隊支援講演会の開催」

 平成13年7月25日(水)兼ねてより企画されていたサンルン登山隊支援講演会が国立オリンピック記念青少年総合センターで開催された。

 当日会場には桜門山岳会会員、学生、一般の聴講者が多数出席し、神崎理事長の司会ではじまり、神崎氏よりチョモランマの体験談、ヒマラヤ事情が照会され、その後中村進氏による「北極点、エベレスト、南極点」と題した講演が行われた。

 中村氏の貴重な経験、興味深い体験談、自然に対する心情の変化など、中村氏の人柄をうかがわせる誠実で淡々とした語り口は参加者を魅了した。

 講演の後、中村氏自身が撮ったビデオテープが会場の大画面で放映されすさまじい自然の脅威、人間達の葛藤、そして達成感が映し出され感動を与えた。

 また、当日は最近北極圏のグリースフィヨルドで終了した犬ゾリ旅行から帰国した小嶋一男氏が紹介され、北極圏22000kmの犬ゾリ旅行の概要説明があり会を盛り上げた。

 最後に当会のサンルン登山隊隊員3名(山本茂久氏欠席)の紹介があり、盛会のうちに散会した。

 会終了後、今回サンルン登山隊に参加される東大スキー山岳部OB田中淳一氏、OB酒匂氏、東大スキー山岳部学生2名と当会から松田氏、中村進氏、神崎理事長及び理事数名が参宮橋駅前の中華料理店に自然発生的に集まり懇親会が行われた。田中淳一氏のサンルン登山隊参加によって、他大学との交流ができたことは、互いに部活動やOB会運営に心痛める双方の責任者として、共有出来るものが多くあったように思う。

 今回のことをきっかけに、今後も意見交換して行きたいものである。

                                    柄 澤 記

 

報 告]

「平成13年新年会開催」

 日 時:平成13年2月1日(木)19:0020:00

 場 所:横浜中華街・重慶飯店             (敬称略)     

 出席者:村田(顕)、新田、石坂、岡本(如)、北村、芝田、山本(晃)、旭岡、平山、

     熊谷、宮原、深瀬、中嶋、大城、安田(八)、赤井、高橋(正)、神崎、尾上、

中村(進)、山本(芳)、岡田、植木、松野、大谷(直)、古野、井本、 山本(茂)、山本(泉)、斉藤(大)、千葉、計31

     学生:石川、原澤、鳥居、加納、伊藤、計5名

  芝田会長より開会のご挨拶を戴き、当日会議でご出席戴けなかった根本山岳部副部長のご紹介が平山部長からなされました。

  また、神崎監督より昨今の大学山岳部の現状と年末に報道されました東京農大山岳部の遭難についての状況説明がありました。

  つづいて、今年秋に計画されていますサンルン峰の概要についてスライドをもとに中村(進)、山本(茂)両氏より説明が行われました。

 最後に学生の活動報告と部員紹介が行われ、部歌斉唱をもって閉会となりました。

                                  大谷(直)記

 

「桜門山岳会理事・評議会」

 日 時:平成13年2月20日(火)19002030

 場 所:喫茶ルノアール(四ツ谷)

 出席者:芝田会長、尾上理事長、高橋(正)、柄澤、岡田、古野、大谷(直)、山本(茂)、

     評議員:村田(顕)、石坂、岡本(如)、松田、山本(晃)、深瀬、中嶋、赤井、谷口、今村、高緑、 オブザーバー:中村(進) 学生:原澤

 「議 題」

 1.サンルン登山計画・中間経過報告  中村進隊長

     4月中旬迄に登山料の支払いを行う。

     隊員:隊長・中村進、山本(茂)、千葉、他2名

     9月24日頃出発、帰国迄 約50日間

     総費用:約980万円  個人負担80万円×5名=400万円

     隊員は5名欲しいので、場合によっては他のクラブから補強したい。

松田評議員からこの計画をJACに申請すれば助成金が出るのではないか。

2.サンルン募金計画について   尾上理事長

     桜門山岳会では募金目標500万円としたい。

     メラ・ピーク募金の残高を一部補填してはどうか。

3.次年度の事業計画について

・「人事」について:会長は芝田さんに留任してもらいたい。

  次期理事長の人選は尾上理事長に一任する。

     13年度スケジュール

総会:5月18日  

サンルン壮行会9月中旬  

天懇10月第2土曜日〜日曜日

4.学生の動向

     13年度の目標を冬山の越後とする。

5.会報の担当と進行状況について

 

「桜門山岳会理事会開催」

日 時:平成13年3月31日(日)14001600

場 所:岡田氏宅

出席者:芝田、高橋、神崎、柄澤、中村(進)原田、岡田、大谷、古野、家口、千葉、

「議 題」

1.学生新人募集の件

  各学部の募集期間・募集規制等

  生産工学部   (4/64/12) 昼休み及び1610分以降、勧誘不可 

パンフレット配布不可、ポスター掲示のみ可

  生産資源    (4/94/13) 勧誘可

  法学部(三崎町)(4/194/20) ポスター掲示のみ可

   〃 (大 宮)(4/244/25) ポスター掲示のみ可    

文理学部    4/164/20) 勧誘可

    商学部     (4/244/25) ポスター掲示のみ可

  年々募集方法が厳しくなってきている。又勧誘が出来ない学部も増えてきている

  ので、インターネットのホームページの活用、電話による対応が重要になってきた。

  パンフレット(数年使用予定)を作成する。

・費用は概算で50万円程度かかる。従来山岳部は(NUAC)としてきたが、今後新人募集に限って(NAC)を使いたい。その理由はホームぺージ、パンフレットにマーク化した場合NACの方がマーク化しやすい。

  ・今年は日大新聞の「監督の哲学」欄に神崎監督の[山岳部・未知の世界]とい

  う記事が掲載され新入生に配布されるので、大きな宣伝効果があると思う。

2.学生春山合宿報告 OB千葉

  3月23日から26日まで学生3名、OB1名で池山尾根〜空木岳へ、

  学生1名が腹痛を訴えたり、滑落等が起こったが26日に無事下山した。

3.サンルン報告

  出発9月24日予定、10月下旬登頂、11月16日頃帰国予定。隊員3名で構成する。

  募金活動について

     募金目標を500万円としたい。(一人平均2万円)

     募金のお願い、振込み用紙の配送は4月下旬までに行う。

     募金期間は13年5月1日から12月末日とする。

     5月18日の総会で再度募金のお願いを呼びかける。

     日本山岳会からも50万円の寄付を受ける。

 

「桜門山岳会理事開催」

日 時:平成13年5月20日(日)14001700

場 所:桜門山岳会多摩ルーム

出席者:高橋、神崎、柄澤、中村(進)原田、岡田、古野、山本(茂)、家口、斉藤(大)

    千葉、オブザーバー古畑

「議 事」

1.理事会の開催日

基本的に月1回とし何週の何曜日と固定する。次回理事会で決定予定。

2.サンルン登山隊募金について

  7月15日までに予算を組む。また、会員に対して割当額等を検討する。

3.会報の発行

  「1997年〜2001年の会報」発行目標を11月とする。

  各会員に対し原稿を依頼(7月1日までに原稿入手)

     物故者1996年以降(担当、高橋) ・カンチェンジュンガ(山本茂久)

     リャンカンカンリ(中村 進)    ・ムスターグアタ(千葉)

     雪峰頂(松本) ・GU(池田)   ・韓国フリークライミング(宇田川、鈴木)

     北極圏犬ぞり(小嶋)               ・その他国内山行

4.会員名簿の発行(鈴木快)

5.チベット登山協会、高氏を囲む会の開催(担当、中村)

6.サンルン募金活動に絡み講演会の開催検討

 

 

「OBの皆さんパソコンを購入しましょう」                      

 1昨年の暮れにヘットコーチの斉藤大輔君に「高橋さんにはいつも理事会で若手の意見を聞きたいから、若手を理事会に出すようにしろと言われますけど、NUACのホームページで若手は意見を交換しているから、高橋さんもパソコンを購入してください」と言われました。

 それまでは、仕事でこそパソコンを使用しておりますが、余暇でパソコンを使用するとは年令からいって考えてもいませんでした。

 仕方なく1999年の大晦日にパソコンを購入し、息子に起動の方法を教わり、NUACのホームページに参加したところ平均2〜3通、多い時は1日10件もメールが入っており、茶の間に居ながらにして若手の考え方が伝わって来ました。

 今では、すっかりこのホームページにはまり,NUACのホームページを見るのが夕食後の日課となっています。

 なるほど、これなら電車賃も時間も無駄にせず、しかも自分の都合のよいときに見て、意見あれば投稿すればよいのです。

 そして、私の今のジレンマは、ホームページでNUACの様子がわかるのに「短信」を発行しなければならないことです。

 現状の山岳部は部員7名、夫々に学業とバイトとコーチ会に出席するのが精一杯で、OB会の雑用まで手伝える状態ではないことは、ここ20年来定着しています。

 それでは若手OBを動員すればよいではないかという意見もあるかもしれないが、

この若手(卒業から30才代)が一部の若手を除いて、深夜まで仕事があり、夜に集まってOB会の仕事を進めるという状態ではありません。

 これは、社会が多様化し、若手OBの職業もコンピューター関係、旅行会社、警察官、消防士、教員、商社、と、まさに国内ばかりではなく、時差なしのグローバル化した世界の流れに身を置いております。

 それでは、「短信」の発行はどうしているかというと、柄澤君(59才)が中心となり、原稿を作り、印刷、封筒入れ、宛名書き、切手貼り、と数人のOBが休日返上でやっております。

 同級生からも「なんで高橋がそこまでやるのか、若手に任せればよいのではないか」と言われますが、自分としてもそうしてほしいと願っても、若手にだけ任されても・・・困ると言うのが若手の返事です。

 つまるところ、年齢に関係なく、やれる人間がやるしかないのです。チョット愚痴めいて来ましたのでこの辺にしましょう。

 要はどんな事があろうとも「機関紙」を止めるわけには行きません。

そこで提案ですが、次回の短信で、パソコンの保有率、短信に対するご意見の調査を行い、将来的には短信をNUACのホームページに切替えて運用したいと言うのが担当理事からのお願いです。

高 橋 記

 

小嶋一男氏「犬ぞり隊 5年目の挑戦」

 シベリアからベーリング海峡を渡ってグリーンランドまで北極圏22000kmを犬ぞりで走る小嶋一男氏の5年目の挑戦がカナダのケンブリッジベイからグリースフィヨルドまで2500kmを走破し帰国した。5年目の今年は、カナダの犬ぞり仲間とサポートするイヌイットの猟師2名の計4名で5月6日ケンブリッジベイを出発した。途中シロクマに遭遇するなどし、5月19日レゾリュートに到着。北極点から単独で行動中の河野さんの行方不明を知らされた。

 グリースフフィヨルドまでは気温が氷点下20度に下がり氷がしまる夜間(白夜で明るい)

に行動した。

 6月1日グリースフィヨルドに到着、友人でグリーンランドのシオラパルクに住む大島育男氏らと相談、氷がだいぶ解けているので今年はここまでとした。

 これで全行程の9割方を終了、来春はグリーンランドを縦断してゴールのアンマンサリックを目指すと早くも準備に入った。

(7月28日(土)の毎日新聞夕刊3面に写真入で掲載された文中からの抜粋です。)

 

                                  柄 澤 記

 

「日本大学山岳部合宿報告」

[冬山合宿報告]

場 所:越後連峰 野中〜中ノ岳

期 間:平成12年12月28日(木)〜平成13年1月1日(月)

参加者:L石川、SL原澤、加納、伊藤、松富、佐藤、OB斉藤、千葉

「日 程」

12月28日(木)雪 入山 :野中〜ダム管理所〜十字峡CS

         雪深くワカンを装着、腰までの猛ラッセルを強いられる。

12月29日(金)雪・曇 :十字峡〜967地点手前CS

         中ノ岳に向けて出発、130kgの荷物で思うように進まない。

         越後の山の豪雪を思い知らされる。

12月30日(土)快晴 :967地点手前〜日向山CS

         相変わらずラッセルに悩まされる、CSで雪同を掘る。

12月31日(日)曇・晴れ :日向山CS〜中ノ岳〜日向山

         強風の中、中ノ岳頂上へ

13年1月1日(月)風雪 下山 :日向山〜三国川ダム管理所

         物凄い風雪の中、下山。

 

[春山合宿報告]

場 所:中央アルプス 池山尾根〜空木岳往復

期 間:平成13年3月22日(木)〜3月26日(月)

参加者:L千葉(OB)、SL原澤、加納、伊藤

「日 程」

3月23日(金)晴 :古城公園〜池山小屋〜2080手前コルCS

        暑く半袖で歩く、途中からワカン装着。

3月24日(土)晴 :CS〜2500mCS

        大地獄、小地獄を通過、

3月25日(日)曇 :CS〜空木岳〜CS〜池山小屋

        空木岳へ、風強くホワイトアウト状態のため遭難現場行きを中止。

3月26日(月)曇・雨 下山 :CS〜古城公園

 

「年会費納入のお願い」

今、会費制度としての認識を整理すると、従来の終身会費制度はそのまま施行され、プラスされた形で新年会費制度が導入されたと認識したい。終身会費の未納者に完納をお願いし、新年会費制度導入の過去五年間の未納、滞納分の払いやすい、納入してもらえる納付対策を検討。その対策と実行完了にはまだまだ時間が必要な状況を鑑み、公平性かつ効果的、能率的な解決策を検討する傍ら、平行してとりあえず今年度の会費徴収を実施したい。

振込先口座名

     富士銀行:横浜駅前支店(店番292)

        普通預金・口座番号 2873471

    あて先:桜門山岳会 大谷 直弘

       (オウモンサンガクカイ オオタニ ナオヒロ)  

   

上記銀行口座に会費の払込み、何卒よろしくお願い致します。

                         理事長 神崎忠男

                         会計  大谷直弘

                                                 

「編集後記」

 連日猛暑の日が続いていますが、皆様には如何お過ごしでしょうか。

夏の休みを利用して山行をされる方、家族サービスに専念される方、日頃の疲れを癒すため

自宅でリラックスされる方、くれぐれも健康に留意されんことをお祈りいたしております。

 短信も130号を過ぎ山積する諸問題を抱えながら発行いたしております。

全国の会員皆様の情報を載せたい、費用負担に耐えられるのか、双方向の伝達が出来ないのではないか、役員会の報告ばかりで面白くない、インターネットのホームページに切替えてはどうか、短信発行には多くの人の奉仕が必要だ、などご指摘はさまざまです。

今回高橋理事よりの提案でアンケートを取りたいと考えております。その節はご協力をお願い致します。

日本大学理工学部 4号館3階431-A 平山研究室内 桜門山岳会事務局

1010062東京都千代田区神田駿河台1814  TELFAX03-3259-0703

日本大学山岳部ホームページ:www.everest.co.jp/nac/

発行責任者 神崎 忠男   編集者 柄澤 洋城

 e-mail:karasawa@mwa.biglobe.ne.jp

 

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