桜門山岳会短信 bP30

平成12年6月15日発行

 

[報 告]

「日本大学山岳部・桜門山岳会平成11年年次総会開催」

日 時:平成12年5月19日(金)18:45〜20:00

場 所:千駄ヶ谷「東京体育館・大会議室」

出席者:田中(昇)、村田(顕)、新田、渡辺(恭)、佐藤(幸)、石坂、岡本(如)、芝田、北村、山本(晃)、桜井、真田、津田、安田(敬)、土合、深瀬、大城、赤井、山崎、片柳、谷口、今村、高橋(正)、高緑、森山、神崎、関、大沢、柄澤、尾上、中村(進)、古畑、原田、望月、高沢、岡田、羽賀、今野、大谷、古野、山本(茂)、斎藤(大)、鈴木(快)、深沢、計43名

学生:石川、鳥居、加納、原澤、門田、伊藤、松富、佐藤、8名  合計51名

開会に先立ち悲報の届いた野田福五郎氏(機16)中山昌之氏(経47)の冥福を祈り出席者全員で黙祷。

芝田会長より挨拶があり、学生のメラピーク登頂は学生にとって大きな自信につながり今後の活動に好影響を与えると共に新入部員獲得にも大きな力となることを期待する。

また、今回の計画に対しOB諸兄の心からのご支援、ご協力に感謝したい。と述べられた。

「議 事」(総会の議事・案件に関してはご郵送致しました「総会」をご参照下さい。)

[日大山岳部]

 山岳部活動報告が、11年度CL深沢より報告され、新体制は4名でスタートし、年間活動の最終目標を海外登山(メラピーク)におき、新入部員獲得に努め4名の部員を獲得出来たことで海外登山への第一歩を踏み出す事が出来た。今年度は海外合宿という大きな目標があったのでその目標に向け、初夏、夏山、初冬(八方尾根)、冬山(南ア)を計画し、技術、体力面の強化を図ってきたが、思った程の成果が得られず心配であったがメラピーク合宿で最高の成果が得られたと思っている。この成果は部長、監督、コーチをはじめOB、OG諸先輩方のご支援のお陰だと思っています。本当に有難うございました。との報告があった。

 その後学生の会計報告、メラ・ピーク会計報告がされ、山本コーチからコーチ会活動報告がされた。

「桜門山岳会」

 尾上理事長より「11年度事業報告と12年度の事業計画について」

 日大山岳部と桜門山岳会の「活性化」に取り組んできた。山岳部では部員の獲得と育成が桜門山岳会では若手への会運営の移譲を徐々に行う基盤作りを行って来た。

 幸いにして昨年、今年と部員数も増加傾向にあり、これもメラ・ピーク登山の波及効果であると思う。また、学生に対するOBの支援も今回目標としていた300万円を上回る事ができ、熱い支援に対し御礼申し上げたい。桜門山岳会ではエベレスト北東稜以降海外登山への具体的な動きが見えなかったが、現在一部の会員からその動きが出てきているので、その芽を大切に育てたいとの報告があった。

 その後大谷理事より会計報告、岡田理事よりメラ・ピーク募金収支報告があり異議なく賛同を得た。

 新コーチ会の方針等が斉藤大輔コーチから発表され最後にメラ・ピーク合宿のビデオが上映され、画像による海外合宿報告となった。

  「懇 談 会」

 会場を東京体育館近くの「レストラン・ユーハイム」に移し、20:20分から懇談会に入った。

 芝田会長の挨拶、尾上理事長の乾杯の後、神崎監督からメラ・ピーク隊員の紹介や今回の海外合宿の概要が報告された。

 その後恒例となった山岳部新主将石川君の挨拶、卒業生の桜門新会員紹介、入会歓迎の言葉と続き、海外登山で活躍され、昨年日本リャンカン・カリン登山隊の副隊長として初登頂した中村 進氏(経43)が中国山岳事情等を話された。

 また、鹿児島県から最近福島県へ移る予定の今野善郎氏(法55)のスピーチなどあり久々の再会で盛り上がった懇談会となった。

 

 

「新年会・メラ・ピーク壮行会」

日 時:平成12年2月4日(金)18:30〜20:30

場 所:日本大学本部(日大会館)地下1階レストラン

出席者:星野、村田、石坂、岡本、芝田、松田、北村、山本(晃)、真田、堀口、安田(敬)、平山、深瀬、中嶋、福島、青木、大城、赤井、谷口、小島(籐)、高橋(正)、高緑、森山、神崎、大沢、柄沢、尾上、小嶋(一)、原田(洋)、高沢、岡田、大谷、古野、家口、岩下、大野、斎藤(大)、宇田川、理工:佐藤(武)、岳影会:野島

 桜門山岳会新年会並びにメラ・ピーク登山隊壮行会が平成12年2月4日、日本大学本部レストランで開催された。

 岡田理事の司会で芝田桜門山岳会会長の挨拶ではじまり、平山日本大学山岳部長の挨拶、メラ・ピーク登山隊員の紹介、尾上理事長の祝辞に続き星野先輩による乾杯の音頭で懇親会に入った。

 宴なかば、神埼監督からメラ・ピークの概要、高度順化の問題、山行中の健康維持、などの生活面、また、雪氷技術面の問題、特に1年生の技術的経験不足など、登山中に解決しなければならない問題も多いが、学生全員の登頂に向け元気に頑張って来たいとの力強い決意表明があった。

 学生による海外合宿は平成2年3月のアイランドピーク登頂以来の海外合宿である。最近は部員の減少や、登山技術の低下などが懸念される中で大きな視野にたって、多くの経験をすることは学生にとって大きな自信につながり、他大学にとっても刺激になるものと思われる。

 20:30盛会の内に散会した。

    柄澤 記

 

「桜門山岳会理事・評議会」

日 時:平成12年3月22日(水)19:00〜21:00

場 所:東京体育館・第2研修室

出席者:村田、石坂、岡本、芝田、松田、赤井、今村、高橋(正)、神崎、柄沢、尾上、岡田、野本、本多、14名

議 事

メラ・ピーク春山合宿報告

 学生・石川より春山合宿報告があり、例年より雪が多くFIXロープを多めに持参し、トルワラ峠で役立った。隊員全員高度順化も順調に出来、3月5日AM10:40 隊員6名とサーダー1名が登頂出来た。
4月14日全員無事帰国した。学生は全員元気でけが人もなかった。シェルパ3名、キッチンボーイ3名、ポーター30名の大所帯であった。ポーターに賃上げを要求されたりした。
 
東京経済大学の2名と帰路に合ったがトレッキング感覚で気軽に出掛けてきたと言う感じでヒマララ登山も変わったと思わざるを得ない。
静かな登山が出来た、と神崎監督は語った。

 

1.次年度事業計画

 山岳部の低迷を打破するためには、部員の確保と育成であり、次の目標設定をし、今回のヒマラヤ合宿の実績をPRして新入部員を10名獲得するなどの目標を立てて獲得活動する。

 桜門山岳会では古いOBと若いOBが遊離していると言われているが、目的意識を1つにする。そのためには桜門山岳会による海外登山の実践であると思う。12年度中に具体的な目標を設定したい。

2.次年度行事日程

総 会:5月19日

メラ・ピーク報告会:未定

天懇:10月21日〜22日

 

3.学生へのサポート対応

メラ・ピーク登頂を最大限PRして積極的に勧誘活動を行う。

 

「シルバータートル[夢・時をこえて]出版記念会開催」

日 時:平成12年3月12日(日)15:00〜17:00

場 所:岸記念体育館1階「レストラン・ランドマーク」

出席者:桜門山岳会関係 岡本、芝田、松田、山本(晃)、真田、大城、池田、片柳、小島(籐)、谷口、高橋(正)、柴田、森山、大沢、柄沢、古畑、岡田、古野、18名

その他関係者:96名 合計114名

 今回のシルバータートルの出版記念会は、チョーユー、ダウラギリ、GUと中高年による組織を超えた山好きが8000m峯に挑んだ登山活動の記録を集大成した報告書で年齢的ハンデ、体力的ハンデ、を克服した隊員それぞれの夢を実現した記録でもあります。

 当日は桜門山岳会の仲間をはじめ、多くの山岳団体や報道、出版関係者、隊員のご家族が参集し、和やかな雰囲気のうちに各隊員がそれぞれの山に思いを馳せ、日常聞く事ができないエピソードを織り交ぜてユーモワたっぷりなスピーチが多く聞かれた。

 「夢・時をこえて」まだまだ夢をもとめて意欲的な活動が続きそうでありました。

柄澤 

 

「エベレスト北東稜初登頂5周年の集い」

 日 時:平成12年6月6日(火)19:00〜21:00

 場 所:アルカディア市ヶ谷

 出席者:

桜門山岳会:岡本(如)、山本(晃)、真田、平山、深瀬、神崎、大沢、柄澤、野本 山 稜 会:佐藤(武)、忍田
岳 影 会:橋本、大田、原田、森山、野島、杉本、佐野
医 学 部:鈴木、大前、原田
学術・報道:富田、野口、江川
韓国山岳協会:5名          合計29名

 エベレスト北東稜の初登頂から早や5年、隊員をはじめ関係者が一同に会し、和気藹々のうちに、野本君の司会で開会。平山総隊長の挨拶、桜門山岳会山本(晃)氏の乾杯で懇親会に入った。適度にアルコールが回ったころを見計らって、出席者各位の近況が披露された。途中、飛び入りで参加された韓国山岳協会の一行5名が尾瀬の帰りに立ち寄られ、副会長の方が挨拶に立ち、中国、韓国、日本、の交流をより強いものにして行きたいと話され、学生を中心に韓国で交流の登山計画が具体化しているとのことであった。

 種々の都合で桜門山岳会の隊員をはじめ関係者が若干少なかったことが残念であった。

                                     柄澤 記

「カンチェンジェンガトレッキン

参加者:山本、宮原、大沢、他部外者2名

期 間:平成12年3月28日〜4月19日

 カンチェンジェンガ北面から南面のトレッキングに山本、大沢、K氏(部外者)3名で3月28日に成田を出発し、行ってきました。30日、カトマンズで合流した宮原、M氏(部外者)と5名でヘリコプター2便に分散フライト、グンサ(H3500M)より北面の最終目的地パンペマ(H4940M)に4月4日幕営し、翌日快晴の中を北壁基部近くまで往復して、カンチェ主峰、ヤルンカン等々の景観を楽しみ、4月6日グンサに帰省、4月8日より山本、大沢、K氏3名でジャヌー南方の峠越え(ミルギンラルート)をして、ヤルン氷河下流のツエラムに下り、同氷河右岸オクタン(H4730M)に4月11日幕営。翌日真っ青な空に猛烈な雪煙を吹き上げるカンチ山群をベースキャンプの近くまで行って眺めた。その日のうちにラムゼーを経由してツエラムに下山、そして16日、ツエラムよりヘリでカトマンズ、19日上海経由で大阪へ帰国しました。

 今回の山旅はエベレスト、K2(バルトロ)とともに参加した大沢君との山旅の延長線上のもので、未経験のネパール東部山域と世界第3位の高峰カンチ、そして怪峰ジャヌーの北と南を見たいとの思いで行ってきました。予想通り静かで人気のないカンチ、ヤルンの谷に、圧倒的迫力のジャヌーとその連山、最近だいぶ人の多くなったヒマラヤの名峰各山域の中では、トレッキングとはいえ4500M付近の峠越えと降雪の中の幕営等々、若干ハードな面はありましたが、外国人パーティーとも二、三会っただけの静かな山旅を楽しむことができました。天候は午前快晴、午後遅く曇りまたは雪の日が多く、変化のある素晴らしい景観にも接して、一昨年のバルトロの旅とは違ったヒマラヤの魅力を強烈に感じた山旅でした。また、体力差、年齢差も余りなく、足の揃った少人数のパーティーで行く良さもつくづく実感した本当に楽しい充実したトレッキングでありました。

 カトマンズでは熊谷君に古いネパールを再現したホテルに招かれ、また、井本君には色々とお世話頂き、世代を超えて山岳部のことを夜遅くまで話したり、グンサではめったに見られない現地での義兄弟の儀式等に参加させて戴いたりと、宮原君を始めとして後輩の3氏には楽しいネパールの休日の一刻を過ごさせていただきました。感謝。

山本 記

 

「会員の近況」

 [訃 報]

野田福五郎氏(機16)

 4月2日すい臓ガンのため逝去されました。享年80歳。
 謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
 奥様のお話では、平成11年6月30日体調を崩し静岡市立病院に入院、検査の結果、すい臓ガンである事が判明、8月3日手術し12月5日に退院。お正月を自宅迎える事が出来たが12年3月3日に再入院、肝臓への転移もあり急速に症状が悪化したとのことであります。

中山昌之氏(経47)

4月19日食道ガンのため逝去されました。食道ガンが発見されて2ケ月後の逝去だったようです。

謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

 

「最近思うことと先輩へのお願い」          

高橋正彦(37年卒)

 学生もメラピークの登頂に成功し、尾上理事長が現役の活性化と部員の増加を目標に、海外登山で部の魅力を作ろうと努力したことは喜ばしいことと思っている。

 ここで、あえて正しいと言わないのは、数学でもない限り、正しい答えが一つということはない、従って会員が100%賛同するということはあり得ないからです。

 私も気づいてみたら、理事では最年長になっており、変な言い訳になるが、理事会には極力出席しないようにしている。

 それが後進への信頼と協力と思っており、何か相談があれば彼らから言ってくる。

 その尾上君も2年間の理事長の約束で、早いもので1年を経過した。名古屋からの通いでは、これ以上無理は言えない。

 これから、彼を中心にいろいろと考えるに当たり、先輩に遠慮することなく、21世紀を担う若い力と、山岳部に入る学生に目を向け、関係者と相談して、よい答えを出してくれるものと信じている。

 どうか彼等を暖かく見守ってやってほしいと思うと同時に、私より先輩へのお願いであります。

 

「日本大学山岳部合宿報告」

[冬山合宿報告]

場 所:南アルプス北部(仙丈岳〜塩見岳)

期 間:平成11年12月25日(土)〜12月30日(木)

メンバー:CL深沢、SL石川、鳥居、原澤、加納、OB千葉

12月25日(土)曇・晴  戸台〜北沢峠〜仙丈三合目CS

   26日(日)快晴・雪 仙丈三合目CS〜小仙丈岳〜仙丈岳〜2755m手前仙丈岳周辺の細い稜線は雪が少なく風強い。

   27日(月)快晴  2755m手前〜高望池〜野呂川越〜2699m手前

   28日(火)快晴  2699m手前〜三峰岳〜熊ノ平〜新蛇抜山手前コル

   29日(水)快晴  新蛇抜山手前コル〜塩見岳〜塩見小屋

   30日(木)晴   塩見小屋〜三伏峠〜塩川        

 

「ネパール メラ・ピーク合宿行動記録」

場 所:ネパール・クーンブ山群 メラ・ピーク(6476m)

期 間:平成12年2月15日(火)〜3月14日(火)

メンバー:深沢(4年)、石川(2年)、加納(1年)、原澤(1年)、鳥居(1年)、OB 松本、監督 神埼

 

2月15日(火) 成田→バンコク

平山部長をはじめとする方々に見送られて、出発。成田からタイ航空でバンコクへ。

空港近くのラマガーデンホテルにて泊。バンコクは日本の夏のように蒸し暑かった。

 

2月16日(水) バンコク→カトマンズ(1300m)

同じタイ航空でカトマンズへ。空港に着くと、荷物を運んでお金をもらおうとする子供たちに囲まれる。その子供たちを追い払い、THTの車に乗り込み、カトマンズ・ゲストハウスに向かう。到着後、タメルにて装備、食料、医薬品の買出しを行う。夜はTHTの井本OB、今回同行するシェルパたちと会い、話を聞く。今年は雪が多く、ザトルワラ峠にも雪があるのでは、とのこと。

 

2月17日(木)

カトマンズ(1300m)→ルクラ(2800m)

「天候」晴

朝、カトマンズからプロペラ機でルクラへ向かう。ルクラに着くと、周りの山が迫り、いよいよ来たなという気持ちになる。ルクラでは町を見て歩いたりとゆっくりと過ごす。

2月18日(金)

ルクラ(2800m)→トウッデインマ(3200m)→チュタンガ(3400m)
8:25発      11:15着 13:15発   13:45着

「天候」晴→雪

ザトルワラ峠の雪の状態を見るための偵察1日目である。ルクラからゆっくり進むが、登りが急でしんどい。途中、トウッデインマとチュタンガには人家がない。細かい雪が昼頃から降り始める。チュタンガ到着後、1時間ほど順化活動を行う。

 

2月19日(土)

チュタンガ(3400m)→イヤ・カルカ(4000m)→ザトルワラ峠手前(4260m)→チュタンガ(3400m)
8:05発       10:10着 10:30発   13:20着 13:30発    14:30着

「天候」晴→雪 

偵察2日目。標高4000mに全員到着したが、目立った異常はない。イヤ・カルカからプラ靴、アイゼンを装着し、4260mまで行き雪の状態をシェルパとともに見る。現時点での雪の状態ではポーターの通行は無理との判断。昼からまた雪。ルクラに着いてから毎日同じ天候だ。

 

2月20日(日)

チュタンガ(3400m)→ルクラ(2800m)
8:20発        10:10着

「天候」晴→雪  

今日で偵察は終了。所々雪がついており、滑りやすい。ルクラに到着後、井本OBと電話で偵察結果と今後の予定について話す。3時頃からまた雪。早く春になってほしいものだ。

 

2月21日(月)

ルクラ(2800m) 滞在 神埼監督合流

「天候」晴

神崎監督が朝、ルクラ到着。朝食後、メンバー全員で今後の予定を話し合う。その結果、ザトルワラ峠の通過はFIXすることで対応し、メラ・ピークへ行くことが決定する。

 

2月22日(火)

ルクラ(2800m)→チュタンガ(3400m)
12:30発        15:35着

「天候」晴→曇  

今日からメラ・ピークへのキャラバンが始まった。シェルパ、コック、キッチンボーイ、ポーターを合わせて、30人以上の大部隊である。今回はゾッキョは使わずすべて人力である。我々は軽い荷でゆっくり行く。チュタンガは寒い。

 

2月23日(水)

チュタンガ(3400m)→イヤ・カルカ(4000m)
8:30発        11:15着

「天候」晴

今日もゆっくりなぺースで歩く。イヤ・カルカは朝の寒さとは程遠い暖かさだ。一度4200m地点まで皆行っているので、監督を含め高度障害を訴えるものはいない。2時30分から順化活動で4300m地点まで行って戻る。シェルパたちは峠へのルートをFIXして帰ってくる。

 

2月24日(木)

イヤ・カルカ(4000m)→ザトルワラ峠手前稜線コル→イヤ・カルカ
9:15発         12:00着  12:30発   13:30着

「天候」晴

今日は、順化と荷上げをかねて、ザトルワラ峠の手前まで往復する。ザトルワラ峠への急斜面には雪がついており、ポーターには危険なため、FIXしたうえで、今日と明日とで荷を分けて、軽い荷で行ってもらう。我々も一人10Kg程の個装を持つ。荷はザトルワラ峠手前の稜線のコルにデポする。皆、ゆっくりとしたペースで歩き、石川が苦しそうにしていた以外は大丈夫そうであった。

 

2月25日(金)

イヤ・カルカ(4000m)→ザトワラ峠(4550m)→タシン・ディ
8:30発         12:00着 12:30発  16:15着

「天候」晴    

 ついに我々にとって最大の懸念であったザトルワラ峠を越えた。昨日の順化活動のおかげでより早いペースで進むことが出来た。峠から先は南に面した開け場所で雪はない。チェトラブで休憩。そこからあと3時間も歩くと聞き、皆とっと疲れが出る。そこからトラバースの道を進み、標高が低くなるにつれて、かなりの積雪になっている。なんだか日本の冬山にいるような気になる景色だ。今日のキャンプ地は、タシン・ディンマまで40分程手前の沢筋の所で、雪を整地してテントを張る。

 

2月26日(土)

タシン・ディンマ手前(3800m)→バガール(3460m)→コーティ(3650m)    9:00発             10:50着      12:30着

「天候」晴→曇→雪                   

今日の行程は、川に向かって下る道である。アップダウンが多く、雪もある。プラ靴を履いている我々にとっては難なく行けるが普通の靴しか履いていないポーターは下りに苦戦している。

川を下った所がバガールで、そこからすこし登り、沢の合流点であるコーティで行動終了。コーティはとても広く、テントが優に10張も張れる。

サーダーのリンジさんの話によると、ターナの氷河湖が2年前に崩壊し、川が氾濫したことでタシン・オンマの村は流されてしまったという。彼が5年前にこの辺りに来たときは、もっといい道があったのだそうだ。

 

2月27日(日)

コーティ(3650m)→ゴンディサン(4150m)→ターナ(4360m)
9:20発       13:00着  13:50発   15:45発

「天候」晴→曇→雪  

 コーティからしばらく歩くと、ついにメラ・ピークが我々に初めてその姿を現した。さらに3時間、河原を歩く、川から離れ広々とした所を行きゴンディサンで昼食。ここはクスム・カングルのベースキャンプになるところだそうだ。ターナへの道の途中には、テントが張れそうな場所が所々に見られる。ターナは10以上のロッジが立ち並ぶとても広い所だが、シーズンにはまだ早いため小屋の管理人の他は人がいない。

 今日は、約半分の15人程のポーターが帰った。彼らは3日でルクラに帰るのだそうだ。

 

2月28日(月)

ターナ(4360m)滞在

「天候」晴→雪

 今日は休養停滞日とする。朝、晴れ間が見えたのもつかの間、雪が降り出す。

一日中雪が降り続き、寒い。昼食にゆでたジャガイモも食べた。たいへん美味しかったが、皆、食後気分を悪くする。休養になったが心配だ、順化に関しては問題はなさそうだ。

 

2月29日(火)

ターナ(4360m)滞在

「天候」曇→雪

 夜と明け方にターナ周辺で雪崩が起きた。サーダー、シェルパの意見もあり、行動はせず、停滞とする。午後になるとガスが出て来て、視界がまったくきかなくなる。

 

3月1日(水)

ターナ(3460m)滞在

「天候」雪

昨日の夜から雪が降り続き、終日雪で停滞。昼はサーダー、シェルパとで登山活動についてミーティングを行う。ターナ滞在も3日となり、順化も万全だが、さすがに飽きてきた。

 

3月2日(木)

ターナ(4360m)→ディグ・カルカ(4500m)→カーレBC(5000m)
9:50発      12:30着         14:30着

「天候」雪→ガス→晴→雪

 ターナから1時間程で今までの我々にとっての最高到達点であった4500m地点に着く。さすがに息苦しさを感じ、ゆっくりと歩く。途中、反対側斜面で雪崩が起きる。ディグ・カルカに着くと晴れ間が見え出す。この辺りは広大な平地が広がっている。さすがに息苦しさが増し、数歩歩くたびに深呼吸を繰り返す。

 カーレは、多くの隊がベースキャンプにしているだけあって、とても広いところである。ただ一歩岩陰に行くと多くのゴミが捨てられており、心が痛む。

 これでキャラバンは終わり、明日からいよいよ登山期間だ。あとは我々の力でやる番だ。

 

3月3日(金)

カーレ(5000m)→メラ・ピークCT(5400m)
9:00発      14:40着

[天候]晴→ガス

 今までで一番ではないかと思われるような快晴。神崎監督、シェルパ、コック、キッチンボーイ、に見送られ出発。ザックには個装、食料、装備がつまりズッシリと重く、高度も高いため、

今まで以上にゆっくり歩く。それほど雪はなくガレた急斜面を登り、やや開けた所でアイゼンを装着する。ここでヒドンクレパス対策としてタイトロープで全員をつなぐ。トップはクライミングシェルパとして同行するツェリンさんがなる。雪の急斜面を登るとメラ・ラに到着する。

 とても風が強いため、そこから下った地点にテントを張りCTとする。

 

3月4日(土)

メラ・ラCT→C2(5830m)
9:00発    13:00着

「天候」晴

 今日も雲ひとつない快晴だが、風は強い。CTにテント1張残し、使わない食料をデポする。

タイトロープで緩やかな、だだっ広い斜面をゆっくり登る。所々に小さなクレパスが見えるが特に問題はない。途中、エベレスト、ローツェ、マカルー、などの姿が見渡せる。

 C2は、大きな岩の東側で、風がよけられ日当たりがよいとても暖かい所だ。

 

3月5日(日)

C2(5830m)→メラ・ピーク山頂(6476m)→C2(5830m)
5:00発     10:40着 11:05発     12:30着

[天候]晴

朝、5時星空の下、出発する。夜が明けると、雲ひとつない快晴。緩やかな登りが過ぎ、スノードームの南側の斜面を登り、山頂を目指す。時折強い風が吹き、耐風姿勢を交えて進む。

 スノードーム脇の斜面を登りきると山頂が近くに見える。此処まで来ると息苦しさは最高値に達し、咳が止まらない。山頂への最後の登りは急で、1ピッチFIXする。それを登りきるとメラ・ピーク山頂。ついに我々はやり遂げた。メンバー、ツェリンさんと固い握手を交わす。

 神埼監督とシーバー交信をし、メンバー一人一人の喜びの声を伝える。風が強い中、部旗、日の丸、ネパール国旗を掲げる。その後で「桜門山岳会・日大山岳部 万歳」と万歳をし山頂を後にする。C2についた時は、皆疲れきっていたので、C1へ下るのをやめC2泊とする。

 

3月6日(月)

C2(5830m)→メラ・ラC1(5400m)→カーレBC(5000m)→ターナ(4300m)
8:45発     9:30着 9:40発    12:00着 13:15発  15:00着

「天候」晴

 C2を撤収し、下る。9:40分メラ・ラC1を撤収、ベースキャンプへ向かう。途中のガレ場を下ると神埼監督に迎えられ、一同握手を交わす。ベースキャンプではシェルパ達が歓待してくれた。今日はターナまで下る。明日からまたルクラへの長いキャラバンが始まる。

 

3月7日(火)

ターナ(4300m)→コーティ(3650m)
8:45発      9:30着

「天候」晴

メラ・ピークを登頂した事で順化が出来ており、ターナでも苦しくない。ここが富士山山頂より高いということを忘れてしまいそうだ。暖かい日差しの中、のんびりと下る。9:30分コーティに着く。ここには行きにはなかった茶屋が出来ており、ポーターが夜遅くまで酒を飲んで騒いでいた。また明日の行程が2日分の距離なので、ポーターが2日分の給料を要求してサーダーに詰め寄っていた。

 ここコーティからはメラ・ピークが眺められる。我々がこの山行でメラ・ピークの姿を見るのもこれで最後だろう。「さようならメラ・ピーク」

 

3月8日(水)

コーティ(3650m)→チェトラブ(4300m)

8:15発       15:25着

「天候」晴→雪

 雪は行きの時よりも減っている。一度川を下ってから、長い登りが続く。途中我々と同じくメラ・ピークを目指してキャラバン中の東京経済大学の人達と出会う。チェトラブ近くになると粉雪が舞ってくる。ポーターが全員着いたのが19時、雪の中、長い距離を本当にお疲れさまでした。今日はテントを張らずに、ロッジに泊まる。

 

3月9日(木)

チェトラブ(4300m)→ザトルワラ(4300m)→ルクラ(4300m)
8:20発        10:00着       15:30着 

「天候」晴→雪

 今日は最終日。ルクラへ下る日である。朝は快晴だったものの、出発するころガスが出始め、ザトルワラ峠に着くころには雪が降り出す。ザトルワラ峠からの下りは雪がかなりついていて、ポーターをサポートしながらの下山であった。イヤ・カルカで昼食、これから先ははやる気持ちを押さえてルクラに下山する。17日ぶりのルクラは懐かしい。夜はお世話になったシェルパ、キッチンボーイ、ポーター達と慰労会を行い、一緒に酒を飲み、歌を歌い、踊ったりと楽しく過ごす。

 

3月10日(金)
ルクラ(4300m)→カトマンズ(1300m)

 朝、プロペラ機でルクラからカトマンズに飛ぶ。久しぶりのカトマンズは、大都会の印象を受ける。カトマンズでの宿泊先はホテルヒマラヤ。ホテルで山行の汗を流す。夜、ネパール山岳会会長、井本OB,フリさん、ツェリンさん、と日本料理レストランで食事をする。日本料理は久しぶりに美味しかった。

 

 

「編集後記」

短信130号の発行が大変遅れました。桜門山岳会、日大山岳部の活動も年初から活発に行われ、特に学生のメラピーク登頂は喜ばしい限りです。

最近は日本大学山岳部のホームページにご意見や情報を寄せられる会員(若手が多いようです)が増加しておりパソコンをおもちの方は是非アクセスしてみては如何でしょうか。

会員皆さまの山行計画、現在やっている活動、理事会に対する要望、ご意見をお待ちしています。下記までお問い合せ下さい。

 日本大学理工学部 4号館3階431-A 平山研究室内 桜門山岳会事務局

 〒101‐0062東京都千代田区神田駿河台1−8‐14  TEL、FAX:03-3259-0703

発行責任者 尾上 昇   編集者 柄澤洋城

 

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