1998年 初冬合宿 北アルプス 唐松岳八方尾根

期間: 平成10年11月21日(土)〜11月21日(木)

メンバー: L本多4、松本3、深沢3、佐藤3、京増1、石川 (在京 小林2)

ルート: 八方尾根 第2リフト上〜八方山荘・第2ケルン先で雪訓




 
 
 
 

全体を通して

予想はしていたが、雪は多く、天気も悪かった。その分ラッセルをはじめとする体力強化や、生活技術習得の面で非常にプラスになった。今回は冬山合宿の北鎌尾根等、積雪期山行に向けて、普段、定着訓練合宿としているところを、毎日撤収、重荷行動、設営をくり返したため、1年生は一連の流れを体得でき、風雪の中で最低限必要な素早い撤収、パッキングや、設営を行うことができるようになった。しかしながら欠けてしまった点としては、1年生のアイゼン歩行経験の少なさである。雪訓時のアイゼン歩行に関してはほぼマスターしているが、本番経験が乏しい。昨年と異なり今回は新雪が降り続いたため、クラストした斜面がほとんどなく、十分な経験ができなかった。アイゼン・トレーニングや山行を今後行うことはもちろんだが、本番経験が乏しい事を充分考慮して今後の積雪期山行に望まなければならない。

また、タイトロープ2種類(大阪式コンテを除く、クレバス式とガイド式)は、状況、条件によって非常に役立つ、もっと身につけるべきである。雪崩捜索に関しては、ビーコン、ゾンデ(2点ゾンデ法)、スコップの3種の神器による捜索で、かなり短時間で捜索出来る自信がつき、これも頻繁に訓練するとともに、平行して心肺蘇生法などの救急法も継続的に行っていく必要がある。

ともかく、1年生がこれらの積雪期山行に向けて、雪山、冬山の厳しさを感じることができた事は大きな収穫になり、技術だけではなく、メンタル面でも非常にプラスになった。

本多

11月21日(土) 雪〜地吹雪

第2ロフト上(09:00)〜八方池山荘CS(13:00)

 白馬駅に着くと大粒の雪が降り、積もっている。黒菱平方面にタクシーはあ行けないという事なので、ゴンドラ駅へと向かう。スキー場は今日オープンらしいが視界が効かないほど降っている。ゴンドラと第2リフトに乗り、鎌池よりワカンを着け、体操して出発。夏道沿いは雪崩の危険があったために避け、尾根上を行く。出だしから胸上ラッセル。6人で回すが1年の2人は始めてのラッセルだったので遅い。さらに新雪のために何度も雪を踏み固めないと足がほとんど前へ出せない。後ろから中高年のパーティーが来たが遅く、訓練合宿なのでラッセルはほとんど自分たちで行った。時には空荷ラッセルも交えた。やっと八方池山荘に着くとテントが2張りある。さらに先に進むが地吹雪になってきたので引き返して山荘横に設営する。夕方から除雪を行い、夜中も3回除雪する。

11月22日(日) 曇〜雪

八方池山荘CS(06:45)〜八方池先CS(11:40)〜雪訓〜CS(15:15)

 昨夜からの雪は明け方に止む。1年生は撤収、パッキングが遅い。出発時は時折晴れ間も見えるが徐々に悪くなっていく。相変わらずのラッセルである。今日中に扇雪渓まで行くのは無理と判断し、八方池付近に適度な斜面を見つけ雪訓をすることにする。天候が悪化してきたのでまず設営を行う。それから斜面に移動し、アイゼンを着け、歩行、ジッヘル、耐風姿勢、弱層テストなどなどな行う。風は強く、寒い。テント場近くの平坦地でビーコン、ゾンデによる雪崩捜索の練習を行う。風は強く、寒い。積雪は3mのゾンデ棒を刺して30センチが雪上に出る予定だったが予想より雪が深く届かない。

11月23日(月) 風雪

八方池先CS(08:00)〜第2ケルン先(10:00)

風雪が強いために待機する。(今日扇雪渓まで上がらなければ、ここまでの積雪量を考えると登頂は難しいと判断し、登頂にこだわらず、目的通り雪訓と生活技術の充実を第1に行うこと再確認する。)待機したが風雪は弱まらず、先に進む行動は危険と判断し、昨日通過してきた第2ケルン付近まで雪中行動っし設営することにする。風雪の中の撤収、パッキングであったが1年生は多少慣れてきたようである。出発前には部歌とコールの練習をさせる。ラッセルで尾根を進み第2ケルン先の夏期トイレ(冬は閉鎖)の隣に設営する。その後、徐々に風が強くなり、鈍い音と共にポールが折れてしまった。それも2回。冬天のポールが折れる経験は始めてである。防風壁は雪が柔らかく合宿中一度も作れなかった。反省会は強風で声が聞きにくく大声で怒鳴りつつ、ポールを押さえつつ行った。

11月24日(火) 快晴〜雪

第2ケルン先(06:30)〜八方池上にて雪訓(08:10)〜第2ケルン付近雪洞(15:20)

今合宿唯一の好天は快晴となった。快適に撤収、パッキングし、八方池雪訓場に向かう。稜線から望む鹿島槍、後竜、不帰、白馬は雪べったりで真っ白である。ザイルワーク5種、タイトロープ2種を行う。FIXは荷を背負い、稜線を戻りながら連続8ピッチ行う。下界での練習の成果で1年生もスムーズに出来ている。第2ケルン先まで戻り、斜面に雪洞を掘ることにする。このころから雲が出て、雪が降ってくる。6人が楽に入る雪洞を1時間程で作り上げる。中は広く作ったために寒かった。音を吸収するため声が聞き取りにくい。

11月25日(水) 雪

雪洞(06:30)〜鎌池(第2リフト上)(09:00)〜雪訓〜(01:20)

新雪のため、天井がかなり下がっている。朝食後、酸欠でライターが点かなくなり入り口を掘って空気を入れる。夜中に雪で密封されてしまっていた。京増が少し気持ち悪そうなので外に出す。少し良くなったと言い、中に入るとまた気持ち悪くなって外に出ていく。人によって感じ方が違うようだ。座って深呼吸させると直った。もう一日雪訓に当てることにするが、本多が卒論の関係で下山するので雪訓場を鎌池上の斜面(ここならば、翌日どんな天候でも下山できるため。他に良い斜面がない。)として、全員で下り始める。雪の降る中、ラッセルが続く。途中、コールと部歌の練習をさせる。下りの斜面で雪崩の危険を少々感じたため、間隔をあけて通過する。鎌池に着き、まず設営する。さすが1年生も慣れたようである。そしてリーダーを松本に交代し、本多は下山する。その後、ザイルワーク、雪崩捜索等、今日までの雪訓の総復習をする。

11月26日(木) 雪

下山