山行報告書

日本大学山岳部

 

的) 走経験を積む、生活技術の確立、メンバーシップ・リーダーシップの向上

域) 表銀座(中房温泉〜大天井岳〜常念岳〜蝶ヶ岳〜上高地)

日  程 令和元年1029日()〜令和元年112日(

    移動1日、実働4

メンバ) 4年 CL福島端流、SL川村洸斗、新保裕也、白土朝香、田邊カレン

           3年 氏神拓真、野上博史、原島千尋、村上洋道、山田哲平

2年 川下景正、喜多嶋拓海、山崎颯太

1年 柴田亮、米山未羽                    計15

1030日 入山地点 中房温泉

 

行動報告)

1029日(火)移動日

新宿駅(高速バス)18:30, 19:30〜松本駅22:15, 23:00

 新宿から松本駅まで高速バスで移動する。到着後、ステーションビバークをさせて頂く。

相変わらず、色々な音が聞こえてきたり、眩しいライトによって全く寝付けなかった。

 

1030日(水)入山日 晴れ 5

松本駅05:58〜(電車)〜06:30穂高駅06:40〜(バス)〜07:35中房温泉08:0013:40

山荘CS1 14:0014:30燕岳〜15:00燕山荘CS1

 松本駅から始発で穂高駅まで電車で移動する。穂高駅からは乗合バスで中房温泉へと乗

り継ぐ。登山者は他に34名程いた。登山口から登り始めて1時間ほどで米山が靴擦れを

訴えたので、第二ベンチでテーピングを巻いて応急処置をする。その後の登りでも隊のペ

ースは中々上がらず、時間がかかってしまう。合戦小屋に到着すると白土のSpO2値が87

と下がり始めていたため、荷物を減らす。積雪は、燕山荘手間に少しある程度で、ほとん

ど融けていた。

 

燕山荘に到着後、テント設営を行い、燕岳へとアタックする。この日は1日を通してほ

とんど快晴だったため、穂高連峰を中心に素晴らしい景色が見られた。燕山荘に帰幕後、

1年生のアイゼン着脱と歩行の練習を行う。日没後の星空が綺麗で印象的だった。

 

1031日(木)晴れ −3

燕山荘CS1 05:0506:30大下りの頭〜09:00大天荘〜09:10大天井岳〜09:20大天荘〜10:03東天井岳〜12:50常念小屋CS2 

 朝の撤収が遅れ、出発が5分ほど遅れる。1年生は一つ一つの行動が遅いのが目立つ。

燕山荘から大下りの頭までの登山道は所々積雪があるが、ほとんどが夏道である。雲海か

らの日の出がとても美しい。大下りの頭付近で川下が頭痛を訴える。SpO2値が85と低く、

高度障害の症状が見られたので、水分を摂らせて荷物を減らす。喜作レリーフから大天荘

までのトラバースの雪道は、トレースで踏み固められており、アイゼンを使用する必要は

なかった。山荘に到着後、空荷で大天井岳へと往復する。この日も快晴で何とも景色が素

晴らしい。自然と部員にも笑みが浮かぶ。

 

大天荘から先でアイゼンを装着するが、装着の遅い者が目立った。こういった一つ一つ

の動作を素早く行えるようにしていかなければいけない。1年生にとっては、初めての実

戦でのアイゼン歩行であり、柴田は下りで歩行に慣れず苦戦していた。東天井岳付近から、

注意喚起の声が不足していたため注意をする。疲労からなのか、トップは周りが見えてい

ない様子だ。 常念小屋に到着後、明日に備え、各々が身体を休めていた。頭痛を訴えて

いた川下もすっかり良くなっていた。

 

111日(金)晴れ −3

常念小屋CS2 05:0007:27常念岳〜11:30蝶槍〜12:17蝶ヶ岳〜12:25蝶ヶ岳ヒュッテCS3

 昨晩からの強風であまりよく眠れなかった。朝になっても依然として風は強く、寒く感

じる。行動開始からすぐに常念岳の登りが続く。登り始めてすぐに米山の冬靴のジッパー

部分が壊れる。何とか応急処置で直したが、新しい靴にしたほうが良さそうだ。山頂手前

の稜線でアイゼンを装着する。風はさらに強くなり、煽られないように気をつける。雪と

風の常念岳はすっかり冬山のようだ。常念岳山頂で写真撮影を済ませてすぐに下降する。

稜線上は常に風が強く、中々ペースが上がらない。 

 

樹林帯に入るとようやく風が収まり、温かくなったのでレイヤリングを整える。樹林帯

を抜けると、積雪はほぼなく、快晴の蝶ヶ岳に登頂する。今日まで全ての日がほぼ快晴

であり、とても気持ちがいい。ただ、日が落ちると一気に気温が下がり寒い。これが秋山

だ。

 

112日(土)下山日 晴れ 1

蝶ヶ岳ヒュッテCS3 05:3906:54長塀山〜10:30徳沢〜11:20明神〜12:30上高地

 食当が20分ほど寝坊したという報告で目覚める。急いで撤収を行う途中、米山が嘔吐し

ているという報告があり、状況を確認する。どうやら昨日の夜中から吐き気があるそうで

朝食を食べた後に嘔吐したという。SpO2値は87で依然として吐き気は治まらず、当初の

行動計画は難しいと判断する。停滞も考えたが、蝶ヶ岳ヒュッテの営業は明日までであり、

明後日以降の天気がわからない。米山の症状を見て早く下山したほうが良いと判断したた

め、天気の良い本日中にエスケープルートの長塀尾根経由で上高地に下山することにした。

 

念の為、米山の荷物は空荷にし、ハーネスとヘルメットを装着させ、福島がザイルで確

保しながら行動する。下山を開始して1時間ほどで米山の靴のジッパーがまたしても壊れ

る。ダクトテープで何とか補修する。標高が下がるにつれて徐々に米山の症状は良くなっ

てきた。長塀尾根の最後の急な下りを慎重に通過し、徳沢に到着する。米山は朝よりはだ

いぶ楽になったそうで、食欲も戻り始めていた。他の部員は皆元気そうだ。その後、明神、

上高地へと到着し行動を終了する。米山には福島が付き添い、松本から米山の自宅へと帰

宅した。 

 

 

振り返って

 今合宿は、遠征隊のメンバーが戻ってきた久しぶりの合宿である。合宿を通して感じた

ことは、1年生の生活技術の未熟さと上級生による注意喚起の不足である。1年生は、食当

の手際が悪く、出発遅れや寝坊、アイゼン着脱などの一つ一つの行動が遅いため、行動時

間の遅れに繋がっている。また、23年生は行動を通して注意喚起や下級生への声掛けが

徹底されておらず、危機意識が薄いと感じられた。良い点としては、上級生が体力面や指

導面で逞しくなったことと、辛い状況でもお互いに励まし合いながら行動していたことだ。

 

今合宿は、全ての日が晴天であり、稀にみる天気の良い合宿であった。それだけに最終

日に米山の体調不良によって途中下山したということは残念であり、上級生による管理不

足が悔やまれる。米山の症状は吐き気だったが、原因としては、疲労が考えられる。これ

までの行程を振り返り、メンバー間で原因と対策を共有していきたい。また、今合宿で出

た課題を冬、春山に向けて改善していくことが重要だ。

(報告者: 福島端流)