2018年度 日中韓大学生登山交流活動山行報告書

日本大学山岳部

計画に寄せて

 

日・中・韓三国学生交流登山は日本山岳会、中国山岳協会、韓国山岳協会が青少年交

流のための登山活動を目的として共同で開催している。2007年の初開催以来、開催国は

毎年交代(持ち回り)で行われているものである。

三国の交流促進として、「お互いの文化の理解を深めること」、「登山の知識習得」、

「登山の技術を高めること」、「登山文化交流と内容の充実を図ること」により、三国の

登山活動の長期的な友好関係につながっている。

2018年度もこの活動を通して、お互いを知ることで3国の大学生のコミュニケーショ

ンを図ることができ、友情を育むことが期待出来る。また、登山活動の知識も併せて互い

に高めることが出来るものと考えている。

                

目  的)   什卡山峰5,254mの登頂ならびに日・中・韓三国の交流登山への参加

山  域)   中国 青海省 門源具 崗什卡山峰(5,254m)

期  間)   平成3072日(水)〜平成3083日(金)

                               渡航期間9

メンバー)   3年 川村洸斗、福島端流

2年 村上洋道   

                本学学生3

登山隊の母体)公益社団法人 日本山岳会 学生部

 

他大山岳部の学生参加状況)

同志社大学山岳部2名、青山学院大学山岳部1名、立教大学山岳部1

日本隊 隊長) 

公益社団法人 日本山岳会理事 学生部担当 中山 茂樹 氏

 

中国登山協会 所属参加大学生:33

韓国登山協会 所属参加大学生:10名                    計51

 

                頂上にて(5,005m)

 

行動報告)

726日(木)出国日 晴れ

川村・福島〜 難波駅(電車移動)12:0013:30関西国際空港

川村〜 関西国際空港20:1023:40福州長楽国際空港

福島〜 関西国際空港20:0022:00廈門高崎国際空港

村上〜 羽田空港01:0004:30香港国際空港07:4010:30北京首都国際空港22:3501:20

西寧曹家堡空港

 各自、出国し集合場所である西寧曹家堡空港を目指す。全員問題なくチェックインを済

ませるが出発時刻が大幅に遅れる。緊張と不安の出発となった。

 

727日(金)移動日 晴れ

川村〜 福州長楽国際空港11:5013:30武漢天河国際空港14:3016:00西寧曹家堡空港

16:1017:00西寧市内ホテル

福島〜 廈門高崎国際空港10:1013:00長沙黄花国際空港13:2015:30西寧曹家堡空港

16:1017:00西寧市内ホテル

村上〜 西寧曹家堡空港09:0010:00西寧市内ホテル

 全員無事に西寧曹家堡空港に到着する。空港まで中国の方が迎えに来て下さり西寧市内

ホテルまで車に乗せてくれる。チェックインを済ませ近くのレストランで歓迎パーティー

が開かれた。出てきた料理はどれも香辛料がきいていて刺激的な味だった。パーティー後、

ホテルに戻り日本隊でミーティングを行い就寝した。

 

728日(土)入山日 晴れ

西寧市内ホテル06:10(バス移動)〜10;15車両終了地点(3800m11:1013:00 BC

 バス2台に分かれて出発する。小休憩を挟みながら4時間程で車両終了地点に到着する。

すでに3800mと高所だが、昨日の就寝前に各自ダイアモックスを半錠飲んでいる影響か高

山病の症状はない。ここで予め大きいザックとサブザックに荷物を分けており、大きいザ

ックはBCまで馬が荷上げをしてくれる。たった2時間のキャラバンだが日本では見られ

ない雄大な景色のなか馬とともにゆっくり進んでいく。BCは立派な小屋が立っていた。学

生はBCと山との窪地に23人用のテントを張る。18:30に夕食、22:00に全体ミーティ

ングを行い翌日の計画を確認した。

 

729日(日)晴れ

BC 08:1009:00雪上訓練開始〜12:30雪上訓練終了〜13:30 BC

 出発が8時と遅い。高度順応を兼ねながらゆっくりと氷河を目指す。4400mを越えたあ

たりで氷河に上がる。そこから舌端まで歩行訓練として下り、下部で斜度30度近い急斜面

でフラットフッティングの練習を行う。下はガレ場になっており訓練には適していない場

所だと思った。実戦だとクライムダウンもしくは下級生がいればザイルを出して懸垂下降

をするぐらいの斜度と氷の硬さであった。昼過ぎに終了しその後は問題なくBCに帰幕した。

 

730日(月)晴れのち雨

BC 06:3008:30雪上訓練開始〜11:30雪上訓練終了〜13:00崗什卡衛星峰2峰(5005m

16:30 BC

 昨日同様4400m辺りでアイゼンを付ける。氷河上は一様に硬く黒ずんでいる。溶けた水

が川を形成していた。4600m地点の斜面で雪上訓練を開始する。滑落停止、FIX通過を行

った。滑落停止のやり方やFIXの通過方法はほぼ同じであった。韓国隊と中国隊の一部は

どちらも初めてやるようだった。昼頃訓練を終了し、衛星峰2峰に向かう。なだらかな氷

河歩きだが標高の影響かすぐに息が切れる。氷河には23個クレバスがあり残置ロープに

セルフを掛けながら登っていく。

 

頂上付近はガレており落石を落とさぬように慎重に通過する。緊張のせいか無意識に息

を止めてしまい非常に苦しい。やっとの思いで登頂するが展望はガスっており望めなか

った。記念写真を撮り下山する。下りも安全管理には細心の注意を払う。下山中、小雨

が降ったが問題なく帰幕した。夜のミーティングで、今日中国隊のメンバーが本峰のFIX

ロープを掘り出しに行っていたがすべて掘り出せず悪天候や落石の危険性があることか

らアタックは中止となり、明日は代わりにBC付近の4800m峰に行くことが決まった。

 

731日(火)晴れのち雨

BC 09:0013:30 4800m峰〜16:40 BC

 悪天候の予報であったが、雲一つない快晴である。午後から天気が崩れる影響からかハ

イペースで進んでいく。雪渓を一つ越えて稜線に出る。ヘルメットを装着し落石に注意し

ながら慎重に進んでいく。頂上付近は氷で覆われておりアイゼンを付ける。下山中、15:00

頃に雨が本降りとなりずぶ濡れで帰幕した。

 

81日(水) 下山日 晴れ

BC 09:0010:00 車両終了地点10:3014:30西寧市内ホテル

 入山同様、大きいザックは馬が運んでくれる。下山は1時間で着く。バスに乗り込み西

寧市内ホテルに移動した。レストランで夕食をとった後、日本隊で反省会を行い各自就寝

した。

 

82日(木) 移動日 晴れ

西寧市内ホテル 13:3014:30西寧曹家堡空港

川村・福島〜西寧曹家堡空港19:0020:30武漢天河国際空港22:0000:30福州長楽国際

空港

村上〜   西寧曹家堡空港22:3001:00北京首都国際空港

 昼頃、中国の方が車で空港まで送ってくれる。問題なくチェックインを済ませるが、飛

行機が3時間程大幅に遅れる。遅れはしたが欠航とならずによかった。その後、川村と福

島は福州と武漢で、村上は北京と香港を経由し帰国する。

 

83日(金) 帰国日 晴れ

川村・福島〜福州長楽国際空港14:3019:30関西国際空港

村上〜   北京首都国際空港07:5011:30香港国際空港18:3523:40羽田空港

 3人とも大きなトラブルもなく帰国する。弾丸遠征であったが楽しく無事に帰って来られ

てよかった。

 

ふりかえって

 9日間という短い海外遠征であったが5000m峰に登頂でき他国の学生との交流がいい刺

激になった。日本では体感できない標高を体感できたということで来年のザンスカール遠

征に向けていい経験になったと思う。この遠征を皮切りに着実に準備を進めていきたい。

この度は、ご支援ご協力して頂いた皆様ありがとうございました。

(報告者:川村洸斗)

 

ホテル到着後、歓迎パーティーが開かれる

 

BC(大本営)まで荷を運んでくれた現地馬方隊

 

馬と共にゆっくり標高を上げていく

 

正面に目指す頂が見えてきた

 

2時間ほどでBCに到着した

 

BCから崗什卡峰を望む

 

短いキャラバンを終える

 

高度順化のため訓練に向かう

 

訓練を終え帰幕する

 

標高5005mの頂に立つ

 

BC付近のピーク4824mの山頂で日本隊メンバーと

 

今回参加した日大メンバー