2016年度 秋山合宿報告書
日本大学山岳部
目 的)冬山合宿に向けた偵察
リーダーシップ・メンバーシップの向上
山 域)北アルプス剱岳 早月尾根
日 程)平成28年11月1日(火)〜11月5日(土)
移動1日、実働3日、停滞1日
メンバー)4年 CL水越健輔、SL加藤純
3年 岡本碩士、高根澤亮太
2年 國谷良介、高橋佑太
1年 川村洸斗、近藤歩、白土朝香、新保裕也、田邊カレン、福島端流
OB 大谷直弘監督、賀来素直コーチ(2日入山、3日下山)
計14名
平成28年11月5日 午前8時50分 剱岳頂上に達する。(左から:高根澤、高橋、國谷、撮影者:水越)
11月1日(火)移動日
新宿22:50〜05:30富山駅
1年生の守屋が新宿まで見送りに来てくれる。夜行バスにて新宿を出発する。
11月2日(水)入山 晴れ時々くもり
電鉄富山駅06:04〜06:30上市駅06:40〜07:15馬場島07:50〜14:35早月小屋AC
上市駅からタクシーで移動し馬場島に到着、入山する。昨日の雪で早月尾根上部のほう
は雪化粧している。テント場である早月小屋(AC)でどれほど雪(水)が確保できるか分か
らないので、1人当たり10Lほどの水を背負って急登を上がって行く。標高1400mあたり
から雪がうっすらと積もっている。
40s近い荷物ではあったが、思っていたほどの時間はかからずに早月小屋に到着する。
テント場の積雪は3cmほど。食事の時間に新保の体調が悪いとの報告を受け、体温を測
ってみると熱がある。申し訳ないのだが、大谷監督、賀来コーチのテントに移動させ様子
を見て頂く。夜は風が非常に強く、風雪となった。
2日、早月尾根の取り付きは晩秋真っ只中である。10L/1人の水が背中に食い込む。
標高2,000mを越えると雪景色に一変する、秋と冬が混在する早月尾根である。
11月3日(木)停滞 雪 −3℃
新保(1年生)の体調は悪化気味(発熱)であるため、大谷監督、賀来コーチとともに
9時30分に下山する。新保以下3人は早月尾根を下降し、13:50分馬場島に到着。上市、
富山経由で帰京する。ACであるテント場周辺は昨晩で30cmほどの雪が降り積もった。
風は弱まったが、終日雪が降り続くため停滞とする。1日中雪かきをして過ごす。
早月小屋まであと僅か。
3日、新保(1年生)を伴い賀来(コーチ)、大谷(監督)は馬場島へと下山する。
下山組を見送ってくれるメンバー。
11月4日(金)晴れ −5℃
早月小屋AC10:15〜13:45獅子頭直下〜14:40早月小屋AC
朝から晴れていたが、雪崩が心配なため獅子頭直下までの偵察とする。10時過ぎに水越、
高根澤、國谷、高橋でトレースをつけるのも兼ねて偵察へ出発する。他は加藤、岡本の指
導のもとAC周辺でアイゼン歩行の訓練、FIX訓練等を行う。
偵察組は膝下から膝上のラッセルをしながら進む。夏道通り進んで行けるが、雪の下に岩
が隠れているのでアイゼン歩行に気を使いながらの登高となる。雪崩事故(1997年12月
獅子頭直下標高2,800mで起きた雪崩事故)のあった付近で弱層テストをしてみると、簡単
に30cmほどずれた。今日はここまでとしテント場に帰幕する。明日のアタックは、アイゼ
ンに慣れていない1年生には厳しいため、本日偵察を行った4名でのアタックとする。
11月5日(土)剱本峰アタック、下山 晴れ −2℃
早月小屋AC04:50〜08:50剱岳頂上〜12:10早月小屋AC12:50〜17:30馬場島
まだ暗いうちに出発する。昨日のうちにラッセルしておいたためペースよく進んで行き、
ACから3時間ほどで獅子頭直下に到着する。雪は安定している。鎖を掘り出しながら夏道
を進むが、1つ目と2つ目の鎖の間のトラバースで雪がいやらしく付いているので20mほ
どFIXを張る。その後のカニのハサミ、頂上直下の鎖も掘り出し、鎖にFIXをしながら進
んでいき、快晴の剱岳頂上に到達する。雪化粧した八ツ峰や小窓、北アルプスの山々、富
山湾など剱岳の頂上からの景色は他の山とは異質で感動的だ。我々4人だけの頂上をしばし
満喫した後、気持ちを切り替えて下降に入る。無事にACに到着し、馬場島への下山を開始
する。軽く積もった雪で登山道が滑り、時間はかかったが問題なく馬場島に到着した。
アタックメンバーのラッセル。低木帯は吹き溜まりとなって膝上までの深さに及んだ。
2600m付近を通過中
上部の危険箇所カニのハサミ、鎖にビレイを通して通過する。後方に富山湾を望む。
頂上直下を行く。
剱岳頂上到達!(左から:水越、高根澤、高橋、國谷)
頂上左から…遠方に富士山、中央に槍の穂先、乗鞍、笠ヶ岳、黒岳、薬師、中央手前が雄山。
剱岳頂上から南部槍ケ岳方向を望む。
アタック隊の無事帰幕を願って…スノーマンを作る。
出来ました。 左:安全祈願スノーマンbyカレン、右:登頂成功スノーマンbyアサカ。
雄大な景色を望む
5日AC待機組はザイルワーク、アイゼンワーク等々の訓練を行う。
左から1年生 福島、川村、近藤
11月5日 撤収して馬場島に下山する。
総 括
今合宿を終え、冬合宿成功のイメージが湧いてきた。しかし、このイメージには確実な
アイゼンワーク、迅速なロープワーク、なにより冬の剱の環境に耐えうる体力が不可欠で
ある。今回は上級生だけでの登頂になったが、冬合宿では全員登頂できるように、残り2
ヶ月トレーニングを積み重ねていこう。
(報告者:水越健輔)