山行報告書
日本大学山岳部
目 的) 八ヶ岳 大同心南稜、小同心クラック
山 域) 登攀技術の向上
日 程) 平成28年9月23日(金)〜24日(土)
メンバー) 4年 L.水越健輔
2年 荒井暢之、國谷良介 以上3名
小同心クラック1P目、チムニー手前
行動報告)
9月23日(金)雨
茅野駅10:25(バス)〜11:02美濃戸口〜13:50赤岳鉱泉BC
曇り空のもと美濃戸口を出発する。しばらくすると、雨が降り出してくる。夜も降った
り止んだりの天候で、明日が心配である。
9月24日(土)くもり時々晴れ
赤岳鉱泉BC05:00〜06:15大同心南稜取り付き06:45〜08:20ドーム手前のバンド〜09:20
小同心クラック取り付き10:00〜11:50小同心クラック終了点〜13:40赤岳鉱泉BC〜15:45
美濃戸口
昨晩の雨は止んでおり、計画通り出発する。硫黄岳への登山道を進むと、すぐに大同心
ルンゼへの分岐に着き、大同心ルンゼを詰めていく。踏み跡は想像以上に明瞭であり、迷
うことなく進んでいき、大同心南稜の取り付きに到着する。岩は予想していたより乾いて
おり、安心する。
○大同心南稜
1P目
フェースを左上するルートと右から回り込むルートの2つのルートがある。右から回り
込むルートをとったが、傾斜もゆるくガバ(ホールドなどが大きくて手がかりにし易い)
が多いためかザイルが岩に引っかかり流れが悪い。上部になると少しクライミングらしく
なるが、ホールドはガバばかりなので難しくない。残置ピンもあるが、岩角からも途中支
点は多くとれる。50mいっぱい伸ばし、ハンガーピンが打ってある場所で切る。
2P目
傾斜が強くなるが、ガバが多いので問題なし。残置支点も豊富だが、1P目同様岩角から
ランナーをとりながら登る。リッジに出てからドーム下の終了点まで伸ばす。
ドームの登攀は人工登攀の経験がないため、登攀しなかった。見た限りでは、ハンガー
ピンが打ってあり、1P目、2P目以上にピンは豊富そうであった。
2P目終了点のバンドを大同心南稜取り付きに向かって下ると、すぐに取り付きに戻って
くることが出来る。小同心取り付きへは、ここから踏み跡のついた草付帯をトラバース
気味に上がって行く。取り付きは広く安定している。ちょうど我々の前に1パーティが
先行していたため40分ほど待つこととなった。
○小同心クラック
1P目
正面のフェースからチムニー目指して左上して行く。チムニーに入った地点にハンガー
ピンがあり、ここで切る。このチムニーを抜けたすぐの地点のほうが、より安定しており
ピンも多くあったため、チムニーを抜けたほうが良かったかもしれない。
2P目
最初のチムニーを抜け、2つ目の急なチムニーに入る。このチムニーの左側に残置支点が
あり、残置支点に導かれないように、チムニー内を進むように注意したい。急なチムニー
を抜けたところで切る。
3P目
右肩に出るフェースと左垂壁のクラックの2つのラインがある。今回は左垂壁のクラッ
クのラインを登る。左垂壁のほうが急だが、残置も多くカムも使用可能。クラックを抜け、
バンドから草付まで伸ばして、小同心の頭に到着し終了。
小同心の頭からは、部分的に急な箇所もあるがザイルは出さずに進む。無雪期でしっか
りした歩行技術があれば問題はない。ほどなくして、横岳頂上に到着しすぐに下降に入る。
硫黄岳方面に少し進み、大同心ルンゼ源頭に到着する。ここから、階段状の岩場をクライ
ムダウンも交えて、大同心南稜の取り付きへ戻る。懸垂下降用と思われる支点もあったが、
無雪期で適切なルートを選んで下れば必要ないだろう。特に問題なく赤岳鉱泉に到着し、
撤収後すぐに美濃戸口に下山した。
〇登攀を終えて
全体を通して大同心南稜、小同心クラックともに注意すべき点は浮石、落石である。色々
な記録にもあるがホールド、スタンスはよく選んで登る必要がある。ところどころ傾斜は
は強いがホールドはガバが多く、ランナーも豊富であるため快適に登っていける。ピッチ
数も少なく、若干物足りない感じもするが、アルパインの入門としては手頃のルートであ
る。
(報告者:水越健輔)
大同心南稜1P目
登攀を終えて