2016年度 夏山合宿(前半定着)報告書

日本大学山岳部

目  的)リーダーシップ・メンバーシップの向上

     登攀技術の向上、雪上技術・生活技術の習得

山  域)北アルプス剱岳(剱沢定着)

日  程)平成2882(火)88日(

     移動日1日、実働6

メンバー)4年 CL水越健輔、SL加藤純

     3  岡本碩士、高根澤亮太

     2年 荒井暢之、國谷良介、高橋佑太、中泉雄人

1年 川村洸斗、近藤歩、佐藤颯人、白土朝香、新保裕也、田邊カレン、

        福島端流、福吉晃樹、守屋勇希    

     OB 大谷直弘監督、賀来素直コーチ、宝迫哲史コーチ    計20

 

        85 全員集合剱沢BCにて。        (撮影:宝迫コーチ)

 

行動報告)

83日(水)入山日  くもり 12

水越、國谷、中泉、賀来コーチ、宝迫コーチ

05:30富山駅〜08:50室堂09:3010:10雷鳥沢〜11:50別山乗越〜12:30剱沢BC

 2日に夜行バスにて新宿を出発し富山駅に到着、問題なく室堂に到着する。

 剱沢BC到着後、警備隊の方に剱沢雪渓の状態を聞き、平蔵谷出合から長次郎谷出合まで

が特に融雪が進んでおり、明日予定しているCフェースには取り付くことが出来ないこと

を確認する。代わりに明日は源次郎尾根へ向かうことにする。

 

84日(木)源次郎尾根  晴れ時々くもり 11

水越、國谷、中泉、賀来コーチ

剱沢BC04:3005:25源次郎尾根取り付き〜09:45T峰〜11:40剱岳〜14:20剱沢BC

 源次郎尾根取り付き200mほど近くまで夏道を進む。アイゼンを装着して、クレバスに

十分注意して取り付きに到着する。Cフェースに取り付けないためか、我々の他に4パー

ティほどはいる。最初のV級ほどの5m壁でザイルを出すが、この時点で渋滞してしまう。

続く2段の5m壁でもザイルを出す。同じくV級くらい。しばらく木登りが続き、T峰手

前で50mほどザイルを出す。最初が5mほどの岩壁で、トラバースの1手が少し緊張する。

そこから急な斜面の藪漕ぎを40mほど強いられるルートであった。岩壁地点に残置スリン

グがあったが、もっと平蔵谷側に正規のルートがあったと思われる。渋滞で待たされた場

面もあったが、順調にU峰の懸垂下降地点に到着。30mの懸垂下降は2年生2人には良い

スパイスになったようだ。非常に暑い1日で12Ⅼの水でも足りないほどであった。剱沢

BC到着後、本日入山してきた他の部員、大谷監督と合流する。融雪のため今日から剱沢雪

渓は全面通行禁止となってしまった。

 

84日 源次郎尾根パーティーは無事BCへ帰幕。2年生の中泉部員〜今年はY峰に行けなくて残念。

ガスに包まれていく剱岳を見て中泉は何を思う……

 

85日 剱沢BC:夕食タイム〜正面に剱岳を望みながら“メシだ〜!

 

85日(金)雪上訓練  晴れ 9

剱沢BC04:5005:30剣御前小屋〜06:05別山〜07:30内蔵助カール14:2016:10剱沢BC

 内蔵助カールの雪の量が心配だが、計画通り雪上訓練へ向かう。途中別山頂上にて大谷

監督から周辺の山域の概念を教えて頂く。内蔵助カールの雪はかなり少ないが訓練は問題

なく出来る。歩行、滑落停止、FIX1年生のロープワークを行った。途中大走りから入山

してきた岡本、荒井と合流。雪上訓練を終えてBCへ帰幕する途中で白土の体調が悪くなる。

剱沢診療所の方に診て頂き、脱水症状と高山病と思われるとのことである。2年以上は1

生がどのくらい水を飲んでいるのか目視で確認する必要があった。白土は診療所に宿泊さ

せて頂く。

 

確保訓練:肩がらみ確保をする田邊カレン部員(1年生)〜滑落担当は岡本部員(3年生)、

  女子部員も男子部員と同じ内容の訓練をこなしていく。頑張れカレン!

 

86日(土)雪上訓練  晴れ 11

剱沢BC05:2005:55剣御前小屋〜06:40別山〜07:40内蔵助カール12:5014:20剱沢BC

 白土の体調は良くなったようだが、賀来コーチに付き添って頂きBCにステイさせる。他

は雪上訓練へ向かう。昨日の内容を中心に行い、早めに帰幕する。1年生のロープワークも

それなりに形になってきたようだ。明日は剱岳本峰アタックとする。

 

86日 雪訓2日目:内蔵助カールにて〜雪が少ないと心配をしていたが何とか出来ました。

 

今年も内蔵助山荘様にご挨拶をして、カールの底から雪訓場に向う。

 

総勢20名、直登、直下降、斜登高、斜下降、トラバース、滑落停止、ロープワーク…・

 

最後は楽しいグリセード訓練:今年は雪が少なく傾斜も無いのであまりスピードが出ません。

右から4人目がコケてます。

 

雪渓訓練のインターバルは短く刻んで水分補給を行う。

 

86日 雪渓訓練2日目: 内蔵助カールでの雪渓訓練を終えて剱沢BCに戻る。

 

87日(日)剱岳アタック  晴れ 8

剱沢BC03:5004;25剣山荘〜04:55一服剱〜05:55前剱〜09:00剱岳〜12:00前剱〜13:10

一服剱〜13:45剣山荘〜14:20剱沢BC14:20

 白土と体調の優れない守屋を大谷監督に付き添って頂き、BCにステイしてもらう。無数

に光るヘッドランプに渋滞を覚悟して出発。剣山荘にてヘルメット、ハーネスを装着する。

予想通りカニのタテバイなど鎖場では渋滞してしまうが、良いペースで進み剱岳頂上に到

着する。30分ほど頂上からの景色を満喫した後、下山に入る。人数が多いこともあってか

かなりの時間がかかったが、問題なく剱沢BCに到着する。

 

87日:別山尾根から剱岳本峰を目指す。遥か後方は右から薬師岳、黒部五郎、笠ヶ岳を望む

 

                            87日  快晴の剱岳頂上。

 

88日(月)奥大日岳、下山日  晴れ時々くもり10

剱沢BC06:0007:00剣御前小屋〜08:00新室堂乗越〜09:50奥大日岳〜11:30雷鳥沢

 本日は源次郎尾根の予定であったが、剱沢雪渓が通行禁止となったため全員で奥大日岳

へ行き、そのまま下山ということにする。新室堂乗越手前で新保が転倒し、膝を打撲して

しまったため、新室堂乗越で大谷監督と待っていてもらうことにする。他は新室堂乗越に

不要な装備をデポして奥大日岳へ向かう。剱岳本峰と違い登山客も少ないため、静かな登

山が楽しめた。新保は空荷で歩かせて、室堂に下山した。

 

        88日     奥大日岳頂上。

 

総 括

 剱沢雪渓の異常な融雪により、予定していた登攀は出来なかったが、天候に恵まれ雪上

訓練、剱岳本峰登頂の目的は果たすことが出来た。しかし、今合宿を一言で表すならば張

りの無い合宿であったように感じる。忘れ物をしたり、返事の声が小さかったり、体調不

良者や怪我人(足の打撲)を出してしまったりと、短い合宿のなかで大きな反省を多々出

してしまっている。

全員で同じピークを踏む難しさを改めて感じた。もう一度、各学年の役割を認識しても

らいたい。

(報告者:水越健輔)