2015年度 初冬合宿報告書
日本大学山岳部
目 的) 生活技術の確立
歩行・雪上技術の向上
リーダーシップ・メンバーシップの向上
山 域) 北アルプス北部 白馬八方尾根
日 程) 平成27年11月27日(金)〜12月2日(水)
移動1日、実働5日
メンバー) 4年 CL賀来素直、SL宝迫哲史
3年 加藤純、水越健輔
2年 高根澤亮太
1年
荒井暢之、國谷良介、高橋佑太、土井裕介
12月2日 負傷者を想定した搬出訓練
行 動)
11月27日(金)移動日 新宿(高速バス)〜白馬八方バス停
新宿(高速バス)18:00〜23:13白馬八方バス停
問題なく新宿を出発し、白馬八方バス停にてビバーク。夜は一時的に風が強く、雪が少
し降った。
11月28日(土)入山日 白馬八方バス停〜兎平〜八方池山荘〜八方山ケルンCS
雪
白馬八方バス停07:30〜10:45兎平〜14:00八方池山荘〜15:30八方山ケルンCS
白馬八方バス停にて飯田コーチと合流し、出発する。スキー場にて改めてゴンドラ・リ
フトが整備中のため動かないことを確認し、歩いて八方池へ向かう。兎平までは圧雪して
あり、歩きやすい。次第に土井が腿の痛みを訴え、続いて國谷も足がつりそうだという。
荷物を分けて進んでゆく。兎平に到着し、荒井もペースが上がらないため荷物を分ける。
黒菱平からは未圧雪で積雪は40cm程度、ワカンを装着し、上級生が交代でラッセル。
國谷はきつそうだがよく頑張って登っている。他の1年生も高根澤の元気な掛け声のもと
懸命に歩く。ラッセルは深いところで胸ほど。1年生のペース、ラッセルを考えると八方池
まで間に合わないため、平坦な八方山ケルンまで上がり、テント設営をする。
↑八方山ケルンCS
11月29日(日)八方山ケルンCS〜八方池BC〜雪上訓練〜八方池BC 風後晴 −7℃
八方山ケルンCS08:00〜10:10八方池BC12:30〜雪上訓練〜15:40八方池BC
昨晩から風が強い。凍傷回避のため撤収を遅らせたが、八方池まではひたすら腰ラッセ
ル、胸ラッセルである。昨日と同様に上級生が交代でラッセルする。八方池に到着し、BC
を設営する。積雪は65cm程である。稜線に上がってすぐの八方沢側の2070m付近に良い
斜面があり、弱層テスト後、雪の状態が安定しているのでFIX訓練のみを行う。翌日は徐々
に天気が悪くなることが予想されたため、雪上訓練に費やすこととする。
↑八方沢で雪上訓練開始
↑歩行訓練中の1年荒井
↑飯田コーチから支点構築についてご指導頂く。
11月30日(月)BC〜雪上訓練〜BC 晴れ −4℃
BC06:15〜06:30雪上訓練〜15:30
BC
朝起きるとよく晴れて、風も吹いていない。唐松岳アタックについて考えるが、雪訓を
優先させた方が良いと考え、昨日と同じ雪訓場へ向かう。ここから滑走するスキーヤーが
多く、訓練する際には十分な注意が必要である。
最初に歩行訓練を行った。1年生は特に國谷が良く歩けていた。確保訓練に移り、1年生
にとっては初めての柔らかい雪質に合わせた支点構築を教える。確保に関しては細かいミ
スはあるものの、大まかな仕組みはわかってきたようであった。昼過ぎからは埋没訓練を
行い、その流れでビーコン、ゾンデ捜索の訓練も行う。
最終的には2年生の高根澤の指示のもと声を掛け合い、効率的に捜索できるように成っ
ていた。訓練時のリーダーシップ、状況の把握、意思の疎通、情報の共有、お互いの動作
確認…雪山訓練は1も2もなく大きな掛け声が基本であり重要である。
↑八方尾根上部 丸山手前
↑八方池BC
12月1日(火)BC〜丸山ケルン手前〜雪上訓練〜BC 風雪 −7℃
BC06:00〜09:00丸山ケルン手前〜11:50雪上訓練15:20〜15:40BC
そこそこ風雪が伴うが、日中までに冬型が緩むと予想して様子を見ながら唐松岳へ向か
う。BCでの降雪は+20cmほど。ラッセルは次第に腰から、登りでは胸までとなる。1年生
も交えて交代でラッセルをして行くがペースが上がらず、風雪もなかなか収まらない。
歩くうち、丸山でのリミットに間に合わないことが明白になるが、1年生に悪天時の行動
を体験してもらうために丸山ケルンの手前まで進む。その後すぐに雪訓場まで引き返し、
弱層テストと1,2年生を主体としてFIX訓練をする。昼を過ぎてようやく天候が落ち
着いてきた。
12月2日(水)BC〜雪上訓練〜BC〜八方池山荘〜兎平〜白馬八方バス停 晴れ −3℃
BC06:00〜雪上訓練〜BC10:30〜11:45八方池山荘〜13:05兎平〜14:00白馬八方バス停
今夜から強い冬型が決まるため、晴れてはいるが唐松アタックは断念し下山を決定する。
飯田コーチと3年生を中心にBC周辺で搬送訓練を行ってもらう。搬送訓練は1・2年生で
声を掛け合い、全力で頑張っていた。 BCを撤収し兎平へ向かう。ゴンドラは動いており、
一気に下山することが出来た。
総括
唐松岳の登頂は果たせなかったが、雪訓の内容としては比較的濃い合宿となった。特に1
年生にとっては厳しい冬山という環境が上手く作用し、積極的なコミュニケーションへと
つながってきたように感じる。一方で技術的に未熟な部分も見受けられ、下界でのトレー
ニングを欠かさないようにしてもらいたい。また、2年の高根澤も下級生を従えているとい
う自覚が行動によく現れてきており、成長が感じられた。
反省点をしっかりと踏まえ、冬合宿へ向けて抜かりのない数週間にしたい。
(報告者:賀来素直)