日本大学山岳部
目 的)冬山合宿の偵察 生活技術の向上
場 所)北アルプス
表銀座、東鎌尾根
期 程)26年10月30日(木)〜11月3日(月)
メンバー)4年 CL山浦祥吾、3年 M宝迫哲史、2年 篠崎さやか、水越健輔
1年 岡本碩士 以上5名
↑10月31日燕岳頂上にて
行動報告)
10月30日(木)移動日
新宿〜松本駅〜穂高駅
新宿19:20〜22:30松本駅23:07〜23:30穂高駅
松本駅からの最終電車に乗り込み、穂高駅に向かう。穂高駅裏には、広場があり人通りも少
ない為、テントを張ることが出来る。テントを張り就寝。
10月31日(金)入山日
穂高駅〜中房温泉〜燕山荘〜大天荘CS1 曇り後雪 5.0℃
穂高駅5:00〜5:40中房温泉5:45〜10:30燕山荘11:50〜16:00大天荘
タクシーで中房温泉に移動。中房温泉からは合戦尾根を登る。合戦尾根からは途中、目的地
である槍ヶ岳が見える。少し雪が付いているが、槍までの表銀座の縦走路には雪が無い。水の
確保について考える。燕山荘到着後は一、二年生のみで燕岳まで往復をし、その間に水を購入
した。5ℓポリタンに小さな穴が空いており補修するが、持ちきれる水にも限りがあった。翌日
の分まで計算し全てのポリタンに水を入れ出発。大天荘までの縦走路には雪が全く無く、夏道
を通過する。大天荘でテントを張る。日が暮れると同時に雪が降り始める。
11月1日(土)大天荘CS1〜大天井岳〜大天井ヒュッテ〜ヒュッテ西岳CS2 雨7.0℃
大天荘CS1 6:05〜6:20大天井岳〜8:15大天井ヒュッテ10:00〜13:00ヒュッテ西岳CS2
昨晩、降り続けた雪がうっすらと積もっている。アイゼンを装着し行動を開始する。大天井
岳頂上に登り、そこから大天井ヒュッテまでの南の尾根上を直接降りる。風が強いので水越が
出だしの稜線の1ピッチザイルを張って、通過する。大天井ヒュッテに到着した頃には雨が強ま
り、一時冬期小屋に入る。暖をとった後、西岳に向けて行動する。雪は雨により溶けてしまっ
た。赤岩岳手前から篠崎が遅れだしたので、篠崎の荷物をデポし、西岳まで向かうと山浦主将
が判断した。赤岩岳では夏道は山頂を巻くようにトラバースする。冬は登りでザイルを出すだ
ろう。ヒュッテ西岳では雨水が小屋のパイプから出ており、少しだけ水を確保できた。デポし
た篠崎の荷物はヒュッテ西岳到着後、山浦主将が回収する。夜、笠ヶ岳隊とのシーバー交信で
あちらの隊は敗退を決めたようなので、翌日、篠崎を槍沢経由で一緒に下山させるため槍ヶ岳
山荘に停滞させる。
11月2日(日)
ヒュッテ西岳CS2〜水俣乗越〜ヒュッテ大槍〜槍ヶ岳山荘〜殺生ヒュッテCS3 曇
り後雨 4.3℃
ヒュッテ西岳6:05〜7:35水俣乗越7:50〜11:10ヒュッテ大槍〜13:30槍ヶ岳山荘15:30〜16:00殺生ヒュッテ
朝から強風が吹き荒れている。朝飯は水不足が心配されるので、山浦主将はレーション、他4
名は主食のみとなった。西岳からの下りは急であり、梯子や鎖場が連続するため、慎重に通過。
水俣乗越から東鎌尾根部序盤には、稜線上ではあるが天幕スペースが有る。東鎌尾根は痩せ尾
根を登っていく。途中の梯子は慎重に通過した。また一ヶ所梯子を含む岩稜帯を宝迫がFIXを張
り、通過した。ヒュッテ大槍過ぎでは、冬は1ピッチザイルを出すだろう。槍ヶ岳山荘手前で雨
が降り始める。槍ヶ岳山荘では停滞していた笠ヶ岳隊と合流。デポ品を冬期小屋に運ぶ。テン
ト場にテントを張ろうと試みたが、強風のためとても張れそうにない。笠ヶ岳隊と殺生ヒュッ
テまで降りることを決め、殺生ヒュッテにテントを張る。夜中雪が降り積もる。
11月3日(月)下山日
殺生ヒュッテCS3〜横尾〜上高地 風雪 −6℃
殺生ヒュッテCS3 6:30〜横尾12:30〜15:30上高地
夜中に低気圧が通過し、気温がガクッと下がった。積雪は二十センチほど。篠崎以外の四名
は中崎尾根から下山の予定であったが、強風と雪の影響で笠ヶ岳隊と共に槍沢経由での下山を
決める。テントは凍りつき撤収に時間がかかってしまう。撤収後はルーファイに注意しながら
下山。途中、宝迫が靴ずれのため爪が剥がれてしまうが、テーピングをして行動した。上高地
でャワーを浴び、最終便に乗って帰京した。
総 括
今回の秋山合宿は、冬山合宿の偵察を目的としており、事前に調査したものを元に、実際に
自分の目で現場を見て物にしていく。全員が冬合宿を何らかの形で意識していたように感じた。
本番前に一度歩くことが出来たという点では、精神的にも違うであろう。一年生の岡本も、今
までとはまた更に厳しくなった環境での合宿で、よく頑張っていた。
しかし、全体としてまだ未熟な部分が多く存在し、未だに装備の不備が発生したり、出発に
遅れたりと初歩的な失敗を犯し続けており100%とは言えない。冬合宿成功のためには、より完
成型に近づく必要がある。個人の反省、隊としての反省を改善させ、真剣に向き合う。また部
員全員で高め合いながら、完成させていきたい。
(報告者:宝迫哲史)