平成26年度大学生登山リーダー春山研修会報告書

日本大学山岳部

主 催)独立行政法人 日本スポーツ振興センター

後 援)文部科学省

協 力)公益社団法人日本山岳協会・富山県警察本部山岳警備隊

場 所)北アルプス 剱岳・国立登山研修所

期 間)平成25524日(土)〜530日(金)

目 的)大学において登山活動を行うクラブ等のリーダーとリーダー候補者を対象に、基礎的技術や基本的状況判断力を習得するための研修を行い、チームを率いて安全で確実な登山を実践できるリーダーを養成する。 

 

参加メンバー) 水越健輔(2年)・・・第2班配属         

      

行 動)        行動報告 第2班

523日(金)移動日

新宿(高速バス)22:40〜富山駅(富山電鉄)5:30

 

524日(土)座 学

国立登山研修所7:30到着

 

水越は2班に配属された。2班のメンバーは他に早稲田、慶応大学、専修大学、中央大学、神戸大学から編成された。講師はジャンボこと横山勝丘氏と富山県警山岳警備隊の小高浩明氏。素晴らしい講師の方に教えて頂けるということで、より一層やる気が出てきた。この日は、「ナビゲーション技術」「登山の運動生理学」の講義を受け、班で入山してからの行動について話し合った。

 

525日(日)座学・実習・準備

 

「春山の気象と雪氷」の講義を受けた後、研修所外の人工岩場にてFIX工作、懸垂下降等のロープワークを班員間で確認、技術について講師の方に教えて頂いた。その後、入山準備を行い就寝。明日からの入山にわくわくする。

 

526日(月) 入山日 曇り後雨  14度C

 室堂9:10〜雷鳥平10:10〜剣御前小屋11:40〜剣沢BC12:15

 

入山日は朝から曇っており、予報通り天気が崩れそうだ。室堂に到着後、剣沢BCに向け出発。いまにも雨が降り出しそうなため、ガンガン進んでいく。剣御前小屋付近から雨が降り出してきた。ここから走ってBCまで向かった。全員到着後にテントをたてたが、班員間のコミュニケーション不足で時間がかかり、講師に叱られる。テントに入ってからも雨と風が強くなかなか寝付けなかった。

 

527日(火)晴れ  7度C

剱沢BC4:00〜前剱9:30〜剣沢BC15:30

 

今日は晴れており、剱岳がよく見える。今日はFIX工作の練習を目的として、別山尾根を登る予定だ。快調に進んでいき、一服剱付近からFIX工作を行った。バーの埋め方、土嚢袋を使った支点の作り方、途中支点をどこでどのようにとるべきかなどを教えて頂きながら張っていく。また、季節やその山の地形に合ったライン取り、安全かつ迅速にチームが通過するにはどうすべきか考えながら登るよう指摘を受けた。前剱まで到着後、明日登る平蔵谷のルートを偵察し、下山した。剣山荘からBCまではまたもダッシュだった。

 

528日(水)晴れ  10度C

剣沢BC4:00〜平蔵谷出合4:40〜剱岳山頂13:00〜平蔵谷出合14:30〜剣沢BC15:30

 

今日は当初は平蔵谷から登り別山尾根を下山する予定であったが、昨日のFIXのスピードや全員の体力などを考慮するとリミットに間に合わないということで、平蔵谷を登り途中源次郎尾根にインディアンクーロワールから入り、下山は平蔵谷下山というプランになった。ということで、平蔵谷から剱岳登頂を目指す。平蔵のコルから落石に注意しながら登っていく。インディアンクーロワール手前で、急な斜面かつ落石の心配がある場所で休憩しようとし、講師に激しく怒られる。「お前らの代で遭難するぞ!」という言葉は心に刺さり、リーダーの責任を強く感じた。インディアンクーロワールを抜けてからは山頂までほとんどFIX工作をした。まだまだ慣れていないメンバーが多いなかで、リミットが迫ってきたが山頂に立つことが出来た。自分たちだけでFIX工作をし、頂上に立てたことは嬉しかった。天気が良く雪が腐ってきたため下山は雪崩、落石に注意しながら急いで平蔵のコルまで下る。ここからBCまでは予想通りダッシュだった。きつかったが、全員で声を出して競い合って登るのは気持ちが良かった。今日はぐっすり眠れそうだ。

 

529日(木)下山日 晴れ 12度C

剣沢BC5:30〜剣御前小屋10:30〜室堂12:00

 

今日はツェルト搬送訓練を行いながら、下山。BCからツェルト搬送を行うことになり、要救助者のツェルトの包み方や運び方を教えて頂き出発した。出発して間もなくとてもきついと感じる。ツェルト搬送をするための体力、筋力、根性をもっとつけないとダメだと思うとともに、要救助者を出さないよう行動しないといけないと痛感した。また、仲間の命は仲間同士で守らなければいけないことを再確認した。剣御前小屋手前でツェルトが破れてしまい、残念ながらここまでとなった。剣御前小屋の方にお茶を頂き、時間が迫っていたため室堂へ急いで向かった。この4日間はきつかったが、いろいろなことが学べたし、モチベーションが上がる山行だった。

 

530日(金)研修最終日

 

「登山の医学」の講義を受けた後、班で山行を振り返り、お互いに直したほうが良い点等を話し合った。その後、全体で「今回の研修で頑張れたこと、頑張れなかったこと」というテーマで発表を行った。終わったという達成感とともにどこか寂しい気持ちがした。研修所を後にし、1班、2班のメンバーで打ち上げをして帰京した。

 

 

研修会を終えて

 

この研修会では、リーダーとしてチームを率いていくための技術を学ぶとともに、リーダーの責任の重さというものを感じることができた。また、世界の山で活躍する講師の横山勝丘氏、同じく講師で富山県警山岳警備隊の小高浩明氏と一緒に行動をともにし、ひとつひとつの動作や言動から一流というものを肌で感じとることが出来た。自分のなかで見据える世界、目指すものが1段、2段と上がった気がする。この自分のなかでの変化を忘れないよう、トレーニングをし、山へ行向って行きたい。

 

                              (報告者:水越健輔)

 

 

 

↑支点構築やFIXに関する技術を教えて頂く

 

↑前剱手前の斜面を懸垂下降

 

↑平蔵谷の登り

 

↑インディアンクーロワールの登り

 

↑源次郎尾根

 

↑剱岳頂上にて

 

↑ツェルト搬送訓練。バックの剱がきれいです。

 

↑下山日。ヘトヘトです。