平成25年度大学生登山リーダー夏山研修会報告書

2年 賀来素直

 

↑剱岳山頂にて(9月3日)

 

主 催)独立行政法人日本スポーツ振興センター

後 援)文部科学省

協 力)公益社団法人日本山岳協会 富山県警察本部山岳警備隊

場 所)北アルプス 剱岳・国立登山研修所

期 間)平成25830日(金)〜96日(金)

目 的)大学において登山活動を行うクラブ等のリーダーとリーダー候補者を対象に、基礎的技術や基本的状況判断力を習得するための研修を行い、チームを率いて安全で確実な登山を実践できるリーダーを養成する。

 参加者)賀来素直(2年) 

行 動)        

8月30日(金)移動日

 

新宿(高速バス)2330〜富山駅(富山電鉄)630〜国立登山研修所7:30

 

 8月31日(土)

 

8班に配属された。講師は日本プロガイド協会の笹倉先生と北海道山岳ガイド協会の佐々木先生である。班員を見ると学生たちは北海道大学、東北大学、同志社大学などからも来ており、日本各地から集められていることを実感した。受付と開会式を経た後、ナビゲーション技術の講義を受けた。特に地形図からの情報を読み取る方法を詳しく学んだ。班別研修では、行動および食料計画を立て、余った時間で懸垂下降について学んだ。食料はなかなか美味しそうなものが挙がった。確保理論についての講義と、就寝前に問診を行い、1日目を終えた。

 

9月1日(日)

 

登山の医学についての講義ののち、班別研修としてロープワークを教わった。この時、ダミー人形による墜落停止訓練をした。激しい衝撃を受けたが停止させることが出来た。新品同様であったロープは何度か墜落停止に使われ、激しく痛んでしまっていた。食料パッキングを済ませ、装備点検をした。テレビで天気予報を見ると、入山中はかなり悪くなりそうだった。 

 

9月2日(月) 入山日 雨

 

室堂ターミナル900〜剱御前小舎1230〜真砂沢BC1430

 

この日は班のリーダーとして行動するため、気を引き締める。室堂に着くと同時に寒さを感じる。まだかろうじて雨は降ってはいないようだが、今にも降り出しそうである。ターミナル屋上で雨具を着込み、出発準備を整え、本部への無線連絡をして出発した。ぱらぱらと雨が降り始め、少しばかりガスも出てきている。雷鳥坂を登りながら、読図をした。標高をあげていくにつれ、雨が強くなり、風も吹き始めた。剱御前小舎に到着する頃には、立ち止まればたちまち寒くなるほどであった。ここからは剣沢を経由して真砂沢へと下るが、ガスはそこそこ濃くなっており、雨による落石を警戒しつつ、読図を行った。剣沢小屋を通過する頃には、雨脚は弱まってきていた。剣沢雪渓を進み、真砂沢へ到着した。夕食として回鍋肉を作り、食べた。予報によれば、明日の天気は悪いようだ。

 

9月3日(火) 曇りのち雨

 

真砂沢BC4:15〜長次郎谷出合5:15〜熊の岩7:45〜長次郎のコル9:00〜剱岳9:35〜平蔵出合14:00〜真砂沢BC1500

 

予報に反して朝は雨天ではないがいつ降り始めてもおかしくない。あたりは暗いため、ヘッドライトは光量の大きなものでなければルーファイできない。雨による雪渓の崩落や落石に注意しながら進む。熊の岩からは非常に歩きづらいガレ場で、隊員とお互いに落石に注意し合いながら歩く。長次郎のコルから岩稜帯に出るが、ガスで景色は見えない。剱岳山頂で写真を撮り、平蔵のコルへ向かった。途中ザイルを出して技術の確認をした。平蔵谷を下っていると、雨が降り出し、なかなか強くなってきた。雪渓を下っていると、大きなクレバスに出くわした。ザイルで確保しながらジャンプで飛び越えた。そして真砂沢BCへと帰った。予報によると翌日の天気は朝から非常に悪いため、14:00までに剱沢CSへ行き、前進基地で座学を行うそうである。

 

9月4日(水)晴れのち雨

 

真砂沢BC430〜平蔵谷出合6:00〜剣山荘9:30〜剱御前13:00〜別山14:00〜剣沢CS15:00

 

予報では天気が悪かったため出発時間を遅らせてあったが、朝は雨が降っていない。そのまま剣沢に上がるのはもったいないため、平蔵谷出合付近で雪上歩行と支点作成、確保訓練を行った。無線からの情報は夕方まで天気が持つということで、座学はなしだそうである。このため、剱御前から別山を経由して剣沢へ行くこととなった。剱山荘からくろゆりのコルまでは順調にいけた。しかしそこから剱御前へは稜線より左側を進むため、不安定なガレ場と、歩きづらいハイマツ帯を進まなければならなかった。苦労しながらも剱御前に着き、記念撮影した。別山へもスムーズに行動し、剣沢への別山岩場付近の岩稜帯を下った。より安全な岩稜帯通過のために、特にルーファイに力をいれた。前進基地に近づいたところで、傾斜の緩い比較的安全な道を走ってCSを目指した。CSに着くまでに雨に降られることはなかった。テントを設営して夕飯を作っていると、大雨が降り始めた。予報では、明日は朝から大雨なので、10:00までに室堂へ到着して、研修所でファーストエイド講習を行うこととなった。

 

95日(木)下山日 曇り

 

剱沢CS530〜別山乗越6:30〜室堂9:30〜研修所11:40

 

朝起きると雨は降っていない。準備を整えて別山乗越に上がる。バスは10:00で予約済みであるため、そのまま雷鳥坂を下る。時間が余りそうなので途中で搬送訓練を行った。ハーネスを持っていないという想定で、スリングとカラビナとザックを使って搬送した。スムーズな交替とサポート、そして根性を要した。

研修所ではファーストエイド講習、人形を使った心肺蘇生を実際におこなった。装備を整理し就寝した。

 

9月6日(金)研修最終日

 

夏山の気象と雪渓の講義を受け、班別協議として記録整理をした。全体協議の場では、今までの自分の山行での失敗と改善策について発表した。山行中の怪我への対応についての反省が多かった。そして閉会式の後、解散した。

 

研修会を終えて

 

リーダーとしてチームを率いる際の心構えや知っておくべきこと、そして自分に足りないものを知り、その改善策を得ることを目標として研修会へと臨んだ。自分としては、それは達成できたといえると思う。計画作り、山行、反省、改善のすべてにおいて、リーダーは不可欠であると思い知った。あとは学んだことをいかに部に反映していくかがキーになると思う。

 

                                 報告者:賀来素直

↑別山乗越にて(9月5日)