平成25年度大学生登山リーダー春山研修会報告書

日本大学山岳部

主 催)独立行政法人日本スポーツ振興センター

後 援)文部科学省

協 力)公益社団法人日本山岳協会 富山県警察本部山岳警備隊

場 所)北アルプス 剱岳・国立登山研修所

期 間)平成25522日(水)〜528日(火)

目 的)大学において登山活動を行うクラブ等のリーダーとリーダー候補者を対象に、基礎的技術や基本的状況判断力を習得するための研修を行い、チームを率いて安全で確実な登山を実践できるリーダーを養成する。

 

参加メンバー) 金原守人(2年) 須郷直也(2年)…・・第2班 

      

行 動)        行動報告 第2班

522日(水)移動日

 

新宿(高速バス)2340〜富山駅(富山電鉄)630〜国立登山研修所7:30

 

須郷・金原は2班に配属された。他のメンバーは早稲田大学の犬塚君、神田君。立教大の杉田君。東京大学の陳君。講師は信州大学山岳会の佐藤さん。同人クライミングファイトの増本さん。開会式から研修所の雰囲気がガラっと変わり、研修所内の雰囲気に驚かされる。

この日は「春山の気象と雪氷」、「登山の医学」の講義を行い、その後班ごとに分かれてルート選択、食糧計画、個人装備の確認を行う。

 

523日(木)

 

ナビゲーション技術の講義を行った後、研修所外の人工岩場にて早稲田大学の神田君とコンビを組み、アンカー構築、スタカット、懸垂下降について様々なことを教えて頂いた。

午後は入山準備をする。明日の入山に向け、期待と不安でいっぱいになる。

 

524日(金) 入山日 晴れ

 

室堂900〜室堂山荘930〜剱御前小舎1230〜剣沢BC1430

 

この日は日差しがとても強く、日焼け止めを塗っても肌がひりひりしてしまう。

入山前からもたもたしてしまい、そのことに関して講師に厳しく叱られる。入山後すぐに読図について詳しく教えてもらう。室堂山荘を経由して剱御前小舎に向かう。剱御前小舎からホワイトアウトになったことを想定しコンパス直進を使いながら剣沢BCを目指す。剣沢BCに到着後直ちにテント設営を行い、1日目を終了する。

 

525日(土) 晴れ

 

剱沢BC510〜雪上訓練530〜別山岩場1000〜別山1300〜剱沢BC1500

 

今日も昨日にひき続き晴天に恵まれる。剣沢にて雪上での支点構築について教えてもらう。

スノーバーの刺し方、土嚢の埋め方などの詳しいやり方を講師に教えてもらう。その後別山岩場でFIX通過をしながら別山頂上へ向かう。FIX工作は主に日大早大が中心になって行われた。2グループに分かれ、アメリカ大陸から剱沢を懸垂下降で下る。剱沢で歩行訓練を行い2日目を終了する。夕食を作る途中、研修所所長の方から召集がかかり、出発の遅さが原因で剣沢BCのリミットに間に合わず、別の場所でビバークしている班がいることを聞かされ、出発の遅さに関して厳しい指摘をうけた。明日の剱岳へのアタックは平蔵谷ルートで行く班が多いことを聞かされ、平蔵谷が混むであろうことを予測し、GW合宿のリベンジも兼ねて別山尾根ルートで行くことを班で決定する。

 

526日(日)晴れ

 

剱沢BC400〜前剱700〜剱岳1030〜平蔵谷出合1300〜搬送訓練1430

 

この日は剱本峰アタックということで時間をたくさん取る為、日がまだ登らない時期からの出発となる。一服剱から下る途中4班と出会い、そこから4班と抜きつ抜かれつの状態になる。無事平蔵のコルまで辿り着いたが、本峰のリミット1100に間に合わないと予想し本峰には上らず平蔵のコルから平蔵谷を下りることを決断する。しかし、講師から「もう少し頑張ってみよう」と言われ、リミットぎりぎりまで本峰にチャレンジすることを決断する。他のメンバーの頑張りもあり無事に本峰に到着する。他の班もぞくぞくと本峰に到着しみんなで剱岳登頂の喜びを分かち合う。下りは平蔵谷を利用するが、平蔵谷は落石、雪崩が多いため急いで下る。平蔵谷出合を少し登ったところでスタートラインが引かれ、剱沢BCまで一気にダッシュする。その後剱沢付近でツェルト搬送の大まかな内容を教わり3日目を終了する。

 

 

527日(月)下山日 晴れ

 

剱沢BC500〜別山630〜大汝山830〜雄山1000〜室堂1300

 

この日は2班だけ別山から立山周遊を行う。GWほど残雪が多くなく、非常に歩きやすかった。その後一ノ越からツェルト搬送訓練を行うが、室堂のリミットに間に合わないので途中であきらめ、早歩きで室堂まで向かう。ツェルト搬送が終わった後はメンバーのみんながへとへとに疲れ切っていた。体力の大切さを思い知らさる結果となった。

研修所に着いた後は個人装備、共同装備の整理をし、メンバーで今回の研修の思い出を語り合いながら就寝する。

 

528日(火)研修最終日

 

最終日は「登山の運動整理と効果的な体力トレーニング法」の講義を行った後、メンバーが集まって今回の研修の振り返りを行った。その後研修生全員が集まり、班ごとで今回の山行に向けての目標と今回の研修を自分のクラブにどう生かしていくかについての発表を行う。他の班の様子を知ることができ、とても良い刺激になった。研修が終わった後、班の皆で食事をし、解散となる。

 

研修会を終えて

自分の短所をなくし長所を伸ばすつもりで今回の研修会に挑んだ。素晴らしい講師の方々に恵まれ、精神面技術面ともに大きく成長できたと感じることができた。今回の研修を終え、この研修会を日本大学山岳部にどう活かしていくかについて考えさせられた。この経験で学んだ技術を同級生、後輩に伝えていきたいと思う。

 

報告者:須郷直也

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

平成25年度大学生登山リーダー春山研修会報告書

日本大学山岳部

主 催)独立行政法人日本スポーツ振興センター

後 援)文部科学省

協 力)公益社団法人日本山岳協会 富山県警察本部山岳警備隊

場 所)北アルプス 剱岳・国立登山研修所

期 間)平成25522日(水)〜528日(火)

目 的)大学において登山活動を行うクラブ等のリーダーとリーダー候補者を対象に、  基礎的技術や基本的状況判断力を習得するための研修を行い、チームを率いて 安全で確実な登山を実践できるリーダーを養成する。

 

場 所)北アルプス 剣岳

期 間)平成25年度5月22日(水)〜5月28日(火)

 

メンバー) 池田祥子(2年)…・第6班

 

行 動)        行動報告第6班

 

5月22日(水) 移動日、講習会初日

新宿(高速バス)23:20〜5:30富山駅(富山電鉄)6:20〜7:20国立登山研修所

 

立山駅から3分程歩くと国立登山研修所がある。私は6班に配属された。担当講師は同人クライミングファイトの谷口ケイ先生。班員は筑波大学の中村眞理子さん、弘前大学の三島夏帆さんだ。これからどんなことを学べるのか、他大学の話しを聞けるのか、初めて女性とのテント泊や北アルプス登山と、とてもワクワクした。

班別研修では奥田先生、加藤先生率いる3班の男子班と共に、登山計画や食料計画を行った。食料計画は、女子班ということと、弘前大学、筑波大学の食料計画を手本に、かなりのご馳走になった。

この日の講義は、「春山の気象と雪氷」と「登山の医学」について学んだ。

また、今回の研修での、自分自身の目標を作り、班員で話し合った。

 

 

 

 

5月23日(木) 講習会二日目

朝食を食べてすぐに「ナビゲーション技術」の講義を受ける。その後、午前午後で、3班と共にロープワーク実習を行った。ザイルの結び方から、支点の作り方、スタカットクライミング、Fix工作を行った。

夕食後、ペミカン作り、パッキング等を行った。

 

5月24日(金) 入山日 晴れ

立山駅7:00〜7:30美女平〜8:20室堂〜9:30行動開始〜13:30剣御前小舎〜14:00剣沢BC着

 

室堂で読図を行い、室堂から見える周囲の地形を頭に入れる。休憩するごと地形図で自身の現在地を確認した。特に、歩くにつれて尾根の見え方や角度、雪渓の大きさが変わってくるので、進む方向を意識して確認して、剣沢を登る。久しぶりの重荷でかなりしんどかった。

BC到着後は、交代しながら、壁作りや整地を行った。二度ほどテントを立て直して、テント設営の練習をした。夕食はトマト缶とペミカンでミネストローネと、フルーチェを作って食べた。

 

5月25日(土) 雪訓日 晴れ

BC発5:00〜6:00アメリカ大陸下部着 雪訓開始6:10〜14:00別山山頂14:10〜14:40BC着

 

朝食はアルペンマカロニだった。ジャガ芋、ベーコン、マカロニ、チーズを混ぜた物だ。

この日は3班と合同で、別山山頂から尾根を西へ少し行った斜面(通称アメリカ大陸)にて雪訓を行った。朝の雪が固いうちにアイゼン歩行、アイゼンなしの足歩行、ダイアモンド、トラバース、滑落停止、T字のスノーバーと土のうでの支点作りを行った。8時頃にはもう雪は大分腐ってきていた。その後、スタカット登高で、スタンディングアックスでビレイを行いながら別山の尾根上に出る。3班がスノーボラードを行っているのを見学してからら別山にお参りをしに行く。下山は尾根直下の斜面を、少し下ってから、シリセードをして、その後走って下った。

夕飯はすき焼き(卵付き)を食べた。

 

5月26日(日) 剣岳登頂  曇りのち晴れ

5:00BC発〜6:00平蔵谷の出合〜8:20平蔵のコル8:30〜9:20カニのタテバイ9:35〜10:00剣岳山頂10:30〜12:00平蔵谷の出合12:10〜13:20剣沢BC

朝、なんだか天気が良くないように思えた。BCを出発してから、平蔵谷の出合まで、読図を行いながら剣沢を進む。平蔵谷では雪に裂け目が多々見られた。途中途中、どんな危険があるのか、どこが危険箇所か、を確認しながら、平蔵谷は真ん中を選んで歩いた。進むにつれて、雪が柔らかくなり、膝下ラッセルになってきたので、先頭を交代しながら登る。カニのタテバイではアイゼンを履きながら、リードクライミングでザイルを出して登った。頂上で偶然山行に来ていた明治大学の方と少しお話してから、写真を取って、下山を開始した。下山はエビルンゼから1ピッチだけザイルを出し、懸垂下降をした。その後アイゼンを脱ぎ、シリセードで平蔵谷を下り、剣沢を登ってBCへ帰幕した。

 お茶会をしてから夕飯の準備をする。夕飯は石狩鍋だった。味噌と酒粕に漬けた生鮭を使う発想が新鮮で、おいしかった。結局、登っている間に晴れて、山頂からは唐松岳方面、槍ヶ岳、日本海が望めた。

 

5月27日(月) 下山日 晴れ時々曇り

5:30BC発〜7:00剣御前小舎〜雷鳥沢上部 搬送訓練開始〜11:30室堂山荘11:50〜12:00室堂ターミナル〜14:20国立登山研究所

 

 雷鳥沢上部から、3班と合同でツェルト搬送を行った。雷鳥沢は下りなので支点を取りながら安定させて下り、浄土川からはブルドーザー道を途中まで辿り、室堂山荘の東側を一気に突き上げた。重いので必死だったが、中に入っていた3班の松村君も相当しんどかったようだ。山荘に着いたとき、ツェルトがまったく崩れておらず、いいものを教わったな、と感じた。その後、少し時間があったので、ザックやスリングを使った搬送の仕方を教わった。

 夕食は所内でカレーだった。

 

5月28日(火) 講習会最終日

 講習「登山の運動生理とトレーニング法」について学んだ後、班別に協議を行い、今回の研修で定めた目標について、反省点などを話し合った。午後には研修生全体での協議を行い、改めて、自分の登山とは何なのか、と考えさせられた。

富山電鉄で三島さんと金原と三人で読図ナビゲーションを復習した。富山駅でご飯を食べ、その後、金原、須郷とともに、2班のメンバーとご飯を食べて、夜行バスで帰った。

 

 

総 括

今回の研修では、三人とも各々目標があったが、剣岳に登る、という今日共通の目標を達成することが出来てよかった。また、女4人という中で、女性の登山についての考えを聞けて、自分について考えさせられた。自分の弱点を見つめ、克服するためのいい機会になった。今回の春山リーダー研修会に参加できて、本当に良かった。

また、私たちの考えを第一に、「リーダー、先輩」として時間配分し、後輩(今回の場合はその日リーダーではない班員)について目を配るということ、危険個所を検討することに、意識を置くようにご指導くださった谷口先生には感謝の気持ちを伝えきれないほどです。

                            報告者:池田祥子