春山登山研修会報告書

 

                            日本大学山岳部

場所)北アルプス 剱岳

期日)平成24523日(水)〜529日(火)

メンバー)2年 山浦

開催要項(PDFファイル)

 

 

行動)

5月23日  () 移動日

 

新宿(高速バス)2300530富山駅(富山電鉄)600700国立登山研修所

 

山浦は1班に配属された。1班のメンバーは早稲田大の佐藤君、中央大の平松君、学習院大の吉田君。担当講師はパタゴニアの横山勝丘さん、チームブランカの上田幸雄さん。とても素晴らしい方々に指導していただけるということで身も心も引き締まった。

この日は山本正嘉講師より「登山の運動生理」、野田透講師より「登山の医学」を受け、その後班内でロープワークのシステムチェック及び実習を行った。

 

5月2日()研修会初日

 

  この日は午前中にナビゲーション技術、午後からはロープワークのシステムチェック及び実習。また、25日からの入山準備を行った。実習は主に横山さんと行い、技術の他に、ロープの素材や規格などについても細かく教わった。

 

5月2日()入山日 曇

 

室堂8301050雷鳥沢直下11001200剣御前12101250BC前進基地 雪上訓練開始14001600雪上訓練終了

 

 入山日の天気は曇り。食堂の主人と帰ってからの夕飯のメニューを話し合い、出発。室堂は辺り一面雪景色だった。すぐに出発し、雷鳥沢を30分で登れとスキー組の講師に言われ、頑張るがかなりしんどかった。剣御前に着くころには視界が悪く前進基地の方向をコンパスにメモリーさせ出発。この技術は現在地をより正確に把握していることが重要だと感じた。

 テント設営後場所を移し、雪上訓練開始。歩行訓練では、もっと後ろに一年がいることを意識して登れ!と横山さんから指摘された。また、ピケットや土嚢袋を使った支点構築を練習し、BCまで走らされ一日目を終了した。

 

 

5月2日()晴

 

BC出発400500前剱530900平蔵のコル9101100剱岳11301330平蔵のコル13501430平蔵谷出合14301530BC前進基地

 

 朝BCから剱岳がはっきり見えた。この日は実践的なFIX工作の練習をしたいと話がまとまり、一年がいることを想定し、剱を目指しながら必要な箇所でどんどんザイルを出し、確保しながら登った。時間がかかることも想定されたが、すごく勉強になった。前剱まではさくさく登り、雪の状態も登りやすかった。

最初、前剱の過ぎたあたりから山浦がFIXを最初に張ったが、ザイルの張り具合やFIX工作後の自分の動き方、次に来た人への指示など横山さんから隊としてどう動くべきかもっと考えろと指摘された。平蔵のコルでは少し休憩し、タテバイのFIX工作に入る。鎖は使わなかったので、このような場所で支点やランナーをとるのは難しく、また人数や一年生がいることを考えるともっとスピードを上げるのは容易ではないなと感じた。道中も上田さんの行動食の持ち歩き方や他大の細かな行動は興味深く、感心しっぱなしだった。

頂上の祠は雪に埋まっていた。晴れていたので展望は抜群で早月尾根や源次郎尾根、八ツ峰を見て改めて剱は面白い山だなーと感じた。

その後FIXを張りながら下降し、リミットが迫っていたので、平蔵谷で下山。剱沢を登り返し、最後は横山さんの大好きなダッシュだった。

 

5月27日(日)晴

 

BC前進基地出発400420平蔵谷出合430600平蔵のコル6101000前剱10101330BC前進基地

 

 この日は昨日の続きということで剱沢を下り、平蔵谷を登り返す。平蔵のコルからスタカットで下り、前剱からの急斜面は懸垂下降。ここではピケットもしくは土嚢袋で支点構築、その支点をピケットもしくは土嚢袋でバックアップするという方法で下りた。上田さんからは支点構築はどんな方法でも雪質を見極めることが重要と指導された。

 剱山荘からはもちろんダッシュ、しかし、横山さん、上田さんの体力には驚かされた。その後雪洞作成に2時間かけ4人用を作り上げた。かなりバテて雪洞に入ったが、水が滴り環境は良くなく反省した。次の日の天気予報は雷。早めの下山を促されたが、立山を回って室堂に行こうと話がまとまり、就寝。

 

5月28日(月)下山日 霰時々雷

 

BC撤収320430剣御前500600雷鳥沢直下610搬出訓練開始〜900室堂

 

 起きた時の天気は悪くなかったが、準備をしていると段々とガスってきた。剣御前で判断しようと、とりあえず撤収準備。しかし、剣御前に着いてみると風は強く、視界は悪い。4人で話しあった結果下山することになった。しかし今では、行っておけばよかった、と後悔するから山は難しい。その後雷鳥沢直下周辺でツェルト搬送訓練をしていると、霰が強くなり、雷が猛烈に鳴り響き始めた。訓練を終了し急いで下山。室堂に到着するころには雷は鳴り止んでいた。

 その後研修所に帰り、ツェルト搬送訓練の続きやビレイ中の自己脱出などを教わり、上田さんからはクライミングギアの特性について詳しく話して頂いた。

 

5月2日()研修最終日

 

 最終日は自分の目標とする山というテーマを皆で話し合い、いい刺激になった。その後研修生と飲みに行き帰郷した。

 

 

研修会を終えて

 今回の研修会はとても意義のあるものになった。剣の登頂、プロガイドのお二人との山行、他大との交流など自分にとってわくわくさせてくれるものばかりだった。特にお二人には大変お世話になり何回か怒鳴られたが、それも自分の成長の糧にしたいと思う。また技術的なものは勿論、隊の上級生としてどうあるべきかを強く指導され、これからの一年間のいいきっかけになった。剱岳やお二人、他大の3人に鍛えられたこの経験を生かして

これから日本大学山岳部部員として存分に生かしていきたいと思う。

(報告者:山浦祥吾)

  室堂出発前

 ↑ 剱岳カニノタテバイFIX

 ↑ 平蔵のコル下山

 ↑ 平蔵谷から見たコル

 ↑ 平蔵のコルを登る

 ↑ "剱岳と俺"(山浦)

 ↑ 前剱手前の急斜面にて懸垂下降

↑ 前剱手前の急斜面にて懸垂下降

 ↑ 剱岳をバックに皆と

 ↑  ツェルト搬送訓練

↑ 今回お世話になった、国立登山研修所