2010年度夏合宿報告書

日本大学山岳部

山域:北アルプス 剣沢定着、双六谷〜笠ヶ岳

期間:平成2289()822()

メンバー:CL高木、SL飯田、高橋、下鶴、関、横山

OB斉藤コーチ、設楽

                                                                                                                  

810日(火)入山 曇りのち雨

 

 930室堂〜1330別山乗越〜1450剣沢BC

 

オーダー:飯田−下鶴−横山−高橋−関−高木

室堂は少し肌寒いものの、少し動けば汗ばむぐらいの気温だ。1年生は30kg前半の重荷であるがいいペースで歩けている。雷鳥沢キャンプ場から少し登ったところで下鶴の足が進まなくなる。約半年ぶりの合宿ということでゆっくり歩かせるがすぐに止まってしまう。下鶴には高木が付き、他のメンバーを先に行かせる。飯田は一番の重荷を背負っているなかで頑張って1年生を引っ張ってくれている。途中、下鶴と高木のザックを交換し剣沢BCまで降りる。テント設営時にフライシートを忘れ来てしまったことに気づき、小屋で電話を借りて監督に連絡し、後日入山してくる斉藤コーチに持ってきていただくことになった。フライシートの代わりにツェルト2つを代用した。

 

811日(水)雪訓1日目 曇りのち雨

 

 400BC500剣沢雪渓雪訓場〜歩行・FIX工作〜1100雪訓場発〜1200BC

 

定時に出発する。辺りはまだ暗く、1年生は初のヘッデン行動となる。雪訓場に着くが雪が非常に硬く状態が悪いので歩行訓練を早々に切り上げFIX工作の練習をする。飯田、高橋に数ピッチやらせた。スノーバーを打ち込むのに苦労している様子であったが一連の流れは理解しておりスムーズに行えた。BCに戻る。夕方から雨が激しくなる。

 

812日(木)停滞 雨

 

 BCにて停滞を決定

 

内蔵助カールにて雪訓の予定であったが台風4号の影響で昨日の夜から雨風が激しい。昼過ぎに雨がどしゃ降りの中、斉藤コーチが来てくださる。

 

813日(金)雪訓2日目、2年高橋下山 曇り

 

 400BC600内蔵助カール〜歩行・ロープワーク〜1200雪訓場発〜1420BC

 

内蔵助カール最上部の傾斜はかなりきつく高度感があり緊張する。慎重に下降して往こうとした矢先に下鶴がスリップして下まで滑ってしまった。1年生の下に上級生が付いてゆっくり下まで来させるものの、何度か滑り上級生がそれを止めながらカールの下まで行った。歩行訓練では直登・直下降、8の字をする。1年生のキックステップはそれほど悪くないものの声が小さい。気合を入れさせる。ロープワークでは下鶴、関、横山にそれぞれやらせた。横山はスタンディングアックスの仕方を少し忘れていたがそれ以外は良く出来ている。関は肩がらみが苦手なようだ。去年散々なできだった下鶴は肩がらみの足場を作るのに苦労していたが積極的に取り組んでおり成長を感じた。

 

814日(土)停滞 雨

 

 BCにて停滞を決定

 

一般ルートで剱岳を登頂する予定であったが、朝から雨である。

 

815日(日)移動日 曇り

 

 600BC730別山乗越〜1020室堂1400〜(富山駅直通バス)〜1620富山駅

 

明るくなってからの出発。室堂に着き、みくりが池温泉に入る。直通バスで富山駅まで行く。

 

816日(月)移動日 曇り

 

 810富山駅〜(濃飛バス)〜930濃飛バス神岡営業所〜(タクシー)〜1030金木戸川第一ゲート〜1420広河原CS1

 

富山駅で設楽OBと合流。タクシーで金木戸川第一ゲートまで行く。ゲートには車が一台とめてあった。ゲートから車道歩きとなる。思っていたより道の状態はいいが、予定よりも時間がかかってしまったのでダムの少し先にある広河原で行動を終了する。

行動終了後、飯田は焚き火に挑戦するもなかなか火をつけることが出来ず苦戦していた。

横山は釣り糸を垂らすも収穫なし。

 

817日(火)林道歩き 晴れときどき曇り

 

 600CS1950発電所〜1150吊橋付近CS2

 

昨日の車道と違い、ここからは林道となる。草木が生い茂っており道が悪く、ルートを見失ってしまい時間をロスしてしまった。なんとか林道に戻ることができたが、途中道が崩壊している場所がある。設楽OBが近くの木で懸垂支点をつくり、全員一旦下りて登り返しながら通過した。この先もフィックスロープが数箇所張ってある所があり道が悪い。林道終点は大きな沢となっている。対岸には壊れた吊橋が見える。ここで山靴から沢靴に履き替えて徒渉をする。水位は腰まであり、かなり冷たいがこれまで汗だくになりながらの林道歩きであったため気持ちよかった。小高くなっている所にテントを設営する。午後に小雨がぱらついたが夜には綺麗な月と星を見ることができた。

 

 

818日(水)遡行1日目 快晴

 

 700CS2740打込谷出合〜1300センズ谷出合〜1330下抜戸広河原CS3

 

オーダー:高木−下鶴−横山−飯田−関−設楽

 出発を1時間遅らせたが陽があたらず寒い。出発後すぐに渡渉をするので気合を入れる。高木が徒渉し終わった後で下鶴が続くがここで体勢を崩し流されてしまい、メガネを失くしてしまった。ここは下鶴をサポートしながら徒渉すべきであった。後続は上級生が下級生をサポートしながら徒渉する。センズ谷出合までは巨岩が連続する。双六谷は巨岩をよじ登って行くイメージがあったが実際はすり抜けていくという感じであまり苦労しなかった。途中、ライフジャケット着て一人ずつ徒渉してその後にザイルで対岸からザックを引き上げてみたが、かなり大変であった。右岸にあるセンズ谷50m滝を過ぎるとすぐに下抜戸の広河原がある。

 

819日(木)遡行2日目 晴れ

 

 600CS3800キンチヂミ〜1000蓮華谷出合CS4

 

朝から河原歩きである。キンチヂミに近づくもスノーブリッジはない。キンチヂミも特に激流の中をヘツリながらということもなく快適に通過できた。関は満面の笑みで泳ぎを楽しんでいたのが印象的である。この日は早く目的地の蓮華谷出合まで着いた。行動終了後には隊をだして夕食を確保した。

 

820日(金)遡行3日目 快晴

 

 600CS410302008m地点〜1240双六小屋CS5

 

蓮華谷出合からは水流も減って、川幅も狭くなってきたので1年生2人にトップをやらせてみる。横山は良く周りを見えており疲れないルートどりをしている。一方の関は水を恐れずワイルドにがんがん突っ込んで行く。2008m付近にもスノーブリッジがあると思っていたがなかった。下鶴は後半バテバテであった。源頭部には花が咲いておりきれいで快適に小屋まで行けた。

 

821日(土)双六小屋〜笠ヶ岳山荘 快晴

 

 340CS5500弓折岳〜900笠ヶ岳山荘CS6

 

弓折岳に着くころには空が明るくなってきた。ここはのっぺりとしていて見落としがちなピークである。双六小屋から笠ヶ岳までの尾根は東側が切れている所が多い。予定よりもだいぶ早く笠ヶ岳山荘に到着した。この日に笠ヶ岳に登ったが5月に来た時と印象がまったく違っていたが感動した。それにしても山荘には登山者が多く、可愛い山ガールがいっぱいいて癒された。

 

822日(日)笠ヶ岳山荘〜中尾高原口下山 快晴

 

 340CS65:50クリヤノ頭〜1000中尾高原口

 

笠ヶ岳からの下りは急なガレ場となっている。急峻であるため、メットを着けて落石、転落に注意して慎重に歩く。クリヤノ頭までは順調に進むがそこからの下りが笹が生い茂っており大変であった。

 

 

総括

剣沢での定着は天候が悪く、剱岳登頂できず残念であったが雪訓では下鶴、関、横山3人の頑張りが印象的であった。下鶴は久しぶりの合宿参加ではあったが、毎回の反省会では1年生によく指導できており成長を感じた。飯田も2年生ながらに副将としてよく1年生をみてくれており頼もしかった。

双六谷遡行では設楽OBの力を借りてではあったが、大きな沢を遡行できたことで自信がもてたと思う。後半では焚き火も、釣りもできてかなり充実した合宿であった。

今合宿の経験を生かして次の山行に繋げていきたい。